最終更新⽇時
2026/03/03借地権でも住宅ローンを組める!利用可能な金融機関と審査のポイント
- 底地・借地

「借地権付き建物の購入時には住宅ローンを組みにくい」と聞いて、不安に感じる方もいるのではないでしょうか。借地権付き建物は土地の所有権がない分、一般的な住宅と比較すると住宅ローン審査が厳しくなる傾向がありますが、条件を満たせば住宅ローンの利用は可能です。
この記事では、借地権付き建物の住宅ローン審査が厳しくなる理由や借地権付き建物でも住宅ローンの利用が可能な金融機関を紹介します。住宅ローン審査に通過するための対策も解説するため、ぜひ参考にしてください。
\底地・借地権売却をプロに相談!/
-
-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
-
-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
Contents
借地権とは?住宅ローン審査が厳しくなる理由

借地権付き建物の購入を検討する上で、まず理解しておきたいのが「借地権とはどのような権利か」「なぜ住宅ローンの審査が厳しくなりやすいのか」という点です。借地権付き建物の購入時に住宅ローンを利用するためにも、借地権の基本的な仕組みと金融機関側の評価について押さえておきましょう。
借地権の仕組み
借地権とは、地主が所有する土地を借り、その上に自分名義の建物を建てて利用できる権利を指します。建物は自分の資産でも、土地の所有権は地主にある点が特徴です。そのため、建て替えや増改築、売却など、土地の利用方法に変更が生じる場合は地主の承諾が必要です。この点が、土地を自由に利用・処分できる所有権と異なります。
借地権は、地上権と賃借権の2種類に大別されます。地上権は原則として地主の承諾なしで自由に土地を利用できる権利、賃借権は土地の利用に際して地主の承諾が必要な制約の多い権利です。地上権は借地人の権利が強いことから、実務上は賃借権が用いられるケースが一般的です。
さらに、借地権は契約時期や契約期間、更新の有無によって旧借地権・普通借地権・定期借地権に分けられます。旧借地権・普通借地権・定期借地権の違いは、以下の通りです。
| 項目 | 旧借地権 | 普通借地権 | 定期借地権 |
| 根拠法令 | 借地法(1992年8月1日に廃止) | 借地借家法(1992年8月1日に施行) | 借地借家法 |
| 契約期間 | 非堅固建物:20年堅固建物:30年 | 30年以上 | 50年以上(種類による) |
| 契約満了後の扱い | 更新可能 | 更新可能 | 更新不可、更地返還 |
| 更新後の存続期間 | 非堅固建物:20年以上堅固建物:30年以上 | 初回:20年2回目以降:10年 | なし |
関連記事:借地権とは?種類や所有権との違い、メリットまで解説
借地権だと住宅ローンを組めないといわれる理由
借地権付き建物は住宅ローンを組めないといわれることがありますが、実際には条件次第で利用できます。ただし、所有権の不動産と比べて審査が厳しいのは事実です。
借地権付き建物の住宅ローン審査が厳しい理由のひとつは、土地を担保として設定できない点です。
住宅ローンを組んで不動産を購入する際、通常金融機関は土地と建物の両方に抵当権を設定して担保とします。借地権の場合、担保にできるのは原則建物のみです。万が一、借主が返済不能に陥った際の回収リスクが高くなるため、金融機関はより慎重に審査を進める傾向があります。
また、地主から借地人が借地契約を解除される恐れがある点や、定期借地権の場合は契約更新が認められないといった点も、住宅ローン審査にマイナスに働く要素です。
関連記事:借地権に抵当権は設定できる?民法上の関係と担保価値について解説
\底地・借地権売却をプロに相談!/
借地権付き建物でも住宅ローンを組める金融機関

借地権付き建物は住宅ローンが組みにくいものの、融資に対応する金融機関も存在します。住宅ローンを利用して借地権付き建物を購入したいなら、どの金融機関がどのような条件で対応しているか確認することが大切です。ここでは、借地権付き建物でも住宅ローンを組める代表的な金融機関と特徴を紹介します。
フラット35
フラット35は、住宅金融支援機構と民間の銀行が提携して提供する全期間固定金利型の住宅ローンです。一般の住宅ローンと比べて、物件や申込者の条件が比較的明確に定められており、借地権付き建物に対しても一定の基準を満たせば融資対象となります。
まずは、借入対象となる不動産に住宅金融支援機構を第1抵当権者とする抵当権の設定が必要です。また、借入期間は借地契約の残存期間に合わせる必要があります。契約更新が可能な普通借地権は通常の不動産同様の借入期間を設定できますが、契約更新できない定期借地権は残存期間が借入期間の上限です。
抵当権の設定に際して地主の承諾がなくても利用できる可能性があるため、住宅ローンを組んで借地権付き建物を購入したいなら、フラット35を取り扱う金融機関に相談するとよいでしょう。
一部の銀行
借地権付き建物でも、銀行によっては条件つきで住宅ローンの利用が可能です。例えば、普通借地権であること、地主から抵当権設定に関する承諾書を取得できることなどを前提に、融資を検討してもらえる可能性があります。
一方、実店舗を持たないネット銀行は借地権付き建物を対象とした住宅ローンを取り扱っていないケースが大半です。ネット銀行は審査の効率化やリスク管理を重視する傾向が強く、担保評価の低い借地権付き建物を最初から融資の対象外としていることが多いためです。
借地権付き建物の購入で銀行の住宅ローンを利用したいなら、まずは店舗型の銀行を中心に個別相談に行くことをおすすめします。
ノンバンク
ノンバンクとは、預金業務は行わずに融資に特化した金融機関です。ノンバンクは銀行よりも柔軟な融資審査基準を採用しているケースが多く、借地権付き建物の購入でもローンを組める可能性が高いでしょう。銀行では取り扱いを断られた場合でも、ノンバンクであれば個別の事情を踏まえて審査を進めてもらえることがあります。
ただし、審査体制が柔軟とはいえ、必ずしも全てのケースでローンを利用できるわけではありません。借地契約の内容や物件の担保評価、申込者の返済能力によっては、審査に落ちることがあります。
また、フラット35や銀行の住宅ローンと比べて金利は高めに設定される傾向があり、総返済額が大きくなりやすい点に注意が必要です。利用する際は、金利条件と返済計画を十分に確認した上で慎重に判断することが大切です。
\底地・借地権売却をプロに相談!/
借地権付き建物の購入で住宅ローンを利用するための対策

