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2024/05/13最終更新⽇時
2024/05/13離婚による持ち家問題|リースバックで解決できるケースと具体的な手続き
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離婚する際に大きな課題となるのが持ち家の取り扱いです。特に住宅ローンが残っている場合、「誰が返済を継続するのか」「住み続けられるのか」「売却したほうがよいか」など、複雑な問題が絡み合います。また、共有名義と単独名義では対処方法が異なり、将来的なトラブルを防ぐためにも慎重な判断が必要です。
この記事では、離婚のときに住宅ローンが残る持ち家の財産分与について、具体的な解決方法と注意点を詳しく解説します。
離婚時の持ち家の基本的な取り扱い方

離婚する際に持ち家があると、取り扱いに悩む方も多いでしょう。持ち家の権利関係と住宅ローンの状況、持ち家の価値を適切に評価する方法といった基本的な情報を把握することで、分与方法や今後の返済計画の検討が可能です。ここでは、離婚時に持ち家がある方に向けて必要な知識を紹介します。
不動産の名義と住宅ローンの確認方法
離婚時に持ち家の取り扱いに悩んだら、まず確認したいは不動産の権利関係です。不動産の名義は、法務局で取得できる登記簿謄本(登記事項証明書)で確認できます。
登記簿謄本の取得は、法務局に直接出向く方法に加え、インターネットでも可能です。登記情報提供サービスを利用すれば、自宅から不動産の権利関係を確認できます。ただし、このサービスで取得した情報は証明書としては使用できないため、正式な手続きには登記簿謄本が必要です。
住宅ローンの状況は、ローン契約書で確認します。契約書には、借入人や連帯保証人、返済期間、金利といった重要な情報が記載されています。共同名義の場合、双方に返済義務が生じる可能性があるため、特に慎重な確認が必要です。
不動産の名義と住宅ローンの状況を把握することで、財産分与の方法や今後の返済計画を具体的に検討できます。名義変更には専門知識が必要となるため、司法書士への相談をおすすめします。
財産分与の対象となる持ち家の評価方法
持ち家の評価額は、財産分与の公平性を確保する上で重要な要素です。評価方法には、実勢価格、公示地価、路線価、固定資産税評価額の4つがあります。
離婚時の財産分与では、実際の取引を想定して実勢価格を基準とするのが一般的です。実勢価格は、不動産会社による無料査定や不動産鑑定士による鑑定評価で確認できます。
ただし、物件の価値から住宅ローンの残債を差し引いた実質的な価値を算出することが重要です。例えば、市場価値が3,000万円の物件でも2,000万円のローンが残っていれば、実質的な価値は1,000万円と見なします。
評価額について夫婦間で意見が分かれたら、複数の不動産会社の査定や不動産鑑定士による鑑定評価を取得し、客観的な価格を把握することが有効です。特に高額な物件の場合、不動産鑑定士による専門的な評価が有用です。最終的な評価額は、これらの査定結果を総合的に判断して決定します。
関連記事 : 離婚時の財産分与と住宅ローン対応法を解説
共有名義の場合と単独名義の場合の違い
持ち家が共有名義の場合と単独名義の場合では、離婚時の取り扱いが大きく異なります。共有名義の場合、夫婦で持ち分を半分ずつ所有しているため、原則として評価額の2分の1ずつが財産分与の対象です。単独名義の場合でも、婚姻期間中に取得した不動産は夫婦の共有財産と見なされ、財産分与の対象となります。
ただし、相続や贈与で取得した不動産は原則として取得者の特有財産となり、分与の対象外です。相手の同意がないと売却や賃貸ができない共有名義と比べ、単独名義は所有者の判断で自由に処分できる点が大きな違いといえるでしょう。
また、固定資産税などの税金や修繕費の負担も、名義の形態によって異なります。共有名義の場合は原則として持ち分に応じた負担となりますが、単独名義では所有者が全額を負担します。このため、名義変更を行う際は、これらの費用負担についても明確な取り決めが必要です。
住宅ローンが残る持ち家の分与方法

