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2025/12/16借地権の更新料は支払うべき?相場・拒否・売却の選択肢まで徹底解説
- 不動産の知識
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建物を建てるために土地を借りる借地権は、契約期間が長く、契約更新時に「更新料」の支払いが求められることも少なくありません。しかし、支払う時期や金額、そもそも支払い義務があるのかなど、疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、借地権の更新に関する基本知識から、更新料の目安を知る方法、会計上の取り扱いまで詳しく解説します。
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- 更新料は法的な義務はないが、契約書や慣習に基づき支払うのが一般的である
- 相場は借地権価格の5%程度で、路線価から算出可能である
- 未払いは契約トラブルを招くため、困難な場合は分割相談や売却を検討すべきだ
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
Contents
借地権における更新料とは

建物の賃貸借などでは当然のように支払っている人も多い「更新料」ですが、そもそも更新料とは何のために存在するのでしょうか。特に契約期間が長い借地権においては、更新料が地主にとって重要な役割を果たす場合があります。
まずは、更新料の持つ意味合いと必要性、そして支払いが必要となるケースについて順に確認していきましょう。
借地権に更新料が設定される理由
借地契約における更新料は、主に「賃料の補填」という性格を持つものです。
借地権の契約期間は一般に数十年単位の長期に及びます。その間に地価や土地の利用価値が上昇しても、地代が必ずしもそれに見合う形で改定されるとは限りません。このため、更新時に支払われる更新料には、「契約期間中に生じた地価上昇分に対する地代や権利金の調整」という意味が含まれています。
また、更新手続に関わる手数料としての性質を持つともいわれています。
借地権の更新料は支払わないといけない?
土地に限らず、不動産の賃貸借契約では一般的に「支払うもの」とされる更新料ですが、借地権において更新料の支払いを義務付ける法的な規定はありません。過去の裁判でも、「賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商慣習又は事実たる慣習は存在しない」と判断されています。
(参考: 『裁判所 裁判例結果詳細 昭和51(オ)657』)
従って、「必ず更新料を支払わなければならない」というわけではありません。ただし、一般的な借地権(賃借権)では、建物の建て替えなどさまざまな場面で地主の承諾が必要になる点は理解しておく必要があります。
そのため、更新料には地主との関係を良好に保ち、リスクを軽減する意味合いも含まれており、支払われるケースが一般的です。
不動産ビギナーさん更新料の支払いは、法律で義務付けられているわけではないのですね。
山口智暉契約書に規定がない場合は法的な義務はありません。しかし、地主との関係維持や将来の承諾の円滑化のために支払われるのが一般的です。
更新料を支払う必要がある3つのケース
借地権の更新料は必ず支払うものではありませんが、なかには支払う必要があるケースもあります。特に、下記のようなケースの場合は支払いが発生する可能性が高くなります。
- 契約書に更新料の支払いが明記されている
- 両者に支払いの合意がある
- 過去に更新料の支払いがある
一つ目は「契約書で更新料の支払いを取り決めている場合」です。この場合は、地主・借地人両者が更新料の支払いに合意した上で契約を結んでいるため、更新料の支払いは義務(債務)になります。従って、支払う必要があります。
二つ目も基本的な考え方は同じです。契約書で取り決めていない場合でも、更新にあたり口頭などで更新料の支払いに同意した場合には、更新料の支払いが必要になります。
三つ目は、過去の更新で更新料を支払っている場合です。明確な合意がないため、厳密には「支払い義務がある」とはいえません。しかし、「更新に際して更新料を支払う」という暗黙の合意があるとみなされやすく、借地人が更新料の存在を予測できるため、支払う必要があるといわれています。
借地権の更新料を支払わないとどうなる?
