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最終更新⽇時

2025/09/13

旧借地権の売却は難しい?売却方法や相場、注意点をわかりやすく解説

  • 底地・借地

色画用紙でできた庭付き一戸建て

親や祖父母の代から所有している借地のなかには、現行の借地権ではなく「旧借地権」に基づくものも多くあります。

地代や更新料支払いの負担を避けるため、相続や親の高齢化により不要になった借地権を、更新前に手放せないかと考えている方もいるのではないでしょうか。現行の借地権と同様に、旧借地権の売却も可能です。しかし、旧借地権の売却には難しい点もあります。

本記事では、旧借地権の特徴から売却方法、相場、よくある質問までを取り挙げて解説します。

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記事執筆・監修
エキスパート職 山口智暉
  • -資格-

    宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士

  • -経歴-

    株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
    東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
    株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
    リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける

旧借地権の特徴と新法借地権との違い

木のシーソーの両端に乗る人型のブロックの片方に焦点を当てる虫眼鏡を持つ手

「旧借地権」とは、1992(平成4)年7月31日以前に締結された借地契約により設定された借地権のことです。それ以降に締結された借地契約が「借地借家法」に基づくのに対し、旧借地権は借地借家法の前身である「借地法」に基づくため、一般的に「旧(法)借地権」と呼ばれます。

旧借地法の大きな特徴は、「契約期間が長く、更新が半永久的に可能」である点にあります。

契約期間は、初回で30年または60年、更新後は原則として20年または30年と(いずれも建物の構造による)、現行の借地権より長く設定されています。

また、「正当な理由」がある場合に限って地主から契約終了を申し出ることができる点は現行の借地権と同様ですが、その正当な理由が認められにくいのが実情でした。

さらに返還条件が明確でなかったこともあり、借地人が望めば実質的に半永久的に土地を借り続けることが可能となり、旧借地権では借地人が強く保護されていたのです。

地主にとっては現行の借地権よりも不利となる一方、借地人に有利な旧借地権は買主から見れば「契約の安定性」が高いため、価値があると評価されています。

関連記事:旧法借地権とは?基礎知識から更新・相続まで詳しく解説

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旧借地権の売却が難しい4つの理由

「?」マークが描かれたブロックの手前に置かれたコインとペン、複数の本のミニチュア

売却が可能とはいえ、一般的に所有権と比較すると借地権の売却は難しい傾向にあります。
加えて、「契約時期が古い」など、旧借地権特有の課題も存在します。

ここでは、旧借地権の売却に関する主な課題について見ていきましょう。

地主の承諾が原則必要になる

借地権はあくまで「土地を使用する権利」であり、土地そのものの所有権は地主にあります。
そのため、自分の判断だけで自由に扱うことはできません。借地権の多くを占める「賃借権」においては、多くの行為に地主の承諾が原則として必要になります。

売却も例外ではなく、無断で売却を行うと重大な契約違反とみなされ、借地契約が解除される可能性があります。これにより、買主が明渡しを請求される事態に発展するおそれもあります。

また、地主の承諾を得るためには、借地権価格の約10%程度を目安とした「譲渡承諾料」の支払いが一般的です。

買い手が限られる

前述の通り、借地権は所有権に比べて安価に取得できる一方で、利用に制限が多く、地代や更新料の支払い義務もあります。

旧借地権は現行の借地権と比べて借地人の権利が強いという特徴があるものの、基本的な制限は変わりません。そのため、所有権と比較すると買い手の層が限られ、売却が難しくなりやすいのが実情です。

