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最終更新⽇時

2025/08/26

地代を払わないと借地権は消滅する?借地契約を解除するための条件と流れ

  • 底地・借地

住宅地の中にあるロープで囲まれた更地

地代の未払いが続くと、借地人は「借地権を失わないだろうか」、地主は「このまま支払われないなら土地を明け渡してもらうことはできるのか」と不安に感じることでしょう。

借地契約において、地代の支払いは借地権を維持する上で欠かせない義務の一つです。地代が何らかの理由で滞ると、それが契約解除、つまり借地権の消滅につながる可能性もあります。

本記事では、地代の未払いが借地権に与える影響、契約を解除する際の具体的な手続き、その流れについて、わかりやすく解説します。

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記事執筆・監修
エキスパート職 山口智暉
  • -資格-

    宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士

  • -経歴-

    株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
    東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
    株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
    リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける

地代の未払いにより借地権は消滅するのか?

家型の木製プレートと上に置かれた「滞納」の文字が入った積み木

地代の未払いが続くと、借地権は消滅する可能性があります。地代の支払いは借地人が地主に対して負う「債務」にあたり、これを怠ると「債務不履行」として、地主から借地契約の解除を求められるリスクが生じます。

もっとも、地代を滞納したからといって、直ちに借地権が消滅するわけではありません。地主には契約解除を検討する権利がありますが、解除には一定の手続きや要件を満たす必要があります。

借地権は借地人の権利保護の観点からも、解除にあたっては慎重な判断が求められ、判例上は「信頼関係が破壊された」と認められることが要件となります。一般的には、6か月程度の地代滞納が契約解除の目安とされており、原則として地主からの支払い催告を経たうえで、初めて解除が認められます。

契約が解除された場合、その時点で借地権は消滅し、借地人は建物を解体・収去したうえで、土地を更地にして返還しなければなりません。

関連記事:借地権の月々の地代には目安がある!?計算方法と金額設定について解説

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地代の未払いにより借地契約を解除する3つの方法

机に置かれた賃貸借解約通知書の書類とペン

地代の未払いを原因とした借地契約の解除方法は、借地人の同意の有無により3つに分かれます。

次に、それぞれの方法について見ていきましょう。

合意解約

合意解約とは、地主と借地人が協議のうえ、双方の合意によって契約を終了させる方法です。契約期間や滞納の有無にかかわらず、両者が納得すれば解約が成立します。借地人に地代を支払う余力がなく、今後の回収が見込めない場合、少なくとも土地だけでも返してもらう現実的な選択肢として検討されます。

特約による解除

借地契約の解除には原則として地主からの催告が必要ですが、例外として、契約書に「○か月の地代滞納で解除できる」といった特約がある場合は、催告なしでも解除が可能です。契約締結時に特約が明記されていれば、その内容に従って手続きを進めることができます。

ただし、借地人に著しく不利な内容は無効と判断されることもあるため、特約があるからといって必ず解除できるとは限りません。

裁判(訴訟)による解除

地代の滞納が続き、協議や催告でも解決しない場合、最終的な手段として裁判(訴訟)による解除が行われます。地主が裁判所に契約の解除と土地の明け渡しを求め、裁判所が滞納の期間や信頼関係の破壊の有無を判断したうえで、訴えを認めれば明け渡しが命じられます。

判決が確定しても借地人が任意に明け渡さない場合には、裁判所の執行官による強制執行で土地を明け渡させることになります。

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地代滞納から借地契約解除までの流れ

「CONTRACT」と大きく書かれた紙を破るスーツ姿の男性

話し合いによる交渉で未払いの解消が見込めない場合、正式に借地契約を解除するための手続きを取ることになります。

ここでは、未払いになっている借地契約を解除するための6つのステップについて解説します。

1.地代の支払いの催告

地代の滞納によって契約解除を行う際、最初の段階として借地人に対し、一定期間内での地代の支払いを催告します。催告は、書面や内容証明郵便などを用いて「○日以内に支払ってください」と正式に通知する形式で行います。

一点注意したいのが、「消滅時効」の存在です。民法では、一定期間権利を行使しない場合にその権利が消滅する「消滅時効」が定められており、時効の完成を猶予または更新する手続きがなされないまま地代や借地料の未払いが5年間継続すると、消滅時効により地主の請求権が失われる可能性があります。

もっとも、消滅時効は契約の解除とは関係がないため、未払いを理由とした契約解除そのものには影響を与えません。

2.契約解除の通知

催告期間を過ぎても地代の支払いがなされない場合、地主は借地契約を解除する旨を借地人に通知します。
この通知も催告と同様、書面や内容証明郵便を用いて、契約解除の意思が相手に確実に伝わる方法で行う必要があります。通知によって、契約関係を正式に終了させるための手続きが開始されます。

3.法的手段の検討

催告や通知を行っても借地人が契約解除や土地の明け渡しに応じない場合、次に地主が取るべきは法的手段の検討です。

具体的には、建物収去・土地の明け渡し請求訴訟や滞納地代の支払い請求訴訟などを提起し、裁判所を通じた解決を図ることになります。

訴状には、契約解除の理由や明け渡しを求める根拠、未払い地代の金額などを記載し、それが裁判所から借地人に送達されます。

4.裁判所による判決・強制執行手続き

裁判では、借地人にも反論の機会が与えられ、双方の主張や証拠に基づき、契約解除の有効性や明け渡しの必要性について審理が進みます。その結果、地主側の主張が認められた場合には、裁判所から「建物収去及び土地明け渡し」の判決が出されます。

