借地権で後悔……どうすればよい?トラブル解決の道筋を解説
「こんなはずじゃなかった……」借地権付き物件を購入したものの、地代の増額、契約更新の難しさ、売却時の価格下落など、予想以上のトラブルに直面し、後悔している方もいるのではないでしょうか。特に地主との関係が悪化すると、増改築や建て替えの交渉が難航するケースもあります。
この記事では、借地権トラブルの具体的な解決策や交渉のコツ、売却時の注意点などを詳しく解説します。専門家の活用方法も含め、後悔を減らすための対処法をお伝えします。
Contents
「後悔しかない!」借地権付き物件購入者が直面した現実

借地権付き物件は価格の安さが魅力ですが、購入後に思わぬ問題に直面し、後悔するケースも少なくありません。地代の増額、増改築の制限、売却の難しさ、相続時の手続きの複雑さなど、所有権物件にはないリスクが潜んでいます。
予想を超える地代負担と定期的な値上げ交渉の実態
「毎月の地代が思ったより高い……」「また値上げ交渉?」 。借地権物件を購入して後悔する理由の一つが、予想以上の地代負担です。
契約時の想定より地代が高くなるケースは少なくありません。例えば、更地価格が1億円の土地では、年間地代が150万~300万円(更地価格の1.5~3%相当)となることがあります。また、普通借地権では一定期間ごとに地代の見直しが行われる場合があり、地主が「近隣の地価上昇」や「固定資産税の増額」を理由に増額を求めることもあります。ただし、借地借家法第11条により、地主が一方的に値上げすることはできず、借地人が異議を申し立てることも可能です。
契約更新時には、普通借地権では借地人の請求が認められ、地主は正当な理由がなければ拒否できません(借地借家法第6条)。また、建物の修繕や増改築には地主の承諾が必要となる場合があるため、契約内容の確認が重要です。
地主との関係悪化で発生する増改築・建替えトラブル
借地権物件では、増改築や建て替えの際に地主の承諾が必要となるケースが多く、関係が悪化していると交渉が難航することもあります。例えば、ベランダを拡張しようとした際に「契約違反になる」と地主から反発を受けたケースも報告されています。
多くの借地契約には「増改築禁止特約」が含まれており、裁判所でも一般に有効と判断されることが多いものの、合理的な理由なく承諾を拒否することは認められません。
また、増改築には地主の承諾が必要となり、承諾料を求められることもあります。金額は契約や地域によって異なりますが、建て替えの場合は更地価格の5~10%程度、小規模なリフォームでも費用が発生することがあります。
どうしても承諾が得られない場合、裁判所に「借地非訟」を申し立て、代諾許可を求める方法も検討できます。ただし、これにより地主との関係が悪化する恐れがあるため、まずは専門家の仲介を活用し、円滑な合意形成を目指すことが望ましいでしょう。
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売却時の深刻な価格下落と買い手不足の現実
借地権物件の売却は、多くの購入者が直面する深刻な後悔ポイントの一つです。一般的に、借地権物件は所有権物件と比較して価格下落が著しく、売却時には購入価格の30%以上値下がりするケースもあります。契約期間が短くなるほど、再販価値は顕著に下がります。
特に問題となるのが買い手の少なさです。借地権物件は所有権物件に比べて流通量が限られ、売却には時間がかかる傾向があります。市場や契約条件によっては長期化することもあります。さらに、住宅ローンの審査は所有権物件より厳しくなる傾向があり、金融機関によっては担保評価が低く見積もられることもあります。
売却が難航し、購入時の価格よりも大幅に値下がりした例もあります。将来的に売却を視野に入れる場合、売却時の需要や融資の条件を事前に確認し、リスクを理解した上で購入を検討することが大切です。
相続時に発生する承諾料や名義変更手続きの負担
