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2025/10/30底地権譲渡とは?底地権を譲渡するメリット・デメリット、具体的な方法を解説
- 底地・借地
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける

不要な底地の処分を検討しているものの、どうしたらよいか分からず困っている方もいるのではないでしょうか。底地をスムーズに譲渡するには、自分に合った方法を選択することが大切です。
この記事では、底地権譲渡の概要や譲渡するメリット・デメリット、譲渡相場、具体的な譲渡方法について解説します。底地を譲渡したい方は、ぜひ参考にしてください。
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Contents
底地権譲渡とは?

底地譲渡とは、借地権が設定された土地(底地)の所有権を他者に売却することです。底地権を有する方は「地主」、地主から借りた土地に建物を建てて暮らす方は「借地人」と呼ばれます。ここでは、底地を売却するにあたって知っておきたい情報を紹介します。
底地権と借地権の違い
地主から借りた土地に建物を建てられる権利が「借地権」です。借地権が設定された土地を底地と呼び、底地の所有権を指して「底地権」と呼ばれることがあります。
土地に借地権を設定して第三者に貸しても、地主が持つ所有権はなくなりません。ただし、借地権が設定された土地に建物を建てられるのは、借地権を有する借地人のみです。
関連記事:底地権とは?借地権との関係と扱い方のポイントをわかりやすく解説
底地権の種類
底地は、そこに設定された借地権の種類によって性質が変わり、旧借地権・普通借地権が設定された底地と定期借地権が設定された底地に大別されます。
旧借地権・普通借地権は、契約更新が可能な借地権です。借地人から更新の請求があれば、地主に正当な理由がない限り契約が更新されるため、実質的に長期にわたって利用できます。
一方、定期借地権とは契約更新ができない借地権です。契約期間が満了したら、借地人は土地上の建物を解体し、更地にした上で地主へ返さなければなりません。
関連記事:借地権とは?普通借地権と定期借地権の違いから相続・売却のポイントまで
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底地権の譲渡相場は買い手で異なる

底地を譲渡するにあたり、いくらで売却できるか気になる方もいるのではないでしょうか。底地の譲渡相場は買い手によって異なるため、事前に相場観を把握しましょう。ここでは、買い手別に底地の譲渡相場を解説します。
借地人の場合
底地を借地人に売却する場合の相場は、更地価格の50%ほどです。借地人には、底地を購入すると土地全体を自由に活用できるというメリットがあります。そのため、第三者に売却する場合と比べて高値での取引が期待できます。
関連記事:借地人が底地を買い取る場合の価格とは?「限定価格」の仕組みと計算方法を徹底解説
第三者の場合
底地を借地人以外の第三者に売却する場合の相場は、更地価格の10~20%ほどです。第三者が底地を購入しても、その土地は借地権を有する借地人しか利用できません。そのため、底地の売却価格は相場より安くなるのが一般的です。
関連記事:底地の評価方法とは?評価額の計算方法や売却相場も解説!
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底地権を譲渡するメリット

底地の譲渡には、まとまった現金を受け取れる以外にもさまざまなメリットがあります。底地の譲渡を検討しているなら、これらのメリットが自分にとって有益かどうか考えることが大切です。ここでは、底地を譲渡する3つのメリットについて解説します。
税金の負担から解放される
底地を譲渡するメリットのひとつは、底地にかかる税金から解放されることです。底地を所有する限り、毎年固定資産税や都市計画税を納めなければなりません。固定資産税は「固定資産税評価額×1.4%」、都市計画税は「固定資産税評価額×0.3%」で求められます(税率は自治体によって異なる場合があります)。
借地人から地代を受け取っているとはいえ、税金の負担を考えると底地経営は収益性が高いとはいえません。税金の負担から解放されたいなら、底地の譲渡もひとつの選択肢です。
借地人とのトラブルを回避できる
借地人とのトラブルに頭を悩ませる必要がなくなる点もメリットです。底地経営でよくあるトラブルのひとつは、借地人の地代滞納です。アパート経営とは異なり、底地経営では家賃保証会社を利用できないため、借地人が地代を滞納したら自分で督促しなければなりません。
底地を譲渡すれば、借地人との関係を解消できます。借地人と感情的な対立がある方は、底地の譲渡を検討するとよいでしょう。
関連記事:底地トラブルはこうして解決できる|相続・地代・承諾…相談すべき10のケース
相続トラブルを未然に回避できる
底地を譲渡すれば、将来的な相続トラブルを未然に回避できます。底地は市場価格より低く売却されやすい一方、相続税評価額は比較的高めに算出される傾向があるため、売却しても相続税を払いきれない場合があります。
相続前に底地を譲渡すれば、相続税の課税対象額を抑えられて相続人に余計な苦労をかけずに済みます。また、相続人が複数いるケースでは、底地を売却して現金化することで遺産分割がしやすくなるメリットもあります。
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底地権を譲渡するデメリット

底地の譲渡には、メリットだけでなくデメリットも存在します。目先のメリットに引かれて底地を譲渡すると、後悔しかねないため注意が必要です。ここでは、底地を譲渡する2つのデメリットを見てみましょう。
地代収入がなくなる
底地を譲渡すると、地代収入を得られなくなるのがデメリットです。借地人に土地を貸した場合の年間地代相場は、固定資産税・都市計画税の3倍~5倍です。土地に課される税金の総額が30万円であれば、年間90万円~150万円ほどの地代を受け取れます。
借地人との関係性が良好でトラブルが起こる心配がない場合、そのまま所有し続けるのも選択肢のひとつです。
関連記事:借地権の月々の地代には目安がある!?計算方法と金額設定について解説
売却価格が市場相場よりも安い
市場相場より安価で取引される点も、底地を譲渡するデメリットです。底地を購入しても、買い手は自分が住む家を建てるといった活用はできません。そのため、売却先は「地代収入を得たい」と考える不動産投資家に限定されます。
底地を売りに出しても需要が少ないことから、市場相場より低い価格を設定しなければならないのが実情です。
関連記事:底地の買取相場は安くなりやすいってほんと?売却時にかかる費用についても紹介します。
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底地権を譲渡する方法

