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投稿⽇時

2025/06/12

最終更新⽇時

2025/06/12

借地権価格とは何か?計算方法や売却相場、高く売却するポイントを解説!

  • 底地・借地

相続した借地権に課される相続税や売却価格を算出する際は「借地権価格」を用います。しかし、「借地権価格とは何か」「どうやって計算すればよいか」が分からずにお悩みの方もいるのではないでしょうか。

この記事では、借地権価格の概要や計算方法について解説します。借地権の売却相場や高く売却するポイントも紹介するため、ぜひ参考にしてください。

借地権価格とは

手を顎に当てて首をかしげている女性

借地権価格とは、借地権の評価額のことです。借地権とは、地主から借りた土地に家を建てられる権利を指します。一方、借地権が設定された土地には地主の権利「底地権」も存在し、2つの権利を合わせると100%になるように調整されています。ここでは、借地権価格が用いられるケースと借地権価格の求め方について解説します。

関連記事:定期借地権と普通借地権は何が違う?それぞれの契約内容やメリット・デメリットを徹底解説!

借地権価格が必要となるケース

借地権価格が必要なのは、「相続」と「売却」の主に2つのケースです。被相続人から財産を相続した場合、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に相続税を納めなければなりません。

相続税は、借地権をはじめとする相続財産の合計額から基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引いた金額に課されます。借地権価格は、相続財産の合計額を求めるために必要です。

また、借地権の売却価格を決める際も借地権価格を参考にします。

借地権価格の求め方

借地権価格を求めるには、借地権割合と呼ばれる数値を用います。借地権割合とは土地全体の権利のうち借地権が占める割合で、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で調べることが可能です。

「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」を開くと日本地図が表示されるため、借地権が存在する都道府県を選択しましょう。その後、路線価図、市区町村名、地名の順にクリックすると路線価図が表示されます。

路線価図に記載されているのは、道路に面した土地1平方メートル当たりの価格(路線価)とアルファベットです。アルファベットはA~Gまでの計7種類で、それぞれ90%~30%と10%刻みで借地権割合が決められています。

例えば、借地権が設定されている土地に面した道路に「D」と書かれていたら、その土地の借地権割合は60%です。

なお、地域によっては路線価が設定されていないことがあります。その場合、「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」に掲載された「評価倍率表」に借地権割合が記載されています。

参考:『財産評価基準書 路線価図・評価倍率表|国税庁』

関連記事:借地権割合の基礎知識|調べ方・計算方法・注意点を解説!

【ケース別】借地権価格の計算方法

電卓を打ちながらパソコンを操作する手元

借地権価格の計算方法は、借地権の種類によって異なります。そのため、借地権を相続したら、まずは賃貸借契約書を見て契約形態を調べることが大切です。ここでは、借地権の種類別に借地権価格の計算方法を紹介します。

普通借地権

普通借地権とは、借地人が希望する限り、土地を借り続けられる権利です。契約形態が普通借地権の場合、以下の計算式で借地権価格を求められます。

普通借地権の借地権価格=土地の評価額×借地権割合

土地の評価額は、「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」に記載されている路線価を用いて算出可能です。借地権が設定されている土地に面する道路に「20D」と書かれていたら、土地1平方メートル当たりの評価額が20万円、借地権割合が60%であることが分かります。

土地の面積が100平方メートル、1平方メートル当たりの評価額が20万円、借地権割合が60%の場合の借地権価格は、100平方メートル×20万円×60%=1,200万円です。

定期借地権

定期借地権とは、契約更新ができない権利です。契約形態が定期借地権の借地権価格の求め方は、以下の通りです。

定期借地権の借地権価格=土地の自用地評価額×{(A/B)×(C/D)}
A:定期借地権等設定時における借地権者に帰属する経済的利益の総額
B:定期借地権等設定時における土地の通常取引価額
C:課税時期におけるその定期借地権等の残存期間に応ずる基準年利率による複利年金現価率
D:定期借地権等の設定期間に応ずる基準年利率による複利年金現価率

普通借地権に比べると、計算方法は複雑です。そのため、定期借地権の場合、借地権に詳しい税理士や不動産会社といった専門家に相談して計算してもらうことをおすすめします。

一時使用目的の借地権

一時使用目的の借地権とは、仮設店舗やイベント会場など、一時的な土地の使用を目的とした権利です。契約形態が一時使用目的の借地権の場合、賃貸借契約の内容や利用状況に応じて、以下のいずれかの方法で評価額を算出します。

  • 地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権の場合
    一時使用目的の借地権価格=雑種地の自用地(自分で自由に利用できる土地)としての評価額×A
    A:法定地上権割合と借地権割合のうち、数値が低い割合
  • 上記以外
    一時使用目的の借地権価格=雑種地の自用地としての評価額×法定地上権割合×1/2

地上権に準ずる賃借権は、土地に権利を設置する代わりに権利金や一時金の支払いがある場合や、立体駐車場のような堅固な建築物の所有を目的とする場合が該当します。

法定地上権割合は相続税法第23条で規定されており、権利の設置期間に応じて10年以上5%以下~50年以上90%の範囲内で定められています。雑種地の自用地としての評価額は「路線価×土地の面積」で算出が可能です。

参考:『財産評価基準書 路線価図・評価倍率表|国税庁』

売買目的の借地権

借地権は不動産上の財産として認められるため、売却が可能です。借地権の売却価格は、過去の取引事例を参考に決めるのが一般的です。

ただし、不動産に詳しくない方が借地権の売却価格を決めるのは難しいでしょう。そのため、借地権の売却を検討している方は借地権の取り扱い実績が豊富な不動産会社に相談し、査定価格を出してもらうことをおすすめします。

借地権の売却相場と売却価格に影響する要因

さまざまなグラフの上に置かれた家の模型

借地権価格に明確な取引相場はありません。借地権が設定された土地の評価額以外にも、さまざまな要素で取引価格は変わるためです。借地権の売却を考えている方は、以下で解説する売却価格を左右する要因を押さえておきましょう。

借地権の契約条件

借地権価格を左右する要素のひとつは、借地権の契約条件です。買主が借地権を購入すると、地代や更新料、建て替え承諾料など地主への支払いが発生します。地代が高く設定されていると、それだけ買主の経済的負担が増加します。

また、契約更新時期が近い取引では、買主が購入直後に更新料を負担しなければなりません。そのため、借地権を売却するときは、買主が負担する各種費用を考慮した上で適切な価格を設定することが求められます。

地主の承諾の有無

住宅ローンの利用に関して地主の承諾があるかどうかも売却価格に大きく影響します。何千万円もの不動産を購入するときは、住宅ローンを利用するのが一般的です。買主が住宅ローンを組んで借地権付き建物を購入する場合、融資承諾書に地主のサインをもらわなければなりません。

地主から融資に関する承諾をもらえないと、金融機関から住宅ローンの利用を断られる恐れがあります。住宅ローンを利用できなければ、買主は現金一括で購入するしかありません。地主の承諾がないと購入条件が厳しくなるため、評価額より売却価格を下げないと買主が見つからない可能性がある点に注意が必要です。

立地条件

借地権が設定された土地の日当たりや利便性の高さといった諸条件も、売却価格に影響を与える要素のひとつです。

基本的に、利便性が高い地域ほど借地権割合が高く設定されており、借地権価格も高くなる傾向があります。例えば、銀座のような商業地は借地権割合が80%~90%です。土地の評価額が同じ1,000万円でも、借地権割合が60%と90%とでは借地権価格に300万円の違いが出ます。

一方、駅から遠い、日当たりが悪いなど立地条件が悪い土地は需要が低いため、相場より借地権価格を低く設定しないと買主が見つからない恐れがあります。

建物の状態

借地上に建つ建物の状態も借地権価格に影響を与える一因です。一般的に、建物の資産価値は築年数の経過とともに下がります。例えば、木造住宅は築20年を超えると建物部分の資産価値がほぼなくなるといわれています。

