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2024/08/02最終更新⽇時
2024/08/02定期借地権って何?
- 底地・借地

Contents

今回の記事は、このような方にオススメです。
「土地を貸したい方」
「定期借地権に興味がある方」
「土地の貸すことに不安がある方」
「定期借地権について知りたい方」
この記事では、定期借地権について初心者の方にもわかるように解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
定期借地権とは?
昔から以下のように言われています。「土地は一度貸すと、半永久的に戻ってこない」これは、旧借地法の下で、借地権が借地人に対して強力な保護を提供していたためです。この制度において、土地の所有者が借地人に土地を貸し出すと、その土地は事実上永遠に戻ってこないという懸念があります。そこで、新たな法律により、土地利用者を保護し、借地供給を促進するために、更新規定の適用を受けない期間が確定した新しいタイプの借地制度、定期借地権が導入されました。
定期借地権は、文字通り「あらかじめ定められた期間しか存在しない借地権」を指します。これにより、従来の心配事である「土地を貸すと、正当な理由がないかぎり永遠に戻ってこない」といった懸念が軽減されました。この制度の特徴は、土地の所有者と利用者が別であり、土地所有者は「土地は必ず戻る」という信頼のもとで土地を提供し、保証金や地代などの利益を得ることができるという点です。同時に、土地を借りた方は「一定の保証金または権利金と地代を支払い、約束の期間だけ土地を利用できる」という柔軟性があります。
定期借地権の種類
定期借地権には3つの主要な種類が存在し、それぞれ契約の存続期間に基づいて区別されます。最初に挙げられる「事業用借地権」は、最短で10年から20年までの期間が設定され、郊外型の事業展開などに最適であり、利用用途は主に事業に制限されています。
「建物譲渡特約付借地権」は、30年以上の契約期間を持ち、建物の買い取りが含まれる特殊な形態です。30年経過すると、土地所有者が逆に建物を取得する仕組みとなっています。
最後に、「一般定期借地権」は最も長い50年の存続期間を有し、用途に関しては自由度が高いです。この形態では、分譲住宅やマンションを建設し、それを定期借地権を伴って販売する方法が注目を集めています。
一般定期借地権
「一般定期借地権」は、契約期間を50年以上に設定し、契約の更新や延長を行わず、最終的に土地を更地にしてオーナーに返還する借地権の一種です。この形態では、土地のオーナーには建物の買い取り義務が課せられず、契約満了時には解体費用がかかる場合は借主が負担することになります。
一般定期借地権は、用途に制限がないため、借地権の中でも特に幅広い活用が可能な形態です。実際には、戸建て住宅・大型の分譲マンションなど、主に居住用として利用されることが一般的です。この契約形態により、借主は急な立ち退き要求から守られるだけでなく、土地のオーナーも50年以上という長期間にわたって安心して土地を貸し出すことができます。
一方で、契約期間が極めて長いため、土地活用を考える際のスパンが長すぎるという懸念も存在します。他の土地活用法への変更が難しいことや、契約期間終了前に相続が発生する可能性なども考慮する必要があります。このような点を検討しながら、一般定期借地権を活用することが重要です。
事業用定期借地権
「事業用定期借地権」は、居住用以外の目的で、期間を10年以上50年未満に設定できる借地権の一形態です。一般定期借地権と同じく、契約の延長や更新が行われず、土地の返還時には建物を買い取る義務がありません。
この借地権は、ロードサイド店舗、工場、倉庫、ショッピングモールなどの事業用途に適しており、最近では高齢化社会に伴う医療施設や介護施設にも利用されています。事業用定期借地権の魅力の一つは、一般定期借地権に比べて、高い賃料を設定しやすいことです。特に、土地が幹線道路沿い・人通りが多い立地などであれば、借り手を見つけやすいでしょう。
ただし、用途地域の規制や立地条件により、建物の大きさや種類が制限されることがあり、「事業用地」として適さない場合も考えられます。この点を注意しながら、事業用定期借地権を活用する際には検討が必要です。
建物譲渡特約付借地権
定期借地権では、通常、借主は土地を更地にして返還することが原則です。ただし、建物譲渡特約付借地権の場合は、土地のオーナー様が建物を買い取る特約を設けることが可能です。この特約は一般定期借地権や30年以上の事業用定期借地権に追加できます。
建物譲渡特約付借地権では、借地権設定した日から30年以上経過した日に、土地のオーナー様が借主から、借地上の建物を相当の対価で、買い取ることが決まっています。この取引が成立すると、借地権は消滅し、つまり土地がオーナー様に戻ります。
建物の状況が不良であったり、維持管理ができていないなどの理由により、土地のオーナー様が買い取りを選択しない場合もあります。その際は、一般定期借地権又は事業用定期借地権の契約が満了するまで、借地権は継続します。
この権利の活用例として、マンションで使用されるケースもありますが、実際の活用事例は限られています。将来的に土地のオーナー様が土地と建物の権利を移せるため、マンションの建て替え手続きがスムーズに進むとされています。ただし、古い建物を買い取らない場合は借地権は消滅しないため、土地のオーナー様にとっては利点が限定的であると感じる方も多いでしょう。
定期借地権のメリット
一般定期借地権におけるメリット
