セール&リースバックとは、資産を売却して資金を調達しつつ同じ家に住み続けることができるという仕組みでした。
すぐにまとまった現金を受け取ることができるという点や、引越しをしないですむというようなメリットがありました。
このようにリースバックは、素晴らしい仕組みのように感じます。
ですが、リースバックにはデメリットも存在します。
リースバックにはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
今回は、リースバックのデメリットについてまとめていきましょう。
目次
まず、セール&リースバックの仕組みについて確認しておきましょう。
セール&リースバックとは、資産を売却して現金を得つつ、同じ資産の利用を続けることができるという仕組みです。
セール&リースバックとは、略してリースバックとも呼ばれています。
リースバックの流れは次のようになっています。
このような流れでリースバックは進められていきます。
それでは、リースバックのデメリットを一つずつ見ていきましょう。
デメリットの1つ目は、不動産の所有権がなくなってしまうことです。
リースバックをすると、不動産の所有権を手放すことになってしまいます。
不動産の所有権はその不動産を購入した第三者に移行することになります。
家の所有権を手放すことに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、そのような人にはリースバックは向いていないかもしれません。
愛着のある家なので所有権を失いたくないと考える人もいることでしょう。
家の所有権を手放すと、例えば、相続ができないなどの問題が発生してしまいます。
もしそれが困る場合は、リースバック以外の方法を取るか、リースバックをした後に資産の買戻しをすることが必要です。
2つ目のデメリットは、毎月家賃の支払いをしなければならなくなるということです。
リースバックをするまでは持ち家に住んでいるため、家賃の支払いをすることはありませんでした。
しかしリースバック後は賃貸扱いになるため、家賃を支払うことになります。
つまり、リースバックをするには、家賃を支払うことができる安定した収入がないといけません。
3つ目のデメリットは2〜3年しか賃貸ができないという点です。
リースバックでは賃貸期間に制限があり、借り手が希望する間は永遠に住み続けられるというわけではありません。
リースバックでは定期借家契約という契約を結ぶため、賃貸期間に制限があることが多いのです。
定期借家契約の契約期間は2〜3年であることがほとんどです。
また、定期借家契約では、契約期間が切れてしまう際にも契約を更新することができません。
しかし、場合によっては新たな契約を再度結んでもらうことは可能です。
そうすれば、住む期間を延長することができます。
しかし、再契約は不動産の所有者によって断られてしまう場合もあります。さらに、再契約の際に家賃の金額を値上げされてしまう可能性もありま、それでは長く住み続けても負担が増えるばかりとなってしまいます。
つまり、再度契約を結ぶことはかんたんではないのです。
このように、いつまでも住み続けられるとはいえないという点がリースバックのデメリットの一つです。
リースバックにおける契約に関して詳細は、こちらを参照してください。
⇒【リースバックの賃貸期間】〜リースバックでは何年住めるのか〜
リースバックの4つ目のデメリットは、家を売却するときの価格が安価であることが多いという点です。
リースバックでは物件を売却して現金収入を得ることができますが、一般的な売却価格の相場より安く買い取られてしまいます。
一般的な相場よりも安く買い取られてしまう理由は、不動産の新たな所有者にとってリースバックというのは損益となりうるからです。
リースバック業者は購入した不動産を第三者に売却したり賃貸したりすることで、利益を生み出すことができます。
そのため、物件にはこれまで通りの居住者ではなく、新たな契約者に来てもらわないと利益が低くなってしまうのです。
つまり、リースバックをすれば同じ場所で住み続けられるという利用者側にとってのメリットは、リースバック業者の視点からすると、自由に不動産を利用することに制限をかけてしまうマイナスな行為なのです。
5つ目のデメリットは、家賃が割高であることです。
リースバックでは毎月家賃を支払う頃が義務となっています
その家賃は、相場より割高に設定されることが多いのです。
その理由は、家の売却価格が相場より低くなってしまうのと同じ理由です。
簡潔にいうと、リースバックで利用者に与えられる特権によって、リースバック業者が損をしないようにするためなのです。
そのため、リースバックをする際には家賃がいくらになるのか、それを払っていくことができそうかを考えてからにしないと、家賃を滞納してブラックリストに名前が載るといいう事態に陥る危険性があります。
リースバックの6つ目のデメリットは、長くその家に住み続けていると家賃負担が大きくなってしまうという点です。
なぜなら、リースバックでは売却金額は相場より低いにもかかわらず、家賃は割高に設定されているからです。
長く賃貸していれば、その分家賃の支払い総額は膨らんでいきます。
近くにある他の物件であればもう少し家賃が安い可能性は十分にあるため、家賃への負担感が増してきたら引っ越しも検討したほうがよいでしょう。
リースバックにはこのようにたくさんのデメリットがあるということがわかりました。
それなのに、人々はなぜリースバックを利用しているのでしょうか。
人々がリースバックを選択するケースには次のようなものがあります。
このように、早く資金が必要であるという場合や、引越しすることが難しいという場合にはリースバックが利用されているということがわかりした。
つまり、リースバックにはデメリットもありますが、そのような場合にはメリットがデメリットを上回るということがわかります。
リースバックに関しては、過去にトラブルがあったことも報告されています。
例えば、リースバックをしようと思ったのにできなかったという事例があります。
それは、住宅ローンの残債があったケースです。実は、住宅ローンの残債がある場合、リースバックを断られてしまうことがあるのです。
リースバックができないケースの一つとして、住宅ローンの残債が家の売却価格を上回っている場合があります。
住宅ローンの残債が家の売却価格より高いとリースバックができない理由は、家賃の支払いが滞る可能性が高いからです。
住宅ローンに残債があると、住宅ローンの支払いと、家賃の支払いというように負担が2倍になってしまいます。
このように、リースバックは必ずできるわけではないのです。
このように、リースバックでは数々のトラブルも発生しています。
つまりリースバックを行う際にはトラブルへの対策を十分に行なっておくことが重要だといえます。
リースバックに関するトラブルに巻き込まれないためにいちばん有効なのは、リースバック業者と契約を結ぶ際にその内容をよく確認しておくことです。
リースバックに関する手続きは全て契約内容に左右されます。
つまり、契約が終了した後の手続きなども、契約締結時に決定されるのです。
契約には、資産を買い戻すことができるのか、買戻しができるタイミングはいつなのか、買い戻しをする際の条件はどのようなものかなど、とても大切なことが記載されます。
リースバックの被害に遭わないようにするためには、自分に不都合にならないような契約内容にしておくことが有効です。
このように、契約締結時から注意を払っていれば、数々のリースバックのデメリットに影響されることなく、安全にリースバックを利用することができるでしょう。
いかがでしたか。
セール&リースバックにはさまざまなデメリットがあるということがわかりました。
そのデメリットとは、以下の通りです。
もちろんセール&リースバックにはメリットもたくさんあります。
メリットがデメリットを上回った場合、人々はセール&リースバックを行うのです。
今回の記事ではメリットについては触れることができませんでしたが、セール&リースバックのメリットに関してはこちらの記事を参考にしてください。
【セール&リースバックのメリット】不動産をリースバックするとどのような良いことがあるのか
セール&リースバックにはトラブルの事例もたくさん報告されています。
それらに騙されないように、セール&リースバックを利用するときは、メリットもデメリットもよく理解した上で行うようにしましょう。