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2026/04/02借地権とは?種類・所有権との違い・売却や相続の注意点を解説
- 不動産の知識
- その他
借地権とは、他人の土地を借りて建物を所有するための権利です。ただ、言葉の意味は分かっても、「所有権と何が違うのか」「自分の借地はどの種類に当たるのか」まで整理できていない方も多いのではないでしょうか。
借地権は、契約の種類や内容によって、見方や注意点が変わります。この記事では、借地権の基本から、確認しておきたいポイントを順に整理します。
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- 借地権とは他人の土地に建物を所有する権利で、種類により契約のルールが異なります。
- 建物の売却や建て替えには地主の承諾が必要な場合が多く、事前の契約確認が重要です。
- 売却や相続に備え、契約書や建物名義などの権利関係を整理しておくことが大切です。
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
Contents
借地権とは

借地権とは、他人の土地を借りて、その土地の上に建物を所有するための権利です。借地借家法では、「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」と定義されています。
(参考: 『平成三年法律第九十号 借地借家法 第二条』)
借地権が設定されている場合、その土地には「借地人」と「地主」がいます。借地人は土地を利用して建物を所有する側、地主は土地を所有する側です。地主が持つ土地所有権は、「底地」と呼ばれます(後述します)。
なお、土地を借りるケースでも、駐車場や資材置き場のように建物の所有を目的としない利用は、ここでいう借地権とは区別して考えます。
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借地権の見分け方

借地権を見分けるときは、まず権利の種類と契約時期を確認します。この2点を押さえることで、自分の借地にどのルールが適用されるのかを整理しやすくなります。
地上権と賃借権の違い
借地権は、地上権と賃借権に分かれます。違いは、権利の法的性質です。地上権は物権、賃借権は債権として扱われます。まずは、自分の契約がどちらに当たるのかを確認しましょう。
確認するには、契約書の記載を見るのが基本です。加えて、登記事項証明書に地上権設定が記載されているかどうかを確認すると、より正確に判断できます。住宅ローンや売却時の手続きでもこの違いは重要になるため、早い段階で確認しておくことが大切です。
旧法と新法の違い
次に確認したいのが、契約が旧法か新法かです。借地のルールは、1992年8月1日に施行された借地借家法を境に変わっています。これより前の契約には旧借地法の考え方が残るため、契約書の日付を確認することが重要です。
旧法か新法かが分かれば、自分の借地をどの制度に基づいて理解すべきかが見えてきます。まずは、契約書に書かれた権利の種類と契約時期を確認することが、見分けるための基本になります。
関連記事:借地権の旧法・新法の違いを徹底解説
不動産ビギナーさん借地権にも種類があると聞きましたが、自分の土地がどれに当てはまるのかはどうやって見分ければいいですか?
山口智暉まずは契約書を確認し、権利が『地上権』か『賃借権』か、契約時期が『旧法』か『新法』かを見ます。これらが分かると適用されるルールが整理できるんですよ。
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借地権の種類

