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2025/10/31サブリースとリースバックの違いは?目的とメリット・デメリットを解説
- リースバック
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
みなさんは「リースバック」と「サブリース」という言葉を聞いたことがありますか?
どちどちらも普段使うことがなく、あまり馴染みのない言葉かもしれません。
そのため、「リースバック」や「サブリース」についてよくわからない方もいるかもしれません。
しかし、「リースバック」と「サブリース」は実は全く異なります。
どちらも資産に関する用語ですが、「リースバック」と「サブリース」の違いは何でしょうか。
今回は、「リースバック」と「サブリース」について詳しく説明します。
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Contents
リースバックとは?

リースバックとは、資産を売却することによって資金を調達する仕組みです。
リースバックの対象は住宅だけではありません。
戸建て、オフィス、工場、倉庫などの物件に加え、車や飛行機、機械といった資産も対象となります。
リーリースバックのメリットには、利用に際してのハードルが低く、お金を受け取るまでの時間が短いことが挙げられます。
一方、デメリットとしては所有権を失うことがあります。
リースバックのメリットとデメリットについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
⇒ セール&リースバックのメリット
⇒ セール&リースバックのデメリット
関連記事 : リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説
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サブリースとは?

サブリースとは、不動産業者が所有者から物件を借り受け、その物件を賃貸として入居者に貸す仕組みです。
サブリースは「又貸し」や「転貸し」とも呼ばれます。
サブリースの流れ
続いて、サブリースの流れをご紹介します。サブリースには主に3者が関与します:資産の所有者、不動産業者(仲介業者)、借り手です。
まず、資産の所有者が不動産業者に資産を貸します。この行為は「マスターリース」と呼ばれます。
それに対して不動産業者はリース料を支払います。
次に、不動産業者は資産の所有者から借りた物件を貸すための第三者を探します。
不動産業者が仲介役となり、資産を第三者に又貸しします。この行為を「サブリース」と呼びます。
サブリースでは、借り手が不動産業者に家賃を支払い、不動産業者が借り手に使用権を与えます。
サブリースの対象となるもの
サブリースは不動産の又貸しを行う仕組みであるため、対象は物件のみです。
対象となる物件には、主にアパートのような住居、店舗、事務所、駐車場などがあります。
サブリースのメリット
サブリースには以下のようなメリットがあります。
空室があっても収入が途絶えない
サブリースのメリットは、空室リスクがないことです。
空室リスクとは、家を借りる相手がいない場合に発生するリスクです。
物件は資産として所有しているだけでは利益を生み出せません。借りる相手がいることで初めて家賃収入を得ることができます。
しかし、個人が借り手を探してくることは簡単ではありません。借り手が退去してから新しい借り手が入居するまでにブランクが空いてしまうことが多いです。
その点、サブリースの仕組みを利用すれば、仲介業者が借り手を探してきてくれます。
借り手を探す手間を省くことができて便利です。
さらにサブリースでは、資産の所有者は、仲介業者に家賃を保証してもらうことができます。
この家賃保証の仕組みは、部屋が空室であったとしても仲介業者が毎月のリース代を資産の所有者に支払うというものです。
このため、資産の所有者は借り手の有無にかかわらず毎月安定した収入を得ることができるのです。
また資産の所有者は、この家賃保証という制度があることで、借り手の家賃滞納の影響を受けずにすむのです。それは、もし借り手が家賃を滞納していたとしても、仲介業者がリース代を支払うことは約束されているためです。
このように、資産の所有者には、サブリースによって常に安定した収入を得ることができるというメリットがあります。
管理の手間がかからない
不動産の貸借を自身で行なうには、さまざまな手間がかかります。
まず入居人を探します。入居人が見つかると、契約を締結し、入居のための手続きを行い、入居の際はサポートも行います。入居中は不動産の管理や修繕に加え、毎月の家賃の回収や、入居中のサポートをすることが必要となります。そして退去の際は手続きを済ませ、新たな入居人探しも行わなくてはなりません。
これらを全て行なっていくのはなかなか手間がかかります。
しかしサブリースをすれば、これらの一切の管理を仲介業者に任せることができます。
日々の管理も大変ですが、借り手からのクレーム対応などをしないで良いというのは精神的にもかなり楽だといえるでしょう。
サブリースのデメリット
家賃収入が減ってしまう
サブリースをすると、家賃収入が減るというデメリットがあります。
もちろん自分で全てを管理した方が収入の面では特になります。
それは、管理の手間が省ける分、仲介業者に家賃収入が入るからです。
入居者を選べない
サブリースでは、入居者探しから先の仕事は仲介業者が行います。そのため、物件の所有者は、入居者を選ぶことはできません。
さらに、仲介業が物件をテナントに出した場合、自分が貸した物件が何に使われているかわからないというケースもあるようです。
すべての物件をサブリースできるとは限らない
中にはサブリースできない物件も存在します。
例えば、借り手がつかなそうな古い物件や、立地の悪い物件はサブリースを申し出ても断られてしまう可能性があります。
