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最終更新⽇時

2025/10/01

借地は更地にして返す必要がある?解体せずに返す方法も解説!

  • 底地・借地
記事執筆・監修
エキスパート職 山口智暉
  • -資格-

    宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士

  • -経歴-

    株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
    東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
    株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
    リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける

借地を地主へ返したいと考えたときに、建物を取り壊して更地にする必要があるのかとお悩みの方もいるのではないでしょうか。

原則として、借地を返すときには更地にする必要があります。ただし、建物を解体しなくても手放せる方法はあるので、ご安心ください。

そこで今回は、借地を返すときに更地にする義務や更地にせずに手放す方法、借地を返すときの流れについて解説します。借地を返したい、解体費用を負担せずに手放したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

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借地権の基礎知識

書類を指さしているビジネスパーソン

借地を更地にして返す必要があるかどうかは、地主と賃貸借契約を交わしている借地権の種類によって異なります。借地権の返還を考えているときには、いま一度契約書の内容を確認することが大切です。

ここでは、借地権を返すときに確認しておきたい借地権の種類について解説します。

旧法借地権

旧法借地権とは、旧借地法に基づく借地権のことです。旧借地法は1992年8月1日に現在の借地借家法の施行に伴って廃止されましたが、それ以前に地主と賃貸借契約を交わして土地を借りているときには、旧借地法のルールが適用されます。

旧法借地権の特徴のひとつは、契約期間が満了しても、原則借地人が望む限り契約を更新できる点です。また、契約期間の満了時に借地権の更新をしないときには、地主へ借地上の建物の買取を請求できる「建物買取請求権」を行使できます。これにより、更地にしないでも借地を地主へ返せる可能性があります。

なお、建物買取請求権について詳しくは、後述の「借地上の建物を更地にせずに手放す方法」の章で解説します。

普通借地権

普通借地権は、現在の借地借家法に基づく借地権のことです。

普通借地権も、借地人が望む限り契約の更新が可能な点が特徴です。また、旧法借地権同様、借地権の契約期間が満了して更新しないときには、地主へ借地上の建物の買取を請求できる「建物買取請求権」の行使が可能です。したがって、普通借地権で地主から土地を借りている場合も、更地にしないで返せる可能性があります。

定期借地権

定期借地権も、現在の借地借家法に基づく借地権を指します。

ただし普通借地権とは異なり、契約更新はできません。契約期間が終わったら借地上の建物を取り壊し、更地にしたうえで地主へ返す必要があります。その際にかかる建物の解体費用を負担するのは、地主から土地を借りている借地人自身です。建物の解体には100万円以上の費用がかかるケースが少なくないため、注意が必要です。

関連記事 : 定期借地権と普通借地権は何が違う?それぞれの契約内容やメリット・デメリットを徹底解説!

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原則借地上の建物は更地にして返す必要がある

建物が建っていない土地

冒頭でも簡単に述べましたが、借地を地主へ返す際には、原則更地にする必要があります。

ここでは、借地を返すときに更地にしなければならない理由、建物の解体にかかる費用相場について解説します。

民法で定められている原状回復義務

借地を返す際に更地にする必要があるのは、借地人に原状回復義務が課されているためです。
原状回復義務とは、賃貸借契約の終了時に土地を借りた当初の状態に戻す義務を指します。つまり、地主から借りている土地に建物を建てて暮らしているときには、その建物を解体し更地にしたうえで返す必要があるのです。

ただし、借地権の種類や契約内容によっては、建物を残したまま返還できる場合もあります。たとえば、借地権の契約が旧法借地権や普通借地権で、契約期間の満了に伴い建物買取請求権を行使できる場合には、更地にしないで返せる可能性があります。