借地権は、契約類型によって存続期間や終了時の扱いが異なります。ここでは、自分の契約がどの種類に当たるかを整理します。
普通借地権
普通借地権は、新法の基本となる借地権です。存続期間は当初30年以上とされ、更新が予定されている点が特徴です。更新後の期間も法律で整理されているため、長期利用を前提に理解する類型です。
確認するときは、契約書にある存続期間、更新条項、更新履歴を見ます。普通借地権かどうかを把握するうえでは、まず更新可能性が制度上予定されているかが判断の基準になります。
一般定期借地権
一般定期借地権は、更新しないことを前提とする借地権です。契約期間は50年以上で、満了時には土地を返還する前提で設定されます。普通借地権との違いは、更新の有無にあります。
この類型では、契約満了日と返還条件の確認が重要です。自分の借地が一般定期借地権である場合は、契約終了時の扱いが普通借地権と違うことを最初に押さえる必要があります。
事業用定期借地権等
事業用定期借地権等は、店舗や事務所、事業施設などを建てるために設定される借地権です。住宅用の借地とは前提が異なり、利用目的に制限があるため、自宅用の借地と同じ感覚で判断しないことが大切です。
また、契約期間にも定めがあり、一般定期借地権とは条件が異なります。更新を前提としない点は共通しますが、用途や契約内容によって確認すべきポイントが変わるため、まずは契約書で利用目的と契約期間を確認する必要があります。
建物譲渡特約付借地権
建物譲渡特約付借地権は、借地権設定後30年以上が経過した時点で、地主が建物を相当の対価で買い取る特約を付ける借地権です。定期借地権の一種ですが、契約満了時に更地返還を前提とする一般定期借地権とは、終了時の処理が異なります。
そのため、同じ「定期借地権」でも一括りにせず、契約終了時に建物がどう扱われるのかを個別に確認することが大切です。自分の借地がこの類型に当たる場合は、地主による買取条件や契約終了の時期を、契約書でそのまま確認しておく必要があります。
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借地権と所有権の違い
借地権と所有権の違いは、権利の比較で整理すると分かりやすくなります。ここで見るのは、税負担、資産性、処分の自由度、取得費用の4点です。
1.税負担
土地にかかる固定資産税や都市計画税は、原則として土地所有者側の負担になります。一方、借地人は建物に関する負担を負うのが基本です。ただし、借地では地代の支払いが継続するため、単純に負担が軽いとは言えません。
2.資産性
所有権では土地そのものが資産になりますが、借地権では土地の所有権は取得しません。そのため、同じ場所に建物があっても、資産の持ち方は異なります。
3.処分の自由度
所有権では土地活用や売却を比較的自由に考えやすいのに対し、借地権では契約条件や地主との関係が影響します。特に賃借権型の借地では、その傾向が強くなります。
4.取得費用
借地権付き物件は、土地を買わない分、所有権物件より初期費用を抑えやすい面があります。ただし、その後の地代や契約条件まで含めて見ないと、実際の負担は判断できません。
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借地権が売りにくい理由
借地権付き不動産が売りにくいといわれるのは、需要がまったくないからではありません。所有権の不動産よりも、買主が確認しなければならない条件が多いため、購入を決められる人が限られやすいことが理由です。借地権付き不動産では、価格だけでなく、契約条件や地主との関係まで含めて判断されます。
まず影響するのが、地主の承諾や契約条件です。借地権付き不動産では、買主が建物だけを見るわけではなく、その建物がどのような借地契約の上に成り立っているかも確認します。残存期間が短い、更新条件が厳しい、地代負担が重いといった事情があると、購入後の見通しが立てにくくなります。
もう1つ大きいのが、資金調達のしやすさです。借地権付き物件でも住宅ローンが使える場合はありますが、土地が所有権ではないため、金融機関によっては条件が厳しくなることがあります。結果として、所有権物件より買主候補が狭まりやすく、売却期間が長引く要因になります。
つまり、借地権が売りにくい理由は「不人気だから」ではなく、確認事項の多さにあります。売却時には、価格だけで勝負するのではなく、契約条件を整理し、買主が不安に思う点を先回りして潰していくことが重要です。
関連記事:借地権付き建物が売れない理由とは?売却を成功させる方法も解説!
不動産ビギナーさん土地を借りている借地権の物件は、普通に土地を持っている物件よりも売りにくいのでしょうか?
山口智暉売りにくい傾向はありますね。購入する側からすると、地代の負担や地主の承諾など確認事項が多く、住宅ローンの審査も厳しくなりがちという事情があるからです。
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借地権の売却方法