契約書に更新料の支払いが明記されている場合や過去に支払いの慣習がある場合、更新料は借地権者の債務と見なされます。そのため、支払わないと債務不履行に該当し、借地契約の解除事由となる可能性があります。
また、更新料の未払いは地主との関係悪化を招き、将来的な建物の増改築や売却時に必要な承諾が得られにくくなる可能性があります。
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借地権の更新料の相場

更新料を支払う必要がある場合、次に気になるのが「金額の相場はいくらくらいなのか」でしょう。建物の賃貸なら「賃料の1か月分」など明確に決まっていますが、借地権の場合は地代ではなく土地の評価額が基準となるため、金額だけを見ても適正なのかが分かりにくくなっています。
そこで次に、借地権の更新料の目安を知るための計算方法について解説します。
更新料の算出基準
借地権の更新料の相場は、契約によって異なりますが借地権価格の5%程度が目安といわれています。
そして借地権価格の目安を知るために必要な数字が、「路線価」「地積(土地の面積)」「借地権割合」です。
「路線価」とは国税庁が定める土地の評価額で、道路に面した土地の1平方メートルあたりの価格を示します。「借地権割合」は土地の権利のうち借地権が占める割合を示し、地域によって異なりますが一般的に都市部では60~80%、郊外では30~60%程度です。
どちらも国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」のページから調べられます。
(参考: 『国税庁 財産評価基準書 路線価図・評価倍率表』)
更新料の大まかな相場は以下の式で計算可能です。
更新料の相場=路線価×地積(土地の面積)×借地権割合×5%程度
不動産ビギナーさん更新料の相場は、路線価図で調べられる価格を基準に計算するのですね。
山口智暉路線価と借地権割合で借地権の価値を推定し、その5%程度が目安となります。相場より高額な請求は交渉の余地があります。
借地権の更新料相場の具体例(東京23区)
次に、実際に路線価図を使って具体的に計算を行ってみましょう。サンプルとして、「東京都世田谷区にある200平方メートルの土地」で計算します。
路線価図によると、東京都世田谷区(太子堂1丁目)の路線価は「1280C」、つまり「1平方メートルあたり128万円(=1,280千円)、借地権割合70%(C)」です。土地の面積が200平方メートルだとすると、土地の評価額は25,600万円ということが分かります。
(※実際には土地の形状や間口などによって補正率がかかりますが、ここでは計算を簡略化するために省略します)
路線価、地積、借地権割合が分かったので、前述の式にあてはめます。
更新料の目安(世田谷区の例)
128(万円)×200(平方メートル)×0.7(借地権割合)×5%=896万円
従って、このケースの場合約900万円が更新料の目安となります。ただし実際の金額は契約ごとに異なるため、あくまで参考値として捉えておきましょう。
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借地権の更新料支払いまでの期間は何年?

建物と違い借地権の契約期間は長いため、前回の更新から時間が経っていたり、相続などで初めて更新を迎えたりで更新時期がよく分からなくなることもあるでしょう。借地の更新タイミングは、借地契約の締結時期や更新回数により異なります。
更新料を払うタイミングを知るために、まずは借地権の存続期間について知っておきましょう。
旧法借地権の契約年数
1992年(平成4年)7月31日以前に締結された借地契約は、現在の借地借家法ではなく古い法律である「借地法」が適用されるため「旧法借地権」と呼ばれます。
旧法借地権では、建物の構造によって以下のように契約年数(存続期間)が異なります。
| 建物の種類 | 契約で期間の定めがある場合 | 期間の定めがない場合 存続期間が法で定められた年数より短い場合 |
初回更新後 |
| 堅固建物 (鉄骨造・鉄筋コンクリート造など) |
30年以上 | 60年 | 30年以上 (※定めがない場合は30年) |
| 非堅固建物 (木造など) |
20年以上 | 30年 | 20年以上 (※定めがない場合は20年) |
また、借地権が旧法借地権にあたるかどうかは、契約を「締結した時期」によって決まります。更新しても旧法借地権のまま更新され、自動的に現行の借地権にはならない点に注意しておきましょう。
新法借地権の契約年数
1992年(平成4年)8月1日以降に締結された借地契約は、現在の法律である借地借家法が適用されるため「新法借地権」などと呼ばれています。
新法借地権では、更新のある普通借地権のほかに、更新のない定期借地権があります。定期借地権の場合、そもそも更新ができないため更新料は発生しません。
普通借地権は、旧法借地権と異なり、建物の構造にかかわらず契約年数(存続期間)が同一であり、さらに更新の回数によって年数が変わります。
| 建物の種類 | 契約で期間の定めがある場合 | 期間の定めがない場合 存続期間が法で定められた年数より短い場合 |
初回更新 | 2回目以降更新 |
| 普通借地権 | 30年以上 | 30年 | 20年以上 (※定めがない場合は20年) |
10年以上 (※定めがない場合は10年) |
| 一般定期借地権 | 50年以上 | – | – | – |
| 建物譲渡特約付借地権 | 30年以上 | – | – | – |
| 事業用定期借地権 | 10年以上50年未満 | – | – | – |
なお、旧法・新法(普通借地権)のいずれの場合でも、地主と借地権者の合意があれば、更新後の期間を法定の期間より長く設定することも可能です。
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更新料を支払うタイミング
更新料は「更新を継続させるための対価」として支払うものであり、通常は契約が途切れないように契約期間が終了する前に、更新手続きと合わせて支払います。
建物賃貸借と同様に、更新料は更新月の地代とまとめて一括で支払うのが一般的です。ただし借地権の更新料は建物に比べて高額になりやすく、金額次第では分割払いが選ばれることもあります。また、支払いの時期や方法は地主との合意によって決まり、契約書に更新料の支払い時期や方法が記載されている場合はその内容に従います。
もっとも、更新料は法律で支払いが義務付けられているものではないため、指定された支払い方法が難しい場合には、期限の延長や分割支払いなどについて地主に相談するとよいでしょう。
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借地権の更新料の税務・会計処理

地主や借地権者のなかには、事業として借地権を活用している方もいるでしょう。借地権に関する費用も、事業で使用している分ならば費用に計上できるものもありますが、更新料はどうなのでしょうか。また、更新料の仕訳も分かりにくいポイントです。
ここでは、更新料に関係する会計処理や税務上の取り扱いについても簡単に解説します。
借地権の更新料と税務上の取り扱い
国税庁の規定によれば、借地権に関連して授受される更新料や名義書換料は、土地の貸し付けまたは土地の上に存する権利の設定の対価として非課税とされています。
これは、土地の譲渡や貸し付けが消費税の課税対象とならないという原則に基づいています。土地は消費されるものではなく、永続的に存在する資産であるためです。
借地権の更新料は経費計上できる?
借地権は建物と異なり、時間の経過による価値の減少がないため、減価償却の対象とはなりません。しかし、契約を継続するために支払う更新料については、以下の計算式で必要経費として一部計上可能です。
必要経費として計上可能な額=(更新直前の借地権取得価額 × 更新料)÷ 更新時における借地権の時価
例えば、上記の式によって100万円の更新料を支払い、そのうち30万円が必要経費として認められた場合、残りの70万円は借地権の取得価額に加算されます。この70万円は即時に経費とはなりませんが、将来、借地権を譲渡する際の取得費として控除されることになります。
会計処理の仕訳例は以下の通りです。
(借方)借地権 100万円 / (貸方)普通預金 100万円
(借方)借地権償却費 30万円 / (貸方)借地権 30万円
受け取った更新料の所得税はどうなる?
では、更新料を受け取る側の会計処理はどうなるでしょうか。
個人の地主が借地権の更新料を受け取った場合、原則として契約の効力発生日の収入(不動産所得)として所得税の累進課税が適用されます。ただし、更新料が土地の一部譲渡とみなされる性質を持つ場合は、譲渡所得として課税される可能性があります。
また、長期の賃貸借契約において、一度に受け取る更新料が高額である場合には、税務上の取り扱いとして分割計上が認められることがあります。
法人が更新料を受け取った場合には、益金として事業年度の雑収入などの科目で計上され、法人税の課税対象となります。
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借地権の更新料、こんなときどうする?