関連記事:所有権と借地権の違いは?基本からよくある疑問まで徹底解説

建物が老朽化しているケースが多い

旧借地権による借地契約は、30年以上前に締結されたものです。途中で建て替えを行っていない限り、多くの建物では老朽化が進行しています。

そのまま居住するには修繕費がかかり、建て替えには地主の承諾が必要となるため、こうした点も売却のハードルとなります。

さらに、建物が朽廃(きゅうはい:老朽化して人が住めない状態)と判断されると、借地権自体が消滅してしまうおそれがあることも、買主にとっての大きな懸念材料です。

権利関係の確認が難しい場合がある

契約締結時期が古い旧借地権では、建物の老朽化以外にもさまざまな問題が発生しやすくなります。

たとえば、契約期間中に地主・借地人の双方で相続が発生していることが多く、「初回契約時の詳細が曖昧になっている」「契約書が紛失している」「そもそも取り決めが十分でなかった」といったケースも少なくありません。

こうした事情から権利関係を正確に把握することが難しくなり、承諾交渉が複雑化して売却時のトラブルにつながる可能性もあります。

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旧借地権を売却する5つの方法

画用紙で作られた住宅街の中にある空き地の前に置かれた札束と電卓

旧借地権も現行の借地権も、売却の方法自体に違いはなく、「誰に」「どのような形で」売却するかによって、それぞれにメリット・デメリットがあります。

そのため、売却の際には、「早く売却したい」「できるだけ高く売却したい」「売却の手間を減らしたい」など目的に応じて、以下の方法の中から選択するのがよいでしょう。

地主に買い取ってもらう

「売却」と聞くと、買ってくれる第三者を「探す」必要があると考えがちですが、借地権を設定した地主本人に買い取ってもらうという選択肢もあります。

もちろん、地主が今後も地代収入を得たいと考えていたり、購入資金を用意できなかったりする場合は成立しませんが、自分で土地を活用したいと考えている場合には、応じてもらえる可能性があります。

地主に買い取ってもらえれば、買主を探す手間や承諾料の支払いが不要になる点が大きなメリットです。ただし、借地人からの提案であるため、価格交渉が難しくなりやすい点はネックといえるでしょう。

旧借地権のみ第三者に売却する

地主への買い取り提案が成立しなかった場合には、第三者への売却を検討することになります。いくつか方法がありますが、もっとも単純なのは、借地人が保有する旧借地権のみを売却する方法です。

この場合は第三者への売却となるため、地主から譲渡承諾を得る必要があります。譲渡承諾料として、借地権価格の約10%程度を支払うのが通例です。

広い市場の中から買主を探せることから、地主に売却する場合と比べて価格の自由度は高くなります。ただし、住宅ローンが通りにくい点や、複雑な権利関係・利用制限のため敬遠されやすい点がデメリットです。

地主が持つ底地権と合わせて第三者に売却する

同じ第三者向けの売却でも、需要が高まる権利に変えることで売却しやすくなることがあります。その一つが、「地主が持つ底地権と合わせて第三者に売却する」方法です。

借地権と底地権の両方を取得した買主は、完全な所有権を得ることになります。これにより買い手がつきやすくなり、売却価格も上がる傾向があります。

ただし、「地主が底地の売却に同意すること」「売却後に地主と代金を分配すること」という2つのハードルがあり、交渉の難易度は高めです。

地主と「等価交換」を行い第三者に売却する

地主が持つ権利と合わせて売却する方法には、もう一つ「等価交換による売却」があります。

この方法では、借地人が持つ借地権の一部と、地主が持つ底地権の一部を交換し、地主・借地人それぞれが「底地権+借地権」が合わさった土地の一部を取得します。借地人は取得した土地を所有権として第三者に売却できるため、売却しやすいのがメリットです。

ただし、土地の評価や権利割合に応じて分筆(ひとつの土地を複数に分けて登記する)が必要となり、費用や手間の負担が大きい点はデメリットといえるでしょう。

専門の不動産会社に売却する

すべての方法の中でもっともシンプルなのが、個人の買主を仲介で探すのではなく、買取専門の不動産会社に売却する方法です。

この方法の最大のメリットは、すぐに売却できる点です。それ以外にも、「仲介手数料がかからない」「売却手続きがスムーズ」「売りにくい借地権でも買い取ってもらえる」といった利点があります。

