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2025/07/14借地権トラブルはなぜ起こる?地主・借地人それぞれの視点で解決策を紹介
- 底地・借地

「地主から突然、高額な更新料を請求された」「老朽化した家を建て替えたいのに、承諾が得られない」。
親の代から続く借地権は、大切な資産であると同時に、こうした予期せぬトラブルの火種にもなり得ます。一方で地主にとっても、「自分の土地なのに自由にならない」「相続を機に借地人との関係性が変わってしまった」といった悩みは尽きません。
本記事では、借地権トラブルがなぜ起こるのかという構造的な問題から、更新料、立ち退き、譲渡、相続といった具体的な10のトラブル事例までを網羅的に解説します。地主・借地人それぞれの視点から解決策を提示しますので、問題がこじれてしまう前に、ご自身の状況と照らし合わせながら解決の糸口を探っていきましょう。
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
Contents
- 1 なぜ借地権トラブルは起こるのか?制度に潜む3つの構造的問題
- 2 旧借地権におけるトラブル1:更新料・名義変更料を突然請求された
- 3 旧借地権におけるトラブル2:老朽化を理由に立ち退きを要求された
- 4 旧借地権におけるトラブル3:譲渡承諾料が法外に高い
- 5 旧借地権におけるトラブル4:無断増改築で契約解除を通告された
- 6 旧借地権におけるトラブル5:契約更新を一方的に拒否された
- 7 旧借地権におけるトラブル6:譲渡承諾を一貫して拒否される
- 8 旧借地権におけるトラブル7:借地条件違反で解除請求を受けた
- 9 旧借地権におけるトラブル8:感情的理由で建て替え・譲渡を拒否された
- 10 旧借地権におけるトラブル9:無断譲渡・転貸で解除を迫られた
- 11 旧借地権におけるトラブル10:借地人死亡後の相続手続きが進まない
- 12 まとめ
なぜ借地権トラブルは起こるのか?制度に潜む3つの構造的問題

旧借地権は「更新さえすれば90年以上も利用できる」と言われるほど、借地人を手厚く保護する制度です。しかし、その仕組みが現代の住宅事情や価値観と合わなくなり、かえって数多くのトラブルを引き起こす火種となっています。
例えば、地主の立場からすれば「自分の土地なのだから、もう返してほしい」と願っても、法律に守られた借地契約を簡単に解除することはできません。一方で借地人は、家の建て替えや売却を検討するたびに地主の承諾と承諾料が必要になることに、理不尽さを感じがちです。
このように、制度と現実との間に生じたズレが、地主と借地人それぞれの不満を増幅させ、深刻な争いへと発展してしまうのです。この問題の背景には、旧借地権が持つ、主に3つの構造的な弱点が存在します。
- 契約期間が極端に長く、「値上げ」や「使用目的変更」の交渉の余地が少ない
- 旧法で結んだ契約条項が、現行法と食い違い解釈が分かれやすい
- 長期契約ゆえに相続などで代替わりすると、当事者同士の信頼関係が途切れやすいこと
これから解説する具体的なトラブル事例は、これら3つの構造的弱点が表面化したものと言えます。
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旧借地権におけるトラブル1:更新料・名義変更料を突然請求された

契約更新や相続の直前に「明日までに〇〇万円払え」と高額な更新料や名義変更料を請求されて驚くケースがあります。旧借地権では法律で一律の金額や支払い義務が決まっていないため、請求の根拠と金額が妥当かを見極めないと、言われるままに支払ってしまう恐れがあります。
借地人が取るべき行動
まず契約書を確認し、更新料や名義変更料に関する特約があるかを探してください。特約がなければ法的義務はありません。次に、請求額が妥当かを判断するため近隣事例や判例を収集し、合理的金額かどうかを整理します。難しければ専門家に相談してみましょう。
その上で文書で質問状を送り、金額の根拠を求めます。合意できなければ供託を行い、民事調停を申し立てると交渉の場が整います。
地主が注意すべき点
契約書に根拠のない請求や、法的に義務のない名義変更料の請求は認められにくく、調停や訴訟で退けられやすいので、請求前に契約書と相場を再確認してください。不合理な請求は借地人との信頼関係を損なう可能性があります。
関連記事:借地権の名義変更料はいくら?発生するケースや相場・素朴な疑問を解説
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旧借地権におけるトラブル2:老朽化を理由に立ち退きを要求された

