最終更新⽇時
2023/10/05「抵当権」ってどういう権利?内容やメリット・デメリットなどを分かりやすく解説
- 不動産の知識
-
-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
-
-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
\リースバックのご相談はこちら!/
Contents
「抵当権」とは?
「住宅」にまつわる情報を見ていると、しばしば目にするワードの一つに「抵当権(ていとうけん)」があります。
今回は、この「抵当権」について、詳しい内容を解説していきたいと思います。
まず、「抵当権」とは、金融機関が主張できる権利であり、主にローンの担保として設定されるものです。
例えば、あなたが住居を購入するために「住宅ローン」を利用するとしましょう。
もちろん、住宅ローンを利用せずに、ポンと一括でお金を出すことができれば良いのですが、こうした何千万円といった大金を扱う機会には、多くの方が「住宅ローン」の活用を検討されるケースが多いと思います。
その際、お金を貸す側である「金融機関」が、あなたが購入する住宅の「土地」や「建物」に対して「設定する権利」のことを「抵当権」と呼びます。
これは、お金を貸す側である「金融機関」を守るための権利であり、俗に言う「担保を取る」という表現に値します。
お金を借りた側である「債務者」が、万が一にも返済ができなくなってしまった場合には、金融機関が担保として設定された土地や建物を持ってして、弁済を受けることができる権利ということになります。
一例を挙げると、あなたが抵当権の付いた住宅ローンを利用している場合、もしも返済が著しく滞ってしまった場合、購入した住宅が差し押さえられ、競売にかけられてしまうようなイメージになるでしょう。
このような背景から、住宅ローンの呼び方も、抵当権の有無によって「無担保ローン」「有担保ローン」と呼び分けて、扱われることが多くなっています。
あなたが住宅ローンを利用する際には、どちらの種類に属するのかを、ぜひチェックしてみると良いでしょう。
さて、こうした「抵当権」に関しては、確実に担保を取るために、基本的には「司法書士」が設定登記を代行するケースが多く見られます。
かつては、金融機関が自ら司法書士を探し出しアサインする形が主流でしたが、昨今では不動産会社が司法書士を紹介することも増えてきているようで、金融機関側としても、抵当権の登記に向けてのハードルが低くなっている傾向があります。
また、抵当権を登記するために必要な費用があります。
主な内容を以下にまとめます。
登録免許税【抵当権を登録する場合】
抵当権登記に際し、発生する税です。
基本的には、税額は「住宅ローンの融資額×0.4%」です。
ただし、住宅の床面積の広さなど、一定の要件を満たす場合には、税率が変更する場合がありますので、対象となる住宅ではどうなるのか確認するようにしましょう。
司法書士への報酬【抵当権を登録する場合】
報酬額は条件によっても異なります。
報酬額は、所有権移転や抵当権設定登記の件数によって変動します。一般的には3〜10万円前後です。
ごく一般的な場合においては、3〜10万円弱であることが多いようです。
\リースバックのご相談はこちら!/
「抵当権」を抹消する手続きについて
「抵当権」が主張される期間は、債務者が「住宅ローン」を完済するまでの間に限定されます。
そこで、めでたく住宅ローンを完済したあかつきには、土地や建物に設定されている抵当権を抹消する手続きが改めて必要となってきます。
実は、「ローンは完済したのだから、問題ないだろう」なんて、抹消手続きを行わずにいると、影響が出てくる可能性が懸念されます。
例えば、対象となる住宅を「売却」しようと考えた時に、抹消手続きを行わずにいると、登記簿上では抵当権が設定されたままの状態となるために、売却手続きを進める際に支障が出てしまいます。
こうした問題を避けるためにも、抵当権付きの住宅ローンを利用される際には、完済時に速やかに抵当権の抹消手続きを行うようにしましょう。
具体的な、抹消手続きの方法について解説していきます。
抵当権の設定にも登記が行われましたが、同様に抹消時にも登記が必要となります。
抵当権の設定と抹消の異なる点として、登記設定は金融機関が主体となって進められますが、登記抹消はそうではありません。
抵当権の抹消に関しては、お金を借りていた債務者が自ら行う必要があるのです。
住宅ローン完済後、抵当権抹消に必要な書類が金融機関から送られてきます。これらを基に、法務局で手続きを行います。
それらを元に、自ら法務局に足を運んで手続きするなり、司法書士に依頼するといった形で作業を進めていくことになります。
そして、抹消手続きを行うにあたって、発生する費用も忘れてはなりません。
大きく分けて以下の項目となります。
