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2026/03/17借地権の買取方法とは?相場・手続き・地主の承諾を得るポイント
- 底地・借地

借地権の売却で大きなネックとなるのが、地主の承諾です。借地権を地主本人に買い取ってもらえれば理想的ですが、いずれにしろ地主との交渉は容易ではなく、適切な価格設定や交渉術が成功の鍵を握ります。
本記事では、借地権の買取相場の目安からスムーズな手続きのための流れ、最も重要な地主の承諾を得るためのポイントまで詳しく解説します。
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
Contents
地主に借地権を買い取ってもらうことはできる?

借地権は第三者だけでなく地主本人による買取も可能ですが、無条件でできるわけではありません。まずは借地権の法的な位置付けと買取義務について見ていきましょう。
可能ではあるが買い取る義務はない
借地権とは、地主が所有権を持つ土地を借りる権利であり、借地権者は対価として地代を支払います。
賃借権の場合、借地権は返還するだけでなく、地主の承諾があれば第三者への売却や、場合によっては地主自身への売却も可能です。しかし、「できる」というだけで、法的に地主が借地権を買い取る義務はありません。
借地権の「建物買取請求権」に地主は応じる義務がある
借地権者のなかには、「地主に借地権を買い取ってもらえる」という話を聞いたことがある方がいるかもしれません。
正確には、地主に借地権の買取義務はありませんが、一定の条件を満たせば、建物の買取義務が発生します。
ただし、建物の買取義務には条件があり、借地借家法第13条では次のように定められています。
『借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。』
(参考: 『e-GOV法令検索 借地借家法第13条』)
つまり、建物の買取義務(建物買取請求権)は、地主が契約更新を認めないときに基本的に請求できるものであり、借地権者の都合で自由に行使できるわけではありません。
関連記事 : 借地権の買取請求権とは?借地上の建物を買い取ってもらえる?!
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借地権を地主に買い取ってもらうメリット・デメリット
借地権者にとって、借地権の売却はまとまった資金を得られるだけでなく、地代の支払いが不要になるという利点があります。特に、借地を使用する必要がなくなった場合や、相続で得た借地に活用の予定がない場合には、大きなメリットとなります。
また、地主が買主であれば、第三者を探す手間が省けるだけでなく、譲渡承諾料も不要になります。
しかし、借地権者にとってメリットがある一方で、地主には借地権を買い取る義務がない上に、地代収入がなくなるデメリットがあるため、買取に積極的な地主は多くありません。
そのため、地主の意向に左右される交渉となり、希望する価格での売却が難しくなる可能性があります。
さらに、交渉がまとまらなかった場合には、借地人と地主の関係が悪化するリスクも考えられます。
関連記事 : 【徹底理解】借地権を買取る際に知っておくべき事項(地主視点)
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借地権を地主に売るといくらになる?価格相場と決まり方

地主に買取を承諾してもらい、双方が納得できる金額を決めるためには、まず適正な価格を把握することが重要です。次に、借地権の価格を決める主な3つの要素について解説します。
更地価格が買取相場に与える影響
借地権の価格を知るためには、基準となる更地の価格を把握する必要があります。更地の価格が高いほど、借地権の売却価格にも影響を与えますが、必ずしも比例するわけではありません。
土地の価格は、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で公開されている路線価や評価倍率を使用して算出できます。
(参考: 『国税庁 財産評価基準書 路線価図・評価倍率表』)
路線価が設定されている地域では、更地価格は『路線価 × 地積(土地の面積) × 地形や接道状況に応じた補正率』で計算されます。土地の利用価値は立地だけでなく、道路に接している面の数や間口の広さ、土地の形状などによっても異なるため、これらを考慮した補正率が適用されます。
また、路線価が設定されていない地域では、固定資産税評価額に評価倍率を掛けて算出する方法が用いられます。
ほかにも、不動産ポータルサイトや国土交通省の「不動産情報ライブラリ」などを利用すれば、近隣の土地価格をあくまで目安として確認できます。
(参考: 『国土交通省 不動産情報ライブラリ』)
借地権割合とは?買取価格への影響
借地権の価格を決めるもう一つの重要な要素が、借地権割合です。借地権のある土地の権利は、地主が持つ底地権(借地権のある土地の所有権)と、借地人が持つ借地権に分かれています。
借地権割合とは、土地全体の価値に対する借地権の価値の割合を示す指標です。借地権割合は地域によって異なり、都心の商業地や一等地など、土地の利用価値が高い場所では高く、地方では低くなる傾向があります。
一般的に、更地の価格に借地権割合を掛けたものが、借地権の売却価格の大まかな目安とされています。ただし、実際の売却価格は交渉や市場の需要によって変動するため、必ずしもこの通りになるわけではありません。
関連記事 : 借地権割合の重要性と成功するための売却戦略
地主・借地人、どちらが売却を申し出るかで価格が変わる?
借地権の買取価格は、地主からの申し出か、借地権者からの申し出かによって異なります。
- 地主側から買取を提案する場合
地主が土地の活用を目的として借地権を買い取る場合、一般的に借地権割合(60%~70%)を基準に買取価格が決まることが多くなります。さらに、交渉次第では引っ越し費用などを負担してもらえる可能性もあります。
- 借地権者側から買取を申し出る場合
借地権者が地主に対して買取を依頼する場合、地主にとって直接的な利益が少ないため、交渉次第では買取価格が低くなる傾向があります。一般的には、更地価格の50%程度が買取金額の相場とされていますが、地域や契約条件によって異なります。
契約終了時の建物買取請求権の相場
それでは、借地契約の終了に伴う建物買取請求の場合の買取相場はどのようになるのでしょうか。借地借家法第13条では、借地契約の存続期間が満了し、契約が更新されない場合に、借地権者は地主に対して建物の買取を請求することができると定められています。
(参考: 『e-GOV法令検索 借地借家法第13条』)
「時価」とは、市場での適正な取引価格を指し、一般的には以下の要素を考慮して算出されます。
- 建築費用から、経過年数に応じた減価償却分を差し引いた価値
- 立地や周辺環境などの「場所的利益」
- 市場の需要や類似物件の取引事例
そのため、契約終了時には借地権の買取ではなく、建物の買取が行われることになります。ただし、その金額は建物の状態や立地によって大きく異なるため、一概には言えません。
借地権を売る際の費用負担とは?
借地権を売却できても、売却益のすべてが手元に残るわけではありません。売却条件によって、以下のような費用が発生する可能性があります。
| 費用の種類 | 必要な場合 | 金額の目安 |
| 仲介手数料 | 不動産会社が仲介する場合 | 売却価格に対する上限額(税抜): 200万円以下:5%+消費税 200万円超~400万円以下:4%+2万円+消費税 400万円超:3%+6万円+消費税 |
| 譲渡承諾料 | 第三者に売却する場合 | 借地権価格の10%程度 |
| 印紙税 | 売買契約書1通ごとに添付 | 契約金額別の税額: 1万円以上10万円以下:200円 10万円超~50万円以下:400円 50万円超~100万円以下:1,000円 100万円超~500万円以下:2,000円 500万円超~1,000万円以下:1万円 1,000万円超~5,000万円以下:2万円 5,000万円超~1億円以下:6万円 |
| 譲渡所得税 | 譲渡所得がプラスの場合 | 所有期間による税率(所得税+住民税+復興特別所得税): 5年超(長期譲渡所得):20.315% 5年以下(短期譲渡所得):39.63% |
| 建物解体費用 | 更地に戻す必要がある場合 | 建物の構造・面積により異なる(例:木造30坪の場合、約170万円) |
| 登録免許税 | 抵当権抹消や相続登記が必要な場合 | 不動産1件あたり1,000円 |
借地権と同時に借地上のマイホームを売却する場合、一定の条件を満たせば「3,000万円特別控除」が適用され、譲渡所得税の軽減が可能です。ただし、適用には「居住用財産であること」などの要件があるため、事前に確認することが重要です。
関連記事 : 借地権売却でかかる所得税は?計算式や控除をわかりやすく解説
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借地権買取を成功させるための4つのステップ

第三者や地主への借地権の売却をスムーズに進めるためには、大まかな売却の流れを把握しておくことが重要です。
ステップ1:不動産会社を選び査定を行う
売却を検討したら、まずは査定を行います。査定には、机上査定と現地調査の2種類があります。
査定を行う目的は、大まかな借地権の価格を把握し、第三者への販売価格や地主に提案する際の適正な買取金額を決定するためです。
しかし、借地権は権利関係の調整が必要で一般的な不動産よりも買い手が見つかりにくいため、所有権の物件に比べて査定額が低くなりやすい点を理解しておきましょう。
査定価格の高低にかかわらず、査定の根拠を丁寧に説明できる、不動産会社を選ぶことが重要です。
ステップ2:地主と買取交渉を進める
賃借権の場合、地主の承諾がなければ売却が進められません。そのため、査定金額を基に売却価格を決定した後、地主と交渉して借地権売却の許可を得る必要があります。
しかし、地主も借地権者も売買の知識が十分でない場合、交渉が難航しやすく、場合によっては関係が悪化し、売却の承諾を得られなくなる可能性もあります。
もし交渉に不安がある場合は、不動産会社に相談しながら進めるとよいでしょう。
ステップ3:必要に応じて地主に承諾料を支払う
地主以外の第三者に売却する場合は、地主の承諾を得るために「譲渡承諾料(承諾料)」を支払う必要があります。承諾料の金額は法律で定められていないため、地主と借地人が相談して決めることになります。
一般的に、地主が借地権の売却に賛成するケースは多くありません。その理由として、借地権を維持することで定期的な地代収入を得られるため、地主が売却に慎重になるのは自然なことです。そのため、借地権の売却を認めてもらう代わりに、地主へ承諾料を支払う必要があります。
承諾料の金額は、地主と借地人の交渉次第ですが、高すぎると借地人にとって負担が大きくなり、低すぎると地主が売却に同意しない可能性があります。このため、交渉が難航することが多く、スムーズに進めるためには、不動産会社に仲介を依頼し、専門的なアドバイスを受けるのが有効です。
ステップ4:借地権の買取が成立する
地主との交渉がまとまり、買取条件が決定したら、借地権の譲渡契約を締結します。
宅地建物取引業者を介して取引する場合、重要事項説明が必要になります。これは、不動産取引において買主が契約内容を十分に理解するための制度であり、不動産会社の宅地建物取引士が説明を行います。
これらの手続きには専門知識が必要となるため、自分で全てを行うのは難しいですが、不動産会社が対応するのが一般的です。ただし、契約内容を十分に理解した上で進めることが重要です。
売却手続きがスムーズに進むよう、不動産会社選びの段階で慎重に検討することが大切です。経験豊富な不動産会社を選ぶことで、交渉や契約手続きをより円滑に進めることができます。
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借地権の買取を成功させるポイント

第三者への売却はもちろんのこと、地主への売却を成功させるためには、地主との交渉が重要になります。ここでは、借地権の買取を成功させる3つのポイントを解説します。
価格交渉しすぎない
借地権者としては、できるだけ高く売却したいと考えるのが自然です。しかし、地主との交渉において希望額を強く主張しすぎると、買取交渉が決裂するリスクがあるため、慎重に進めることが重要です。
第三者への売却とは異なり、地主に買い取ってもらう場合は承諾料が不要になることに加え、交渉の手間が省ける点も考慮すれば、多少価格で譲歩しても十分にメリットがあります。交渉の成立を優先し、お互いが納得できる範囲で合意点を探ることが、借地権買取成功への近道です。
取り決めた条件は明確に書面化する
借地権の買取においては、交渉が成立した後も、条件の解釈違いや履行の遅れなどが原因でトラブルが発生するリスクがあります。こうした問題を防ぐためにも、地主との間で取り決めた条件は書面化しておくことが重要です。
特に、建物の解体に関する取り決めは慎重に行う必要があります。
- 更地にするのか、現況のまま引き渡すのか
- 解体する場合、解体費用をどちらが負担するのか
これらを明確にし、口約束ではなく契約書などの正式な文書に記載しておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。取り決めを明文化することで、地主との認識の相違を防ぎ、安心して取引を進めることができます。
借地権買取の実績がある不動産会社に交渉をまかせる
借地権の売買には専門的な知識や経験が求められるため、不動産会社の選定は非常に重要です。
特に、借地権の買取は取引事例が限られるため、実績の少ない会社に依頼すると、適正な査定が難しくなったり、知識不足によるトラブルのリスクが高まったりする可能性があります。
また、第三者・地主どちらに売却する場合でも、地主との交渉は避けられません。地主が売却に前向きでない場合、交渉のハードルはさらに高くなります。
そのため、借地権に関する専門知識を持ち、交渉に慣れている不動産会社に依頼することが、スムーズな売却につながります。
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地主に借地権を買取拒否された場合の5つの選択肢

地主にしてみれば、自分で借地権を買い取ると、地代収入が入らなくなるだけでなく、買取費用や取引の手間もかかります。そのため、自ら土地を使用する予定がない限り、メリットはあまりありません。
従って、買取自体を拒否されることも十分にあり得ます。
ここでは、地主に借地権の買取を拒否された場合に検討できる代替案を解説します。
第三者へ売却
地主が買取を承諾しない理由が「地代収入を失いたくないから」である場合、個人や不動産会社など第三者への売却が認められる可能性があります。
ただし、第三者への売却には地主の承諾が必要になり、承諾が得られなければ売却を進めることはできません。一方で、一般的に、借地の価値の10%程度を承諾料として支払う必要があります。この承諾料は、地主にとってもメリットとなるため、交渉に応じてもらえる可能性があります。
借地権と地主の底地権を合わせた同時売却
地主が買取を承諾しない理由が「資金的な余裕がない」場合、有力な選択肢となるのが、地主と協力して売却する方法です。
地主の持つ底地権と借地人の持つ借地権を同じ買主に売却することで、買主は所有権を取得できるため、借地権単体より売却しやすくなり、売却価格も上がる傾向があります。
地主に底地権の売却を検討してもらう必要がありますが、地主側も保有する土地を資金化したいと考えていた場合、交渉が進みやすくなります。
この方法で売却した場合、売却代金は地主と借地人で分割し、分配割合は話し合いで決定します。
借地非訟の手続きを経て借地権を売却
原則として、借地権(賃借権)を売却するには地主の承諾が必要です。しかし、例外として裁判所の許可を得ることで売却できる方法が用意されています。
地主が第三者への借地権売却を承諾しない場合、借地人は「借地非訟」という手続きを利用できます。これは、裁判所に対し、地主の承諾に代わる許可を求める手続きであり、裁判所が許可すれば地主の承諾なしでも売却が可能になります。
具体的な手続きとしては、借地権の所在地を管轄する裁判所に申立てを行い、鑑定委員が状況を確認した上で、譲渡の許可を判断します。しかし、手続きには時間と労力がかかる上、地主の意思に反して借地権を売却することになるため、地主との関係が悪化する可能性が高いです。
そのため、借地非訟は最終手段として考えるべきであり、慎重に検討する必要があります。特に、今後も地主と同じ地域で生活する場合は、売却のメリットよりも人間関係の悪化によるデメリットが大きくなる可能性があるため、極力避けたほうがよいでしょう。
借地権を専門に取り扱う買取業者への売却
地主に買取を拒否された場合、借地権を専門に扱う買取業者への売却も選択肢の一つです。
買取価格が市場価格より安くなる可能性があるものの、地主との交渉を代行してもらえるため、手続きがスムーズに進みやすい点がメリットです。また、買主を探す必要がないため、個人への売却よりも早く資金化できる可能性があります。
借地権のような権利関係が複雑な不動産でも、専門知識を持つ業者であれば、安心して取引を進めることができるでしょう。
借地権の返還
借地権の売却目的が、お金を得ることよりも「今後の地代や更新料の負担をなくしたい」という場合、必ずしも売却を検討する必要はありません。
地主に買取や第三者への売却が認められない場合、借地権を放棄し、土地を返還することも選択肢の一つです。
この方法は、地主にとって負担が少ないため、受け入れられやすい方法ですが、建物を解体し、更地にして返還する必要があります。
また、解体費用や建物滅失登記の手続きは借地人の負担となり、さらに返却までに半年から1年程度かかる可能性があります。解体費用などの負担が一時的に大きくなるため、資金計画を考慮する必要があります。
しかし、長期的には地代や更新料などの金銭的負担がなくなるため、「負担を軽減できればよい」という場合には有効な選択肢となるでしょう。
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まとめ

どちらも建物を建てて利用可能ですが、借地権の多くは所有権と比べて制約が多く買取の難しさが存在します。
借地権の買取をスムーズに行うためには、適切な相場の把握と地主との交渉が重要です。いずれにおいても査定から仲介まで行う不動産会社の役割は大きく、借地権の扱いと交渉に慣れた実績のある会社選びが地主・借地権者双方が納得する取引につながります。
リアルエステート「おうちの相談室」では、権利関係の複雑な物件の売却に関する相談から解決までサポートします。お悩みの方はぜひ一度お問い合わせください。
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