底地は通常の土地を比較すると買い手が見つかりにくいものの、売却できないわけではありません。ここでは、底地を譲渡する方法を5つ紹介します。自分に合った方法を選択することで、底地をスムーズに売却できるでしょう。
借地人に譲渡する
底地の譲渡を考えているのなら、まずは借地人に声をかけてみましょう。底地を最も高く売却できる相手は借地人です。
借地人にとっても、底地を購入することで土地全体を自由に活用できる点はメリットです。借地人が土地を購入したいと考えていれば、前向きに応じてくれる可能性があります。ただし、借地人に底地を購入する意思がない場合、他の方法を検討しましょう。
他の共有者に譲渡する
底地を共有している場合、他の共有者に持分を譲渡するのもひとつの方法です。他の共有者にとっても、持分を増やすことでより多くの地代収入を受け取れるメリットがあります。地代収入で生計を立てたい共有者がいれば、購入を検討してもらえるでしょう。
ただし、底地の割合を増やしても、土地を自由に活用できるようにはなりません。まずは購入の意思があるか、さりげなく確認することが大切です。
借地権を買い取ってから譲渡する
底地を少しでも高く売却したいなら、借地権を買い取ってから譲渡するのも選択肢のひとつです。借地を買い取れば、自分の意思で自由に活用できる「完全所有権」の土地となり、より買い手が見つかりやすいでしょう。また、市場相場に近い価格での売却が期待できます。
ただし、借地人から借地権を購入するには価格交渉が必要です。契約条件を巡ってトラブルが起こる恐れもあるため、不動産会社を介することをおすすめします。
底地と借地権を同時売却する
借地人も借地権を売却したいと考えているなら、底地と借地権をセットで売却する方法があります。一緒に売りに出せば、買い手は完全所有権の土地を取得できるため、市場相場に近い価格での取引が期待できる点がメリットです。
ただし、借地人に借地権を売却する意思がなければ同時売却は成立しません。まずは借地人に借地権を売却する意思があるかどうか、確認するところから始めましょう。
関連記事:底地と借地を一括で売却する方法とは?同時売却の進め方と注意点
専門の不動産会社に売却する
底地の譲渡は、専門の不動産会社に相談するのもおすすめです。専門の不動産会社には、購入した底地を活用して収益化を図る独自のノウハウがあります。
そのため、一般の買い手が見つかりにくい底地でもスピーディーに買い取ってもらえる点がメリットです。専門の不動産会社を探すときは、底地の売買実績に着目しましょう。
関連記事:底地買取は専門業者へ!メリットと選び方について解説
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底地権を譲渡するときに押さえておきたいポイント

ここからは、底地を譲渡する際に押さえておきたいポイントを3つ紹介します。権利関係が複雑な底地をスムーズに譲渡するには、事前にこれらのポイントを押さえた上で売却するのがおすすめです。
一般の買い手は見つかりにくい
底地を一般の買い手に譲渡するのは困難です。購入しても自分が住む家を建てられない底地を欲しがる方は少ないでしょう。そのため、底地をスムーズに譲渡したいなら、底地専門の不動産会社に相談することが大切です。
底地の譲渡を依頼する不動産会社を選ぶ際は、「取り扱い実績は豊富か」「底地が所在するエリアに対応しているか」を確認しましょう。
譲渡時に費用がかかる
底地を譲渡する際は、仲介手数料や印紙税といった費用が発生します。仲介手数料は不動産会社の仲介を通じて売却する際にかかる成功報酬、印紙税は売買契約書に課される税金です。買取の場合は仲介手数料が不要なため、売却時の費用を抑えたいなら、不動産会社の買取サービスを利用するのもひとつの選択肢です。
また、底地の売却益に対して譲渡所得税がかかる点も押さえておきましょう。なお、底地の譲渡で利益が発生しない場合、譲渡所得税はかかりません。
共有名義では共有者全員の同意がなければ譲渡できない
共有名義の底地を売却するには、共有者全員の同意が必須です。ひとりでも反対する方がいたら、売却できない点に注意しましょう。
ただし、自分の持分だけなら自由に売却可能です。共有者の同意が得られず、共有名義の底地全体の売却が難しいときは、自分の持分のみを売却するのも選択肢のひとつです。
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まとめ

底地の譲渡には「税負担から解放される」「借地人とのトラブルや相続トラブルを回避できる」といったメリットがあります。一方、地代収入がなくなるというデメリットもあるため、慎重に検討することが大切です。
また、底地を購入しても土地を自由に活用できないため、一般の買い手を見つけるのは難しいことも押さえておきましょう。底地をできる限り早く譲渡したいなら、底地を専門とする不動産会社に相談するのがおすすめです。
リアルエステートでは、「おうちの相談室」を通じて底地に関するさまざまな悩みの解決をサポートしています。「底地権譲渡を考えているけれど、どうすればよいか分からない」と悩んでいる方は、お気軽にご相談ください。
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