借地権を相続する際に直面する大きな課題が、複雑な手続きと追加費用です。原則として、借地権の相続は譲渡とは異なり、地主の承諾は不要で承諾料も発生しません。ただし、相続後のトラブルを防ぐためには、地主に相続の事実を伝え、契約上の手続きを確認しておくことが重要です。
法定相続人以外に遺贈する場合、契約内容によっては譲渡とみなされ、地主の承諾が必要になることがあります。その際、承諾料が発生するケースもあり、金額は借地権価格の10%程度が目安とされていますが、具体的な条件は地主との交渉次第です。
相続手続きでは、まず借地権の契約内容を確認し、遺産分割協議を経て建物の名義変更を行います。なお、借地権そのものの名義変更には地主の承諾は不要ですが、契約によっては届け出が必要な場合があります。
また、借地権は相続財産に含まれるため、相続税の課税対象となることがあります。評価額は「自用地評価額×借地権割合」で算出されます。こうした手続きや税務負担を円滑に進めるためにも、早めに専門家に相談することが賢明でしょう。
住宅ローン審査の厳しさと借り換え制限の不便さ
借地権物件の住宅ローン審査は、所有権物件より厳しくなる傾向があります。特に、担保価値が低く評価されるため、一部の金融機関では融資が難しくなることがあります。
借地権物件では、金利が下がっても借り換えの選択肢が限られることがあり、担保評価の低さや地主の承諾取得の必要性から、スムーズに進まないケースもあります。また、金融機関によってはローンを組む際に地主の融資承諾書が求められることがあり、取得に手間がかかることもあります。
建物の建て替えには地主の「建て替え承諾」が必要となり、金融機関によっては「融資承諾」を求められることもあります。また、契約更新や売却時に地主の承諾が必要な場合があり、更新料や名義書換料が発生するケースもあるため、事前に契約内容を確認することが重要です。
借地権物件は価格が所有権物件より低く設定されることが多いものの、こうした手続きの煩雑さや追加費用を考慮し、慎重に検討することが求められます。
借地権トラブルを解決する対処法と交渉術

借地権付き物件では、契約更新や地代交渉、増改築の承諾など、さまざまな問題が発生することがあります。特に地主との関係や契約条件の変化によって、予期しないトラブルに直面することも少なくありません。
こうした問題に対処するには、契約内容の把握や交渉の進め方を理解し、冷静かつ計画的に対応することが重要です。ここでは、地代交渉のコツ、地主との関係構築、代替わりへの備えなど、具体的な解決策を解説します。
地代交渉を有利に進めるためのポイント
地代交渉を円滑に進めるには、賃貸借契約書の確認が不可欠です。特に、地代の値上げに関する記載や条件を把握することで、交渉の準備が整います。契約に明記されていない場合でも、借地借家法に基づいて交渉できるケースがあります。
また、周辺の借地権付き物件の地代相場や土地の価格を調査し、地主の要求が妥当かどうかを判断することが大切です。地代の増額には合理的な根拠が必要なため、地主には値上げの理由や参考データの提示を求めることができます。
交渉の進め方
交渉では、感情的にならず、冷静に話し合うことが重要です。主張を客観的なデータに基づいて説明し、地主との合意点を探りましょう。交渉を有利に進めるために、以下の代替案を提示するのも有効です。
- 値上げ幅の縮小
- 地代値上げの開始時期の延期
- 更新料の免除や減額
また、長期的な居住の意思を示すことで、安定した収益を望む地主との交渉がスムーズになることもあります。
交渉がまとまらない場合の対応
交渉がまとまらない場合、地主が裁判所に地代増額請求を申し立てることがあります。この際、借地人は異議を申し立てることが可能です。
また、地主が地代の受け取りを拒否した場合は、供託を行うことで、支払い義務を果たしつつトラブルを回避できます。
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地主との良好な関係を構築する方法
