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2025/08/26底地の物納は可能?メリット・デメリットや手続きの流れを解説!
- 底地・借地

相続税を納めるための現金を用意するのが難しいときは、相続した財産を国に物納するのが選択肢のひとつです。「底地の物納は可能か」「物納するにはどうしたらよいか」といった悩みを抱える方もいるのではないでしょうか。
この記事では、底地の物納に関する基本的な知識や物納するメリット・デメリット、手続きの流れについて解説します。物納以外に底地を整理する方法も紹介するため、ぜひ参考にしてください。
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
Contents
底地の物納に関する基礎知識

物納とはどのような制度かがよく分からない方もいるのではないでしょうか。相続税の納付が難しく頭を悩ませているなら、まずは物納に関する基本的な知識を押さえておきましょう。ここでは、物納の概要と底地の物納の可否について解説します。
物納とは何か
物納とは、相続税を現金ではなく相続した財産で国に納める方法です。原則、相続税は現金一括で納付します。しかし、底地をはじめとする不動産が相続財産に含まれていると、相続税が高くなりやすく現金の用意が難しいケースが少なくありません。
そのような際に役立つのが物納制度です。財産を相続したものの、相続税を現金一括で支払えない方への救済措置として設けられています。
関連記事:土地を相続すると相続税がかかる?相続税の計算方法や相続時の注意点を解説!
底地の物納が難しいといわれる理由
ただし、現実問題として底地の物納は難しいといわれています。底地を物納するには、以下の要件を全て満たさなければなりません。
- 延納制度を利用しても金銭での相続税の納付が難しい
- 底地より物納優先度の高い相続財産がない
- 管理処分不適格財産に該当しない
- 納付期限までに申請書を税務署へ提出している
延納制度とは、相続税の納付期限を延長し、毎年分割払いで納付する制度です。延納によって相続税を納められると税務署に判断されたら、底地の物納はできません。また、物納できる財産には以下の優先順位が設定されています。
| 優先順位 | 物納できる財産の種類 |
| 第1順位 | ①不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式など ②不動産および上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの |
| 第2順位 | ③非上場株式など ④非上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの |
| 第3順位 | ⑤動産 |
引用:『相続税の物納|国税庁』
底地は物納劣後財産に該当するため、所有権を持つ不動産を別に有する場合、底地の物納は認められません。他にも「借地人ともめている」「借地人が地代を滞納している」など、底地が管理処分不適格財産に該当する場合も物納できないため注意が必要です。
なお、相続税の納付期限は被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。底地を物納したい場合も、相続税の納付期限までに申請する必要があります。
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底地を物納するメリット

底地の物納は容易ではありません。しかし、多くのメリットがあるため、相続税の納付資金が確保できないときは検討する余地があります。ここでは、底地を物納する2つのメリットについて見てみましょう。
国が相続税評価額と同等の価格で引き取ってくれる
底地を物納する大きなメリットは、相続税評価額と同じ価格分の納税額になる点です。底地の相続税評価額は、都市部では更地価格の30%~40%ほどといわれています。一方、底地の売却価格の相場は更地価格の10%~20%程度で、相続税評価額と同等の金額での売却は難しいのが実情です。
しかし、物納の場合、底地の相続税評価額と同一の価格で国が引き取ってくれます。そのため、底地を売却して現金化するより多くの金額を納税できます。
譲渡所得税がかからない
不動産を売却して利益が生じた場合、譲渡所得税を納める必要があります。譲渡所得税は所得税・復興特別所得税・住民税の総称で、売却金額によっては数十万円~数百万円に上るケースも珍しくありません。
一方、相続財産を国に物納する場合、譲渡所得税の納付は不要です。経済的負担を軽減する意味で、底地の物納は売却よりメリットが大きいといえます。
なお、物納した底地の評価額が相続税額を越えているときは、現金による還付を受けられます。ただし、還付金額に対して譲渡所得税が課される点に注意が必要です。
関連記事:自宅売却時の譲渡所得税計算法|取得費や税額をわかりやすく解説
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底地を物納するデメリット

底地の物納にはさまざまなメリットがある一方、デメリットも潜んでいます。相続税の現金納付の代わりに底地の物納を検討する際は、メリットだけでなくデメリットも押さえることが大切です。ここでは、底地を物納する2つのデメリットについて解説します。
利子税・延滞税が発生する
底地を物納するデメリットとして、利子税や延滞税の支払い義務が生じる点が挙げられます。利子税とは、ローンを借りるときに支払う利息と同様の性質を持つ税金です。相続税の納付期限の翌日から物納財産が国に収納される日までの期間について、年3.6%の利子税が課されます。
延滞税は税金を納付期限までに納めなかった場合に発生する延滞金で、税率は納付期限の翌日から2か月を経過する日までは年7.3%、2か月を経過した日以降は年14.6%です。
物納が完了するまでにかかった相続税の利子税・延滞税は、現金で納めなければなりません。物納では支払えないため、別途現金を用意する必要があります。
認可が下りるまで時間がかかる
底地の物納を申請しても、すぐに税務署の許可が下りない点もデメリットです。
物納の認可に関わる審査期間は、物納申請書提出期限の翌日から3か月以内です。物納申請書の提出期限は被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内で、物納できるかどうかの判断が下されるまで1年以上かかります。
審査期間が9か月まで延長する可能性もあり、審査期間が長引くほど、利子税・延滞税の負担が増す点に注意が必要です。
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底地の物納手続きの流れ

底地の物納が認められるまでには相応の期間がかかります。少しでも底地の物納手続きをスムーズに進めるためにも、事前に全体の流れを把握しておきましょう。ここでは、底地を物納する手続きの流れについて解説します。
物納申請財産を選定する
まずは、物納する相続財産を選定します。前提として、底地より優先順位の高いものが相続財産に含まれているときは底地を物納できません。
また、底地が管理処分不適格財産に該当するときも物納の許可は下りないため、権利関係や財産の状況をしっかりと確認した上で物納申請する財産を選びましょう。
必要書類を集める
次に、物納申請に必要な書類の収集・作成を行います。底地の物納申請に必要な書類は、以下のように多岐にわたります。
- 物納申請書
- 金銭納付を困難とする理由書
- 物納財産目録
- 物納劣後財産等を物納に充てる理由書
- 住宅地図等の写し
- 公図の写し
- 登記事項証明書
- 地積測量図
- 境界線に関する確認書
- 土地上の工作物等の図面
これらの書類を自分一人で集めようとすると、相当の時間が必要です。また、書類に不備があると差し戻しとなり、修正した上で再度提出する手間がかかります。底地の物納手続きをスムーズに進めたいなら、税理士や司法書士といった専門家に依頼することをおすすめします。
書類を税務署へ提出する
底地の物納手続きに必要な書類をそろえたら、相続税の納付期限までに被相続人が亡くなった住所地を管轄する税務署に提出します。
相続税の納付期限は被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内ですが、物納手続関係書類提出期限延長届出書を提出すると、最長で3か月まで延長が可能です。ただし、納付期限を過ぎると利子税・延滞税が発生する点に注意が必要です。
税務署による判断が下される
底地の物納に関する申請書類を提出したら、相続税の納付期限後3か月~9か月以内に税務署による調査が行われます。その結果、問題がないと判断されたら、底地の物納が認められる流れです。
ただし、必ずしも物納の認可が下りるわけではないため、万が一に備えて他の納税手段を考えておくことをおすすめします。
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物納以外に底地を整理する方法

底地の物納を申請しても、権利関係が複雑なことから認可されるのは難しいのが実情です。そのため、底地を「相続しない」「売却する」といった方法も選択肢のひとつです。ここでは、物納以外に底地を整理する方法について解説します。
相続放棄をする
相続放棄とは、亡くなった方の財産を相続する権利を放棄することです。相続放棄を選択すれば不要な底地を相続せずに済むだけでなく、初めから相続人ではなかったと見なされるため、相続税を納める必要もなくなります。
ただし、底地だけを相続放棄することはできません。相続放棄を選択するかどうかは、他の相続財産を踏まえた上で慎重に検討しましょう。
相続前に相続財産をチェックし、相続税の金額を把握しておくと冷静に対処できます。相続税が高額に上り、資金を確保するのが難しいときは相続放棄を選択するのもひとつの方法です。
借地人に売却する
相続税の納付資金を確保するために、相続した底地を売却する選択肢もあります。まずは借地人に売却できないか交渉してみましょう。
借地人は底地を購入することで、不動産を自由に活用できるメリットがあります。不動産の資産価値も高くなるため、底地の購入を持ちかけると前向きに応じてくれるかもしれません。
ただし、個人間売買だと契約内容を巡ってトラブルが起こる恐れがあります。そのため、借地人に底地を売却する際は、不動産会社を間に挟んだ上で交渉するのがおすすめです。
関連記事:借地人が底地を買い取る場合の価格とは?「限定価格」の仕組みと計算方法を徹底解説
専門の不動産会社に売却する
底地の買い取りを借地人に断られた場合、底地専門の不動産会社に相談するとよいでしょう。底地の取り扱いに精通した不動産会社なら、一般個人には売却しにくい底地もスピーディーに買い取ってもらえます。相続税の納付期限までに底地を現金化できるでしょう。
ただし、底地の買い取り価格の相場は更地価格の10%~20%ほどで、相続税額に満たない可能性があります。底地を少しでも高く売却して納税資金を確保したいなら、複数の不動産会社に査定を依頼し、査定価格を比較することが大切です。底地の買い取り実績が豊富な不動産会社に相談することも底地を高く売却するコツです。
関連記事:底地の買取相場は安くなりやすいってほんと?売却時にかかる費用についても紹介します。
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まとめ

底地の物納には「相続税評価額と同等の価格で国に引き取ってもらえる」「譲渡所得税がかからない」といったメリットがあります。一方、手続きに時間がかかり、利子税や延滞税が発生するのがデメリットです。要件も厳しいため、底地の物納が難しいときは底地を売却して納税資金を確保するのも選択肢のひとつです。
リアルエステートが運営する「おうちの相談室」では、弁護士や税理士といった専門家と連携し、底地に関するあらゆる疑問を解決するサポートをしています。「底地を物納できるか」「納税資金を確保するにはどうしたらよいか」といった悩みを抱えている方は、お気軽にご相談ください。
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