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2026/09/05法定地上権とは?成立要件や成立しないケースをわかりやすく解説
- 底地・借地
「法定地上権とはいったいどういう仕組みなのか」「成立するとどうなるのか」といった疑問を抱えている方もいるでしょう。
法定地上権は、競売などによって土地と建物の所有者が分かれた場合に、建物の所有者を保護する制度です。法定地上権が成立すると、土地・建物の権利関係が複雑になって売却しにくくなるため、注意が必要です。
この記事では、法定地上権の仕組みや成立するケースとしないケース、成立後の影響、明け渡し請求ができる条件について解説します。法定地上権付きの不動産を売却する方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
Contents
法定地上権とは?

法定地上権と混同されやすい権利に「地上権」と「土地の賃借権」があります。いずれも他人の土地を利用して建物を所有するための権利ですが、権利の性質や発生する理由に大きな違いがある点を押さえておきましょう。
ここでは、法定地上権の定義、地上権・土地の賃借権との違いについて解説します。
法定地上権の定義
法定地上権とは、一定の条件を満たした状態で土地と建物の所有者が分かれた際に、建物所有者が土地を利用し続けられるよう、法律上成立する地上権です。
例えば、もともと土地と建物を同じ人が所有しており、土地だけが競売によって第三者の所有物になったとします。このとき、建物所有者に土地を使用する権利がなければ、建物を解体して立ち退かなければなりません。このような事態を避けるために設けられているのが、民法第388条で規定される「法定地上権」です。
なお、国税徴収法や立木法などにも法定地上権に関する規定がありますが、本記事では、主に抵当権の実行によって成立する民法388条の法定地上権について解説します。
法定地上権と地上権の違い
法定地上権と通常の地上権の大きな違いは、「当事者の合意によって設定するか」「法律上の要件を満たすことで自動的に成立するか」という点です。
通常の地上権は、土地所有者と土地を利用する人との間で契約を交わして設定するのが一般的です。土地所有者の合意のもと、建物や工作物などを所有する目的で他人の土地を利用する権利を設定します。
一方、法定地上権は、土地所有者と建物所有者が地上権を設定する契約を結んでいなくても、民法388条などが定める要件を満たせば法律上成立します。
関連記事:地上権のデメリットは大きい?地主に不利とされる理由と後悔しない判断ポイント
法定地上権と土地賃借権の違い
法定地上権と土地の賃借権は、どちらも他人の土地を利用するための権利ですが、成立の仕組みや権利の性質が異なります。
賃借権は、地主と借主との間で賃貸借契約を結ぶことで成立する「債権」です。賃借権を第三者へ譲渡したり、土地を転貸したりする場合には、原則として地主の承諾がなければなりません。
一方、法定地上権は、民法388条などが定める要件を満たすことで法律上成立する「物権(第三者への権利の主張が可能)」です。法定地上権が成立すると、建物所有者は地主の承諾がなくても、その建物を所有・利用するために必要な範囲で土地を使用できます。
関連記事:地上権と賃借権の違いとは?借地権の基礎知識を分かりやすく解説!
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法定地上権が成立する4つの要件
民法388条による法定地上権が成立するためには、以下の4つの要件を全て満たす必要があります。
- 抵当権を設定した時点で土地上に建物が存在
- 抵当権設定時に土地と建物の所有者が同一
- 土地または建物の一方・両方に抵当権が設定
- 競売によって土地と建物の所有者が別になる
前提として、「抵当権を設定した時点で土地上に建物が建っており、土地と建物を同じ人が所有している」ことが条件となります。加えて、競売により所有者が別々になることが想定されているため、土地と建物のどちらか、あるいは両方に抵当権が設定されていることも要件の一つです。そして競売により、土地と建物の所有者が分かれた場合に、法定地上権が成立します。
関連記事:「抵当権」ってどういう権利?内容やメリット・デメリットなどを分かりやすく解説
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法定地上権が成立するとどうなる?

「法定地上権が成立すると、いったいどうなってしまうのか」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。ここでは、法定地上権が認められた場合に建物所有者と土地所有者それぞれにどのような影響がおよぶのかについて解説します。
建物所有者は土地を利用し続けられる
法定地上権が認められると、競売などで土地と建物の所有者が別々になったとしても、建物所有者はその敷地を引き続き利用できます。土地が第三者の所有になったからといって、すぐに土地を返還する必要はありません。法定地上権が存続している間は、建物を使用するために必要な範囲で土地を利用できます。
法定地上権の存続期間は、原則30年です。期間満了後も、一定の要件を満たせば更新されます。初回更新後の存続期間は20年、2回目以降は10年です。
土地所有者は建物所有者から地代を受け取れる
法定地上権が成立すると、土地所有者は建物所有者に対して地代の支払いを求められます。地代の金額は、公租公課や近隣相場などを参考にしながら、当事者間で話し合って決めるのが一般的です。
双方の話し合いがまとまらない場合は裁判所に地代を定めてもらうことが可能ですが、裁判所での手続きには一定の費用と時間がかかる点に注意が必要です。
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法定地上権付き不動産の明け渡し請求ができる条件

法定地上権が存続している間は、土地所有者であっても、建物所有者に建物の撤去や土地の返還を求めることは原則としてできません。一方、一定の条件を満たせば明け渡しを求められる場合があります。ここでは、代表的なケースを見ていきましょう。
存続期間中に法定地上権を合意解除した場合
法定地上権の期間が残っていても、土地所有者と建物所有者が話し合い、双方が納得したうえで権利を終了させることは可能です。合意によって法定地上権が消滅すれば、建物所有者は土地を利用する権利を失うため、土地所有者は建物の撤去や土地の返還を求められるようになります。
解除にあたってどのような条件を設けるかは、当事者間の協議で決めます。例えば、土地所有者が建物を買い取る方法や、建物の取り壊しに必要な費用を土地所有者が一部負担する方法などが挙げられます。
法定地上権の更新をしなかった場合
法定地上権は、存続期間の満了後も一定の要件を満たせば更新されます。しかし、土地所有者に「土地を利用する必要性がある」などの正当事由がある場合には、更新を拒絶できることがあります。
法定地上権が期間満了によって消滅すれば、建物所有者は土地を利用する根拠を失うため、土地所有者は建物の撤去や土地の返還を求められます。なお、期間満了によって更新されない場合には、建物所有者に建物買取請求権が認められることがあります。
更新後に建物が滅失し、地主の承諾なく再築した場合
法定地上権の対象となる建物が火災や老朽化などによってなくなったとしても、それだけを理由に法定地上権まで消滅するわけではありません。
ただし、契約更新後に建物が滅失し、建物所有者が土地所有者の承諾を得ないまま、残存期間を超えて存続する建物を新たに建てた場合、土地所有者は法定地上権の消滅を求められます。この場合、請求から3か月が経過した時点で法定地上権が消滅します。
建物所有者が地代を滞納した場合
法定地上権の存続期間中、建物所有者は土地の使用対価として地代を支払い続けなければなりません。もし建物所有者が2年以上にわたって地代の支払いを怠った場合、土地所有者は法定地上権の消滅を請求可能です。
実際に法定地上権が消滅した場合には「建物を取り壊して更地で返還するのか」「建物をどのように処分するのか」などといった問題も生じるため、弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。
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法定地上権が成立しないケース

土地や建物に抵当権があるからといって、法定地上権が認められるとは限りません。抵当権を設定した時点の土地・建物の状況や競売後の状態によっては、成立しないケースもあります。
ここでは、法定地上権が成立しない主な5つのケースを解説します。
更地に抵当権を設定した後で建物を建てた場合
土地に抵当権を設定した時点では建物がなく、その後に建築されたケースでは、原則として法定地上権は成立しません。民法388条による法定地上権が認められるには、現在建物が建っているかどうかではなく、「抵当権が設定された時点で建物が存在していたか」が判断のポイントとなります。
土地と建物に共同抵当権を設定した後に建物を再築した場合
土地と建物の双方に共同抵当権を設定した後、既存の建物を取り壊して新築したケースでは、原則として新しい建物のための法定地上権は認められません。新しい建物は、既存の建物とは別として扱われるためです。
なお、新しい建物と土地の所有者が同じ、かつ新建物にも土地の抵当権と同順位の共同抵当権が設定されているなど、特段の事情があるときは取り扱いが異なることがあります。
抵当権設定時に土地と建物の所有者が異なっていた場合
抵当権を設定した時点で土地と建物を別々の人が所有していた場合も、原則として法定地上権は成立しません。
土地と建物の所有者がもともと別であれば、一般的には借地権が設定されています。建物所有者は土地所有者との契約の範囲内で土地を利用でき、不利益を受けることがないため、法定地上権を認めなくても問題がないのです。
競売後も土地と建物の所有者が同じ場合
抵当権が実行されても、競売後に土地と建物の所有者が同じである場合にも法定地上権は成立しません。
法定地上権は、競売による建物の強制撤去を未然に防ぐ制度です。競売により、同一人物が土地と建物を取得した場合は第三者から建物の撤去や土地の返還を求められることはないため、法定地上権を成立させる必要がありません。
土地の共有持分の抵当権が実行された場合
共有している土地のうち、一部の共有持分だけに抵当権が設定され、その抵当権が実行されたケースでも、原則として法定地上権は認められません。仮に法定地上権を認めると、他の共有者が土地の利用を制限されるなどの不利益を受けるためです。
一方で、他の共有者が法定地上権の発生をあらかじめ容認していたなどの場合には、成立が認められることがあります。
関連記事:共有持分は売却できる?トラブルなく手放す方法と注意点を解説!
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法定地上権付きの不動産は売却できる?
法定地上権付きの不動産でも売却できますが、土地を所有者が自由に使えないため、一般の買い手は見つかりにくいといわざるを得ません。建物も住宅ローンの利用がしにくいため、売却は困難です。
しかし、法定地上権付き不動産の取り扱いに慣れている専門の不動産業者に依頼すれば、スピーディーに売却できます。土地を取得した後に建物所有者とも交渉し、土地と建物を一体化して活用・再売却するなどといったノウハウを持っているためです。
法定地上権付きの不動産を手放したいと考えているなら、権利関係が複雑な不動産の取り扱いに長けた不動産業者に相談するとよいでしょう。
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まとめ

法定地上権は、競売によって土地と建物の所有者が別々になった場合に、一定の要件を満たすことで法律上成立する権利です。法定地上権が認められれば、建物所有者は土地を利用し続けられます。
ただし、法定地上権付きの土地・建物は権利関係が複雑で、一般的な不動産より売却しにくい傾向があります。法定地上権付き不動産を手放したいと考えているなら、権利関係が複雑な不動産の取り扱いに慣れている不動産業者へ相談することが大切です。
リアルエステートの「おうちの相談室」では、複雑な権利関係を抱える不動産を所有する方のお悩みに寄り添い、問題を解決するサポートをしています。必要に応じて弁護士などの専門家の知見も交えながら最適な解決策をご提示しますので、法定地上権付きの不動産の取り扱いにお困りの方は、お気軽にご相談ください。
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