住宅ローンの残る持ち家の取り扱いに関しては、物件を売却する方法、一方が住み続けながらローンを支払う方法、共同所有を継続する方法の主に3つがあります。いずれの方法を選ぶ場合でも将来的なトラブルを防ぐには、費用負担や権利関係について明確な取り決めが必要です。ここでは、それぞれのケースについて具体的な対応方法を紹介します。
売却する場合
1つ目は、離婚時に持ち家を売却して住宅ローンの残債を完済し、残額を分与する方法です。住宅ローンの状況に応じて、アンダーローンとオーバーローンの2つのケースで対応が異なります。
アンダーローンの場合、売却代金でローンを完済し、残った金額を分配できます。例えば、3,000万円で売却してローン残債が2,000万円の場合、1,000万円を夫婦で分けることが可能です。
オーバーローンの場合、まとまった預貯金があればマイナス分を清算して売却する方法もありますが、預貯金による清算が難しいなら任意売却を検討するとよいでしょう。任意売却とは金融機関と交渉して抵当権を外してもらう方法で、競売よりも高値での売却が期待でき、内見や引き渡しのスケジュール調整も可能です。
売却する際は専門的なノウハウを持つ不動産会社に相談することが重要です。慎重に売却方法を選び、専門家のサポートを受けながら売却を進めることをおすすめします。
一方が住み続ける場合
住宅ローンが残っている持ち家に一方が住み続けるケースでは、名義とローンの状況に応じた対応が必要です。夫がローンの名義人で引き続き住むなら、そのまま返済を継続できます。ただし、妻が連帯保証人になっている場合、夫の支払いが滞ると返済義務が生じる恐れがあるため注意しましょう。
夫がローンの名義人で妻が住む場合、妻に十分な収入があれば住宅ローンの借り換えが可能です。この場合、新たな金融機関で妻名義のローンを組み、既存のローンを完済する方法を取ります。
借り換えが難しいときは、妻が夫にローン分を家賃として支払う方法もあります。このケースでは、家賃の支払い条件や将来的な名義変更について書面で合意を取り交わすことが重要です。また、ローンを完済した後の家の名義をどうするか、修繕費用の負担方法なども含めて具体的に決めておく必要があります。
共同所有のまま継続する場合
離婚後も持ち家を共同所有する場合、さまざまな課題が生じます。不動産の売却や賃貸、リフォームといった重要な意思決定に相手の同意が必要となるため、離婚後も頻繁な連絡や調整が求められます。
固定資産税や管理費のような費用負担も問題となるでしょう。持ち分に応じた分担が原則ですが、具体的な支払い方法や期日について書面での取り決めが必要不可欠です。建物の修繕やリフォームが必要になったときの費用負担方法も、事前に明確にする必要があります。
さらに、相続が発生した場合、権利関係が一層複雑化します。例えば、一方が亡くなった場合、その方の持ち分は相続人に引き継がれるため、元配偶者は見知らぬ相続人と共有関係を強いられることが考えられます。特に、再婚して新たな家族がいると、さらに複雑になるでしょう。
共同所有の継続は将来的なトラブルの原因となりやすいため、可能な限り早期に解消を検討することが望ましいといえます。
離婚後も持ち家に住み続ける際の注意点

離婚後に持ち家に住み続ける場合、経済的な負担と将来的なリスクについて十分な理解が必要です。持ち家を維持するには、固定資産税や修繕費などの継続的な費用が発生し、建物の老朽化に伴う大規模修繕も予想されます。また、将来の売却や相続時には、権利関係の複雑化によってトラブルが生じるかもしれません。ここでは、持ち家を維持する際の注意点を紹介します。
固定資産税や修繕費がかかる
離婚後も持ち家に住み続ける場合、固定資産税や修繕費といった経済的負担が継続的に発生することに注意しましょう。固定資産税は土地・建物に対して毎年課される税金で、所有者には納付する義務があります。
戸建ての場合、外壁や屋根の修繕、庭の植栽の管理など、定期的なメンテナンスにも費用がかかります。マンションは毎月の管理費や修繕積立金の支払いが必須で、火災保険料も必要な支出のひとつです。
このように、住宅ローンが完済済みでも持ち家を維持するには相応の費用負担が避けられません。財産分与の話し合いでは、固定資産税や修繕費などのランニングコストをどちらが負担するのか、明確に取り決めることが重要です。
さらに、建物の経年劣化に伴い、将来的には大規模修繕や設備の更新といった高額な支出も予想されます。これらの費用負担を考慮せずに、安易に持ち家に住み続けることを選択すると、後々の生活設計に支障をきたす恐れがあるでしょう。
売却や相続時にもめる恐れがある
離婚後の持ち家は、将来の売却や相続時に深刻なトラブルが発生する場合があります。特に問題となるのが、再婚後に新しい家族ができたときの権利関係です。以前の配偶者との間の子どもは、離婚後も法定相続人としての権利を保持します。そのため、再婚して新たな家族ができると、前の子どもと現在の配偶者・子どもが共同で相続人となります。
遺産分割では全ての相続人の合意が必要となり、一部の相続人を除外した話し合いや多数決による決定は認められません。協議が難航した場合、家庭裁判所での調停や審判が必要となり、解決までに長期化する恐れがあります。
このようなトラブルを防ぐには、公正証書遺言の作成が効果的です。公証人が作成する公正証書遺言は、高い信用性を持ち、相続人間での争いを防げます。ただし、子どもには遺留分が認められているため、相続分を完全にゼロにすることはできません。
関連記事 : 家の財産分与と住宅ローンの扱い方【離婚時のポイント】
リースバックを活用した解決方法