借地権の売却を考えるときは、「売却できるかどうか」をひとまとめで考えないほうが整理しやすくなります。実際には、承諾の問題と、誰に売るかという問題を分けて考える必要があります。順番としては、契約書の確認、地主への対応、売却先の検討という流れで整理すると進めやすくなります。
地主承諾と代諾許可
借地権のうち、特に賃借権型のケースでは、譲渡や転貸で地主の承諾が問題になることがあります。売却の話が進んでも、地主対応を後回しにすると、最終段階で話が止まりやすくなります。そのため、まず契約書の承諾条項を確認し、承諾が必要になる場面かどうかを見ておくことが欠かせません。
ただし、地主が承諾しないからといって、直ちに売却不能と決まるわけではありません。借地借家法19条では、一定の場合に裁判所が承諾に代わる許可を与える制度が設けられています。つまり、「地主が認めない=絶対に動かせない」という理解は正確ではありません。
(参考: 『平成三年法律第九十号 借地借家法 第十九条』)
もっとも、代諾許可は自動的に認められるものではなく、譲受人の事情や地主にとっての不利益の有無などを踏まえて判断されます。そのため、実際にこの手続きを視野に入れる段階では、借地権の取扱いに慣れた不動産会社や専門家を早めに入れたほうが進めやすいケースが多くなります。
地主への譲渡も選択肢
借地権の売却先は、必ずしも第三者だけではありません。ケースによっては、地主への譲渡が選択肢になることもあります。第三者に売る場合は、価格だけでなく、承諾取得や契約引継ぎの調整が必要になる一方、地主への譲渡では関係者が少ない分、話が進めやすいこともあります。
もちろん、どちらが有利かは一概には言えません。第三者売却のほうが価格面で有利に働くこともあれば、地主への譲渡のほうが手続きの負担や時間を抑えやすいこともあります。借地権の売却では、「いくらで売れるか」だけでなく、「どの方法なら実際にまとまりやすいか」まで含めて考える視点が必要です。
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借地権割合とは
借地権割合とは、土地の価値のうち、借地権にどの程度の価値があるかを示す目安です。国税庁の路線価図では、AからGの記号で表示されており、相続税や贈与税の評価を考えるときの基準として使われます。
(参考: 『路線価図の説明』)
見方としては、自用地としての評価額に借地権割合を掛けることで、借地権の税務上の評価額を計算します。たとえば、路線価図で借地権割合が示されている地域なら、その記号を確認することで、おおまかな評価の考え方を把握できます。
関連記事:借地権割合とは?路線価図の見方や相続税・地代の目安を知る計算方法を解説
ここで注意したいのは、借地権割合はあくまで税務上の目安だという点です。実際の売買価格は、借地権割合だけで決まるわけではありません。残存期間、地代、更新条件、地主との関係、融資の付きやすさなど、売買の現場では別の要素も大きく影響します。借地権割合だけを見て「この価格で売れる」と考えるのは危険です。
それでも借地権割合を知る意味はあります。自分の借地権の価値をざっくり把握したいときや、相続税評価の考え方を理解したいときには、最初の目安として役立つからです。売却価格を決めるための唯一の基準ではないものの、出発点としては十分に有効な数字です。
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底地との関係
借地権を考えるときは、借地権だけを単独で見るのではなく、底地との関係もあわせて理解したほうが整理しやすくなります。底地とは、借地権が付いた土地について、地主側が持っている所有権のことです。つまり、同じ土地の上で、借地人の権利と地主の権利が分かれている状態だと考えると分かりやすくなります。
この関係を理解しておくと、売却の選択肢を考えるときに視野が広がります。借地権だけを売る方法だけでなく、底地との調整や権利整理を含めた進め方があり得るからです。権利が分かれていること自体が、借地権付き不動産の売却や活用を複雑にしている一方で、見方を変えれば、調整の余地があるということでもあります。
もっとも、底地との関係整理は、常に有利に働くとは限りません。一体的に処分したほうが動きやすい場面もあれば、そうでない場面もあります。ここで大事なのは、「借地権だけをどう売るか」だけで判断を固定しないことです。地主との関係、契約条件、買主候補の属性まで含めて見ると、選択肢は1つではないと分かります。
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借地権の相続