築40〜50年超の借地上建物では、耐震基準を満たさないことを理由に地主が更地返還を求める例があります。しかし老朽化だけでは正当事由にならず、立退きが認められるには追加要素が必要です。
借地人が取るべき行動
通知が届いたら、立ち退きを求める理由と立退料提示の有無を文書で確認してください。高齢で転居が難しい、子供の通学先が近い、長年店舗を併設しているなど生活基盤としての必要性を具体的に整理し、資料を添えて地主へ提出します。提示された立退料が借地権価格の2〜5割より低い場合は、相場表や判例を根拠に増額を求めましょう。合意できなければ民事調停を申し立て、裁判所の関与で公平な判断を得ると感情的な対立を避けられます。
地主が注意すべき点
老朽化を主張するなら、耐震診断書などの客観資料と、自分自身が土地を利用しなければならない切迫性をセットで提出する必要があります。また立退料を提示しない更新拒否は正当事由が弱いと判断されるため、補償額を相場に沿って提示した上で交渉することが肝心です。
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旧借地権におけるトラブル3:譲渡承諾料が法外に高い

借地権を第三者に売却する際、地主から承諾料として借地権価格の15%以上を求められる事例があります。承諾料の金額は法律上の上限がなく、当事者の合意で決まるため、相場を知らずに応じると不必要な負担を抱えます。
借地人が取るべき行動
不動産鑑定士の簡易評価や近隣事例を収集し、借地権価格の8〜12%が一般的である資料を作成するとよいでしょう。それを基に交渉し、金額の妥当性を検証します。不合理な拒否や過大請求が続く場合は、借地借家法19条に基づき「代諾許可」を申し立てることで、適正な承諾料で譲渡できます。申立てには契約書写し・鑑定書・譲受人の信用資料を添付しましょう。
地主が注意すべき点
「周りも払っているから」だけでは裁判所に金額根拠と認められません。鑑定評価や過去の取引例を提示し、譲受人の信頼性を確認した上で妥当な承諾料を提案すると、訴訟リスクを抑えられます。
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旧借地権におけるトラブル4:無断増改築で契約解除を通告された

建物の老朽化が進み、借地人が承諾を取らずに増築や建て替えを始めると、地主から信頼関係破壊を理由に契約解除を通告される恐れがあります。
借地人が取るべき行動
工事前に計画書を作成し、規模・構造・工期・安全対策を説明して承諾を得ることが第一です。地主が合理的理由なく拒否する場合は、借地借家法17条の条件変更許可を裁判所へ申立て、第三者の許可を得て工事を進められます。もし無断で着工してしまったら、速やかに是正案と補償案を提示し、信頼回復に努めてください。
地主が注意すべき点
承諾を拒む際には工事が土地に不利益を及ぼす理由や契約違反を具体的に示し、代案を提案することが求められます。合理性を示せないまま拒否を続けると、裁判所が代諾許可を出す可能性が高まります。
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旧借地権におけるトラブル5:契約更新を一方的に拒否された

旧借地権は、借地人の権利が強く保護されており、更新期日に地主から「契約を終了させたい」と告げられても、法定更新により自動延長されるのが原則です。地主は簡単には土地を返してもらうことができません。
借地人が取るべき行動
更新期日の前に内容証明郵便などで更新意思を通知し、契約継続の手続きを取ります。地主が更新拒否を主張する場合は、その「正当な事由」の有無や妥当性を確認し、地主の自己使用計画や立退料提示の有無などを検討します。
地主側の理由が不十分だと判断される場合、または法外な条件を提示された場合は、弁護士に相談の上、調停や訴訟で契約の継続を求めましょう。
地主が注意すべき点
正当事由が弱いまま更新拒否を通知すると、自動更新となり信頼関係だけが損なわれます。土地利用計画と補償額を具体的に整え、数字で妥当性を説明する姿勢が必要です。
関連記事:定期借地権は更新できない?再契約の方法と注意点を解説
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旧借地権におけるトラブル6:譲渡承諾を一貫して拒否される

地主が「譲受人の信用」を理由に、長期にわたり借地権の譲渡承諾を出さないケースがあります。地主の承諾なく借地権を譲渡すると契約解除のリスクがあるため、不合理な拒否が続けば売却計画が頓挫し、借地人は資金繰りに行き詰まります。
借地人が取るべき行動
譲受人の身元保証書・事業計画・融資内諾などを提示し、信用不安を払拭してください。同時に、譲渡承諾料として借地権価格の10%程度が相場であることを参考に、相場通りの承諾料を提示し、合意形成を図ります。
それでも拒否される場合は、「借地権譲渡許可の申立て」という借地非訟手続を裁判所に申し立て、裁判所の判断で譲渡を進めます。この際、裁判所は譲渡が地主にとって著しく不利にならないか、また譲受人に借地権を適切に維持できる資力や能力があるかなどを審理し、承諾に代わる許可を出すかどうかを判断します。
地主が注意すべき点
拒否するなら具体的な理由と改善条件を示さなければ、不合理拒否と判断されるリスクがあります。地主が譲渡を拒否する主な理由としては、「新借地人とのトラブルを懸念している」「将来的に土地を自ら使用したいと考えている」「提示された譲渡承諾料が安いと感じている」などが挙げられますが、感情的な拒否は避け、合理的条件を提示して交渉してください。不合理な拒否を続けると、裁判所が承諾に代わる許可を与える可能性もあります。
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旧借地権におけるトラブル7:借地条件違反で解除請求を受けた

