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2025/11/28兄弟全員で借地権を相続するには?手順と考えられるリスクを解説
- 底地・借地

相続が発生した際、財産分与が難しいものの一つが「不動産」です。さらにその不動産が、所有権ではなく「借地権と借地上の建物」であった場合には、相続について疑問やとまどいを持つ方も少なくないでしょう。
結論として、借地権と借地上の建物の相続は可能です。ただし、相続するにあたっては、基本的な知識と注意点を把握しておく必要があります。
そこで本記事では、借地権の相続、とくに「借地権を兄弟同士で相続する方法」について解説します。
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
兄弟で借地権の相続はできる?

借地権について、「どのような権利なのか」「そもそも相続できるものなのか」と疑問を持つ方も多いでしょう。結論からいうと、借地権は相続可能であり、兄弟複数人で相続することも可能です。
最初に、借地権の概要と、複数人で不動産を所有する「共有」について解説します。
借地権とは「建物所有目的で土地を借りて使用する権利」
借地権は、建物を所有する目的で他人の土地を借りて使用する権利です。
土地を購入した場合、購入者は所有権を持つため、土地を自由に活用・処分できます。しかし、所有権を持つ地主の土地を金銭を支払って「借りる」ことで、所有権がなくても土地の利用が可能になります。
借地人は、契約時に権利設定の対価として権利金を、利用の対価として毎月地主に地代を支払うのが一般的です。
所有権とは異なり、土地を自由に変更・処分することはできませんが、長期間の土地使用が法律的に認められている借地権には、財産的な価値があります。したがって、借地権は売買だけでなく、相続によって権利を承継することも可能です。
関連記事:所有権と借地権の違いは?基本からよくある疑問まで徹底解説
複数人で一つの不動産を所有することは可能
多くの場合、同一の不動産を所有するのは1人だけです。しかし、不動産を複数人で持分に応じて共同で所有する、つまり「共有」することも可能です。
「持分」とは、対象となる不動産を所有する割合のことで、必ずしも等分である必要はありません。例えば、兄弟3人で1/3ずつ共有したり、被相続人の世話をしていた兄弟の持分を多くして、兄:弟=2:1で共有したりすることも可能です。
不動産の共有は、権利関係や手続きが複雑になりやすいものの、「夫婦で同額のローンを組み自宅を購入する」「相続で不動産以外に財産がほとんどない」といったケースではよく見られます。
関連記事:共有名義不動産は売却可能?手順とトラブル回避法を解説
借地権の相続に地主の承諾は不要
借地権は「所有」ではなく、あくまで地主が所有する土地を「利用」する権利であるため、所有権と比較すると弱い権利です。そのため、基本的に借地権に関する契約の変更や譲渡には、地主の承諾が必要になります。
しかし、借地権を相続する場合には、地主の承諾は不要です。相続による借地権の取得は、売買による権利の「移転」ではなく、あくまで権利をそのまま引き継ぐ「承継」であるため、相続人は地主の許可がなくとも当然に借地権を相続できます。
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借地権の相続で名義変更する手順

借地権を相続する手続きは、ほかの相続財産と併せて行うことになり、所有権の不動産と大きく異なる点はありません。しかし、相続は何度も発生するものではないため、大半の方は手続きに関する知識がそれほど多くないでしょう。
そこで次に、一般的な相続の流れと併せて、借地権の相続における名義変更の手順を5つのステップで解説します。
1.法務局で相続対象の借地権について確認する
借地権の相続が発生したら、まずは土地と借地上の建物の状況を確認しましょう。共有や抵当権などの権利設定、面積などが、被相続人や自分たちの認識と異なっている可能性もあるためです。
不動産の状態や権利関係は登記事項証明書(登記簿謄本)で確認でき、過去から現在までの情報をさかのぼるには「全部事項証明書」が必要です。登記事項証明書が手元にない場合は、管轄の法務局に直接出向くか、オンライン経由で閲覧できます。
2.借地権を含む相続財産に関する遺産分割協議書を作成する
相続する借地と借地上の建物について現状を把握できたら、遺言書がない場合は、相続財産の財産分与について兄弟間で協議し、遺産分割協議書を作成します。
借地権については、兄弟のうち誰が共有するか、どのような割合で共有するかに加えて、地主などとのやりとりが発生する場合の代表者についても話し合っておきましょう。
協議がまとまったら、作成した遺産分割協議書に相続人名と持分割合を記載し、相続人全員の署名・押印を行います。
関連記事:借地権の遺産分割協議書を解説|書き方・評価・承諾料・登記手続きまで
3.地主に借地権の相続があったことを通知する
相続手続きと併せて、相続の発生と名義人の変更について、内容証明郵便や対面などで地主に正式に通知しましょう。相続自体に地主の承諾は不要ですが、地主に早めに知らせて関係を築いておくと、今後の更新や建物に関する変更の相談などのやりとりもスムーズです。
必要があるたびに地主が共有者全員とやりとりを行うのは手間がかかるだけでなく、話の行き違いからトラブルが発生するリスクがあるため、連絡を取る代表者についても知らせておきましょう。
4.借地権の名義変更手続きに必要な書類を用意する
兄弟間や地主との調整が終わったら、法務局で借地権の名義変更の手続きに必要な書類を用意します。
相続登記には、以下のような書類が必要になります。
- 不動産の登記事項証明書
- 遺産分割協議書または遺言書
- 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書の場合)
- 被相続人の出生~死亡までの戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票もしくは戸籍の附票
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人の住民票もしくは戸籍の附票
- 固定資産税評価証明書
5.名義変更(相続登記)を法務局に申請する
必要書類が全てそろったら、対象不動産の地域を管轄する法務局へ登記申請書と併せて提出して、相続登記申請を行いましょう。登記申請書には、登録免許税として収入印紙を購入して貼り付けます。共有登記の場合は、氏名とそれぞれの持分について「持分100分の50」のような形で明記します。
提出後1週間~10日くらいで登記が完了し、法務局へ出向くと登記識別情報の通知や登記完了証を受け取れます。
関連記事:「土地は借地、家は持ち家」を相続する流れは?手続きの注意点や処分方法も解説
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借地権を兄弟で相続するのは避けたほうが無難?
借地権を相続する兄弟それぞれの持分の決定や登記を行う必要があり、単独で相続するより手間はかかりますが、借地権を兄弟で相続すること自体に問題はありません。財産分与について兄弟同士で話し合う前に相続が発生し、一旦共有という形を取ることはよくあります。
しかし、可能であれば相続の前までに、そうでなくともどこかのタイミングで兄弟のうち1人が借地権を単独保有するように手続きを行うのがおすすめです。
前述の通り、借地権は地主が所有する土地の上に存在するものであり、ただでさえも1つの土地に権利関係者が2人いる複雑な権利です。その上、借地権者側が複数いると、以下のような事柄について都度調整や話し合いをしながら進めることになり、意見の相違からトラブルが起こりやすくなります。
- 地代の支払いや費用負担
- 契約の更新
- 借地上の建物の処分
さらに問題となるのはその後です。兄弟のうちの誰かが亡くなり、次世代への相続が発生すると、権利関係者がさらに増えたり、話し合いが難しくなったりして、一層権利関係が複雑化してしまいます。
そのため、借地権の共有はなるべく避け、共有する場合でも早めに整理し、最終的には解消するべきでしょう。
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兄弟で相続した借地権の共有をやめるには?