それでも借地人が判決に従わず土地を明け渡さない場合、地主は強制執行の申立てを行うことができ、裁判所の執行官のもとで建物の撤去および土地の明け渡しを実施する強制執行が可能となります。

5.滞納地代や損害金の請求

明け渡しや契約解除とあわせて、地主は未払いの地代や遅延損害金についても、裁判を通じて借地人に支払いを請求できます。

判決が確定すれば、これらの金銭も強制執行の対象となり、借地人の銀行口座や給料の差し押さえなどにより請求額の回収が可能となります。

6.明け渡し完了・契約関係の終了

強制執行では、建物内にある動産の搬出や保管が行われ、債務者(借地権者)がそれらを引き取らない場合には、売却や廃棄が実施されます。

借地権の場合、借地人の所有物である建物も解体され、解体完了後に執行官と地主が原状回復を確認すると、土地の明け渡し手続きが完了し、借地契約も完全に終了します。

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地代の未払いによるトラブルの予防策

ひもにクリップでつるされている「ひらめき」を示すアイコンが描かれた5つの小さい紙

借地人・地主のいずれにとっても、地代の未払いによる契約の不本意な終了は避けるべき事態です。

ここでは最後に、地代の未払いによる借地契約の消滅を防ぐための予防策として、地主・借地人それぞれの視点から3つの方法を紹介します。

地主側は借地契約書に解除条件を明記すること

地主にとって、地代の未払いが生じた際、どの程度の期間をもって借地契約を解除できるかという明確な基準が存在しない点は大きな問題となります。

そのため、契約の証跡となる借地契約書には、地代の支払い方法や期限だけでなく、遅延損害金の規定や契約解除の条件を特約として具体的に記載しておくことが重要です。たとえば、「地代の支払いが〇か月以上滞った場合は、催告のうえ契約を解除できる」など、解除に至る具体的な条件や手続きも盛り込んでおくことで、万が一トラブルが発生した際にも対応基準が明確になります。

関連記事:借地契約書とは?貸主・借主の双方に向けた作成やチェックのポイント

地主側は定期的に入金状況を確認すること

複数戸を一度に管理する一棟物件と異なり、借地契約を複数結んでいる地主はそれほど多くありません。そのため、「問題なく支払われているだろう」と入金確認を怠ってしまうことも考えられます。

特に、地主や借地人が高齢になったり、借地契約が長期化したりすると、ふとしたことで支払いが途切れたまま長期間気付かないという事態も起こり得ます。そのままどちらかに相続が発生した場合には、地代の支払い状況が把握できなくなるおそれもあります。

こうした事態を防ぐためにも、地代の入金状況は定期的に確認するよう心がけることが大切です。

借地人側は支払いが難しくなった時点で相談すること

借地人にとっても、地代の未払いによって借地と自宅の両方を失うことは、ぜひとも避けたいところです。
前述の通り、地代を支払わなかったからといって即座に借地契約が消滅するわけではありませんが、地主との信頼関係が損なわれれば、契約の継続が困難になる可能性があります。

そのため、実際に支払いが滞る前の段階で、少しでも支払いが難しいと感じたら、早めに地主に相談するべきです。事情を率直に説明し、分割払いや支払い猶予といった対応について話し合うことで、最悪の事態を回避できる可能性が高まります。

関連記事:借地権は売却できる?5つの方法と流れ、売買相場について解説

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地代の未払いによる債務不履行以外で借地権が消滅する条件

借地権が消滅するのは、地代の未払いによる契約解除だけではありません。

中でも特に注意すべきなのが、建物の「朽廃(きゅうはい)」です。朽廃とは、建物が老朽化などによって通常の修繕では建物としての機能を回復できず、いつ倒壊してもおかしくないほど劣化した状態を指します。

この朽廃と認められた場合、法律上、借地権は消滅します。したがって、借地上に築年数の古い建物を所有している方は、その建物の状態や今後の維持管理について対策を検討する必要があります。

一方、朽廃とは異なり、火災や地震、取り壊しなどによって建物が物理的に存在しなくなる「滅失」の場合には、借地権は消滅しません。

滅失の際は、原則として建物の再建が可能ですが、借地契約を一度でも更新している場合には、再建築にあたって地主の承諾が必要になる点に注意が必要です。

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まとめ

机に置かれた督促状と残額の少ない通帳、電卓

借地契約は、地代の未払いによって自動的に終了するものではなく、契約を終了させるには法律に基づいた手続きや条件を満たす必要があります。

地主・借地人のいずれにとっても、地代の未払いが続いた末に法的手段に至るような事態は避けるべきであり、日ごろから未払いを防ぐための対策が求められます。ただし、長期間にわたる借地契約では、地代の支払いを継続することが困難になる場合も想定されます。そのようなときは、借地権の譲渡について検討・提案してみるのも一つの方法ではないでしょうか。

リアルエステート「おうちの相談室」では、借地権をはじめとする不動産に関するお悩みについてご相談を承っています。借地権についてお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。

記事執筆・監修
エキスパート職 山口智暉
  • -資格-

    宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士

  • -経歴-

    株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
    東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
    株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
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