一方で、買取価格は低くなる傾向にある点がデメリットです。「早く現金化したい」「更新までに売却したい」といったケースには適した方法といえるでしょう。

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旧借地権の売却価格の相場を知る方法

テーブルの上にある陶器でできた小さな家と下に置かれた数枚の1万円札

借地権の売却価格は、売却の方法や一体として扱われる上の建物の状態だけでなく、土地の立地や形状、契約内容、残存期間などの要素にも影響を受けます。
そのため、個々の借地権の価格を正確に予測するのは難しいと言えるでしょう。

とはいえ、売却を検討するなら価格のおおよその目安は知っておきたいものです。ここでは、借地権価格を知るための主な方法について解説します。

更地の価格から計算する

借地権が設定された土地では、地主が持つ「底地権」と借地人が持つ「借地権」を合わせたものが、土地全体の価値となります。
そのため、「土地の価格」と「借地権の割合」が分かれば、借地権の価格を算出することが可能です。

まずは、土地自体の価格(更地価格)を調べます。都市部の多くでは、国税庁により「路線価」が、路線価の設定がない地域では「倍率」が定められており、それらを基に土地の評価額を求めることができます。

(参考: 『国税庁 路線価図・評価倍率表』

路線価が設定されている場合には、路線価(1平方メートルあたりの価格:千円単位)に土地の面積を掛けることで、更地価格を算出できます。
さらに、路線価図に記載された借地権割合を掛けると、借地権の価格を求めることができます。

ただし、路線価は相続税の計算などに用いられる評価額で、市場価格の8割程度に設定されています。
そのため、算出した金額を0.8で割り戻すと、実際の価格に近い水準となります。

【計算例】
・面積:100平方メートル
・路線価:20万円/平方メートル
・借地権割合:0.6

借地権価格の目安:20(万円)×100(平方メートル)×0.6÷0.8=1,500万円

不動産会社に査定を依頼する

借地権や底地の売却価格は、契約条件や立地、その他の要素によって大きく変動します。
前述の方法でもおおまかな目安を把握できますが、実際の売却金額とは差が出る可能性もあります。

そのため、具体的にいくらで売却できそうかを把握したい場合には、実際に不動産会社へ査定を依頼するのが確実です。
とくに、借地権を専門に取り扱っている会社であれば、市場動向や権利関係を踏まえた査定価格を提示してもらえます。

査定は無料で対応しているケースも多いため、実績のある複数の会社に依頼し、価格や対応を比較・検討するのがおすすめです。

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旧借地権を売却する6つのステップ

実際に、第三者に旧借地権を売却する場合の流れについても見てみましょう。大きく分けて、以下の6ステップで売却が進んでいきます。

ステップ1:現状の把握 売却前に借地権の権利書や契約書を確認し、契約内容や権利関係の把握と不明点のチェックを行う
ステップ2:査定、仲介契約を結ぶ 複数の不動産会社に査定を依頼して借地権の適正価格を把握し、選定した不動産会社と仲介契約を締結する
ステップ3:地主の承諾を得る 借地権売却には地主の承諾が欠かせないため、地主と交渉して承諾料を含めた条件を取りまとめる仲介会社に任せるとスムーズ
ステップ4:売却活動~売買契約を結ぶ ポータルサイト掲載や業者向け不動産情報システムへの登録、内覧対応などを通じて不動産会社が売却活動を行い、買い手が見つかれば売買契約を締結する
ステップ5:借地権譲渡承諾書を作成する 売買契約時に、譲渡を承認する正式な書面である「譲渡承諾書」を作成し、地主から取得する
ステップ6:借地権の引渡し 売買契約締結と代金決済後、借地権および建物の所有権移転登記を行い、買主に物件を引き渡す

売却において重要なのが地主との交渉であり、専門知識があって交渉に長けた、専門の不動産会社のサポートが欠かせません。

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旧借地権の売却に関するよくある質問(FAQ)

リングノートの上に載せられた「?」マークに型抜かれた青い吹き出し型のプレート

借地権は、一般的にはあまりなじみのない権利であり、取得や売却にあたっては、実際に手続きを進めていく段階で、記事内で解説した内容以外にもさまざまな疑問が生じる可能性があります。

そこで最後に、旧借地権の売却において抱きがちな疑問について、簡単にまとめました。

旧借地権を相続したら何をしたらよい?

