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2025/07/14国有地上の借地権は売却可能!売却方法や相続するメリット・デメリットも解説
- 底地・借地
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける

相続した借地権付き建物が建つ土地の所有者が国というケースは珍しくありません。借地権付き建物を自分で利用する予定がないため、手放したいと考えているものの、売却できるか不安に感じる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、国有地上の借地権付き建物を相続するメリット・デメリット、売却する方法について解説します。売却以外の手放す方法も紹介するため、参考にしてください。
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Contents
国有地上の借地権とは?

国有地上の借地権とは、国が所有する土地を借りて自分の建物を建てる権利です。国有地とは国(財務省など)が所有する土地を指し、主に国会議事堂や法務局のような政府機関の庁舎、国営公園といった公共施設用地として利用されています。
公共の用途に適さない国有地は、財政収入の一環として売却や貸し付けがなされることもあります。例えば、未利用国有地に定期借地権を設定し、特別養護老人ホームを経営する民間事業者に貸し出して有効活用を図る事例が見られます。なお、定期借地権とは契約期間が定められた借地契約です。
関連記事:自分の土地に国有地が?払い下げの手順と費用を徹底解説
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国有地上の借地権を取得するケース

借地権は、主に個人の地主が所有する土地に設定され、個人や法人に貸し出されるケースがほとんどです。しかし、まれに個人や法人が国有地に設定された借地権を取得することもあります。ここでは、代表的な3つの取得ケースを見てみましょう。
国有地を事業用地として借りる
国は財政上の理由で未利用国有地を民間に貸し出す方針を取っています。個人や法人が事業用の建物を建てる目的で国有地を借りるときは借地権が設定され、地代を支払うことで一定期間その土地を使えます。
国に自分の土地を提供する
道路や堤防の整備といった公共事業のために、土地の収用が行われることがあります。このとき、国に自分の土地を買い取ってもらう代わりに、国有地上の借地権を代替地として提供されるケースは珍しくありません。
また、土地を借りている地主が相続税を納められずに物納を選択した場合、国が新たな地主となって従前の借地契約が引き継がれることもあります。
親族から国有地上の借地権を相続する
借地権と借地権付き建物は、相続財産に含まれます。そのため、国有地を借りて家を建てていた親や親族が亡くなったら、相続人が国有地上の借地権を受け継ぎます。この場合、借地契約の条件は従来通り適用されるため、急な地代の値上げの心配はありません。
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国有地上の借地権付き建物を相続するメリット

国有地上の借地権付き建物を相続することに不安を感じる方もいるかもしれませんが、多くのメリットが存在します。ここで紹介する4つのメリットに魅力を感じるなら、相続を前向きに検討してもよいでしょう。
更新料の支払いが不要
国有地を借りる場合、契約更新時の更新料の支払いが不要であることが多い点がメリットとして挙げられます。
通常の借地契約では、契約更新にあたって地主に更新料を支払わなければなりません。更新料の相場は、更地価格の3%~5%ほどが目安といわれています。例えば、土地の評価額が2,000万円の場合、60万円~150万円ほど支払わないと契約更新できません。
一方、国有地は契約更新料がかからないケースが多く、経済的な負担が軽くなります。ただし、定期借地権の場合、契約期間終了後に土地を更地にして返却する必要があります。国有地上の借地権付き建物を相続した際は契約内容をしっかり確認することが大切です。
関連記事:借地権の更新料はいくら?支払い時期・相場・計算方法などを解説
名義変更料がかからない
国有地上の借地権を相続する場合、借地権の名義変更に伴う登録免許税が不要な点もメリットのひとつです。
借地権を含む不動産を相続した場合、不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記を行う必要があります。相続登記では、借地権の名義変更で「固定資産税評価額×0.2%」、借地上の建物の名義変更で「固定資産税評価額の0.4%」の登録免許税を納めなければなりません。
ただし、国有地の場合、借地権に関する相続登記は不要です。建物の名義変更についてのみ登録免許税を納めれば済むため、税負担を軽減できます。
関連記事:相続登記が義務化!土地の相続手順と相続税の計算方法
第三者が底地の所有者にならない
借地権を設定している国有地は、個人や民間企業に勝手に売却されることがありません。国が底地の購入を持ちかけるのは原則借地人のみで、「気づいたら第三者が新たな地主となっていた」という事態に陥らずに済む点がメリットです。
知らない間に地主が第三者に変わっていた場合、新たな地主から立ち退きや地代の値上げを要求される恐れがあります。しかし、国が地主の国有地では、そのような心配は不要です。
建物の活用がしやすい
国有地上の借地権を相続した場合、建物の活用も比較的スムーズです。通常は地主の許可がない限り、建て替えやリフォーム、売却はできません。地主の承諾を得られない場合、裁判所に申し立てることで建て替えや売却ができますが、相当の時間と費用がかかります。
地主が国の場合は規定に従って手続きを進め、設定された承諾料を支払うと、建物の建て替えや売却の許可を容易にもらえます。借地上の建物の活用にあたって地主と揉める心配がない点は大きなメリットでしょう。
関連記事:借地における譲渡承諾権とは?譲渡承諾料の種類をご紹介!
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国有地上の借地権付き建物を相続するデメリット