前述の理由から、将来のトラブルの可能性を減らすためにも、兄弟での借地権の相続は最終的に解消しておいたほうがよいでしょう。兄弟間で意見がまとまればスムーズですが、そうでなくても兄弟間での共有を解消する方法はあります。
そこで最後に、借地権の共有を解消する方法について解説します。
兄弟の1人が持分を買い取り借地権を単独所有する
一つ目は、兄弟の1人がほかの兄弟の持分を買い取って単独所有にする、いわゆる「代償分割」という方法です。兄弟のうちの1人が元々被相続人と同居している場合に通常取られる方法ですが、地主の承諾が得られれば借地上の建物の建て替えやリフォームを行い、新たに住むことも可能です。
借地権も建物も保有したまま共有状態を解消でき、今後の管理や処分がしやすくなる点がメリットですが、全員の同意が必要で、買い取る側には一定の資金力も求められる点が課題です。
建物ごと借地権全体を売却する
二つ目は、共有者全員の同意のもとに借地権付き建物を丸ごと売却し、共有関係を解消する方法です。
相続と異なり第三者への譲渡になるため地主の承諾が必要になる上に、売却代金の分配など交渉や調整の手間が発生するのが難点ですが、借地権全体であれば利用しやすいため、高額での売却が期待できます。兄弟のなかに借地を利用したい人がいない場合には有効な方法です。
借地権を売却する場合、所有権で土地を購入する場合の7割程度が売却金額の目安とされています。
関連記事:借地権価格とは何か?計算方法や売却相場、高く売却するポイントを解説!
自分の持分の借地権だけ第三者へ売却する
前述の2つの方法は、いずれも共有する兄弟全員の同意が必要なのが難点です。しかし、兄弟の同意を得られなくても、自分が共有から外れれば、共有に伴うトラブルや煩わしさからは解放されます。
その方法として、自分の持分だけを第三者に売却する手段が挙げられます。原則として地主の承諾が必要なのは変わりませんが、共有不動産の自分の持分だけでも譲渡は可能です。
ただし、共有部分だけの借地権を取得しても実質的に利用が難しいため、実際には一般の第三者ではなく、専門の買取業者への売却になるのが現実的でしょう。
借地権売買に長けた専門の買取業者ならば、地主との交渉も含めて代行してもらえる場合も多く、スムーズに共有関係から抜けられるのがメリットです。ただし、利用のしにくさから売却価格は全体の借地権価格より大きく下がる点がデメリットです。
借地権を地主に返還する
兄弟間で借地権の利用予定がなく、売却してもそれほどの売却益が見込めないと思われる場合には、借地権を地主に無償返還する方法もあります。借地権を返還すれば、地代や更新料の支払いも必要なくなる上に、売却の手間もかかりません。
ただし、借地権を返還する場合に問題となるのが、借地上の建物をどうするかです。建物が比較的新しい場合には、地主に買い取ってもらえる可能性もありますが、借地契約を解消する場合には更地での返還が原則です。解体費用を負担することを考えると、仮に低額になったとしても売却したほうがよいでしょう。
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まとめ

借地上の建物と同様に、借地権も価値のある「財産」であり、兄弟での「共有」という形で相続が可能です。しかし、ただでさえも一つの土地に地主と借地人双方の権利が存在する借地権は、権利関係が複雑です。そのため、次世代への相続によって権利関係者がさらに増えることは、可能な限り回避すべきでしょう。
「では借地権をどうしたらよいか」「売却したいけれど何から始めたらよいか」など、借地権の扱いに迷った場合には、「おうちの相談室」へご相談ください。借地権をはじめとする不動産知識が豊富な不動産のプロが、お客さまの不動産のお悩み解決をサポートいたします。
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