収益還元法の計算式を徹底解説!直接還元法・DCF法

不動産を査定する際、収益還元法という考え方が用いられます。これは、不動産物件からの将来的な家賃収入を先に計算し、その計算結果から不動産の適正価格を定めるという方法です。収益還元法を正しく理解することで、不動産に対する知識がさらに深まります!

収益還元法とは収益還元法とは?基本概念とその重要性を解説

収益還元法とは、不動産物件から得られる将来的な家賃収入を先に計算し、その結果をもとに不動産の適正価格を決定する方法です。
例えば、不動産の建築費用が1億5000万円だった場合でも、将来的な家賃収入を考慮した上での適正価格が、2〜3億円になり得るということです。

収益還元法の種類をわかりやすく解説:直接還元法とDCF法

収益還元法には、「直接還元法」と「DCF法」の2種類の算定方法があります。

「直接還元法」とは、不動産を1年間所有することで得られる利益を計算し、この計算結果から、現時点の価格を決定する方法です。例えば新築や築浅マンションは、そうでない物件と比較して家賃が高くなる傾向にあると思うのですが、この家賃から計算をするので「直接還元法」における不動産の現時点価格も比例して高くなります。

対して「DCF法」とは、「ディスカウントキャッシュフロー法」を指しており、将来的にお金の価値が下がることを考慮した上で、不動産の値段を決める方法です。
通貨の価値は、基本的に下がっていきます。今の100万円の方が、10年後の100万円より高い価値を持っているということです。
例えば、昔は10万円で買えてたものが、今は倍の値段でしか購入できないというような現象を経験したことがある方もいるのではないでしょうか。このように通貨の価値とは、社会がインフレ状態である限り、常に現在が最高値です。

上記を加味した上で、計算される方法が「DCF法」になります。不動産を保有している期間において受け取ることができる純利益と、売却時の物件の予想売却価格を、現在の価値に合わせて割り引いて合計額を出す方法です。

  • 直接還元法 → 1年間の不動産予想利益からざっくりと不動産価格を計算
  • DCF法   → 長期的な利益とお金の価値を踏まえた損益から、不動産価格を計算

以上のように区分することができます。

直接還元法の計算式と具体例:不動産価格を算出する方法

将来的な家賃収入÷還元利回り=不動産価格(利益)

この式で求めることができます。還元利回りとはキャップレートとも言われており、類似物件を参考にして計算されることが多いです。

例えば
純家賃収入:260万
年間経費:50万
還元利回り:7%
である時、式は以下のようになります。

(260-50)÷ 7% = 3,000万円

つまりこの物件は、3,000万円の価値(利益)がある不動産として扱うということになりますね。

DCF法の計算方法を詳しく解説:長期的な収益とお金の価値を考慮

DCF法は、直接還元法と比べると計算が複雑になります。

毎期で得られる不動産純利益合計+将来の売却価格の現在価値=不動産価格(利益)

この式で求めることができます。
例えば、3.「直接還元法」の計算方法で用いた数字を使って計算してみると

  • 純家賃収:260万
  • 年間経費:50万
  • 保有期間:6年
  • 割引率/年:4%
  • 売却時の想定価格:3,000万

割引率とは、「DCF法」の特徴である将来的なお金の価値の増減を指しており、年間で4%今よりお金の価値が低くなることをここでは意味しています。
そして今回の場合、式は以下のようになります。

  • 1年目(260-50)÷(1+0.04)=202万円
  • 2年目(260-50)÷(1+0.04)2=194万円
  • 3年目(260-50)÷(1+0.04)3=187万円
  • 4年目(260-50)÷(1+0.04)4=180万円
  • 5年目(260-50)÷(1+0.04)5=173万円
  • 6年目(260-50)÷(1+0.04)6=166万円

1年目と6年目を比較すると、利益が低くなっています。これは現在のお金の価値で見た場合に、6年目には166万円の利益になっているということです。そして売却時の想定価格を3,000万円にしているので、同じように計算を行います。

6年目 3,000 万円 ÷(1+0.04)6=2,371万円
つまり6年後に売却する際は、現在の価値で2,371万円になっているということです。

売却時に得る2371万円に、6年間の収益を合計し
2,371+(202+194+187+180+173+166)=3,473万円となります。

計算が難しいですが「DCF法」では上記のようにして求めることができます。
3,473万円以下で購入し、毎月家賃収入を得て、6年後にしっかりと3,000万円で不動産を売却できたとすると、購入者は得をすることになりますね。

まとめ:収益還元法の理解で不動産の適正価格を見極める

本記事では、不動産査定における収益還元法について詳しく説明しました。収益還元法を理解することで、将来的にどのくらい利益を得るのか、自分で導き出すことができます。銀行や不動産業者によって、用いる収益還元法も異なってくると思いますので、要確認ですね! 最後に今回の計算方法は、J-REC公認不動産コンサルタントをされている、アユカワタカヲ氏を参考にさせていただきました。不動産投資や査定に関する知識をお探しの方は、ぜひ同氏のHPを覗いてみてください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。