参考:『民法第599条第1項|e-Gov法令検索』

借地上の建物の解体にかかる費用相場

原状回復義務に基づいて借地上の建物を解体するときには、借地人がその費用を負担します。

解体費用は建物の構造や規模によって大きく異なりますが、おおまかな相場は以下のとおりです。

構造 1坪あたりの費用相場
木造 3万円~5万円
鉄骨造 4万円~6万円
鉄筋コンクリート造 5万円~8万円

たとえば、木造2階建て、延べ床面積が40坪の建物を解体するにあたって、約120万円~200万円の費用を支払わなければならないということです。

なお、解体費用は地域や敷地条件、周辺環境などによっても変動します。

関連記事 : 家屋解体の手続きと費用徹底ガイド|事前準備から完了まで

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借地上の建物を更地にせずに手放す方法

営業担当者と打ち合わせをする老夫婦

前述のように、借地の返還時に建物を解体するときには100万円以上の費用を支払う必要があります。借地上の建物の解体にかかる費用が経済的に負担に感じるのなら、現状のまま手放す方法を検討しましょう。

ここでは、借地をそのままの状態で手放す方法を解説します。

地主に建物買取請求権を行使する

借地権の契約期間の終了に伴って借地を地主へ返すときには、建物買取請求権の行使を検討するのはひとつの手です。

建物買取請求権とは、その名のとおり、借地を返すときに借地上の建物を地主に買い取ってもらう権利です。地主に建物を買い取ってもらえれば、借地人が解体費用を負担する必要はありません。そればかりか、建物の売却代金を得られる点もメリットです。

ただし、建物買取請求権を行使するには以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 借地上に建物が存在していること
  • 借地契約が期間満了によって終了しようとしていること
  • 借地人が契約の更新を希望しないか、または地主が更新を拒絶していること
  • 地主が更新拒絶をする場合には、正当事由が必要とされること

建物買取請求権は、借地契約が終了する際に、建物が現存している場合に行使できるものです。地主側に更新を拒む「正当事由」がある場合や、借地人が更新を希望しない場合に適用されます。そのため、通常の合意解約や借地人都合による中途解約では、建物買取請求権は行使できない可能性が高い点に注意が必要です。

参考:『借地借家法第13条第1項|e-Gov法令検索』

関連記事 : 借地権の買取請求権とは?借地上の建物を買い取ってもらえる?!

地主に借地権を買い取ってもらう

借地上の建物の解体費用を負担したくないのなら、地主に借地権を建物ごと買い取ってもらうのも選択肢のひとつです。地主に借地権を買い取ってもらえば、借地上の建物を解体せずに手放せます。

借地権が設定されている土地に対して、地主は自由に建物を建てるなどの活用ができません。そのため、地主側に「子どもの家を建てたい」といった具体的な活用希望がある場合には、借地権の買取に応じてもらえる可能性があります。

ただし、借地権を地主へ買い取ってもらうには交渉が必要です。買取価格などを巡ってトラブルが起こることも考えられるため、借地権を地主へ買い取ってほしいと考えているのなら、借地権に詳しい不動産会社を間に挟んで交渉を進めることをおすすめします。

また、そもそも地主側に借地権を買い取る意思がなければ取引は成立しない点も留意しておく必要があります。

第三者に借地権を売却する

借地権を地主に買い取ってもらうことが難しいのなら、第三者への売却を検討しましょう。

地主から借りた土地に建物を建てられる権利である借地権は、通常の不動産同様に第三者へ売却することが可能です。借地上の建物には「土地代がかからない」「土地の固定資産税や都市計画税の負担がない」などのメリットがあるため、初期費用やランニングコストを抑えたい方に訴求すると売却できる可能性があります。

ただし、借地権は地主の承諾がなければ売却できません。そのため、地主との交渉をスムーズに進めたいのなら、借地権に詳しい不動産会社のサポートを受けることをおすすめします。

なお、借地権を第三者へ売却するときには、借地権価格の10%ほどの譲渡承諾料を地主へ支払う必要がある点も押さえておきましょう。

地主と協力して底地と借地権を同時に売却する

地主側も借地人に貸している土地(底地)を手放したいと考えているときには、借地権とセットで売却するのはひとつの手です。

底地のみ、また借地権のみを第三者が購入しても、その土地全体を自由に使えるようにはなりません。したがって底地や借地権を売却したいと考えても、なかなか買主が見つからないのが実情です。

しかし底地と借地権をセットで販売すると、購入した買主は通常の不動産同様に土地を自由に活用できるようになります。そのため、底地と借地権をそれぞれ単体で販売するよりも早期売却が期待できます。

