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2023/10/05住宅ローン払えない時の具体的対処法と救済策
- 融資・ローン
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
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Contents
住宅ローン払えない!支払いが滞った場合に起こる事態
近年、新型コロナウイルスの影響で住宅ローン返済が滞る人が急増しました。実際に、住宅金融支援機構に寄せられた住宅ローンに関する相談件数は、2020年3月に214件、4月に1,158件、5月に878件、5月末までの累計で2,265件に上りました。2020年当時、住宅金融支援機構はフラット35などの利用者に対し、返済月の変更やボーナス支払いの調整など臨機応変な救済措置を実行しました。
参照:https://www.jhf.go.jp/files/400352876.pdf
このように実際には、住宅ローン返済に関して問題が生じた際には、ローン会社が何かしらの救済措置を取ってくれることもあります。
コロナウイルスによる収入減少の場合、特別な措置が用意されることが多いですが、急な病気や怪我、リストラなど、予測できないアクシデントも避けられません。住宅ローンは30年、40年単位で支払っていくものですので、非常に長いローン生活が待っています。急なアクシデントによって支払えなくなった場合に、具体的にどのような行動を取るべきかという点は、住宅ローンを組んでいない人も知っておくべきことです。
この章では、住宅ローンがすでに払えなくなっている方、払えなくなりそうだと危惧を抱いている方を対象に、どのような救済措置が用意されているのかご紹介します。
支払いが滞るとどうなる?3つの主なリスク
① 督促状が届く
住宅ローンを1~2ヶ月延滞すると、最初に「督促状」が届きます。
銀行や金融公庫などの金融機関から「期日までに未納金額と延滞損害金をお支払いください」という旨の督促状が届きます。
住宅ローンは滞納すると、金利が上昇する仕組みになっています。住宅ローンの契約を結ぶ際に、多くの場合、金融機関は店頭表示金利よりもやや低い金利で契約を提供します。契約時に低く設定された金利も、滞納により上昇し、その恩恵を受けられなくなります。
そのため、最初に督促状が来た際に、支払いが可能な方はすぐにでも支払ってください。そしてその際に支払い可能な見込みがない場合には、次の行動を開始する必要があります。
支払い滞納が続くと、自己破産も視野に入るため、リースバックや任意売却など他の方法を検討し始めることをお勧めします。また、不動産会社や金融機関に返済プランの相談をしましょう。
② 一括返済請求が来る
3ヶ月以上滞納すると、「期限の利益」が喪失し、一括返済を求められることになります。
すでに分割返済が不可能な状況であれば、一括返済も困難です。そのため、何としてでも3ヶ月以上の滞納は避けなければいけません。
③ 競売にかけられるリスク
期限の利益喪失後も滞納を続けると、「催告書」が届きます。催告書の内容通りの入金ができない場合(この時点では不可能な場合がほとんどです。)、家が競売にかけられることになります。
金融機関が裁判所に対して申し立てを行います。裁判所が申し立てを受理すると、家が差し押さえされることになります。念願で手に入れたマイホームが差し押さえされることだけは何としてでも避けたいですね。
この差し押さえが実行されると、自己破産の可能性も非常に高くなります。また契約者本人だけでなく、連帯保証人にも返済の請求がいくことになります。契約者同様、連帯保証人にも返済義務があるため、最悪の場合、連帯保証人の家も差し押さえられることがあります。
身内の人に連帯保証人になってもらっているケースが多いと思いますが、住宅ローンの滞納が続くと、他人にも多大な被害を及ぼしてしまう可能性があることに注意が必要です。
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住宅ローン延滞後の対処法:困った時に試すべき解決策
住宅ローン滞納時に生じる事態を説明しましたが、実際に3ヶ月以上滞納している人はどのくらいいるのでしょうか。
平成28年度 住宅金融支援機構 リスク管理債権の割合
貸出金の元金残高が23兆3,999億円なのに対し、破綻してしまった破綻先債権は、715億円、延滞してしまった延滞債権は、2,866億円、3ヵ月以上延滞してしまった延滞債権は、833億円で、以上の小計が、4,4149億円になり、貸出金に対し、1.89%の破綻延滞債権になります。
その他、リスケジュールなどの貸出条件緩和債権は、6,169億円となっており、両方合わせたリスク管理債権は、1兆583億円で、住宅ローンを払えなくなってしまった割合は、4.52%となっています。住宅ローンを借りている方のうち、100人に約4人が支払いを滞納していることになります。
平成29年度 住宅金融支援機構 リスク管理債権の割合
貸出金の元金残高が23兆3,259億円なのに対し、破綻してしまった破綻先債権は、681億円、延滞してしまった延滞債権は、2,518億円、3ヵ月以上延滞してしまった延滞債権は、750億円で、以上の小計が、3,949億円になり、貸出金に対し、1.69%の破綻延滞債権になります。
その他、リスケジュールなどの貸出条件緩和債権は、5,248億円となっており、両方合わせたリスク管理債権は、9,198億円で、住宅ローンを払えなくなってしまった割合は、3.94%となっています。
少し前のデータではありますが、全体の3.9〜4.5%の人が住宅ローンの支払いを滞らせているという事実があります。
*参考https://tes-ninbai.com/blog/2020/03/731/
それでは、この3.9~4.5%の内に入らないようにするための対処法をご紹介します。
現在、未延滞者のケース
まだ住宅ローンを延滞していないものの、今後の支払いが難しいと感じている方や、年収減少などが見込まれる方に向けて対処法をご紹介します。
① ローン返済プランと家計の見直し
金融機関に相談することで、毎月の返済額の変更や、滞納を避けながら返済を続けられる方法を提示してもらえる可能性があります。一定期間の返済猶予を設けてくれたり、返済期間を延長してくれることもありますので、まずは相談することが重要です。
② 借り換えの検討
現在利用の金融機関よりも低い金利でローンを組ませてくれる金融機関が存在しているかもしれません。借り換えには初期費用が発生するため、これも考慮した上でどちらがより有利かを慎重に検討する必要がありますが、滞納を回避するための手段として有効です。
借り換えを行うことで現在よりも金利が低くなると、毎月の返済額が減るので、その分の負担を減らすことができますね。
もちろん上記2点以外にも家を売却したり、加入済の保険を駆使することで負担を減らしたりなど、いくつか対処法はありますので、現在住宅ローンを滞納してしまいそうで不安に感じている方は、最もご自身にとって良いと思われるものを選ぶと良いでしょう。
現在、延滞者のケース
続いて、すでに住宅ローンを延滞してしまっている方向けの対処法をご紹介します。前述した通り、滞納が続くとご自身に取ってデメリットとなることが多数生じてきますので、すでに滞納してしまっているとしても、いくつかの対処を行うことで最悪の事態を避けましょう。
① 任意売却する
任意売却とは、お金を借りている金融機関の合意を得て、住宅ローンの残債がある家を売る方法です。通常は住宅ローンが完済していなければ不動産を売却することはできません。住宅ローンを利用して購入した不動産には「抵当権」が設定されていて、売却するには、抵当権の設定を解除する必要があり、解除するためには住宅ローンの完済が条件となっているためです。
一般的には家を売却して得たお金で住宅ローンを完済しますが、住宅ローンの残債が売却価格よりも大きい場合は、家を売っても残債が払いきれないという問題が起きてしまいます。
そこで金融機関の同意を得て、住宅ローンの残債がある家でも売ることができる任意売却が有効な対処法となります。任意売却は、家を売却した金額で住宅ローンが完済できない場合でも、所有者の希望条件をある程度通しながら家を売却できる、住宅ローンの負担で悩んでいる人への対応策の1つです。
② リースバックで家を売却する
リースバックとは、不動産会社や知人などに家を買い取ってもらうのと同時に、賃貸という形で家をリースしてもらう方法です。一度購入したものを売却し、そこで得た資金を元に、再度リースという形で借りていく方法です。
この方法なら、売却した家に家賃を払って住み続けることもできます。ローンの残債を返済するプランのリスケジュールの相談にも乗ってもらえるため、今後の生活の見通しが立ちやすいでしょう。また、リースバックの場合は家を買い戻すことも可能です。ただし、リースバック方式で不動産を売却する場合、通常の仲介による売却と比べて売却価格が安くなる可能性がありますので、この点には注意が必要です。
もちろん上記以外にも、個人再生をする方法や、国が用意している制度を駆使して救済措置を取ってもらう方法などが存在します。現状の逼迫具合に応じて、検討してみてください。
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まとめ:住宅ローン延滞に備えて知っておくべき対策
今回は住宅ローンの返済が厳しくなった場合どのようなことが起きるのか、またどのような対処法が存在しているのかご紹介しました。
クレジットカードなどと一緒で、お金を返済していく中で最も重要なことは「信用」です。また住宅ローンにおける毎月の返済額は、カードなどよりも額が大きいことが多く、収入状況の変化によって影響を受けやすいローンでもあります。そのため事前に支払えそうな額を設定することや、もしもの場合にはどのような対処法を取って最悪の事態(自己破産など)を避けるべきかなど、今からでも考えておくべきことは多数あります。連帯保証人ついても触れましたが、身内を不幸にさせてしまうことに繋がりかねないのでこの点も注意が必要ですね。それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*参考https://www.rehouse.co.jp/relifemode/column/at/at_0031/
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株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
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