借地権付き建物でも住宅ローンを利用できる可能性はありますが、申し込めば必ず審査に通るわけではありません。審査に通過する可能性を高めるには、事前準備を徹底することが大切です。ここでは、借地権付き建物の購入で住宅ローンを利用するためにやっておきたい対策について解説します。
複数の金融機関に相談する
借地権付き建物の購入で住宅ローンを利用したいなら、複数の金融機関に相談することがポイントです。借地権付き建物に対する住宅ローンの取り扱いは金融機関ごとに異なるため、ある銀行で融資を断られても、別の銀行では条件付きで融資に応じてくれるケースもあります。
複数の窓口に事前相談を行い、融資の可否や条件を比較することで、借地権付き建物でも住宅ローンを利用できる金融機関を見つけられる可能性が高まります。借地権付き建物の購入では最初から一択に絞らず、情報収集と同時に複数の窓口へ相談する姿勢が成功の鍵といえるでしょう。
借入金額を少なくする
借地権付き建物の購入で住宅ローンを利用する場合、借入金額をできるだけ抑えることが審査通過率を高める上で有効な対策です。
土地を担保にできない分、金融機関は回収リスクを考慮して慎重に判断するため、借入金額が大きいほど審査は厳しくなる傾向があります。そのため、借地権付き建物の購入時には頭金を多く用意し、借入金額を少なくすると審査に通過する可能性が高まります。
また、住宅ローン審査で重視されるのが「返済比率」と呼ばれる指標です。返済比率とは、年収に対する年間返済額の割合で、一般的に年収の25%~35%以内が望ましいとされています。この範囲内であれば無理のない返済計画と判断されやすく、借地権付き建物でも住宅ローン審査に通りやすくなるでしょう。
関連記事:住宅ローンは年収の何倍まで借りられる?適正な借入額と注意点を解説
借地権に精通した不動産会社に相談する
借地権付き建物の購入で住宅ローンを利用する際に重要なのが、借地権の取り扱い実績が豊富な不動産会社に相談することです。
借地権付き建物の取引では、通常の不動産売買と異なり、地主との交渉が不可欠となる場面が多く発生します。特に住宅ローンを利用する場合、抵当権設定に関する承諾など、金融機関が求める条件について地主の同意を得なければなりません。
借地権に精通した不動産会社であれば地主との交渉術に長けており、承諾を得るための交渉の進め方や説明方法を熟知しています。専門知識を持つ不動産会社が間に入ることで地主の不安や疑問を適切に解消し、融資承諾をもらいやすくなるため、結果的に住宅ローンを組める可能性が高まります。
借地権付き建物の購入では、金融機関だけでなく、不動産会社選びも成否を左右する重要なポイントといえるでしょう。
\底地・借地権売却をプロに相談!/
借地権付き建物の購入で住宅ローン審査を受ける前に確認すべきポイント

