リースバックとは?住み慣れた我が家に住みながら老後資金を確保する方法
「住み慣れた我が家を手放したくないけれど、老後資金が心配」「マイホームはあるのに、現金が足りない」といった悩みを抱えている方には、住み続けながら資金を調達できる「リースバック」という選択肢があります。自宅を売却しても、そのまま賃貸として住み続けられるため、シニア世代の資産活用法として注目を集める仕組みです。
この記事では、リースバックの基本的な仕組みから実際の手続きまで、メリット・デメリットを含めて詳しく紹介します。
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リースバックとは?住み続けながら資産を現金化する方法

「リースバック」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。リースバックとは、住み慣れた我が家を手放すことなく現金化できる方法として注目されています。所有から賃借への切り替えにより、まとまった資金を手に入れながら引っ越しの負担なく生活を継続できる点がメリットです。
ここでは、自宅に住み続けながら老後の資金を確保できるリースバックの基本的な仕組みと併せて、特にシニア世代に選ばれる理由について解説します。
リースバックの基本的な仕組み
リースバックとは、自宅を不動産会社に売却した後も、賃貸借契約を結んで住み続けることができる仕組みです。まずは住宅の所有者が不動産会社に自宅を売却し、一括で売却代金を受け取ります。同時に賃貸借契約を締結し、元所有者は賃借人として毎月家賃を支払って住み続けることが可能です。
この仕組みにより、住み慣れた家に住み続けながら、まとまった資金が手に入ります。特にシニア世代にとっては、引っ越しの負担なく老後資金を確保できる点が大きな魅力です。
賃貸借契約には「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があり、多くのリースバック会社は1年〜5年程度の定期借家契約を採用しています。原則、契約期間が満了すると契約は終了しますが、更新も可能です。
売却価格は通常の市場価格より低めに設定されるのが一般的で、市場価格の約70%程度が目安とされています。また、家賃は売却価格に連動して決まることが多く、年間家賃は売却価格の6〜10%程度が一般的な相場です。
リースバックを利用するためには、不動産の名義人全員の同意と併せて、住宅ローンが完済済みか売却代金で完済できる状態であることが条件となります。
シニア世代にリースバックが選ばれる理由
シニア世代がリースバックを選ぶ理由のひとつとして、老後の資金確保という重要な側面があります。年金だけでは安定した生活の維持が難しい中、リースバックは住み慣れた環境に住み続けながら、まとまった資金を得られる効果的な方法です。
また、突発的な入院費用や予期せぬ出費に対応するための資金確保としても活用されています。住宅ローンの返済が負担になっている場合、リースバックによって得た資金でローンを完済し、月々の支払い負担を軽減できる点も大きな魅力です。
不動産を相続する際の複雑な手続きや遺産分割の問題を回避したいと考える方にとっても、リースバックは効果的な選択肢といえるでしょう。自宅を現金化しておくことで、相続人間のトラブルを未然に防ぎ、円滑な資産分与が可能になるためです。
高齢になってからの住環境の変化は身体的・精神的負担が大きいため、住み慣れた家に住み続けられる点も重要なメリットです。固定資産税などの維持費負担からも解放され、老後の生活を安心して送るための手段として選ばれています。
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リースバックのメリットと活用方法

リースバックは多様なメリットで老後の資金計画を助け、住環境や生活の質を維持しながら経済的な安定をもたらします。ここでは、リースバックが持つ4つの主要なメリットを詳しく解説します。これらのメリットを理解することで、リースバックが老後の資金計画にどのように役立つのか、具体的なイメージが湧くでしょう。
住み慣れた家に住み続けられる
リースバックの大きな魅力は、長年住み慣れた自宅に引き続き住み続けられる点です。売却後も同じ家に賃借人として居住するため、新たな環境への適応というストレスから解放されます。特に高齢になると、慣れ親しんだ近隣関係や生活動線を維持できることは、心身の健康維持において重要です。
周辺環境の変化によって体調を崩すケースも少なくありませんが、リースバックならこれまでと同じ生活スタイルを継続できるため、そうした心配はありません。また、通勤・通学や買い物、役所へのアクセスが変わらず、生活の利便性も損なわれずに済むでしょう。
転居する際に発生するさまざまな手間や費用も回避でき、新居探しや引っ越し作業、各種住所変更手続きなど、一般的な引っ越しに伴う煩わしさからも解放されます。外観上は何も変わらないため、自宅を売却したことを周囲に知られにくいという点も、プライバシー保護の観点から大きなメリットです。
まとまった資金が手に入る
自宅を売却することでまとまった資金が手に入る点もメリットです。この資金は使途に制限がなく、老後の生活資金として幅広く活用できます。
定年退職後は多くの方が年金を主な収入源とするため、資金に関する不安を抱えがちです。リースバックによって得られる売却代金は、日常生活費の補填だけでなく、医療費や介護費といった高齢期特有の出費にも対応可能です。
住宅ローンの残債がある場合、売却資金で一括返済することで毎月の返済負担から解放されます。返済額が家賃を上回っていれば、月々の固定費を抑えられるのが利点です。住み慣れた環境を維持しながら、老後の資金計画を柔軟に立てられる選択肢といえるでしょう。
固定資産税や維持費の負担が軽減する
所有権を手放すことで、固定資産税や維持費の負担が減る点もメリットです。不動産を所有する方は、固定資産税や都市計画税といった税金を毎年納めなければなりません。マンションであれば、管理費や修繕積立金も必要です。リースバックにより所有権が移転すると、これらの費用負担が全て新しい所有者に移るため、財政的な負担を大きく軽減できます。
特に築年数が経過した住宅は、老朽化に伴う大規模修繕が必要なケースもありますが、こうした予期せぬ出費の心配からも解放されるでしょう。屋根の修理や外壁の塗り替えなど、高額になりがちな維持修繕費をオーナーが負担するため、安定した家計管理が可能です。住宅の維持管理にかかる手間も省けるため、高齢になってからの住宅管理の不安も減らせます。
相続対策として活用できる
リースバックは相続対策としても効果的な選択肢です。不動産は分割が難しく、相続トラブルの原因になりやすい財産です。リースバックを活用すれば、不動産を現金化することで相続人間での財産分割が容易になります。
例えば、相続財産が住宅(売却価格4,000万円)と預貯金(2,000万円)で相続人が子2人の場合、分割は困難です。しかし、リースバックで不動産を現金化しておけば、相続人に3,000万円ずつ公平に分配できます。
相続税の納税資金が不足するケースでも、リースバックは有効な解決策です。相続財産の大部分が不動産の場合、納税のための現金が不足しがちですが、リースバックで事前に現金化することで問題を回避できます。また、リースバック後は固定資産税や維持費の負担から解放されるため、相続後の不動産管理の心配もありません。
リースバックのデメリットと注意点

リースバックには大きなメリットがある一方、デメリットも存在するため、しっかりと把握することが大切です。ここでは、主な3つのデメリットを詳しく紹介します。これらのリスクを理解した上で、自分のライフプランに合ったリースバック活用法を検討しましょう。
売却価格が市場価格より低い傾向がある
リースバックの場合、売却価格が市場価格より低い傾向があります。一般的に、リースバックの売却価格は市場価格の70%~80%程度といわれています。リースバック事業者が物件を購入する際、将来的な不動産価値の下落リスクや賃貸経営としての収益性を考慮するためです。
この価格差はデメリットに思えるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。リースバックの場合、売却価格が低いほど家賃も抑えられる傾向があります。特に築年数が古い物件は市場価値の下落リスクが低いため、相対的に有利な条件になることもあるでしょう。
より良い条件を引き出すには、複数のリースバック事業者に査定を依頼し、売却価格を比較するのが効果的です。売却価格だけでなく、家賃や将来的な買い戻し価格も含めて総合的に判断するとよいでしょう。リースバックを検討する際は、売却価格、家賃、契約期間をセットで考え、自分のライフプランに最適な選択をすることが大切です。
家賃の支払いが新たに発生する
リースバックの場合、所有者から賃借人になることで、家賃の支払いが新たに発生します。家賃は周辺相場ではなく「積算法」と呼ばれる方法により、「売却価格×期待利回り(年率)÷12か月+物件の必要経費」で求めるのが一般的です。ただし、家賃設定はリースバック事業者によって異なり、物件の立地条件や築年数によっても変動します。
注意したい点は、将来的な家賃上昇リスクです。契約内容によっては定期的な家賃の見直しがあり、収入が減少する老後に家賃が上昇する恐れがあります。特に普通借家契約は定期的に家賃改定が行われるため、契約前に家賃改定条項の確認が重要です。
家賃負担を軽減するには、複数のリースバック事業者から見積もりを取得して比較検討することが効果的です。
契約終了時に転居が必要になる
リースバックの重大なリスクのひとつが、契約期間終了後に転居が必要なことです。特に定期借家契約の場合、契約期間(多くは2〜3年)が満了すると、基本的に契約は終了します。貸主であるリースバック事業者が再契約を拒否すれば、退去せざるを得ません。
契約終了前に退去を求められるケースとして、家賃の滞納(3か月以上)の他、リースバック事業者の経営悪化による物件の第三者への転売が挙げられます。また、再契約時には大幅な家賃値上げなど、条件が変わることもあります。
長期間住み続けるための対策として、普通借家契約を選ぶのが効果的です。普通借家契約は契約更新が可能で、貸主が更新拒否するには「正当事由」が必要となります。また、再契約を前提としたリースバック事業者を選ぶこともひとつの方法です。経済的余裕ができた際には、リースバック期間中に自宅を買い戻すことで永続的な居住権を確保できます。
関連記事 : リースバックの罠とは?注意すべき7つのリスク
リースバックとリバースモーゲージの違い

リースバックとリバースモーゲージは、どちらも住み慣れた自宅に住み続けながら資金を得る方法です。しかし、仕組みや特徴には重要な違いがあります。ここでは、両者の根本的な違いから資金調達額の比較、向いている人の特徴まで詳しく解説します。それぞれの特徴を理解し、自分のライフプランに合った選択をすることが、老後の安定した生活を実現するポイントです。
資金調達方法の根本的な違い
リースバックとリバースモーゲージは、どちらも住み慣れた自宅に住み続けながら資金を得られる方法ですが、根本的な仕組みが異なります。リースバックは不動産取引で、所有する自宅をリースバック事業者に売却して現金化し、そのまま賃貸借契約を結んで住み続ける方法です。資金使途に制限がなく、年齢制限もありません。
一方、リバースモーゲージは融資の一種です。自宅を担保として金融機関からお金を借り、契約者の死亡後に一括返済する仕組みです。生きている間は利息のみの返済が一般的で、資金用途には制限があることが多く、年齢制限も設けられています。
リバースモーゲージは家を所有したまま融資を受けるため、相続人の同意が必要になる場合が多く、相続時のトラブルリスクが懸念点です。また、マンションの場合は利用できないケースもあります。リースバックは比較的年齢にかかわらず利用しやすい反面、売却価格が市場価格より安くなる傾向があります。どちらの選択が適切かは、個人の状況や将来の希望によって異なります。
資金調達額と手元に残る金額の比較
リースバックとリバースモーゲージは、資金調達額と実際に使える金額に大きな違いがあります。リバースモーゲージは一般的に不動産評価額の50%程度が融資の上限で、思ったより少ない金額しか借りられないと感じることも少なくありません。
一方、リースバックは不動産を売却するため、より多くの資金を手にできる可能性が高くなります。ただし、リースバックの売却価格は市場価格より低めに設定されることが一般的です。購入後、物件を元所有者に貸すだけでなく、買い戻しにも応じる必要があるなど、リースバック事業者にとって制約が多い取引であるためです。
また、リースバックは新たに家賃負担が発生します。家賃は地域の相場より高めに設定されることもあるため、長期的な資金計画を立てる必要があります。ただし、引っ越し費用は不要です。
どちらを選ぶにしても、複数の事業者に問い合わせて条件を比較し、ライフプランに合った選択をすることが重要です。
向いている人の特徴と選び方のポイント
リースバックとリバースモーゲージは、それぞれ向いている人が異なります。リースバックは、将来的に転居を予定している方に適した方法です。多くの場合、2年程度の定期借家契約となるため、その期間内に次の住まいを検討できる方に向いています。
例えば、「子どもの卒業までは現在の学区に住み続けたい」「高齢者住宅への転居を数年後に予定している」といった計画がある方には最適な選択肢となるでしょう。また、現在住宅ローンの返済に困っていて、まとまった資金を得て一括返済したい方にも有効です。
一方、リバースモーゲージは所有権を維持したまま融資を受けるため、長期的に住み続けたい方に向いています。特に、相続予定がない方やリフォームして住環境を改善したい方、毎月少額の資金を安定して受け取りたい方に適しています。
いずれもメリット・デメリットがあるため、住宅ローンの残債や自分のライフプランを考慮した上で、慎重に検討することが重要です。
リースバックの具体的な手続きと流れ

リースバックに関する相談から実際の入居継続までのプロセスは、多くの方にとって不安や疑問が生じる部分です。ここでは、リースバックの手続きを検討している方に向けて、具体的な流れを解説します。紹介する各ステップを理解することで、安心してリースバックを進めるための知識が身につくでしょう。
【準備】相談から査定まで
リースバックについて相談する際は、複数の事業者の選定から始めましょう。売却価格や家賃は事業者によって異なるため、条件の比較が重要です。査定依頼はインターネットや電話で無料ででき、対面・電話・オンラインといったさまざまな相談方法が選べます。
簡易査定(机上査定)では、営業担当者が物件を直接見ずに周辺事例から概算額を算出します。より具体的な金額を知りたいなら、訪問査定が必要です。訪問査定では営業担当者が物件を直接確認し、詳細な査定額を提示します。このとき、権利証や登記識別情報通知、リフォーム履歴が分かる資料などを準備しておくとよいでしょう。
査定結果は通常、即日〜1週間程度で提示されます。基本的に売却価格は市場価格より低いものの、都市部の条件が良い物件ほど高く評価される傾向があります。査定額に納得できない場合は断っても問題ありません。重要なのは、売却価格と家賃のバランスを総合的に判断することです。
【契約】契約内容の確認
リースバックの契約では、売買契約書と賃貸借契約書の2種類の契約書を確認する必要があります。特に重要なのは、賃貸借契約の種類と期間です。普通賃貸借契約は更新が可能ですが、リースバックでは定期借家契約が一般的で、契約満了時に更新拒否される恐れがあります。
将来家賃が高くなり、住み続けられなくなるリスクを避けるため、家賃改定の条件も確認しましょう。また、設備の修繕負担者も明確にすることが重要です。
買い戻し特約の有無と条件も確認したいポイントです。将来的に買い戻したい場合、価格や申し出期限を把握する必要があります。さらに、事業者による第三者への転売が可能かどうか、その場合は賃貸借条件が引き継がれるかどうかもチェックしましょう。
【入居】売買決済から入居継続まで
リースバックとは、売買契約と賃貸借契約が同時に進行する仕組みです。契約内容に問題がなければ、売買決済日から賃貸借契約が開始します。売買決済日の同日に賃貸借契約がスタートし、その時点から家賃の支払いが発生するケースが一般的です。
売買契約が完了すると、不動産の所有権は買主であるリースバック事業者に移転します。同時に賃貸借契約も効力を発するため、元所有者は賃借人として引き続き、引っ越しの手間や費用をかけることなく住み続けることが可能です。
決済時には、売却代金から住宅ローンの残債や諸費用が清算されます。リースバックの大きな利点は、不動産売却代金から諸費用を清算できるため、手元資金がなくても手続きが進められる点です。家賃の支払い日や清算金については、契約前に確認することが重要です。将来買い戻したいと考えている場合、売買契約時に条件を明確にしておくことをおすすめします。
信頼できるリースバック事業者の選び方
信頼できるリースバック事業者を選ぶには、複数の事業者を比較検討することが重要です。まず確認したいのは事業者の信頼性で、実績や企業規模、宅地建物取引業の免許の有無をチェックしましょう。担当者の対応も重要なポイントといえるでしょう。丁寧で親身な受け答えや質問への的確な回答から、担当者の知識や誠実さが判断できます。
査定価格と家賃に関しては、複数の事業者から見積もりを取得して比較しましょう。あまりに高過ぎる査定額や相場より高い家賃は注意が必要です。契約内容を細部まで確認し、契約期間や家賃、更新料、原状回復義務、買い戻しに関する条項など、重要な条件について納得できるまで質問することが大切です。
リアルエステートの「おうちのリースバック」は、高額買い取りを目指し、難しい物件でも積極的に買い取りを検討します。信頼できる事業者を選ぶことで、安心してリースバックのメリットを活かせるでしょう。
まとめ

リースバックは、所有する不動産を売却後も賃借人として住み続けられる仕組みです。老後資金の確保や住宅ローン負担の軽減といったメリットがある一方、市場価格より安い売却価格や家賃負担の発生というデメリットも存在します。リースバックを検討する際は、査定から契約、売買決済までの流れを理解し、専門家に相談しながら慎重に判断することが大切です。
リアルエステートの「おうちのリースバック」は、高額買い取りを目指し、市街化調整区域や再建築不可物件など難しい物件も積極的に買い取ります。老後資金の心配や住宅ローン返済の負担の軽減、相続対策など、さまざまな悩みに対応可能です。信頼できる事業者選びが成功の鍵となるリースバックですが、まずは無料査定から始めてみてはいかがでしょうか。