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投稿⽇時

2023/10/27

最終更新⽇時

2025/06/12

底地の評価方法とは?評価額の計算方法や売却相場も解説!

  • 底地・借地

底地を相続したときに課される相続税や売却するときの価格は、相続税評価額に基づいて算出されます。しかし、底地の評価額をどのように計算すればよいのかがわからずにお悩みの方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、底地を評価する方法や評価額を計算する手順、評価額に影響を与える要素、取引相手別売却価格相場について解説します。底地を相続するメリット、デメリットにも触れているため、相続すべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

底地を評価する3つの方法

虫眼鏡と住宅の模型、図面。

底地の評価方法は、相続税路線価を用いる方法や不動産鑑定による方法など、目的に応じてさまざまです。評価の目的によって適切な方法を選択する必要があるため、各手法の違いを事前に理解しておきましょう。以下に、底地を評価する主な3つの方法を解説します。

1.相続税路線価による評価

もっとも一般的な底地の評価方法は、国税庁が定めている相続税路線価を用いるものです。

相続税路線価とは、国税庁が毎年公表している、道路に面する宅地1㎡あたりの評価額です。地価公示価格(国土交通省が定める毎年1月1日時点における標準地の価格)、実勢価格(実際に取引が成立した価格)、鑑定評価額などを参考に、毎年1月1日時点での価格が鑑定されて決定されます。

相続税路線価を用いた底地の評価方法は、相続税を申告するときの相続税評価額を算出するときに広く用いられています。一般に、底地の評価額を求めるときにはこの方法を利用することを押さえておきましょう。

なお、相続税路線価を用いて底地の相続税評価額を計算する流れは、次の章で詳しく解説します。

2.不動産鑑定による評価法

不動産の価値を判定する専門家である不動産鑑定士が、国土交通省の「不動産鑑定評価基準」を基に底地を評価する方法もあります。

不動産鑑定評価基準は、大きく「地代や承諾料などの賃料に関する基準」と「地価に関する基準」に分けられます。このうち、底地を評価する際に使われる方法が「原価法」「取引事例比較法」「収益還元法」の3つです。

原価法は、「現在の建物を取り壊して再築したときの費用」から「元々建っていた建物が経年劣化によって低下した価値分」を引く方法です。取引事例比較法は、底地周辺の取引事例を基に評価額を算出する方法を指します。収益還元法は、底地から得られる将来的な収益を基準に評価額を算出する方法です。

不動産鑑定士は、上記複数の方法を組み合わせて多角的に底地の評価額を決定しています。

なお、不動産鑑定士が作成した「不動産鑑定書」は、裁判における公的な証拠として役立つものです。そのため、底地の評価額について他の相続人と合意できずに揉めている場合には、不動産鑑定士への相談をおすすめします。kn

関連記事:原価法とは?再調達価格を使った不動産査定の仕組みを解説

関連記事:益還元法の計算式を徹底解説!直接還元法・DCF法

3.金融機関による評価

底地を担保に入れてお金を借りるときなどには、金融機関による評価が大切となります。ただし、金融機関は底地を担保として評価していません。そのため、金融機関による底地の評価額は実質0円であるのが実情です。

底地に家を建てるなどの活用ができるのは借地人だけであり、地主自身は土地を自由に活用できません。このような土地を購入したいと考える方はまずおらず、一般の不動産市場での需要はほぼありません。そのため、金融機関は底地を評価していないのです。

相続税路線価を用いて底地の評価額を計算する手順

3つのステップのイメージ。

底地を相続したときに課される相続税を納める、また底地を適正価格で売却するためには、底地の評価額を押さえておくことが欠かせません。ここでは、相続税路線価を用いて底地の評価額を計算する3つの流れと計算方法を解説します。

自用地評価額を求める

まず、底地を「自分が自由に利用できる土地(自用地)」と見なした場合の評価額を求めます。

自用地評価額を求める方法には、路線価方式と倍率方式の2種類があります。

  • 路線価方式

国税庁によって路線価が定められているエリアの評価方法であり、以下の計算式で算出可能です。

自用地評価額=路線価×土地の面積

路線価は道路に面する土地1㎡あたりの価格であり、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」を見ると確認できます。

たとえば、路線価が1㎡10万円、土地の面積が100㎡のケースにおける底地の自用地評価額は以下のとおりです。

底地の自用地評価額=10万円×100㎡=1,000万円

  • 倍率方式

一方、倍率方式とは路線価が設定されていないエリアにおける評価方法であり、以下の計算式で求めます。

自用地評価額=固定資産税評価額×評価倍率表に記載された倍率

固定資産税評価額は毎年自治体から送られてくる納税通知書に記載されているので、確認してみましょう。倍率は、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認できます。

一例として、固定資産税評価額が1,000万円、倍率が1.1倍だったときの底地の自用地評価額は以下のとおりです。

底地の自用地評価額=1,000万円×1.1倍=1,100万円

参考:『財産評価基準書 路線価図・評価倍率表|国税庁』

借地権割合を調べる

次に、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」から借地権割合を確認します。

借地権割合とは、土地の権利のうち、借地人が持つ借地権の割合を示すもので、地域ごとに30%から90%の範囲で10%刻みで設定されています。

たとえば、底地のあるエリアに設定されている借地権割合が60%のとき、地主が持っている底地の権利の割合は40%となります。

関連記事:借地権割合の基礎知識|調べ方・計算方法・注意点を解説!