住宅専用と定めた土地で事務所や飲食店を開業するなど、契約で定められた使用目的を逸脱する違反が発覚すると、地主から契約解除を求められる可能性があります。これは、借地借家法における「借地人の債務不履行」に該当し得る行為とみなされるためです。
借地人が取るべき行動
違反条項を確認し、是正策(用途を戻す・追加承諾料を支払う)を文書で提示して和解を図ります。違反が軽微であれば、直ちに「信頼関係の破壊」に至らないと判断され、解除を回避できる場合があります。
地主が注意すべき点
催告なしに即時解除を宣言すると、裁判所で無効と判断される恐れがあります。これは、民法第541条に基づき、「相当の期間を定めて履行の催告を行う」ことが契約解除の前提条件となるためです。まず是正を求める通知を出し、改善がない場合に限り解除を検討してください。
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旧借地権におけるトラブル8:感情的理由で建て替え・譲渡を拒否された

地主が「気に入らないから」「長男に土地を使わせたいから」といった主観的理由だけで承諾を出さない例があります。これは、借地借家法で求められる「正当な事由」に該当しないケースが多いため、トラブルの原因となります。
借地人が取るべき行動
建築計画や譲渡条件を詳しく説明し、地代改定や保証人追加など地主にメリットを示すことで不安を解消します。合理的理由のない拒否が続く場合は代諾許可を申し立て、法的手段で前進させる姿勢を示してください。
地主が注意すべき点
感情論で拒否を続けると、裁判所が承諾に代わる許可を出し、結果的に収入機会を失う恐れがあります。裁判所は、地主の拒否が「信頼関係の破壊」にあたるかどうか、および「正当な事由」があるかどうかを厳しく判断します。拒否するなら、法律に基づいた具体的理由と譲渡・建築の条件を整理して伝えましょう。
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旧借地権におけるトラブル9:無断譲渡・転貸で解除を迫られた

名義を変えずに親族や知人に又貸しした場合でも、実質的に第三者へ使用させていれば契約違反とみなされます。これは、地主の承諾なく借地権を譲渡または転貸することを禁じる契約条項に違反する行為であり、地主が契約解除を求める正当な理由となり得ます。
借地人が取るべき行動
事後承諾を求め、使用状況を詳細に説明し、保証人追加や地代増額で信頼回復を図ります。解除通告が届いたら、催告手続が適正か確認し、改善策を期限内に示してください。
地主が注意すべき点
一時的な親族の利用など軽微な転貸では解除が認められない場合もあります。違反の期間・程度を冷静に評価し、是正要求か解除かを判断しましょう。
関連記事:借地の一部を駐車場として転貸しても良い?必要な許可について解説!
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旧借地権におけるトラブル10:借地人死亡後の相続手続きが進まない

借地人が亡くなった後、相続人が複数いると地代請求先や名義変更が曖昧になり、地主と相続人の双方で混乱が起こるという点は、実際に起こり得るトラブルです。特に、亡くなった借地人が親族と疎遠だったり、相続権のある親族が借地権以外の財産に興味がなく相続手続きを放置したりするケースでは、地主が誰に地代を請求してよいか把握すること自体が困難になる可能性がゼロではありません。
相続人と地主が取るべき行動
相続人は代表者を選任し、委任状を地主へ提出して連絡窓口を一本化します。その上で速やかに相続登記を行い、登記簿謄本を地主へ届け出てください。令和6年4月からは相続登記が義務化されており、不動産の相続を知った日から3年以内に登記をしないと、10万円以下の過料が課せられる恐れがあります。
地主は代表相続人と連絡を取り、地代支払い方法と今後の契約条件を文書化しておくとトラブルを防げます。加えて、日頃から借地権者とコミュニケーションを取り、親族関係やいざというときの連絡先を把握しておくことが、このような事態を避けるための予防策となります。
注意点
法定相続による承継には承諾料は不要ですが、遺贈や第三者への売却は譲渡扱いとなり、承諾と承諾料が必要です。手続きの区別を明確にした上で協議を進めてください。
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まとめ

借地権のトラブルは放置しても改善しません。契約書と客観的数字を根拠に対話を始め、必要に応じて専門家へ相談することが最短の解決ルートです。
リアルエステートでは、借地権売却やトラブルに関するお悩みをサポートする「おうちの相談室」を提供しています。ヒアリング・状況整理から交渉・調整まできめ細やかに対応いたしますので、争いが長期化する前に、お早めにご相談ください。
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