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投稿⽇時

2024/01/11

最終更新⽇時

2024/01/11

初心者向けリースバックの仕組み、認知度、注意ポイントなど要点まとめ

  • リースバック

近年、リースバックという不動産取引が普及していることをご存知でしょうか。不動産に関して調べたことがある人や、宅地建物取引主任者の試験勉強をしている人は聞いたことがあるのではないでしょうか。この記事では、国土交通省が発表した住宅のリースバックに関するガイドブックを参考に、リースバックの情報をまとめています。

ぜひ最後までご覧ください。

リースバックの普及度

リースバックとは

リースバックとは、不動産取引形態の一つで、自宅等の不動産を売却し、売却後は毎月の家賃を支払うことで住んでいた自宅にそのまま住み続けられるというサービスです。セールスアンドリースバック、セールスリースバックなどと呼ばれることもあります。

日本におけるリースバックの現状

2021年度国土交通省は、日本国民のリースバックに関する認知度について、初めて聞いた名前は聞いたことがあるが仕組みはよくわかっていない大まかだが仕組みを知っている仕組みをよく知っているという4つの項目で調査しました。その結果、初めて聞いたと回答した人が66.2%、名前は聞いたことがあるが仕組みはよくわかっていないと回答した人が21.0%、大まかだが仕組みを知っていると回答した人が10.3%、仕組みをよく知っていると回答した人が2.5%という結果でした。日本では、まだまだリースバックの普及は遅れており、認知が遅れているということがわかりました。

また、リースバックの利用意向に関しても調査し、利用したいやや利用したい利用したくないあまり利用したくないの4つの項目に分類しました。その結果、利用したいと回答した人が2.0%、やや利用したいと回答した人が12.8%、利用したくないと回答した人が35.1%、あまり利用したくないと回答した人が28.7%という結果でした(残りのパーセンテージはわからないと回答した人で、21.4%)。利用したいとポジティブに考えていた人の思考としては、同じ家に住み続けながら資金を得られるからと考えている人が最も多かったようです。次いで、借家として住み続けられるのであれば相続対策になると考えている人が多かったようです。また、あまり利用したくないとネガティブに捉えている人の回答としては、持ち家を売ることにためらいがあると考えている人が最も多く、次いで仕組み自体をよく理解していないからと回答している人が多かったようです。

この調査から、日本においてのリースバックの普及度は非常に低く、かつネガティブに捉えている人が多いということがわかります。仕組み自体を理解しておらず、見知らぬ仕組みに対して抵抗を覚えている人が多いため、まずはこうしたリースバックに関する内容をまとめた記事を参考に、不動産取引について勉強しなければなりませんね。

事業者向けアンケート

また、国土交通省は2020年に事業者向けのアンケートも実施しました。事業者に対して、リースバック契約において締結している借家契約の種類のアンケートを実施したところ、定期借家契約と回答した事業者が最も多く、80%を占めました。一方、普通借家契約と回答した事業者は20%で、低い水準となりました。

また、事業者に対して、リースバックにおける買取価格の周辺相場価格に対する割合に関してアンケートを取ったところ、周辺よりも7割以下と回答した事業者が約50%を占めました。周辺相場の買取価格の8割以上と回答した事業者は約30%程度となりました。つまり、リースバックを利用すると、周辺の買取価格相場よりも低くで買取されることがほとんどで、かつ7割以下の価格でしか売却できないということになります。そのため、リースバックの普及を拡大させるためには、まずは事業者ができるだけ高い買取価格水準でリースバック契約を設け、消費者に提供することが先決ではないでしょうか。

リースバックの利用例

リースバックの利用例

・高齢者施設に住み替える際

自宅の所有者やその配偶者が高齢者施設に入居する際、リースバックを検討することがあります。入居する高齢者施設が決まったものの現在は満室で、入居可能なタイミングで即座に入居することになったとします。その際、入居には一時金が必要であり、かついつまで持ち家に住み続けるのかわからない状態です。そこで、リースバックという手段を用いることで、手元に一時金のために資金を用意でき、かつ定期借家契約にすることでスムーズに高齢者施設への入居が可能になります。リバースモーゲージや通常の売却と比較しても、自宅の管理の負担や処分の手間などを考慮すると、リースバックが最善の選択肢になります。

・現在住んでいる持ち家から二世帯住宅に変わる場合

マイホームを購入して数年住み続けましたが、その後両親が住んでいる家を二世帯住宅にして生活することを決意するタイミングで、リースバックは非常に役に立ちます。この場合、自宅はもう誰も済まなくなり不要になることから売却を検討するでしょう。しかし、通常の売却であれば、売却して資金を得られるまでに時間がかかり、かつ新しい二世帯住宅が完成するまで生活拠点を失ってしまいます。そこで、リースバックを利用することで、まとまった資金を即座に得られるため二世帯住宅のためのリフォーム費用に充てられ、今までの家に住み続けながらリフォームが終わることを待てます。定期借家契約が終了したタイミングで両親の二世帯住宅に引っ越せば、非常にスムーズに手続きが完了します。