旧借地権を相続した場合は、まず契約書や権利書を確認し、契約内容や権利関係を正確に把握することが重要です。次に、義務ではありませんが、地主に「借地権を相続した」ことを伝えておくと安心です。地代の支払いや契約に関する不明点があれば、早めに確認しておくことで後のトラブルを防ぎやすくなります。

また、相続登記が義務化されたことにより、不動産の取得または遺産分割協議の成立から3年以内に、法務局で相続登記の手続きを行う必要がある点にも注意が必要です。

地主が反対すると売却できない?

借地権の譲渡は原則として地主の承諾が必要ですが、「正当な理由のない拒否」や「相場とかけ離れた承諾料の要求」があった場合には、裁判所で「借地非訟」の手続きを行うことで、地主の承諾に代わる許可を得ることが可能です。

ただし、地主の承諾を得ずに強引に売却を進めると、トラブルに発展するおそれがあります。まずは借地権に詳しい不動産会社などの専門家に相談し、交渉を重ねて合意を目指すことが望ましいでしょう。

地主の承諾を得るためのコツは?

旧借地権の売却で地主の承諾を得るには、できるだけ早い段階で地主に相談し、資金状況や意向を把握しておくことが大切です。借地人の希望を一方的に押し出すのではなく、地主の立場や状況を考慮した交渉を行うことで、合意に至りやすくなります。

また、地主から条件の提示を受けることも想定されます。金額に関する条件がある場合には、専門家の意見を参考に、合理的な根拠をもとにした提案をするとよいでしょう。

交渉が難航しそうな場合には、はじめから専門家に交渉を依頼するという選択肢もあります。

「建物買取請求権」とは?

借地契約が終了した際には、原則として建物を取り壊し、更地にして返還する必要がありますが、借地人には、地主に建物を時価で買い取るよう求める「建物買取請求権」が認められています。

この権利を行使すれば、地主は買い取りに応じる義務を負います。仮に地主がこれを拒否した場合でも、裁判所を通じて建物の時価を定め、買い取りを命じてもらうことができます。

ただし、建物買取請求権を行使するには、「契約が更新されずに満了していること」や「借地人から地主へ買取請求の意思表示を行ったこと」など、一定の条件を満たす必要があります。

売れない場合はどう対応する?

借地権を売却できない場合には、「契約を継続する」「売却を目指す」以外にも、借地権を無償で地主に返還するという方法があります。

この場合、借地権を返還するにあたり、借地人側が建物を取り壊し、更地にする費用を負担しなければならない点には注意が必要です。

また、土地や建物にほとんど価値がないと判断される場合には、個人間での無償返還でも贈与税が課されないことが多いですが、税務上の判断が難しいこともあるため、事前に税理士などの専門家に相談すると安心です。

関連記事:借地は更地にして返す必要がある?そのままの状態で返す方法も解説!

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まとめ

住宅街の中にある古い一戸建て

借地権、特に旧借地権の売却は地主の承諾だけでなく難しい点がいくつかあるため、交渉の難易度も上がります。

普段から地主との関係が良好で、話し合いがスムーズに進められる場合は問題ありませんが、そうでない場合は専門家に任せた方が、トラブルを避けやすく希望に沿った結果につながります。

売却をご検討の方、借地の取り扱いにお悩みの方は、リアルエステート「おうちの相談室」にご相談ください。

記事執筆・監修
エキスパート職 山口智暉
  • -資格-

    宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士

  • -経歴-

    株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
    東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
    株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
    リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける

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