国有地上の借地権付き建物の相続には多くのメリットがある一方、さまざまなデメリットが潜んでいるのも事実です。国有地上の借地権付き建物を相続するか迷ったときは、メリットとデメリットを比較した上で検討しましょう。ここでは、代表的な2つのデメリットを紹介します。
借地権付き建物を国に買い取ってもらえない
相続した借地権付き建物を活用する予定がない場合、売却するのも選択肢のひとつです。ただし、国は国有地上の借地権付き建物の買い戻しには対応していない点に注意が必要です。
一般の個人が地主の場合、買い取ってくれる可能性があります。借地権付き建物を買い取ると、不動産全体の所有権を取り戻せて活用の幅をより広げられるためです。
国は活用できていない国有地を売却、あるいは賃貸して収益を上げたいと考えているため、借地権付き建物の買い戻しを要求しても応じてはもらえません。手放したいなら、第三者への売却を検討するとよいでしょう。
住宅ローン利用の承諾をもらえない
国に規定の承諾料を支払うと、国有地上の借地権付き建物を建て替えられますが、建て替えに際して住宅ローンを組めない点がデメリットです。
借地人が住宅ローンを組んで借地上に家を建てるときは、地主の承諾が必要です。しかし、国は抵当権設定承諾(ローン承諾)を認めていません。そのため、建て替えに際しては費用を現金で用意する必要があります。
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国有地上の借地権付き建物を売却する方法

国有地上の借地権付き建物を国は買い取ってくれませんが、他の手段で売却は可能です。ここでは、3つの売却方法について解説します。それぞれの概要を理解した上で、自分に適した方法を選択しましょう。
国から底地を買い取ってから不動産全体を売却する
国は財政収入を確保すべく必要性の低い国有地の売却を推進しており、年に一度ほど借地人に底地の購入を促す案内が郵送されます。国有地上の借地権付き建物を手放したいなら、国から底地を買い取った上で不動産全体を売却するのがひとつの方法です。
国から底地を購入して不動産全体の所有権を取得してから売り出せば、一般の不動産同様に相場に近い価格で売却できる可能性が高まります。条件によっては、早期売却も可能です。
ただし、国から底地を買い取るには何千万円もの現金を用意する必要があり、あまり現実的な方法とはいえません。
国有地と借地権付き建物を同時売却する
底地の購入費用を負担したくないなら、国有地と借地権付き建物を同時売却する方法がおすすめです。同時売却とは国有地と借地権付き建物のセット販売で、買い手は一般の不動産同様に全体の所有権を取得できるため、借地権付き建物単体で売り出すより売却しやすいメリットがあります。
国も不要な国有地を売却したいと考えているため、ホームページ上で買い手を募集するなど、積極的に同時売却を推進しています。底地の購入を促す案内に「同時売却」を勧める文言が記載されていたら、前向きに検討するとよいでしょう。
国有地と借地権付き建物を同時売却する流れは以下の通りです。
- 買い手と借地権付き建物の売買契約を締結する
- 底地の買受申請を国へ提出する
- 国から買受条件の通知を受領する
- 借地人が国有財産買受承認通知を国に提出する
- 底地と借地権の決済を同時に行う
国有地と借地権付き建物の同時売却の手続きは複雑なため、専門の不動産会社のサポートを受けることをおすすめします。
関連記事:底地と借地は同時売却可能?!同時売却する際の注意点もご紹介
借地権付き建物を第三者に売却する
国の許可があれば、国有地上の借地権付き建物を第三者に売却が可能です。まずは国に売却の許可を得る必要がありますが、国は規定の承諾料さえ支払えば必ず承諾するため、手続きは複雑ではありません。
ただし、国はローンの利用を認めていないため、買い手は現金一括で購入できる経済力を持った方に限定されます。したがって、借地権付き建物を売却できるまでに相当の時間がかかることは覚悟しなければなりません。
国有地上の借地権付き建物をできる限り早く手放したいなら、不動産会社に買い取ってもらうのがひとつの選択肢です。借地権の買取実績が豊富な専門の不動産会社に依頼すると、スムーズな売却を実現できます。
関連記事:借地権売却の方法と注意点を徹底解説!地主への交渉術も紹介
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相続した国有地上の借地権付き建物が不要な場合の対処法

国有地上の借地権付き建物を相続する予定がある、もしくは相続したものの、自分では使う予定がない方は売却以外の方法でも対処可能です。ここでは、相続した国有地上の借地権付き建物が不要なときに選択できる2つの対処法を紹介します。ただし、どちらにもデメリットがあるため、慎重に検討することをおすすめします。
国に借地権を返還する
相続した国有地上の借地権付き建物が不要なときは借地契約を解除し、借地権を国に返還することが可能です。ただし、借地契約を解除するには、契約期間満了日または解約日の3か月以上前に国に通知する必要があります。
また、借地契約の解除にあたり、借地人が原状回復義務を負う点にも注意しましょう。借地権における原状回復義務とは、土地を借りたときの状態に戻した上で地主に返還する行為を指します。借地権を設定している国有地上に家が建っている場合、多額の解体費用をかけて更地にしなければなりません。
解体費用を負担したくないなら、まずはそのままの状態で専門の不動産会社への売却を検討することをおすすめします。
関連記事:借地は更地にして返す必要がある?そのままの状態で返す方法も解説!
相続放棄を選択する
国有地上の借地権付き建物を相続放棄する選択肢もあります。相続放棄とは、被相続人の財産を受け継ぐ権利を全て放棄することです。相続放棄が認められれば、初めから相続人ではなかったと見なされるため、国有地上の借地権付き建物を相続せずに済みます。
ただし、相続放棄を選択するには相続発生から3か月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。預貯金といったプラスの財産も相続できないため、相続放棄を選択するかどうかは相続財産を全て洗い出した上で慎重に検討するのがおすすめです。
関連記事:借地権の相続|売却する方法や費用、相続放棄についても解説
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まとめ

国有地を借りて家を建てていた方が亡くなったら、相続人が国有地上の借地権を相続します。国有地上の借地権の相続には「更新料の支払いが不要」「建物の活用がしやすい」といったメリットがあります。
一方、「家の建て替え時に住宅ローンを利用できない」「国に借地権付き建物を買い取ってもらえない」というデメリットもあるため、相続するかどうかは慎重に検討しましょう。
相続した国有地上の借地権付き建物が不要な場合、専門の不動産会社に売却するのもひとつの方法です。リアルエステートは借地権に精通した不動産会社で、不動産や法律のエキスパートが借地権に関する悩みを解決する「おうちの相談室」を運営しています。相続した国有地上の借地権付き建物の扱いでお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。
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