離婚時の持ち家問題を解決する選択肢としてリースバックがあります。所有する不動産を売却して住宅ローンを完済しつつ、賃借人として住み続けられる仕組みです。ここでは、リースバックの具体的な仕組みとメリット、手続きの流れ、契約時の注意点について詳しく解説します。住宅ローンの返済に悩む方や財産分与をスムーズに進めたい方にとって、有効な解決策となるでしょう。
リースバックの仕組みと活用メリット
リースバックとは、持ち家を売却して賃貸借契約を結ぶことで、持ち家に住み続けられる仕組みです。この方法は、離婚時の持ち家問題を解決する有効な手段となるでしょう。
売却代金によって住宅ローンを一括返済できるため、返済義務から解放されます。また、名義変更も同時に行われるため、権利関係がすっきりと整理できます。住宅売却後も賃貸で住み続けられるため、慣れ親しんだ環境で生活を継続できる点も大きなメリットです。
また、不動産の所有者としての負担も軽減します。固定資産税や都市計画税の支払い、建物の修繕費用といった経済的負担から解放されるためです。さらに、売却による資金化が早いため、財産分与もスムーズに進みます。
ただし、売却価格が通常の不動産売却より低くなる傾向があることや新たに家賃支払いが発生することは考慮したほうがよいでしょう。また、賃貸の契約期間に制限があるケースもあるため、契約内容は慎重に確認する必要があります。長期的な居住を希望する場合、契約更新の可否について事前に確認することが重要です。
関連記事 : 【徹底解説】リースバックとは?その意味と活用事例
リースバックを活用する際の手続き
リースバック契約を進める際の手続きは、大きく3つの段階に分かれます。まずはリースバック会社を複数選定し、一次査定を依頼しましょう。査定は机上査定と訪問査定があり、訪問査定はより正確な価格が提示されます。この段階で必要な書類は、物件の権利証または登記識別情報通知、リフォーム履歴が分かる資料です。複数社から査定を受けることで、より有利な条件を引き出せる可能性があります。
次に、買い取り価格と家賃が提示され、条件交渉を行います。ここでは保証会社の審査も必要です。安定した収入があれば、審査は比較的容易に通過できるでしょう。
最後に、売買契約と賃貸借契約を同時に締結します。契約時には身分証明書や印鑑証明書、収入証明書などが必要です。所有権移転と同時に賃貸借契約が開始し、以降は賃借人として毎月の家賃を支払いながら、これまでと変わらない生活を続けられます。
リースバックで注意したいポイント
リースバックでは、賃貸借契約に関していくつか注意が必要です。まずは契約期間を確認しましょう。定期借家契約の場合、原則更新できないため、長期間の居住を希望する方は普通借家契約の締結を検討する必要があります。
契約内容では、家賃の額と支払い方法、修繕費用の負担区分を慎重に確認することが大切です。家賃はリースバックの売却額によって決まり、周辺相場より高くなるケースもあるため、長期的な支払い計画を立てておく必要があります。また、設備の故障や建物の経年劣化による修繕が必要になった際の費用負担についても、契約書で明確にすることが重要です。
将来買い戻しを検討している場合、買い戻し価格や条件について契約時に明確な取り決めを行うことをおすすめします。買い戻し特約を契約書に盛り込むことで、将来的な選択肢を確保できるでしょう。
まとめ

離婚するときに持ち家の取り扱いを考える際は、住宅ローンと不動産名義を確認しましょう。住宅ローンが残る持ち家の財産分与は、売却による換価や名義人が住み続ける方法があり、状況に応じて選択する必要があります。住み続ける場合、住宅ローンの返済責任の所在を明確にし、書面で取り決めることが重要です。
ただし、住宅ローンの他にも、固定資産税や修繕費用の分担、将来的な相続問題といった課題が残ります。離婚しても持ち家に住み続けたいなら、リースバック制度の活用をご検討ください。不動産を売却しながらも住み続けられるため、生活環境を維持したまま、権利関係をすっきりと整理できます。売却代金で住宅ローンを完済することで、返済負担から解放されるのも魅力です。
リアルエステートのおうちのリースバックでは、他では買い取りが難しい物件でも積極的に対応しています。離婚による財産分与の相談から具体的な売却手続きまで、専門スタッフが丁寧にサポートします。まずは無料査定で、お持ちの物件の価値を確認してみてはいかがでしょうか。