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2025/10/09借地権者が底地を買い取るポイントと流れ|限定価格や税金についても解説
- 底地・借地
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける

地主から底地を購入するにはどうしたらよいか、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。地主に底地の購入を打診するときは、交渉のタイミングを見極めることが大切です。また、買取価格が適正でないと、地主から断られる可能性が高くなる点にも注意しましょう。
本記事では、借地権者が底地を買い取る際に押さえておきたいポイントや購入する流れ、購
入時に発生する税金について解説します。地主から底地を買い取れなかったときの対処法も紹介するため、ぜひ参考にしてください。
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Contents
借地権者が底地を買い取る際に押さえておきたいポイント

地主に対してやみくもに底地の買取を持ちかけても、断られる可能性が高いでしょう。底地の買取を成功させたいなら、ポイントを押さえた上で交渉に臨むことが大切です。ここでは、借地権者が底地を買い取る際に押さえておきたいポイントを4つ紹介します。
借地権者が底地を買い取るときは限定価格が適用される
借地権者が底地を買い取る場合、「限定価格」が適用されます。限定価格とは、特定の当事者間の取引でのみ成立する特別な価格です。例えば、第三者が底地を購入しても家を建てられないため、取引相場は更地価格の10%~20%ほどが目安です。
一方、借地権者が底地を買い取ると不動産全体の所有権を取得でき、土地と建物を自由に活用できます。第三者が底地を購入するときより得られるメリットが大きいため、借地権者が底地を買い取るときの相場は更地価格の40%~60%ほどと、一般的な売却相場より高くなります。
関連記事:借地人が底地を買い取る場合の価格とは?「限定価格」の仕組みと計算方法を徹底解説
買取交渉のタイミングを見極める
地主に底地の買取を申し出るときは、タイミングを見極めることが大切です。底地の買取は、地主に売却する意思がなければ成立しません。そのため、地主が底地を手放したいと考えているタイミングで交渉を持ちかけるのがポイントです。
具体的には、地主に相続が発生したときや借地契約の更新時に話を持ちかけると、底地を購入できる可能性が高まります。
住宅ローン利用の可否を確認しておく
借地権者が底地を買い取るケースでは、住宅ローンを利用できる可能性があります。現金一括での支払いが難しい場合、住宅ローンの利用を検討するのもひとつの方法です。
ただし、底地の買取に際して全ての金融機関で住宅ローンを利用できるわけではありません。まずは借地権付き建物の購入時に取引した金融機関に相談してみるとよいでしょう。
底地・借地権に精通している不動産会社に相談する
地主と底地の買取交渉を行う際は、底地や借地権に関する専門知識を持った不動産会社に相談することをおすすめします。
個人で買取交渉を進めると、買取価格や契約条件を巡って地主とトラブルになりかねません。底地・借地権に精通した不動産会社に依頼すると、感情的な対立を招くことなくスムーズに交渉を進められます。また、地主と交渉する心理的な負担が軽減する点もメリットです。
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借地権者が底地を買い取る4つの流れ

ここからは、借地権者が底地を買い取る際の流れを紹介します。事前に全体像を把握しておけば、よりスムーズな交渉が可能になるでしょう。なお、不動産会社に任せれば、地主の意向確認から対応してもらえます。地主と直接交渉するのが難しい場合、専門の不動産会社に相談しましょう。
1.地主の意向を確認する
まずは、地主に底地を売却する意思があるか確認することが大切です。地主との関係性が良好であれば、世間話の中で意向を確認してみるとよいでしょう。「底地を売却するときは声をかけてほしい」と伝えておくのも有効です。
2.価格交渉をする
地主に底地を売却する意思があるなら、買取価格の交渉を行います。このときに大切なのは、適正価格を提示することです。
借地権者が底地を買い取る際は限定価格が適用されるため、あまりにも安い価格を提示すると断られるかもしれません。事前に専門の不動産会社に査定を依頼し、適正価格を把握しておきましょう。
関連記事:底地の買取相場を一発理解!計算方法と査定のポイント
3.売買契約を締結する
買取価格について地主と合意したら、売買契約を交わします。トラブルを防ぐには、買取価格や支払い方法、底地の引き渡し時期、登記費用の負担割合など、細かい要件を記載した売買契約書を作成することが大切です。なお、このときに手付金として売買価格の5%~10%ほどの金額を地主に支払います。
4.決済と所有権移転登記の手続きを同時に行う
底地の売買契約を締結したら、売買契約書で定めた日時に残代金の支払いと底地の引き渡しを同時に行います。
底地の所有権を地主から借地人に移す登記手続きは、司法書士に代行を依頼するのが一般的です。報酬の相場は5万円~10万円ほどですが、司法書士事務所によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
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借地権者が底地を買い取るメリット

底地を購入して最もメリットを得られるのは、借地権者です。ここでは、借地権者が底地を買い取る3つのメリットについて解説します。これらのメリットに魅力を感じるなら、底地の買取を前向きに検討するとよいでしょう。
地主への費用の支払いがなくなる
借地権者が底地を買い取るメリットのひとつは、地主への費用の支払いが不要になる点です。借地権者は、地主から土地を借りる代償として地代を支払わなければなりません。契約更新の際は更新料、底地上の建物を建て替えるときは建て替え承諾料がかかります。地主から底地を買い取れば、これらの費用を支払う必要がなくなります。
関連記事:借地権付き建物とは?メリットやデメリット、売却方法を解説!
土地を自由に活用できるようになる
底地を買い取ることで、建物の建て替えやリフォームを自分の意思でできる点もメリットです。借地権者には、地主から借りた土地に自分が住むための家を建てる権利があります。
ただし、自由に土地を活用できるわけではなく、地主の承諾がない限り、家の建て替えやリフォームはできません。地主から底地を買い取れば、今まで以上に土地を活用できます。
将来的に売却が容易になる
借地権者が地主から底地を買い取ると、将来的に売却が有利になります。借地権付き建物は、売却したくても「住宅ローンを組むのが困難」といった理由で買い手が見つかりにくいのが実情です。
借地権者が底地を買い取り、自分の意思で自由に活用できる完全所有権の不動産にすれば、借地権付き建物のみを売却する場合と比較して買い手が見つかりやすくなります。また、市場相場に近い価格での取引が期待できる点もメリットです。
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借地権者が底地を買い取る際に発生する税金

借地権者が底地を買い取る際に必要なのは、購入代金だけではありません。さまざまな税金もかかるため、事前に確認しておきましょう。ここでは、借地権者が底地を買い取る際に発生する各種税金について解説します。
不動産取得税
借地権者が底地を買い取るときには、不動産取得税を納めます。不動産取得税とは不動産を取得した際に一度だけ課される都道府県税で、以下の計算式で算出します。
不動産取得税=土地の固定資産税評価額×税率
本則税率は4%ですが、令和9年3月31日までに取得した土地に対する税率は3%に軽減されています。
印紙税
印紙税は、地主と交わす底地の売買契約書に課される税金です。売買契約書に収入印紙を貼る形で納付します。
印紙税額は、売買金額に応じて異なります。例えば、地主から底地を1,000万円で購入する際に課される印紙税額は5,000円(令和9年3月31日まで軽減税率が適用)です。
登録免許税
登録免許税は、購入した底地の所有権移転登記の手続きを行う際に納める税金です。売買に伴う所有権移転登記にかかる登録免許税の税率は、1.5%(2026年3月31日まで軽減税率が適用)です。例えば、購入する底地の固定資産税評価額が1,000万円の場合、15万円の登録免許税がかかります。
固定資産税・都市計画税
地主から底地を購入した翌年から、土地に課される固定資産税・都市計画税を負担します。固定資産税の税率は1.4%(標準税率)、都市計画税の税率は0.3%(制限税率)です。なお、税率は自治体によって異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
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地主に底地の買取を断られたときの対処法

底地を購入したくても、地主に断られる可能性があります。地主に底地を売却する意思がないときは、他の方法を模索しましょう。ここでは、地主に底地の買取を断られたときの対処法を2つ紹介します。
建物買取請求権を行使する
底地の購入が難しいときは、建物買取請求権を行使するのも選択肢のひとつです。建物買取請求権とは、底地上に建つ建物を地主に買い取るように請求する権利です。借地借家法第13条に基づき、契約期間満了後に地主が更新を拒絶し、かつ正当事由がある場合に行使できます。地主に拒否する権利はなく、時価で買い取る必要がある点が特徴です。
ただし、契約期間が満了していない状態、かつ借地権者の一方的な都合で建物買取請求権は行使できません。要件を満たしていないときは、借地権付き建物の売却を検討しましょう。
関連記事:借地権の買取請求権とは?借地上の建物を買い取ってもらえる?!
借地権付き建物を専門の不動産会社に買い取ってもらう
地主に底地を売却する意思がない場合、借地権付き建物を売却し、そのお金を元手に住み替えを検討するのもひとつの方法です。通常の一戸建てを購入すれば、自分の意思で自由に活用できるだけでなく、地主に各種費用を支払う必要もなくなります。
借地権付き建物を一般個人の買い手に売却するのは難しいものの、専門の不動産会社に相談すればスムーズに買い取ってもらえます。借地権付き建物をできる限り早く売却したいなら、専門の不動産会社に相談するとよいでしょう。
関連記事:借地権付き建物の売却完全ガイド
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まとめ

借地権者が底地を買い取る場合、限定価格が適用されます。安い金額を地主に提示すると売却を断られる可能性があるため、事前に適正価格を把握しておきましょう。底地の買取を成功させるなら、底地や借地権に精通した不動産会社に相談することが大切です。
リアルエステートは、底地や借地権をはじめ、権利関係が複雑な不動産を専門に扱う不動産会社です。「地主から底地を買いたいけれど、何から進めてよいか分からない」とお困りの方は、お気軽に「おうちの相談室」をご活用ください。
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