関連記事 : サブリース契約で後悔しないための注意点とポイント
リースバックとサブリースの違い
これまでサブリースの仕組みやメリット、デメリットについて見てきました。
それでは、リースバックとサブリースの違いを検討していきましょう。
支払う代金に関して
まず1つ目の違いは、支払う代金に関してです。
支払う代金、支払う人、支払うタイミングの三点が異なっています。
リースバックでは、リースバック業者が資産の売り手に対して、売却代を支払います。
支払いはおもに一括で、希望すれば月々で支払われます。
一方、サブリースでは、サブリース業者が資産の売り手に対してリース料金を、不動産の借り手がサブリース業者に対して家賃代を支払います。
このようにサブリースでは、お金の流れが二つ発生しています。
支払いは毎月行われます。
不動産の所有権の移行に関して
リースバックでは、不動産の所有権は資産の売り手からリースバック業者に移行します。
サブリースでは、不動産の所有権の移行は発生しません。所有権は資産の所有者の元にあり続けます。
不動産の買い戻しに関して
リースバックでは売却した資産を買い戻すことができます。
それがリースバックの最大の特徴でもありました。
サブリースでは、不動産を売却したり、所有権を手放したりするわけではないため、不動産を買い戻すということはありません。
居住する人に関して
リースバックとは、資産を売却した人がその家に住み続けることができるというのがメリットである仕組みでした。
一方、サブリースでは、資産の所有者がその物件に住むとは限りません。
資産の所有者ではない第三者が借りることとなるのです。
原状回復費や修繕費を負担する人に関して
リースバックでは、物件の利用者は、資産にかかる固定資産税などの支払いから逃れることができます。さらに、退去の際の原状回復費や修繕費を払う必要もありません。
それらの費用を負担することになるのはリースバック業者となります。
このように、物件の利用者はリースバックをすることで、資産を維持するためにかかる費用を削減することができていました。
一方、サブリースでは、物件の所有者に対して固定資産税の支払い義務が残ります。物件の所有権が移行しているわけではないので、当然ともいえるかもしれません。
さらに、原状回復費や修繕費の支払いが課されることもあります。
かんたんな修繕はサブリース業者が負担してくれることもありますが、劣化箇所の修繕などは物件所有者の負担となるケースが多いのです。
扱うことができる資産に関して
この2つの仕組みには、扱うことができる資産にも違いがあります。
リースバックでは戸建てやマンションのような物件のみならず、車や産業用機械などの資産も対象にすることができます。
しかしサブリースでは、建物が対象となっています。建物の一部のみや、建物一棟を対象にすることができます。
その物件は住居でも、店舗や事務所のような事業用のものでも構いません。
7ガイドラインの有無に関して
リースバックには今のところガイドラインは成立していません(令和4年2月3日現在)。
それには、リースバックが広まったのが最近であるということが一因かもしれません。
しかしリースバックのガイドラインが統一されていないことによるトラブルも多発しており、ガイドラインの制定が急がれています。
一方、サブリースの方は、ガイドラインが制定されています。
ガイドラインが制定された背景には、悪徳な業者によるサブリースの被害が多発しているということが挙げられます。
令和2年6月には「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が交付されました。この法律ではサブリースに関する解釈を統一し、運用方法を明確にすることで、サブリースの安全な利用を促すことが目的とされています。
さらに令和2年11月には、国土交通省、消費者庁、金融庁の合同によって、注意喚起のリーフレットも作成されています。
このように、サブリースでは安全な利用のためのガイドラインづくりが進んでいることがわかります。
これまで、リースバックとサブリースの7つの違いについてご説明してきました。
リースバックとサブリースは全く異なる仕組みであるということがいえるでしょう。
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まとめ:リースバックとサブリースの違いを再確認
今回は、リースバックとサブリースの違いについてご説明してきました。
一言でいうと、リースバックとは売却による資金調達方法で、サブリースとは経営手法の一つだといえそうです。
リースバックとサブリースには、
- 支払う代金の種類
- 不動産の所有権
- 不動産の買い戻し
- 居住人は誰か
- 固定資産税、原状回復費、修繕費の負担義務
- 扱うことができる資産の種類
- ガイドラインの有無
という点で違いがあることがわかりました。
リースバックとサブリースは内容も仕組みも目的も全く違う仕組みであるため、混同しないように注意しましょう。
参考
国土交通省「賃貸住宅経営に関する注意喚起のリーフレット」
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001373809.pdf
消費者庁「サブリース契約に関するトラブルにご注意ください!」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_011/
国土交通省「賃貸住宅管理業務等の適正化に関する法律(概要版)」
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001402158.pdf
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宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