一般定期借地権は、最短でも50年以上の存続期間が確保されています。この契約には上限がなく、貸主と借主の合意により、50年を大幅に超える長期の契約も可能です。そのため、建物を安心して建てて使用することができます。
また、一般定期借地権は契約の更新がない特徴があります。初めに定めた期間を超えて契約が続くことはなく、契約終了時には土地は更地で返還されるため、ライフプランを立てる際の制約が少ないです。
他の定期借地権とは異なり、一般定期借地権には建物の利用目的に関する制限がありません。住居や事業など、土地の利用目的に自由度が高いのが特長です。
事業用定期借地権におけるメリット
事業用定期借地権は、契約期間を柔軟に設定できるため、10年から50年までの間で事業計画に合わせた契約期間を調整できます。この柔軟性により、事業者は自身の長期計画に安心して契約できます。特に契約期間が30年以上の場合は、契約の更新や建物の買い取り請求権が認められているため、長期的な事業展開においても安心感があります。
また、事業用定期借地権を利用することで、土地を取得する必要がないため、初期費用を抑えながら事業を始めることができます。事業者にとっては初期費用の軽減が大きな利点となり、経済的にも有利な選択肢と言えます。
建物譲渡特約付借地権におけるメリット
建物譲渡特約付借地権では、契約期間が最低でも30年以上となり、上限に制約がないため、一般定期借地権と同様に非常に長期間にわたって土地を利用できます。この特性により、安定的かつ長期的な土地の活用が可能となります。
また、建物譲渡特約付借地権には他の定期借地権にはない重要な特典があります。契約終了時には建物の所有権が土地の所有者に移転し、建物を取り壊す必要がなくなります。これにより、築いた建物が無駄になることなく、建物の所有権が金銭として戻ってくるメリットが生まれます。
さらに、契約期間の満了後も借主としての保護が行われます。契約終了時に建物の所有権が土地の貸主に移るものの、借主は建物の継続使用を請求でき、新たな期間の定めのない賃貸借契約が成立します。これにより、住居や事業用の建物を失う心配がなく、柔軟な選択肢が提供されます。建物の使用を請求せずに建物を買い取らせて契約を終了させることも可能です。
定期借地権のデメリット
一般定期借地権におけるデメリット
一般定期借地権にはいくつかのデメリットが存在します。その中で最初に挙げられるのは、契約の際に書面での契約が必要であるという点です。具体的な契約内容は、利用目的の制限がなく、契約終了時には土地を更地で返還し、建物を建てる場合には建物買取請求権が発生しないといった事項が明記されます。
また、一般定期借地権の契約は最低でも50年以上にわたるものとなります。この点がデメリットとなります。なぜなら、契約期間が極めて長期であるため、将来的な変化や土地の別の有効活用を検討している場合には、制約を受ける可能性があり、柔軟性が不足していると言えるでしょう。
総じて、一般定期借地権は書面による契約が必要であり、契約更新が不可能であることから、将来の事業展開やライフプランの変動を考慮する際に制約が生じる可能性が高いです。
事業用定期借地権におけるデメリット
事業用定期借地権において特筆すべきデメリットも存在します。最初に挙げられるのは、事業用定期借地権においては契約を結ぶ際に必ず公正証書での契約が求められる点です。これにより、契約の締結が一般的な書面契約よりも厳格な形式を要することがあり、手続きが複雑化する可能性があります。
さらに、事業用定期借地権はその名の通り事業用途に限定されるため、近隣に事業会社が少ない場合、借り手を見つけることが難しくなるかもしれません。事業用途が限られているため、需要の制約が生じる可能性があります。
また、契約更新に関しても契約期間によって異なり、短期間での貸し出しの場合には契約更新が難しい場合があります。これが契約の柔軟性に制約を与える一因となります。
建物譲渡特約付借地権におけるデメリット
同様に、建物の価値が経年劣化などで低下している場合、建物買取請求権が存在することには潜在的なデメリットも考えられます。価値の低い建物を買い取ることにより、土地所有者は不要な資産を抱え込むことになり、これが収益を生まず、かえって負担となる可能性があります。建物が償却や修繕に見合わないほどの価値を有していない場合、買取りや解体に関連する費用がかさんで、経済的なマイナスとなることも懸念されます。
さらに、一般定期借地権において契約の更新が認められていないため、土地所有者は建物を希望通りに貸し出すことが難しい状況に直面する可能性があります。これにより、収入の見込みや土地の最適な活用が制約され、柔軟性に欠ける一面が生じることでしょう。
まとめ・終わりに
土地の有効な活用や住宅・事業用地の選定に際しては、上述のメリットとデメリットを入念に考慮し、検討の余地がある中で、定期借地契約を検討することは有益でしょう。
さまざまな種類の定期借地契約が存在し、その特性や条件は異なります。例えば、一般定期借地権は50年以上の契約期間が可能で、多岐にわたる用途が許容される点が魅力です。しかし、契約更新の難しさや契約期間の長期化に伴う検討事項も念頭におくべきです。
事業用定期借地権は、事業目的に特化した契約であり、契約期間や条件の柔軟性がある反面、事業以外の利用が難しいという一面も考慮すべきです。
また、建物譲渡特約付借地権においては、土地所有者が建物を買い取る特約を設定でき、契約終了時に土地が返還される一方で、建物所有者は建物の取り壊しや買い取りを選択できる柔軟性が存在します。
これらの契約の違いを理解し、自身や事業のニーズに合わせた最適な定期借地契約を選択することで、土地を最大限に有効活用し、将来的なライフプランに賢明に対応できるでしょう。