ただし、地主側に底地を売却する意思がなければ同時売却はできない点に注意が必要です。

関連記事 : 借地権売却の方法と注意点を徹底解説!地主への交渉術も紹介

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借地を更地にして返す4つの流れ

STEP1~STEP4までのプロセスを示す図

ここからは、地主へ借地を返すときの流れについて解説します。借地権の契約内容によっては、更地にして返さなくてもよいケースがあります。また地主に建物を買い取ってもらえたり、解体費用を負担してもらえたりする可能性もあるため、交渉は慎重に進めることがポイントです。

1.賃貸借契約書の内容を確認する

借地権を地主へ返すことを決めたら、まずは賃貸借契約書の内容をいま一度確認するようにしましょう。賃貸借契約書には、契約の種類や返還時の建物の処分方法、費用の負担者など細かい要件が記載されています。

特に注意したいのが契約の種類です。実務上、借地権は原則として途中解約ができない扱いとなっています。借地権の種類によって契約期間は異なるため、自分がどの種類で契約を交わしているのか、残存期間はどのくらいなのかを確認することが大切です。

ただし、契約書の特約で途中解約ができる旨が定められているときにはその限りではありません。契約期間がまだ残っている状態で借地を地主へ返還したい場合は、契約書に途中解約の条項が記載されているかどうかも確認しましょう。

なお、借地人と地主両者の合意があれば、契約期間中でも途中解約は可能です。そのため、契約書に途中解約の条項がなくても、地主との交渉しだいでは借地を返還できます。

2.地主と交渉する

賃貸借契約書の内容を確認したら、次に地主へ借地権を返したい旨を伝えます。そして「建物の買取に応じてもらえないか」「更地にするときには解体費用を負担してもらえないか」など借地権を返還する条件について地主と交渉しましょう。また、建物を解体し更地にして返す必要がある場合は、いつまでに解体を行うのか具体的な日程も決めます。

なお、地主に建物の買取に応じてもらえないときには、借地権に詳しい不動産会社に直接買い取ってもらったり、不動産会社のサポートを受けて第三者へ売却したりする方法を模索するのはひとつの手です。

3.解体業者に依頼して建物を解体する

借地上の建物を更地にして地主へ返すことが決まったら、解体業者に依頼して建物を解体します。解体費用は解体業者によって異なるため、少しでも費用を抑えたいのなら、複数の業者に見積もりを依頼して比較することが大切です。

また、解体費用の支払いが難しいときには、費用の一部を地主に負担してもらえないか交渉したり、建物ごと借地権を売却する方法を検討したりするとよいでしょう。

関連記事 : 家を安く取り壊す方法とは?費用相場と実践的なコツ

4.建物滅失登記を行って借地を返還する

建物の解体が終わったら、建物滅失登記を行う必要があります。建物滅失登記とは、建物がなくなったことを法的に記録する手続きです。

不動産登記法第57条により、登記名義人は、建物が滅失した日から1ヵ月以内に建物滅失登記を行わなければならないと定められています。違反すると10万円以下の過料に処される恐れがあるため、建物を解体したときには速やかに住所地を管轄する法務局で建物滅失登記の手続きを行いましょう。

なお、建物滅失登記は自分で行うことも可能ですが、確実に手続きを済ませるためにも司法書士に依頼することをおすすめします。

無事に建物を解体し終えたら、地主へ借地を返還して終了です。

参考:『不動産登記法第57条|e-Gov法令検索』

参考:『不動産登記法第164条|e-Gov法令検索』

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まとめ

笑顔の夫婦と子ども

借地権を地主へ返還するときには、原則借地上の建物を解体し更地にする必要があります。ただし建物買取請求権を行使したり、地主や第三者に売却したりと更地にせずに手放せる方法もあるため、建物の解体費用を負担したくないときには検討の余地があるでしょう。

リアルエステートでは、借地権など権利関係が複雑な不動産のお悩みを解決する「おうちの相談室」を運営しています。借地権のプロフェッショナルがあなたのお悩みを解消するサポートをいたしますので、借地権に関して疑問や不安を抱えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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