借地権の更新料は支払いが義務なわけでもなく、建物の賃貸借のように基準が明確でもないため、トラブルが起こりやすい要素の一つです。
そこで最後に、借地権の更新料について起こる可能性があるトラブルについても知っておきましょう。
更新料を大幅に値上げされた
請求された金額が市場相場と比べて不当に高いと感じた場合は、交渉の余地があります。地主との関係維持も大切ですが、適正な更新料を確認せずに一方的に受け入れる必要はありません。
交渉が難航する場合や感情的な対立が生じる場合には、不動産鑑定士や弁護士などの専門家に相談し、適正な金額を算定してもらうことを検討しましょう。
更新料を受け取ってくれず更新できない
地主が更新料の受け取りを拒否して契約の更新が進まない場合は、「供託」という方法を取ることもできます。
供託とは、金銭などを供託所に提出して管理を委ねる制度です。支払い金額でもめている場合や、土地の明け渡し要求などの理由で受領を拒否されている場合でも、供託を行えば支払ったものとみなされます。
供託手続きは、必要事項を記載した供託書と供託金を賃貸借契約上の支払地(定めがない場合は大家の居住地)管轄の供託所に納入することで行えます。
借地権の相続で更新料を求められた
借地権を相続した場合、相続は譲渡に該当しないため、原則として相続時の更新手数料(名義変更料)や承諾料は不要とされています。また、地代や契約期間などの契約内容はそのまま継承され、新たに契約を取り交わす必要もありません。
ただし、遺言書で相続人以外の方(親戚や第三者など)に借地権を譲渡する場合は「遺贈」となり、地主の承諾と承諾料の支払いが必要となる点に注意が必要です。
更新料がもとで地主とトラブルになった
更新料について地主とトラブルになり解決が難しい場合には、まずは弁護士や借地権専門の不動産会社などの専門家に相談するのがおすすめです。弁護士は借地借家法などの関連法規に精通しており、契約更新や立ち退き問題について的確な助言や交渉代理を行うことができます。
それでも解決しない場合には、最終的に裁判に進むことになりますが、その前の選択肢として「ADR(裁判外紛争解決手続)」を利用する方法もあります。ADRとは、第三者が間に入って話し合いを促進し、迅速かつ低コストでの解決を図る手続きです。状況に応じて適切な相談先を選び、早期の問題解決を目指しましょう。
借地権の更新料が支払えない
契約時に取り決めをしていない限り必ずしも更新料の支払いが必要ではありませんが、今まで支払っている場合には支払っておいたほうが地主との関係が円満に保てるのも事実です。一括での支払いが難しければ分割での支払いを相談してみましょう。
また、今後支払い自体が難しくなる場合には、借地権を売却する手段もあります。一般的な借地権(賃借権)を売却するには地主の承諾が必要ですが、事情を相談すれば交渉の余地も考えられます。
不動産ビギナーさん更新料の支払いが難しい場合は、分割払いを相談するか売却するのですね。
山口智暉一括支払いが困難な場合は分割を相談しましょう。売却を検討する際は更新料の負担を避けるため、更新前に手続きを進めるのが有利です。
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更新料を支払う前に借地権を売却する選択肢も
更新料の支払いが発生する更新時は大きな金銭的負担がかかりますが、同時に契約内容を見直す機会にもなります。もし、「この金額を支払ってまで更新する必要があるのか」「更新料が高くて支払いが負担になってきた」と感じる場合には、借地権の売却を検討するのも一つの方法です。
借地権の売却には、主に次のパターンがあります。
| 地主に借地権を売却する | 借地権を地主に売却することで地主は土地の完全な権利を取り戻せるため、地主が自分で利用したい場合には有効 |
| 個人の第三者に売却する | ・借地人が持つ借地権のみで売却 ・地主の底地権(借地権が設定された所有権)と合わせて売却 ・地主の底地権と借地人の借地権の一部を交換して所有権にして売却 以上の3つのパターンがあるが、地主との交渉・承諾が必要な上、需要が限られるため売却が難しい |
| 借地権買取の専門業者に売却する | 売却額は低くなりやすいが、地主との交渉を代行してもらえる業者が多く、短期間で現金化できる |
それぞれにメリット・デメリットがありますが、必ずしも借地契約を更新するのがベストとは限りません。迷ったら、専門家に相談するのがおすすめです。
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まとめ

借地権の更新料については、まず借地契約の種類と特約内容を確認することが重要です。
更新料の支払いに法的義務はありませんが、契約書に明記されている場合や過去の支払い実績がある場合は支払うべきであり、支払いが難しい場合には分割払いの相談や借地権売却も検討しましょう。
リアルエステートの「おうちの相談室」では、権利関係が複雑な物件を中心に不動産のお悩みをサポートします。更新料の適正価格が気になる方や更新料の負担にお悩みの方は、ぜひ「おうちの相談」をご利用ください。
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける



