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2026/02/26借地権割合とは?調べ方・計算方法・相続時の注意点をわかりやすく解説
- 底地・借地

相続や不動産の売却に関わると、思いがけず専門用語に直面することがあります。なかでも「借地権割合」という言葉は意味が曖昧なまま進めてしまうと、評価額や税金の計算で損をする可能性があります。
不動産に詳しくない方でも正しく判断できるよう、この記事では調べ方や計算の考え方、実際に影響を受ける場面までを整理して解説します。
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
Contents
借地権割合とは?わかりやすく仕組みを解説

借地権割合とは、土地の評価額に対して借地権が占める価値の割合のことです。たとえば、土地の評価額が3,000万円で借地権割合が60%の場合、その借地権の評価額は1,800万円となります。
この割合は、国税庁が公表している路線価図や評価倍率表により地域ごとに定められています。都市部では80%から90%、郊外では50%から60%など、立地によって大きく異なります。
借地権とは、土地の所有者からその土地を借りて、建物を建てて使用するための権利です。建物の所有者は土地を所有していなくても、借地権を通じて土地を利用できます。このため、借地権にも財産的価値があり、相続や贈与、売却の際に評価対象となります。
借地権割合は、その価値を客観的に数値で示す指標です。税金の計算や不動産取引の判断材料として使われるため、正確な理解が必要です。
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借地権割合はどこでどう調べる
借地権割合は、国税庁が毎年公開している「路線価図」または「評価倍率表」を使って確認します。
路線価図では、道路ごとに1平方メートルあたりの価格と借地権割合がアルファベットで表示されます。
- A:90%
- B:80%
- C:70%
- D:60%
- E:50%
- F:40%
- G:30%
たとえば「300D」と表記されていれば、その土地の評価額が1㎡あたり30万円で、借地権割合は60%です。
評価倍率表は、都市部以外や路線価が設定されていない地域で使用されます。地番ごとに倍率と借地権割合が記載されており、主に地方や市街化調整区域で参照されます。
調査には、対象の土地の所在地と地番が必要です。不動産登記簿や固定資産税の納税通知書に記載された情報をもとに検索してください。
また、調査には対象年度の指定が必須です。たとえば相続が発生した年や売却した年のデータを選ばなければ、評価額が正確に出せません。調べる際には必ずその年の資料を参照しましょう。
関連記事:借地権割合とは?路線価図による調べ方や相続税評価額の計算方法を解説!
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借地権割合の計算方法と注意点
借地権割合は、評価額を算出する際の係数として使います。基本の計算式は以下の通りです。
- 借地権の評価額=自用地評価額×借地権割合
たとえば、自用地評価額が4,000万円で借地権割合が60%であれば、借地権の評価額は2,400万円となります。
一方、地主が保有している土地部分、いわゆる「底地(貸宅地)」の評価額は、次の式で求めます。
- 底地評価額 = 自用地評価額 ×(1 − 借地権割合)
上記の例であれば、底地は1,600万円(4,000万円×40%)です。
ただし、これらの評価額はあくまで税務上の数値であり、実際の取引価格とは異なります。市場では、地代・契約条件・承諾料・再建築の可否などが価格に影響します。
また、これらの評価に使用した資料(路線価図や倍率表)は、将来的に税務署から提出を求められる場合があります。計算に使った年度・地域の情報は記録として保管しておくことが重要です。
関連記事:借地権の月々の地代には目安がある!?計算方法と金額設定について解説
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借地権割合が影響する3つの重要シーン

借地権割合は、相続税の計算や不動産の売却価格、譲渡時の税務処理など、実際の場面で数値としての意味を持ちます。数字の理屈を知っているだけでは不十分で、いつ・どんなときに借地権割合が必要になるのかを理解しておくことが重要です。
ここでは、実務上とくに重要な3つの状況を取り上げ、それぞれで借地権割合がどのように関係してくるのかを説明します。
親が亡くなり、借地権付きの土地を相続することになったとき
親が所有していた建物が借地上に建っていた場合、相続においては土地と建物を切り分けて評価する必要があります。建物は通常どおり固定資産評価額などを基準にしますが、土地については「借地権」と「底地」の両方の価値を評価しなければなりません。ここで用いられるのが借地権割合です。
たとえば、土地全体の評価額が4,000万円で借地権割合が60%の場合、借地権の評価額は2,400万円、地主側の底地評価額は1,600万円となります。相続人が取得するのは建物と借地権の両方であり、借地権に関してはこの2,400万円が評価対象です。建物については別途、固定資産税評価額などに基づき評価されます。
また、借地契約が更新済かどうか、あるいは定期借地契約かどうかによっても評価方法が異なるため、契約書類の確認と、税理士や不動産鑑定士の助言が必要になる場面です。
借地権付きの住宅を売却しようとしたとき
借地権付き住宅を第三者に売却しようとする場合、所有権のある土地と比べて取引条件が複雑になります。最も基本的なのは、地主の譲渡承諾が必要になることです。承諾料として借地権評価額の10%前後を請求されることもあり、買主・売主双方の資金計画に影響を与えます。
このとき借地権割合を用いて土地全体の価格から借地権相当額を算出し、それに基づいて売却価格の目安を立てることになります。たとえば、路線価に基づいた土地評価額が3,000万円、借地権割合が70%であれば、借地権の理論上の評価額は2,100万円となります。ただし、これはあくまで税務評価であり、実際の売却価格は地域相場や承諾条件、残契約期間などによって調整されます。
売却時に評価を誤ると、相場より高く出して売れ残るか、安く売って損をする結果につながります。借地権割合を正確に理解して価格設定の基礎に置くことが重要です。
借地権を子や第三者に譲渡しようとしたとき
借地権を家族や他人に譲渡する場合には、譲渡所得の計算が必要になるとともに、譲渡先との間で評価に基づく交渉が発生します。このとき、借地権割合は取得費の算出や評価額の根拠として用いられます。
たとえば、取得時の契約書に借地権割合が明記されていない場合は、当時の路線価や国税庁の倍率表などを参照して割合を推定する必要があります。また、譲渡にあたっては地主からの承諾が必要となり、譲渡承諾料の発生や、名義変更に伴う登記費用がかかることもあります。
借地権割合が高いほど譲渡価格は高くなりますが、同時に譲渡所得の課税額も増えることになります。逆に低すぎると市場での価値が認められず、売却交渉が難航することもあります。税務・契約・評価のすべてに借地権割合が関与するため、手続き前に評価の基準を明確にしておく必要があります。
関連記事:借地権の相続|売却する方法や費用、相続放棄についても解説
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借地権割合でよくある誤解とトラブル防止策

借地権割合は数値化された評価指標ですが、その扱いを誤ると実務上の損失や対人トラブルに直結します。以下は、現場で特に多い誤認と、それによって起きやすい問題例です。
借地権割合=市場価格だと誤解している
借地権割合は相続税や贈与税など税務上の評価基準であり、実際の取引価格とは一致しません。借地の売却や底地の買取を検討する際に、割合だけを基準に金額を決めてしまうと、現実の相場や地主との合意から大きく外れた査定になります。
- 借地権付き建物を売却する際、「借地権割合60%だから時価も土地評価額の60%だろう」と自己判断してしまう
- そのまま交渉に入ることで、地主から過大な譲渡承諾料を請求されたり、取引自体が破談になることもある
実勢価格には、借地契約の内容、残存期間、再建築可否、地代水準、近隣の売買事例など複数の要素が影響します。割合はあくまで税務計算の道具として位置づけ、実際の取引判断には専門的な不動産査定を併用する必要があります。
借地権割合が「高い=得」「低い=損」と思い込む
借地権割合が高ければ、その借地の資産価値は大きく見積もられますが、それは同時に相続税評価額が高くなる=納税額が増えることを意味します。一方、割合が低い場合は税金負担を抑えられる一方で、売却価格も下がるため、一概にどちらが得とは言えません。
- 「高い割合=メリットが多い」と信じて相続したが、評価額の高さで納税に困窮
- 「割合が低くて価値がない」と判断して手放した結果、後に再開発計画が明らかになり、大きな機会損失につながった
借地権の価値は、評価額と実需のバランス、将来の地価動向、契約条件を踏まえた上で判断すべきです。数値の高さや低さだけに反応せず、相続・売却・運用の目的に応じた評価が必要です。
割合の確認を怠って課税・契約トラブルに発展
借地権割合の確認を怠ることで、税務処理の誤りや契約交渉の混乱を引き起こすケースがあります。特に、次のような場面では注意が必要です。
- 路線価の確認を誤り、借地権評価額を過少・過大に申告し、税務署から修正申告を求められる
- 貸宅地評価額の算出時に誤った割合を使い、相続人間で不公平が発生
- 契約更新時に地主側が「実態に見合わない割合で再評価すべき」と主張し、対立に発展
こうしたトラブルは、借地契約や評価の前提条件を正しく把握し、必要に応じて税理士や不動産鑑定士に相談することで未然に防ぐことが可能です。
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借地権割合が関わる手続きと専門家への相談ポイント

借地権割合は、単なる税務評価の数値ではなく、具体的な手続きの中で直接的な影響を与えます。特に相続・売却・名義変更といった場面では、割合の理解が不十分だと判断ミスや不利益につながることがあります。
以下では、実務で必要となる手続きと、専門家に相談すべきポイントを整理します。
相続時の評価と申告に関わる手続き
借地権付き不動産を相続した場合、その評価額の算出に借地権割合が必須となります。申告の誤りや評価の不備は、税務調査で修正を求められる原因にもなります。
- 路線価図・評価倍率表をもとに自用地評価額を計算し、借地権割合を掛けて借地権の評価額を算出する
- 借地人が相続した場合は借地権評価額を、地主が相続した場合は底地評価額をそれぞれ計上
- 評価額が一定以上となる場合、相続税の申告書に詳細な評価根拠の記載が求められる
借地権割合が未設定の地域や、使用貸借に近い契約形態では、税務上の判断が複雑化することが多いため、税理士による確認が不可欠です。
売却・譲渡時の価格設定と地主との交渉
借地権付きの建物を売却する場合、借地権割合は価格査定や地主との交渉材料になります。適切な割合の理解がなければ、譲渡承諾料の計算や取引条件の合意に支障が出ます。
- 借地権割合を参考に底地・借地権の評価額を見積もり、譲渡価格の根拠とする
- 地主に承諾を得る際、借地権価格の10〜15%を目安に譲渡承諾料を提示するケースが多い
- 地主と折り合わない場合は、不動産業者や弁護士を介して交渉する選択肢もある
借地契約の内容や慣習により、譲渡条件は大きく異なるため、経験豊富な仲介業者や底地売買に強い専門家への相談が必要です。
名義変更や契約更新時に必要な確認事項
借地権を相続や贈与によって引き継いだ際には、名義変更の手続きが必要です。また、契約期間の満了に伴う更新手続きにおいても、評価額や借地権割合を前提に諸条件が調整されることがあります。
- 相続登記や借地契約の名義変更では、評価額を元に名義変更料が発生する場合がある
- 更新契約時には、地代の改定や更新料の有無について交渉が必要になることがある
- 借地権割合を根拠にした再評価を地主側が求めてくるケースもある
契約書に記載のある更新条件や費用負担の条項を精査し、相手方と認識のずれがないか確認することが重要です。必要に応じて、契約法務に詳しい弁護士の助言を受けると安心です。
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まとめ

借地権割合は、不動産の評価や相続、売却などで重要な役割を果たす数値ですが、実勢価格とは異なるため、その意味や使い方を誤解すると損につながる恐れがあります。特に相続税の申告や譲渡時の価格設定、地主との交渉においては、割合の正確な理解が欠かせません。地域や契約内容によっても評価の考え方が異なるため、自分だけで判断せず、専門家の助言を受けることが安全です。
リアルエステートの「おうちの相談室」では、借地権割合に関わる評価から契約・売却のご相談まで、幅広く対応しています。必要に応じて弁護士や税理士などの専門家とも連携し、お客様の状況に合わせた最適な対応をご提案します。借地権について不安や疑問がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
-
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