住宅ローンの申し込み前には、金融機関が特に何を重視してチェックするかを事前に把握することが欠かせません。ここでは、借地権付き建物の購入で住宅ローン審査に臨む前に最低限確認しておきたいポイントを紹介します。
借地契約の内容
住宅ローン審査において、金融機関が重視するのが借地契約の種類と契約内容です。特に普通借地権と定期借地権のどちらが設定されているかは、融資可否に大きく影響します。
普通借地権は契約更新が可能で、長期間にわたって土地を利用できることから金融機関にとっても担保価値や返済期間との整合性が取りやすく、比較的審査に通りやすい傾向があります。
一方、定期借地権は契約期間の満了と同時に土地を地主へ返還しなければなりません。そのため、残りの契約期間が短い場合は住宅ローンの返済期間を十分に確保できず、融資を断られる恐れがあります。
関連記事:普通借地権とは?定期借地権との違いや相続・契約更新のポイント
借地権付き建物の資産価値
借地権付き建物でも物件そのものの資産価値が高いと判断されれば、住宅ローンを借りられる可能性は十分にあります。
金融機関は土地を担保にできない分、建物や立地条件をより厳しく評価します。築年数が浅い物件や将来的に需要が見込めるエリアに建つ物件ほど、担保として評価を得やすいでしょう。
申込者の属性
借地権付き建物に限らず、住宅ローン審査では申込者の属性が融資の可否を左右する重要な判断材料です。
具体的には、年収や勤務先の規模・安定性、勤続年数、健康状態、既存の借入金額などが総合的に審査され、長期間にわたって安定した返済ができるかどうかを厳しく見極められます。申込者の属性が審査基準を満たしており、返済能力に問題がないと判断されれば、借地権付き建物でも住宅ローンを利用できる可能性があるでしょう。
特に借地権付き建物は担保評価が低くなりやすいため、金融機関は申込者の返済能力をより重視する傾向があります。審査を有利に進めるには「購入直前の転職はできるだけ避ける」「他の借入がある場合は事前に完済する」「延滞・滞納履歴のない良好な信用情報を維持する」といった対策が大切です。
また、住宅ローンを利用する際には団体信用生命保険(団信)への加入を求められることが一般的です。団体信用生命保険とは、ローン契約者が死亡、もしくは高度障害状態に陥った際に保険金で残債が完済される仕組みです。
健康状態に問題がある場合は団信に加入できず、ローンも組めません。健康上の理由で団信への加入が難しい場合、団信なしでも利用できるフラット35を選択肢として検討しましょう。
\底地・借地権売却をプロに相談!/
借地権付き建物購入時の住宅ローン審査の流れ

借地権付き建物で住宅ローンを利用する場合でも、審査の基本的な流れは一般的な不動産と変わりません。ただし、地主の承諾の取得など借地権特有の確認事項が加わるため、通常より時間がかかることがある点に注意が必要です。手続きをスムーズに進めるためにも、事前に全体の流れを把握しておきましょう。
事前審査
住宅ローンの手続きは、事前審査(仮審査)から始まります。事前審査では、主に融資申込者の年収や勤務先、既存年数、返済負担率などの属性情報をもとに審査が行われます。
審査結果が出るまでの期間は、おおむね3日~1週間ほどです。なお、事前審査はあくまで「仮の判断」で、この段階で承認されても本審査に必ず通るわけではありません。
正式申し込み
事前審査を通過したら、必要書類をそろえて正式に住宅ローンに申し込みます。正式申し込みでは、仮審査より詳細な情報の提出が求められます。本人確認書類や収入証明書、勤務先に関する資料に加え、売買契約書や借地契約書の写しなど、物件および借地権に関する書類も必要です。
借地権付き建物の場合、特に借地契約の内容や地主の承諾に関する書類が重視されるため、不備があると審査が滞る原因となります。必要書類が全てそろった時点で金融機関は本審査の準備に進むため、不動産会社や金融機関と連携し、早めに書類を準備することが大切です。
本審査
正式申し込みが完了すると、次は本審査です。本審査では、事前審査より詳細な確認が行われます。申込者の返済能力だけでなく、健康状態や物件の担保価値、借地契約の内容、地主の承諾の有無など、あらゆる観点から多角的にチェックされます。
また、多くの金融機関では団体信用生命保険への加入可否も重要な審査項目で、健康状態によっては条件変更や否決となるケースもあるため注意が必要です。本審査の結果が出るまでの期間は、おおむね1週間~1か月程度です。
契約
本審査を無事通過したら、金融機関と住宅ローンの利用に関する契約(金銭消費貸借契約)を交わします。この契約によって、借入金額や金利タイプ、返済期間、返済方法、保証内容といったローン条件が正式に確定します。長期間にわたる返済に直結するため、契約書の記載事項は細部まで慎重に確認することが大切です。
融資実行と物件の引き渡し
住宅ローンの契約が完了すると、いよいよ融資実行と物件の引き渡しです。融資実行日には金融機関経由で売主に借入金が直接支払われ、これをもって売買代金の決済が行われます。同時に、司法書士によって建物の所有権移転登記や住宅ローンの抵当権設定登記が実施され、法的にも購入者が正式な所有者となります。
\底地・借地権売却をプロに相談!/
まとめ

借地権付き建物でも、条件を満たせば住宅ローンの利用は可能です。ただし、金融機関ごとに対応は異なるため、複数の選択肢を比較しながら検討しましょう。また、審査通過率を高めるには「頭金を多く準備して借入金額を減らす」「借地権に精通した不動産会社に相談する」といった対策も重要です。
借地権付き建物の購入時に住宅ローンは組めるか、どの金融機関に相談すればよいかと悩んでいる方は、リアルエステートが運営する「おうちの相談室」をご活用ください。借地権特有の契約内容の確認から金融機関選び、地主との調整、資金計画の立案まで、借地権に精通したスタッフが総合的にサポートします。
-
-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
-
-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける