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2025/07/14借地上の家の解体費用が払えない!5つの対処法と安く抑えるコツを解説
- 底地・借地
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける

原則、借地権を地主に返還する際は借地上の家を解体して更地にする必要があります。しかし、家の解体には100万円以上の費用がかかることもあり、支払えないと悩む方もいるのではないでしょうか。
今回は、借地上の家の解体費用の負担者や解体費用を支払えないときの対処法、解体費用の相場、安く抑えるコツについて解説します。借地上の家の解体費用を支払えずにお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
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借地上の家の解体費用は誰が負担する?

借地上の家の解体費用は誰が負担するか分からない方もいるのではないでしょうか。借地上の家の解体費用を借地人と地主のどちらが負担するかはケースによって異なるため、注意が必要です。まずは、借地上の家の解体費用の負担者について見てみましょう。
借地人が負担するケース
以下の3つのケースに該当するときは、借地上の家の解体費用を借地人が負担する必要があります。
- 契約期間中や契約更新後に家を建て替える
- 借地人の意思で借地契約を解約する、または更新しない
- 定期借地契約で土地を借りている
例えば、老朽化や親との同居といった理由で借地上の家を建て替えるときに発生する解体費用は借地人負担です。また、借地人の都合で借地契約を解約したり契約更新しなかったりするときは、借地上の家を解体し、更地に戻した上で土地を地主に返さなければなりません。
契約期間が定められている定期借地契約で土地を借りているときも、契約期間の満了をもって借地上の家を解体し、更地にしてから返還する必要があります。
地主が負担するケース
借地上の家の解体費用を地主が負担するケースは以下の2つです。
- 地主の都合で途中解約を強制される
- 地主の都合で契約更新を拒否される
借地人が地代の滞納といった契約違反となる行為をしていないにもかかわらず、地主の都合で借地契約を途中で解除する場合、地主が借地上の家の解体費用を負担しなければなりません。
また、基本的に借地契約は借地人が望む限り自動で更新されますが、借地人が契約更新を望むにもかかわらず地主が拒んだ場合、借地人は地主に対して「建物買取請求権」を行使できます。このケースでは、借地人は建物を解体することなく借地権を地主に返還できます。
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借地上の家の解体費用を支払えないときの対処法5選

地主に借地権を返還する際は、必ずしも借地上の家を解体しなければならないわけではありません。借地上の家を手放したいものの、解体費用の支払いが難しいときは、ここで紹介する5つの対処法を検討するとよいでしょう。
1.地主に借地権と借地上の家を買い取ってもらう
借地上の家を手放したいときは、まず地主に買い取ってもらえないか相談しましょう。借地に家を建てられるのは借地人のみで、地主は自分の土地でも自由に活用できません。
そのため、「自分が住むための家を建てたい」「子ども夫婦の家を建てるために土地を返してほしい」など、地主に土地を使用したい事情があるときは前向きに話を聞いてくれる可能性があります。
ただし、地主に借地上の家を買い取ってもらうときは、売買価格や解体の有無について交渉しなければなりません。また、地主に借地上の家を買い取る意思がなければ、売買は成立しない点にも注意が必要です。
地主と直接的な話し合いが難しいときは、借地権に精通する不動産会社に交渉を依頼することをおすすめします。
関連記事:借地権は売却できる?5つの方法と流れ、売買相場について解説
借地契約満了時なら建物買取請求権の行使を検討する
建物買取請求権とは、借地上の家を地主に時価で買い取るように請求する権利です(借地借家法第13条)。地主には、建物買取請求権を拒否する権利はありません。そのため、借地人が建物買取請求権を行使した時点で、借地人と地主の間に借地上の家の売買契約が成立します。
ただし、借地人が建物買取請求権を行使できるのは借地契約の期間が満了し、かつ地主が契約更新を拒否する場合のみです。地代の滞納といった契約違反行為が原因で借地契約が解除されたときや地主と合意して借地契約を解除したときは行使できない点に注意しましょう。
関連記事:借地権の買取請求権とは?借地上の建物を買い取ってもらえる?!
2.地主と協力して借地上の家と底地を同時売却する
地主も底地を手放したいと考えている場合、借地上の家と合わせて一般の買い手に売却する方法があります。通常、権利関係が複雑な借地権や底地を一般の買い手に売却するのは簡単ではありません。借地権や底地を購入しても不動産全体を自由に活用できないためです。
借地権を購入しても、借地上の家を建て替えたりリフォームしたりするには地主の承諾が必要です。底地を購入しても、自分が住む家は建てられません。そのため、借地権や底地を単独で売りに出しても、買い手からは購入を敬遠されることがほとんどです。
しかし、借地権と底地を同時に売却すると、買い手は通常の不動産同様自分の意思で不動産を活用できます。早期売却や相場に近い価格での売却が期待できるでしょう。ただし、地主に底地を手放す意思がなければ、同時売却はできない点に注意が必要です。
関連記事:底地と借地は同時売却可能?!同時売却する際の注意点もご紹介
3.借地権と借地上の家のみを第三者に売却する
地主に借地上の家を購入する意思がなく、底地の売却にも消極的なときは、借地権と借地上の家を第三者に売却するのがひとつの方法です。一般個人の買い手は見つかりにくいものの、専門の不動産会社なら現状のまま問題なく買い取ってもらえます。
「借地上の家を手放したいけれど、解体費用は負担したくない」という方は、借地権の取り扱い実績が豊富な専門の不動産会社に相談するとよいでしょう。
ただし、借地上の家を第三者に売却するには地主の承諾が必要で、譲渡承諾料の支払いも発生します。スムーズに承諾を取りつけたいなら、借地権に精通した不動産会社に相談することが大切です。
関連記事:借地権の買取をスムーズに!相場・手続き・地主の承諾対策を解説
4.ローンを組む
金融機関によっては家の解体工事に利用できるローンを提供しています。預貯金から解体費用を捻出するのが難しいときは、ローンを利用するのも選択肢のひとつです。
住宅ローンとは異なり、解体ローンの利用時には原則担保や保証人の設定を求められることはありません。返済期間も10年もしくは15年と長期に設定できるため、月々の返済負担を抑えられる点もメリットです。
ただし、解体ローンの融資が実行されるのは解体工事の完了後です。解体費用はいったん手持ち資金から支払う必要がある点に注意しましょう。
5.賃貸に出して家賃収入を得る
借地上の家の解体費用を支払えないときは、一時的に賃貸物件として第三者に貸し出して家賃収入を得る方法があります。
契約期間を2年に設定した定期借家契約で貸し出せば、2年間にわたって家賃収入を得られるだけでなく、契約期間の満了をもって確実に家を取り戻せます。その後、家賃収入を元手に借地上の家を解体し、地主に借地権を返還するとよいでしょう。
ただし、借地上の家を賃貸物件として活用したくても、借り手が見つからない限り家賃収入は得られません。また、貸し出している間も地代や維持費、固定資産税は引き続き借地人自身が負担する必要があります。
解体費用を確保する目的で借地上の家を賃貸物件として活用したいなら、事前に「賃貸需要はあるか」「ランニングコストを差し引いた上でどのくらいの収入を得られるか」を検討することが大切です。
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借地上の家の解体費用相場
借地上の家の解体にかかる費用相場は、家の構造によって以下のように異なります。
| 構造 | 1坪当たりの単価の目安 |
| 木造 | 3万円~5万円 |
| 鉄骨造 | 4万円~6万円 |
| 鉄筋コンクリート造 | 5万円~8万円 |
例えば、借地上の家が木造で延べ床面積40坪の場合、120万円~200万円ほどの解体費用がかかります。
建物の状態や立地条件によっては、解体費用が相場より高くなることがあるため注意しましょう。築年数が古いケースはもちろん、アスベストのような有害物質が建築資材に使われている家は、特別な処理が必要となるため解体費用が倍以上かかる恐れがあります。
借地上の家の敷地や前面道路の幅が狭く重機が現場に入れない場合、手作業での解体となるため、人件費が高くついて解体費用も高額になるでしょう。借地上の家の解体にかかる正確な費用を知りたいなら、解体業者に見積もりを依頼することをおすすめします。
関連記事:家屋解体の手続きと費用徹底ガイド|事前準備から完了まで
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借地上の家の解体費用を安く抑えるコツ

借地上の家の解体費用を少しでも安く抑えたいなら、解体業者に工事を依頼する前に自分でできることをやっておきましょう。ここでは、借地上の家の解体費用を安く抑えるために知っておきたい4つのコツを紹介します。
不用品をできる限り自分で処分する
借地上の家の解体費用を安く抑えたいなら、解体業者に解体を依頼する前に不用品を自分で処分することがポイントです。家の中に不用品が多く残っていると、産業廃棄物処分費が追加で発生して解体費用が高騰する原因となるためです。
不用品の処分費用を抑えたい場合、業者には依頼せずに自分でコツコツと片づけて処分しましょう。家具や洋服、おもちゃなど、売れる可能性があるものはリサイクルショップやフリマアプリを通じて売却すると、解体費用の足しになります。Webサイトを通じて近隣の方に無料で譲るのもひとつの方法です。
梅雨・積雪期や繁忙期を避ける
梅雨や雪が降る時期、解体業者の繁忙期を避けて依頼するのもコツのひとつです。雨が長く降り続いたり、雪が積もったりすると解体工事ができません。工期が長引くと重機のレンタル費用や人件費が余計にかかり、解体費用が高くなる要因となります。
また、解体工事が集中する2月~3月も職人の確保が難しく人件費がかさむため、解体費用が高くなりがちです。借地上の家の解体費用を少しでも安く済ませたいなら、解体業者の閑散期にあたる6月~9月、12月~1月の気候の良い時期を狙って依頼しましょう。
複数の解体業者に見積もりを依頼して比較する
複数の解体業者の見積もりを比較することも欠かせません。解体業者ごとに解体費用は異なるため、複数の見積もりを比較することでより安い1社に依頼できます。
ただし、金額の安さだけで解体業者を選ぶのはおすすめできません。見積もりでは安くても、解体工事が始まってから「残置物処理費用が余計にかかった」などと理由をつけて追加費用を請求してくる悪徳な解体業者が存在するためです。
他社と比較して極端に安い解体費用を提示する解体業者があったら、内訳をきちんと確認することが大切です。
自治体の補助金制度を活用する
自治体によっては、空き家の解体に補助金を支給するところがあります。東京都墨田区で実施しているのが、老朽化が進んでいる空き家の解体に際して解体費用の2分の1(上限50万円)を補助する「老朽危険家屋除却費等助成制度」です。
神奈川県横浜市には、耐震性が低い木造住宅や倒壊の恐れがある空き家を解体する際に、最大で50万円を補助する「住宅除却補助制度」があります。
現在誰も住んでいない借地上の家の解体費用を少しでも抑えたいなら、事前に自治体が補助金制度を実施していないかを確認しましょう。
ただし、補助金制度を利用するには自治体が定めた要件を満たさなければなりません。申請額が予算に達した時点で受付終了となる点にも注意が必要です。
参考:『老朽危険家屋除却費等助成制度|墨田区』
参考:『住宅除却補助制度|横浜市』
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まとめ

借地上の家の解体費用は、原則借地人が負担しなければなりません。解体費用を少しでも安く抑えたいなら、家の中の不用品をできる限り自分で処分するとともに、複数の解体業者に見積もりを依頼して比較しましょう。解体費用を支払うのが難しいときは、借地上の家を第三者に売却するのも選択肢のひとつです。
リアルエステートは借地権の取り扱いに精通した不動産会社で、「おうちの相談室」を通じて借地権に関するあらゆる悩みを解決するサポートをしています。借地上の家の解体費用を支払えずにお困りの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
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