底地の評価額を計算する

最後に、自用地評価額と借地権割合を用いて底地の評価額を求めます。

一例として、底地の自用地評価額が1,000万円、借地権割合が60%の場合における底地の評価額を計算すると、以下のようになります。

底地の相続税評価額=1,000万円×(100%-60%)=400万円

したがって底地を相続したときに課される相続税を計算する際には、この400万円を基準とします。

底地の評価額に影響を与える要素

賃貸借契約書と印鑑、朱印
書類はイメージです

ここまで底地の評価額を計算する方法を解説してきましたが、おおよその売却価格を算出するためには相続税評価額を実勢価格に換算する必要があります。実勢価格は底地の条件などによって異なるため、事前にどのような要素が影響するのかを押さえておきましょう。

ここでは、底地の評価額に影響する3つの要素について解説します。

底地の条件

底地の評価額は、土地の形状や面積、立地、周辺環境などに左右されます。

一般に、土地は正方形や長方形のほうが家を建てやすいため評価額が高くなります。一方で、三角形などの不整形地は家を建てるときに敷地を有効活用するのが難しく、評価額は低くなる傾向です。

また、駅から近いなど立地条件がよければ土地の評価額は高くなりますが、交通利便性が悪いと評価額が下がってしまいかねません。

その土地が持つ特性によって評価額は大きく変わるため、正確な底地の評価額を知りたいなら不動産の専門家である不動産会社にアドバイスを求めることがポイントです。

借地権割合

借地権割合も、底地の評価額に大きな影響を与える要素のひとつです。

借地権割合が高い土地は、借地人の権利が強いことを意味します。たとえば借地権割合が90%に設定されている土地では、地主が持つ底地の権利は10%に過ぎません。底地を所有する地主の権利が弱いと、必然的に評価額も低くなってしまう点に注意しましょう。

なお、借地権割合は都市部の商業地など土地の利用価値が高いエリアほど高めに設定されている傾向にあります。

借地契約の条件

地代や更新料、借地権の残存期間、地代改定の有無などといった借地契約の条件も、底地の評価額に大きく影響します。

基本的には、借地人にとって有利な条件が設定されているほど、底地の評価額は低くなる傾向です。たとえば借地契約の更新時に更新料の支払いを不要と設定している場合には、地主が得られる収益の減少につながることから評価額を引き下げる一因となります。

また、借地契約の残存期間は、地主がその間自由に土地を利用できないことを意味します。そのため、残存期間が長いほど評価額が低くなりかねません。

底地の評価額を調べるときには、改めて借地契約の内容を確認することが大切です。

関連記事:借地権の更新料はいくら?支払い時期・相場・計算方法などを解説

経済状況

底地の評価額は、不動産市場の動向や経済状況などの外的要因などにも左右されます。

たとえば好景気のときには全国的に地価が上がる傾向にあるため、必然と底地の評価額も高くなります。また、底地周辺で再開発計画がおこなわれたときにも利便性の向上、地域全体の魅力の高まりにより評価額は上昇する傾向です。

一方で、不景気や人口の減少などによって不動産の需要が減ると、評価額も減少します。

底地をできる限り高く売却したいと考えているのなら、景気や不動産市場の動向を見極めることが欠かせません。

【取引相手別】底地の売却価格相場

営業担当者と打ち合わせをする夫婦。

底地の売却先は、おもに「借地人」「投資目的の個人」「不動産会社」の3者です。ただし、売却相手によって売却相場や売却の難度は大きく異なります。底地を少しでも早く、高く手放したいと考えている場合は、適切な売却相手を選ぶことが重要です。

ここでは、取引相手別に底地の売却相場を解説します。

借地人への売却では更地価格の約50%

借地人に底地を売却する場合の相場は更地価格の50%ほどであり、ほかの売却先よりも高値での取引が期待できます。高く売却したいなら、まずは借地人に購入の意思がないかを確認するとよいでしょう。

借地人にとって底地を買い取ることは、地主の許可を得ることなく自由に建て替えや賃貸ができるようになるメリットがあります。土地を制限なく活用したいという希望がある場合は、前向きに応じてくれる可能性もあります。

ただし、借地人に買い取る意思がなければ取引は成立しません。突然「底地を買ってほしい」と伝えても断られる可能性が高いため、日常会話を通じてさりげなく動向を探ることをおすすめします。

不動産会社が仲介した個人への売却なら更地価格の10~15%

不動産会社に仲介を依頼して個人に売却する際の相場は、更地価格の10~15%ほどです。

ただし、底地は一般の個人にとって需要がほとんどありません。マイホームを建てられないため、購入後の用途が限られてしまうためです。結果として、地代収入を目的とする不動産投資家が主な対象となりますが、底地は賃貸物件と比べて収益性が低く、投資家の関心も高くはないのが実情です。

不動産会社による買取なら更地価格の10~20%

底地を確実に売却したい場合は、不動産会社への買取依頼も選択肢となります。

不動産会社に底地を直接売却する際の相場は10~20%ほどであり、投資家への仲介売却と大きな差はありません。ただし、買取では買主を探す必要がないため、比較的短期間で現金化できる点が利点です。

ただし、すべての不動産会社が底地の取り扱いに対応しているわけではありません。早期売却を目指すなら、底地の買取実績が豊富な不動産会社に相談することがポイントです。

関連記事:底地の買取相場を一発理解!計算方法と査定のポイント

底地を相続するメリット

底地は借地人しか活用できず、自分で家を建てることはできません。とはいえ、底地を相続することには一定のメリットがあります。相続すべきか迷っている場合は、まずその所有に魅力を感じるかどうかを考えてみましょう。

ここでは、底地を相続する3つのメリットについて見ていきましょう。

地代収入を得られる

底地を相続する大きな利点のひとつが、借地人から地代を受け取れることです。底地の賃貸借契約は30年以上にわたることが多く、長期間にわたって安定した収入が見込めます。

また、契約更新の際には更新料、建物の建て替え時には建て替え承諾料なども得られる可能性があります。底地が相続財産に含まれている場合は、借地契約の内容を確認し、将来的にどれくらいの収入が期待できるか試算してみるとよいでしょう。

相続税対策になる

底地を相続する際には、「小規模宅地等の特例」を利用できるケースがあります。これは、底地のうち200㎡までの部分について、相続税評価額が50%に減額される制度です。適用されれば相続税の負担を軽減できます。

ただし、相場より著しく安い賃料で貸している場合などは、特例の対象外となることもあります。制度の要件を満たしているかどうかをあらかじめ確認しておくことが重要です。

管理の手間がかからない

底地を相続しても、自ら維持管理を行う必要は基本的にありません。

賃貸経営では、定期的なメンテナンスや修繕の手間、費用がかかるうえ、管理を委託するにもコストが発生します。一方、底地の管理は借地人が担うため、相続してもランニングコストがほとんどかからない点はメリットといえます。

底地を相続するデメリット

悩んでいる男性。

底地を相続することには一定のメリットがあるのは事実ですが、その反面、デメリットが潜んでいることにも注意しなければなりません。ここでは、底地を相続する3つのデメリットを解説します。メリットとデメリットを踏まえたうえで、底地を相続するか慎重に検討しましょう。

土地を自由に活用できない

底地を相続しても、自分が住む家などを建てることはできません。これは、借地権が設定されている底地を活用できるのが借地人に限られるためです。

さらに、底地の契約形態が普通借地契約である場合、借地人が望む限り契約が更新され続けます。そのため、土地が何十年も戻らないというデメリットがあります。借地人に立ち退いてもらいたい場合には、「地主側に底地を利用する必要性がある」など、法律上の正当な理由が求められます。

売却が難しい

底地を手放したいと考えても、買い手を見つけにくい点もデメリットです。

前述のとおり、底地を購入しても自由に土地を活用できるわけではありません。こうした性質から、通常の宅地と比べて売却は難航しやすくなります。

ただし、底地の活用に詳しい不動産会社であれば、直接買い取ってくれる可能性があります。相続した底地を早期に現金化したいときには、一度相談してみるのも一案です。

相続税評価額が実勢価格よりも高い

底地は、一般の個人からの需要が乏しいことから、実際の取引価格が安くなりやすい傾向にあります。

それにもかかわらず、相続税評価額は路線価を基準に算出されるため、立地などによっては実勢価格よりも高く評価されてしまうことがあります。場合によっては、底地の売却代金よりも相続税のほうが高くなる事態も想定されます。こうした可能性を考慮し、納税資金の確保に注意を払う必要があります。

まとめ

晴れやかな笑顔を浮かべる女性。

底地の相続税評価額は、所有者が自由に利用できる自用地としての評価額から借地権価格を差し引くことで求められます。具体的な計算式は「自用地評価額×(100%-借地権割合)」です。また、底地の評価額は底地や借地契約の条件、経済状況などによって左右されることも押さえておきましょう。

一方、底地の売却を検討していておおよその相場を知りたいのなら、底地の扱いに精通している不動産会社に相談することをおすすめします。

弊社リアルエステートでは、底地に関するあらゆるお悩みを解決に導く「おうちの相談室」を運営しています。「相続した底地の評価額が知りたい」などの疑問をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。