地主との関係を円滑に保つことは、借地権物件での安定した生活に欠かせません。定期的な挨拶や地域の行事への参加など、日頃のコミュニケーションが信頼関係の構築につながります。関係性によっては、誕生日やお正月に簡単な挨拶状を送るのも一つの方法です。
代替わりによる関係悪化を防ぐには
地主が代替わりすると、それまで認められていたことが制限されるケースがあります。新しい地主が契約内容を厳格に適用し、地代の増額や承諾料の請求、契約更新の条件変更を求めることもあるため、事前の備えが重要です。
特に増改築や使用条件については、口約束ではなく文書で合意を取ることで、後々のトラブルを防げます。関係の調整が難しい場合は、借地権に詳しい不動産会社や専門家に相談し、第三者を介して交渉するのも有効な手段です。
法的トラブルを避けるための専門家の活用
借地権のトラブルは、問題が発生する前に専門家に相談するのが望ましいです。特に以下のようなケースでは、早めの対応が重要になります。
- 地主からの地代値上げ要求が激しい
- 更新拒否や契約条件の変更通知
- 増改築に対する承諾拒否が頑な
- 地主との関係は日々悪化している
- 借地権付き物件の売却を検討しているが、買い手が見つからない
専門家に相談することで、交渉を有利に進める方法や法的手続きを把握できるため、トラブルが深刻化する前に適切な対応ができます。
専門家の選び方
借地権問題は一般的な不動産取引とは異なるため、借地権に特化した実績を持つ弁護士や不動産コンサルタントを選ぶことが重要です。
また、相談前には契約書や過去の交渉記録、支払履歴などの関連書類を整理し、具体的な相談内容をまとめておくと、効率的なアドバイスを受けやすくなります。
借地権の買取業者を活用する選択肢も
借地権付き物件の売却に悩んだ場合、借地権買取サービスの専門業者を利用するのも一つの選択肢です。一般の市場では借地権付き物件は買い手がつきにくく、売却までに時間がかかることが多いため、専門の買取業者を活用することで、スムーズな取引が可能になるでしょう。
実績豊富な買取業者であれば、地主との交渉や権利調整のノウハウを持っており、個人では難しいケースでも対応してくれる期待が持てます。ただし、買取価格は市場価格より低くなることが一般的なため、複数の業者から見積もりを取り、条件を比較することが重要です。また、買取後の手続きや契約内容を十分に確認し、納得のいく形で売却を進めましょう。
借地権トラブルで法的手段を取らざるをえなくなったら
借地権トラブルが深刻化した場合、借地借家法に基づく法的手段に頼ることも選択肢の一つです。「借地非訟手続」と呼ばれる特別な裁判手続きは、地主の承諾が得られない場合に、裁判所が代わりに許可を与える制度です。適用できるのは、借地権譲渡・転貸許可、借地条件変更、増改築許可、建物再築許可などに限られ、すべての借地トラブルに適用できるわけではありません。
この手続きの最大のメリットは、裁判所が公正な立場で判断を下すことで、地主との対立が長期化した場合でも、解決に向けた方向性が示されることです。
実際の手続きでは、弁護士費用、申立手数料が発生し、場合によっては地主への承諾料が求められることもあります。承諾料の相場は案件によって異なりますが、一般的な目安として、借地条件変更では更地価格の10%程度、建て替えでは3~5%程度とされることが多いです。
法的手段は最終手段ですが、適切に活用することで、借地権トラブルの解決につながる場合があります。実務では、訴訟の途中で和解に至るケースも多く、一定の条件の下で合意に至ることがあります。トラブルを抱えている場合は、早めに専門家に相談し、最適な方法を検討することが重要です。
まとめ:借地権トラブルを解消する着実な道筋

地代の値上げ交渉、地主との関係悪化、増改築の制限など、借地権に関する悩みは尽きません。法的手段で解決する方法もありますが、できる限り穏便に、損を最小限に抑えて解決したいと考える方が多いのではないでしょうか。
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