借地権は、相続の対象になる財産です。相続が起きたからといって借地権が消えるわけではなく、相続人がその地位を引き継ぎます。ここで大切なのは、「相続できるかどうか」を悩むことより、相続後に何を確認するかを整理することです。
最初に契約書を確認
借地権では、残存期間、地代、更新条件、承諾条項などが後の判断に直結します。相続した時点では建物に住み続けるつもりでも、後に売却や建替えを考える可能性があります。そのときに契約内容が曖昧だと対応が難しくなります。
建物の名義も要チェック
借地契約の名義と、建物登記の名義がずれていると、後の手続きで整理が必要になることがあります。特に相続人が複数いる場合は、誰が借地権を承継し、誰が建物を持つのかが曖昧なままだと、売却や建替えの判断がまとまりにくくなります。
相続後の地代管理も忘れずに
相続後も地代の支払いは続きます。相続そのものと、その後の契約管理は別問題です。相続登記や遺産分割の話だけで終わらせず、地代の支払先、更新時期、地主との連絡状況まで含めて早めに確認しておくと、後で慌てにくくなります。
借地権の相続で重要なのは、「引き継いだ」という事実だけで安心しないことです。契約条件と名義関係を整理してはじめて、その借地を今後どう扱うかを判断できる状態になります。
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借地権で相談が必要になりやすいケース

借地権は、契約内容と権利関係が整理できていれば、自分で状況を把握しやすくなります。反対に、情報が欠けていたり、関係者が多かったりすると、一般的な知識だけでは判断しにくくなります。そうしたときは、早めに不動産会社や専門家に相談したほうが進めやすいケースがあります。
契約書が見当たらない
相談を考えたほうがよいのは、まず契約書が見当たらない場合です。借地権では、契約書がないと残存期間や承諾条件、更新条件が読めません。「何が分からないのかすら分からない」状態になりやすいため、自己判断で進めるほど不安定になります。
地主と連絡が取りづらい
地主と連絡が取りづらい場合も、早めの相談をおすすめします。借地権は、契約内容だけで完結するものではなく、地主とのやり取りが実務上の大きな要素になります。連絡がつかない、話し合いが進まない、関係が悪化しているといった事情があるなら、売却や建替えの段階になってから動くより、前の段階で整理したほうが安全です。
相続人が複数いる・名義がずれている
相続人が複数いる場合や、建物名義と借地契約の名義がずれている場合も要注意です。このようなケースでは、「誰が判断権を持つのか」「誰の同意が必要か」が曖昧になりやすく、話が進まなくなる原因になります。名義や権利関係がそろっていない借地は、それだけで扱いが難しくなります。
売却を急いでいる
借地権は、所有権物件のように単純に売り出せばよいとは限りません。承諾、契約確認、価格査定、売却先の選定など、事前に整える事項が多いため、時間がない状況ほど段取りが重要になります。
相談が必要なのは知識不足より個別事情の複雑さ
以上から、借地権で相談が必要になるのは、「知識がないから」ではなく、「個別事情が複雑だから」です。契約、名義、地主対応、売却スケジュールのどれか1つでも詰まる要素があるなら、借地権の取り扱いに慣れた不動産会社や専門家を早めに入れたほうが、選択肢を狭めずに進めやすくなるでしょう。
不動産ビギナーさん親が借りている土地の家を相続することになったのですが、何か気をつけるべきことはありますか?
山口智暉まずは借地契約書の内容と、建物の名義が誰になっているかを確認してください。地代の支払いも続くため、地主さんへの連絡も早めに済ませておくと安心ですね。
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まとめ

借地権とは、他人の土地を借りて建物を所有するための権利です。ただし、実際に確認すべきなのは定義だけではありません。地上権か賃借権か、旧法か新法か、普通借地権か定期借地権かによって、売却や相続の際に見るべきポイントは変わります。
また、借地権付き不動産は、地主の承諾、契約期間、借地権割合、建物名義、底地との関係など、所有権不動産にはない確認事項が多いのも特徴です。「借地権とは」という意味を知るだけでなく、自分の不動産がどの状態にあるのかまで整理できると、次に取るべき行動が見えやすくなります。
リアルエステートの『おうちの相談室』では、借地権付き不動産について、売却を急ぐべきか、整理してから動くべきかといった判断材料の整理にも対応しています。借地権の扱いで判断に迷う場面があれば、契約内容や権利関係を確認したうえで進め方を考えることが大切です。
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける