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2026/03/12事業用定期借地権の契約に公正証書はなぜ必要?手続きの流れと注意点を解説
- 底地・借地

土地に事業用定期借地権を設定して貸し出す際は、必ず公正証書で契約を交わす必要があります。しかし、なぜわざわざ公正証書を用いるのか分からない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、事業用定期借地権設定契約を公正証書によって行わなければならない理由、事業用定期借地権で土地を貸す際の注意点について解説します。事業者への土地の賃貸をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
Contents
事業用定期借地権とはどのような権利か?

地主から借りた土地に建物を建てられる権利「借地権」には、事業用定期借地権以外にもさまざまな権利が存在します。土地を貸して活用したい方は、借地権の違いを把握することが大切です。ここでは、事業用定期借地権の概要や他の借地権との違いについて解説します。
事業用定期借地権とは?
事業用定期借地権とは、事業に利用する建物の建築・所有を目的として土地に設定される権利です。契約期間は、10年以上50年未満で設定します。
特徴は、土地の用途が事業用建物に限定される点です。具体的には、店舗や事務所、オフィスビル、ホテル、倉庫、工場が該当します。アパートやマンション、一戸建てといった居住を目的とした物件は建てられません。
事業用定期借地権と普通借地権の違い
借地権には、普通借地権と定期借地権の2種類があります。事業用定期借地権は定期借地権の一種です。
普通借地権と定期借地権の大きな違いは、契約更新の有無です。普通借地権の契約期間は30年以上で、借地人が希望すれば契約を更新できます。更新後の契約期間は初回が20年以上、2回目以降が10年以上です。
一方、定期借地権には契約更新がありません。契約期間が終わったら、借主は土地を更地にした上で貸主に返す必要があります。
事業用定期借地権と他の定期借地権の違い
定期借地権には、事業用定期借地権以外に「建物譲渡特約付き借地権」と「一般定期借地権」があります。
建物譲渡特約付き借地権は、契約期間が30年以上に設定された定期借地権で、契約期間が終わったら貸主が建物を買い取る必要があります。
一般定期借地権は事業用定期借地権、建物譲渡特約付き借地権以外の定期借地権です。契約期間は50年以上で、契約期間終了時は借主が土地を更地に戻します。
3つの定期借地権の特徴をまとめると、以下の表のとおりです。
| 借地権名 | 事業用定期借地権 | 建物譲渡特約付き借地権 | 一般定期借地権 |
| 契約期間 | 10年以上50年未満 | 30年以上 | 50年以上 |
| 用途 | 事業用 | 制限なし | 制限なし |
| 契約終了時 | 更地返還 | 貸主による建物買い取り | 更地返還 |
関連記事:借地権とは?普通借地権と定期借地権の違いから相続・売却のポイントまで
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事業用定期借地権はなぜ公正証書で契約する必要がある?

土地に事業用定期借地権を設定して貸し出す際は、一般的な賃貸借契約書ではなく、公正証書で契約を交わさなければなりません。土地を事業者に貸す予定があるなら、公正証書で契約を交わす理由を事前に押さえておきましょう。
事業用定期借地権は公正証書で契約しなければならない理由
借地借家法第23条第3項では、事業用定期借地権の設定を目的とする契約は公正証書によってしなければならないと定めています。制度の悪用を防ぐためです。
公正証書とは、公務員である公証人が法律に基づいて作成し、内容を証明する公文書です。公正証書を作成するにあたり、公証人は土地の利用目的や契約内容を精査します。これにより、事業用定期借地権が設定された土地に事業用以外の建物が建つことを未然に防げます。
事業用定期借地権の契約期間は10年以上で、他の定期借地権より短い点が特徴です。地主には短期間で土地を取り戻せるメリットがある一方、借地人にとっては長期間借りられないデメリットがあります。
そのため、借地人を保護する観点から、貸主がやみくもに事業用定期借地権を設定できないように公正証書による契約が義務づけられています。
事業用定期借地権契約に必要な公正証書の費用
公正証書の作成にかかる費用は、「公正証書手数料令」によって以下のように設定されています。
| 目的価額 | 基本手数料 |
| ~100万円 | 5,000円 |
| 100万円超200万円まで | 7,000円 |
| 200万円超500万円まで | 1万1,000円 |
| 500万円超1,000万円まで | 1万7,000円 |
| 1,000万円超3,000万円まで | 2万3,000円 |
| 3,000万円超5,000万円まで | 2万9,000円 |
| 5,000万円超1億円まで | 4万3,000円 |
| 1億円超1億5,000万円まで | 5万6,000円 |
| 1億5,000万円超2億円まで | 6万9,000円 |
引用:『事業用定期借地権等の不動産賃貸借に関する公正証書|京橋公証役場』
借地の場合、10年分の賃料の2倍をもとに手数料が決められます。土地の賃料が10年で1億円に設定されているケースでは、2倍の2億円が目的価額となり、公正証書の作成費として6万9,000円を支払う必要があります。
なお、公正証書の作成費用を貸主と借主のどちらが負担するかについてはルールがないため、話し合いによって決めるケースが一般的です。
事業用定期借地権契約における公正証書作成の流れ
土地に事業用定期借地権を設定して契約を交わすときは、以下の流れで公正証書を作成します。
- 借地契約の条件を決める
- 合意内容を公証役場に送る
- 公証人に契約書を公正証書として作成してもらう
- 地主・借主が公正証書に署名・押印する
上記のうち、特に重要なのは借地契約の条件設定です。トラブルを防ぐためにも、借地権の契約期間や地代、契約更新がない旨、契約解除事由も含め、借主と十分に話し合った上で契約書に盛り込みましょう。契約書の作成に不安を感じる場合、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
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事業用定期借地権で土地を貸すメリットとデメリット

事業用定期借地権で土地を貸すことには、他の借地権にはない多くのメリットがあります。ただし、デメリットも存在するため、事業用定期借地権を設定するかどうかは慎重に検討することが大切です。ここでは、事業用定期借地権で土地を貸すメリットとデメリットについて解説します。
メリット
事業用定期借地権で土地を貸す大きなメリットは、契約期間を10年~50年の間で柔軟に設定できる点です。10年後に自分で土地を活用する予定があるなら、契約期間を10年に設定すると短期的に収益を得られるだけでなく、契約満了時に土地を返してもらえます。
また、建てられる建物は事業用に限定されるため、普通借地権で貸し出すより地代を高めに設定できる点もメリットです。
関連記事:借地権の月々の地代には目安がある!?計算方法と金額設定について解説
デメリット
借地人にとっては、契約期間が終わったら必ず立ち退かなければならない点がデメリットとして挙げられます。そのため、契約期間を短く設定するほど借り手が見つかりにくくなることは覚悟しなければなりません。
また、事業用定期借地権は公正証書による契約が不可欠です。他の借地権より契約に手間と費用がかかる点もデメリットといえるでしょう。
関連記事:事業用定期借地権のメリット・デメリットと公正証書の作成方法
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事業用定期借地権で土地を貸す際の注意点

土地を活用する方法として、事業用定期借地権の設定は効果的です。ただし、事業用定期借地権で土地を貸す際には押さえておかなければならない注意点も存在します。後悔やトラブルを未然に防ぐためにも、注意点を確認した上で適切な対策を講じましょう。
事業用定期借地権に向いている土地かを確かめる
まずは、所有している土地が事業用定期借地権に適しているか確認することが大切です。事業用定期借地権に向いているのは「十分な広さがある」「ロードサイドに位置していて交通量が多い」「商業地域に近い」といった土地です。これらの条件に該当すれば、事業者の借り手が見つかりやすいでしょう。
事業用途に不向きな土地は借り手が見つかりにくく、思うような収益を上げられない可能性があるため、他の活用方法を検討したほうが無難です。
中途解約できない
一度事業用定期借地権として土地を貸すと、貸主からは中途解約ができない点も押さえておきたいポイントです。
契約期間を40年に設定して事業者に土地を貸した場合、40年が経過しないと土地を取り戻せません。そのため、契約期間を設定するときは、将来的な活用を踏まえて慎重な検討が求められます。
建物の解体費用を負担しなければならないことがある
事業用定期借地権で土地を貸す場合、更地返還が原則です。基本的に貸主が建物の解体費用を負担する必要はありません。
ただし、契約期間中に事業者が倒産した場合、建物が建っている状態で土地が返還されます。しかも建物の所有者は事業者であるため、勝手に解体できません。
建物を解体するには、裁判所に申し立てて契約を解除した上で工事に着手する必要があります。解体費用を倒産した事業者から回収することは難しく、実質貸主負担となる点に注意が必要です。
保証金を返還できないリスクがある
事業用定期借地権契約では、事業者から一定の保証金を預かるケースが一般的です。ただし、多額の保証金を預かると、契約満了時に返せなくなるリスクがある点に注意が必要です。
事業用定期借地権の契約は数十年と長いため、その間に相続が発生することは珍しくありません。相続が発生すると、相続人が貸主の地位を承継するとともに保証金を返還する義務も受け継ぎます。
相続人は相続税を納めなければなりません。まとまった現金がない状態で契約期間の満了を迎えると、保証金を返還できない恐れがあります。保証金を返せないと裁判に発展することもあるため、契約時には保証金を預かり過ぎないように注意したほうがよいでしょう。
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まとめ

事業用定期借地権とは、店舗や事務所といった事業での利用を目的に土地を貸す権利を指します。事業用定期借地権で土地を貸す場合、借地人の権利を守るためにも必ず公正証書で契約を交わさなければなりません。スムーズに契約したいなら、事前に借地契約の条件や公正証書の作成費用の負担割合を借地人と話し合って決めておくとよいでしょう。
土地が事業用途に適していない場合、事業用定期借地権の設定以外の活用方法を検討するのも選択肢のひとつです。
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