登録免許税【抵当権を抹消する場合】
抵当権の抹消に必要な税です。
不動産1つにつき1,000円の登録免許税がかかります。
一般的には、土地に対して1,000円、建物に対して1,000円の、計2,000円が相場です。
司法書士への報酬【抵当権を抹消する場合】
司法書士へ依頼をして抹消手続きを進める際には、報酬の支払いが必要となります。
依頼先によりますが、司法書士への報酬は1万5,000円〜2万円前後が一般的です。
\リースバックのご相談はこちら!/
「抵当権」を設定するメリット・デメリット
抵当権の有無によって、メリット・デメリットがそれぞれ存在します。
ここでは、お金を借りる側である「債務者」と、お金を貸す側である「金融機関」それぞれの目線で、改めてメリット・デメリットについて整理していきます。
抵当権を設定するメリット
債務者にとっては、抵当権設定によって「担保を取られた」と感じるかもしれませんが、実際には「当該住宅に住み続けながら借金を返済できる」メリットがあります。
完済後に抵当権を抹消すれば、新たな融資を受けることも可能であり、特に事業者にとっては有利です。
また、金融機関にとっては、万が一にも債務者の住宅ローンの返済が行えなくなってしまった場合でも、当該住宅を売却し、そこで得た代金を債務の回収に充填することができる点が最大のメリットです。
メリットとデメリットの比較
抵当権の付いた不動産を購入する際の最大のデメリットは、やはり「いつでも所有権を失う可能性がある」点と言えるでしょう。
ローン返済が滞ると、金融機関が競売にかけて債権回収を図る可能性があります。
極端な例を挙げると、抵当権が付いたままの物件を売買する場合に、仮に「売主」がまだ借入金を返済できていない場合には、「買主」は何もしていなくても家や土地の所有権を失ってしまう可能性があります。
しかし、基本的には不動産の売買時にこのようなケースはほとんど稀であり、現実としては司法書士の立ち合いの元、然るべき手続きを経て決済が行われることがほとんどです。
また、抵当権は、借り入れや完済を行うたびに、その都度設定や抹消にまつわる手続きを行う必要があるため、時間的にも金銭的にもコストがかかる点はデメリットの一つと言えるでしょう。
こうした点も考慮しながら、抵当権について理解を深めてみて下さいね。
\リースバックのご相談はこちら!/
「抵当権」の付いた不動産を相続する場合
抵当権の対象となっている不動産を相続することは可能です。
一般的な不動産と変わりなく、相続税が課税されるという点も同様です。
不動産を相続する際には、抵当権が設定されていても相続税評価額が変わるわけではないことを理解しておきましょう。
抵当権の付いた不動産を相続したら、まずは最初にその内容について詳しく調べてみましょう。
その際には、司法書士に依頼し、不動産登記簿などの参考情報を入手するといった手段が有効です。
特に注視すべきポイントの一つ目として、前述の「抵当権の抹消」について確認しておきましょう。
抵当権設定の記載があったとしても、既に抹消されている可能性もあるため、この部分に関してはよく確認しておくことをおすすめします。
不動産と共に、借金も合わせて相続する場合には、相続放棄を検討することも選択肢の一つと言えます。
不動産などの資産を相続するだけではなく、借金を継承する場合もあるため、資産と負債のバランスをきちんと把握した上で、相続するかを考える必要があります。
相続放棄を進めるのであれば、家庭裁判所にその旨を申し出ることになります。
相続放棄に関しては、申請できる期間が非常にタイトになっており、民法によると「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内と定められています。
こうした期間も意識しながら、相続の検討を進めていく必要があるのです。
\リースバックのご相談はこちら!/
まとめ
住宅に関する手続きでよく耳にする「抵当権」について、本記事で詳細に解説しました。
抵当権とは、一言で表すと「担保」のような意味になりますが、その詳しい内容や、メリット・デメリット、権利の設定や抹消の方法、相続時の注意事項などについて解説をしてみましたが、いかがでしたか。
私たちの暮らしと密接に関わる住居について、大切なポイントの一つになりますので、ぜひ理解を深めていただければと思います。
特に、これから新しく物件を購入する方や、改築される方、親などから不動産を相続される場合には、今回の内容を思い出していただければと思います。
住宅を売買する場合や、住宅ローンを利用する際などに、ぜひ本記事も参考の一つとしていただけましたら幸いです。
-
-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
-
-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