したがって、借地上に建つ建物の築年数が古く状態が悪い場合、建て替えやリフォームが必要です。買主が建物の解体費用やリフォーム費用、地主に支払う建て替え・増改築承諾料を負担しなければならないため、評価額より価格を下げないと売却が難しいことがあります。

関連記事:借地権は売却できる?5つの方法と流れ、売買相場について解説

借地権を高く売却するためのポイント

ソファでお茶を飲むシニア女性とミドル女性

借地権を売却するにあたり、少しでも高値で取引したい方は多いでしょう。ここでは、借地権を高く売却するためのポイントを解説します。事前にこれらのポイントを押さえておけば、借地権を高値で売却できるでしょう。

地主と良好な関係性を構築する

借地権を高く売却するポイントのひとつは、地主との関係性を良好に保つことです。借地権の売買に際して、売却や融資承諾書へのサインなど、地主から承諾を得なければならないものは数多くあります。

借地権の売却時に地主から各種承諾をスムーズに取りつけられないと、買主が見つからない事態に陥りかねません。結果的に評価額より価格を下げないと売却できないケースもあります。借地権を少しでも高く売却したいなら、日頃から地主と丁寧に接するよう心掛けましょう。

借地契約更新のタイミングを避ける

借地契約更新直前を避けることも、借地権を高く売るポイントです。契約更新前だと買主が更新料を負担するため、売却しにくいでしょう。更新料分の価格を下げないと、売却できない可能性もあります。

なお、更新料の相場は土地の評価額の3%ほどです。土地の評価額が2,000万円なら、契約更新にあたって地主に60万円を支払う必要があります。

契約更新後の取引だと買主の負担が軽減するため、相場に近い価格で売却できる確率が高まるでしょう。

関連記事:借地権の更新料はいくら?支払い時期・相場・計算方法などを解説

ホームインスペクションを実施する

借地上に建つ建物の築年数が古いときは、事前にホームインスペクションを実施するのも高く売るポイントです。

ホームインスペクションとは、建築士などの専門家が中立的な立場から住宅の劣化状況を評価する検査です。売却前にホームインスペクションを依頼し、建物の劣化状況や隠れた不具合を洗い出しておくと、買主の安心感につながって高値で売却できる可能性があります。

また、売却前に検査することで、物件引き渡し後に欠陥が見つかって買主とトラブルになる事態も避けられます。

借地権に精通した不動産会社に査定を依頼する

借地権を少しでも高く売却したいなら、借地権の取り扱い実績が豊富な不動産会社に査定を依頼することも大切です。通常の不動産と異なり、権利関係が複雑な借地権は個人には売却しにくい傾向があります。そのため、借地権を取り扱っていない不動産会社は少なくありません。

一方、借地権に精通している不動産会社は、地主から売却の承諾を得るための交渉術や買い取った後の活用ノウハウを豊富に持ち合わせているため、適正な売却価格を提示してくれます。

借地権の売却を検討する際は「借地権の売却実績は豊富か」「借地権に関する専門知識に精通しているか」を基準に不動産会社を探すことをおすすめします。

まとめ

スーツの男性と打ち合わせをするシニア夫婦

借地権価格とは借地権の評価額のことで、借地権を相続した際に課される相続税の計算だけでなく、売却時の価格を決めるときにも用います。

借地権価格に明確な相場はなく、売却価格は契約条件や立地条件といったさまざまな要素を加味して決まります。そのため、借地権の適正な売却価格を知りたいときは、借地権に精通した不動産会社に査定を依頼するとよいでしょう。

リアルエステートは、借地権の取り扱い実績が豊富な不動産会社です。「おうちの相談室」では、借地権に関する悩みの解決をサポートします。売却に関して悩みがある方は、お気軽にご相談ください。