リースバックの特徴

リースバックの特徴

・固定資産税の支払いが不要になる

持ち家を所有している場合であれば、毎年都市計画税や固定資産税などの税金の支払いが必要になります。しかし、リースバックの場合は、リースバック事業者である不動産会社やファイナンス会社が所有権を保有しているため、こうした税金の支払い義務はありません。ただし、税金を支払わなくて済む分、家賃などの支払いが発生し、かつその他各種修繕費なども考慮した金額で買取価格が設定されてしまいます。

・同じ家に住み続けながら一括で資金を得られる

同じ家に住み続けながら資金を受け取れる方法としては、リースバックのほかにもリバースモーゲージや、通常の売却で売買契約締結後に引き渡し時期を業者と取り決める方法があります。その中でもリースバックは、即座にまとまった資金を得られる点で魅力的だと言えます。自分のライフプランや資金計画を考えつつ、自分に見合った契約形態を利用するようにしましょう。

・自宅の所有権を失うためリフォームを自由にできなくなる

リースバック契約を交わすと、賃貸契約となり所有権はリースバック事業者に移るため、自分の持ち物ではなくなります。そのため、以前まで自由に行っていたリフォームや改装などを自由にできなくなります。

リースバック契約の注意ポイント

リースバック契約期間中や契約前に注意すべきポイントは以下の通りです。

・広告では「買い戻せる!」と記載があってもできない場合があることに注意

リースバックの大きな魅力として買戻しできることが挙げられます。リースバック業者も、謳い文句として買戻しオプションのことを大々的に広告していることが多いですが、注意が必要です。なぜなら、契約内容次第では買戻しできない可能性があるためです。契約時には、買い戻せる条件や買戻し価格を定められます。後々確認すると、その条件によっては買戻しオプションを行使できる条件に当てはまっておらず、トラブルになる事例があります。

・解約したいが解約できないケースがあるかもしれない

リースバック契約を勧めてくる業者の中には、非常に悪徳な業者がいることも事実です。営業電話から「今後リースバックでなければその家は売れなくなるから今すぐ契約したほうがいい」というように強引に契約まで進めてこようとする業者がいます。こうした時に重要なことは、契約書を必ずもらうことと、買戻しについて詳しく話を進めることです。とくに契約時には契約書の内容をしっかりと確認し、説明された内容が明文化されているか確認しておきましょう。

・適切な手法を選択するよう努める

先述したように、自宅に住み続けながら資金を得られる手法としては、リースバックのほかにもリバースモーゲージや通常の売却等の選択肢があります。リースバックを利用しようと考えているのであれば、不動産業者や専門家に現状や将来のプランを相談し、自分にとってどの選択肢が最も適した手法であるのかを見極める必要があります。

・契約前にはライフプラン、収支計画を明確にする

リースバック契約時には、必ず自分や自分の家族のライフプラン、収支計画を明確にしましょう。とくに高齢者世帯の平均年間所得は300万円程度だと言われており、基本的に年金に頼る生活のようです。この収入に対して家賃の支払いが毎月発生するようになるため、今後の支出と収入のバランスを考え、自分の家計にはどれくらいの資金が必要なのか、そもそもリースバックしてまで資金を必要としているのかなどを考えましょう。不動産業者だけにとどまらず、金融的な知識を有した専門家や身内に相談し、無理のない資金計画を立ててからリースバックに踏み切りましょう。

まとめ

この記事の要点

  • リースバックとは、不動産取引形態の一つで、自宅等の不動産を売却し、売却後は毎月の家賃を支払うことで住んでいた自宅にそのまま住み続けられるというサービス
  • 現状日本において、リースバックの普及度はまだまだ低く、同時にポジティブに捉えている人は少ない
  • リースバックを検討するタイミングとしては、高齢者施設に住み替える際や、現在住んでいる持ち家から二世帯住宅に変わる場合などが挙げられる
  • リースバックの特徴としては、固定資産税の支払いが不要になること、同じ家に住み続けながら一括で資金を得られること、自宅の所有権を失うためリフォームを自由にできなくなることなどが挙げられる
  • リースバックにおいて注意すべきポイントは、①広告では「買い戻せる!」と記載があってもできない場合があることに注意②解約したいが解約できないケースがあるかもしれない③適切な手法を選択するよう努める④契約前にはライフプラン、収支計画を明確にする

最後に

この記事では、国土交通省が発表したデータをもとにリースバックのあれこれについてまとめました。リースバックは魅力が多い選択肢であるにもかかわらず、まだまだ普及が遅れており、認知している人が少ない現状があります。そこで、この記事を見ているあなたは、こうした記事を参考に不動産に関するリテラシーを強め、適切な選択をできるようになりましょう。