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2026/03/03所有権とは?民法の定義や登記手続き、借地権・区分所有権との違いを解説
- 底地・借地

親から家や土地を相続するにあたり、「どう扱うべきか分からない」「売却したいけれど、どうすればよいか」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。
不動産の相続や売却の場面では、「所有権」という法的な権利への正しい理解が不可欠です。トラブルを未然に防ぐためにも、事前に所有権に関する不明点や疑問点を解消しておきましょう。
この記事では、民法上の所有権の定義や不動産の所有権に関する基礎知識、所有権を主張するために必要な登記手続き、トラブル時の対処法を解説します。不動産の所有権に関する悩みを相談できる専門家も紹介するため、ぜひ参考にしてください。
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
Contents
所有権とは?民法の定義と基本の仕組み

所有権は不動産の相続・売却の前提となる重要な概念です。事前に正しい知識を身につけることがトラブルを未然に防ぐ鍵です。ここでは、民法上の所有権の定義と不動産を扱う上で押さえておきたいポイントを解説します。
民法に基づく所有権の定義
民法では、所有権について次のように定義しています。
(所有権の内容)
第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
この条文から分かる通り、所有権は特定の物を自由に「使用できる」「収益化できる」「処分できる」という3つの行為を包括する非常に強い権利です。
使用とは「自分がその家に住む」「土地を駐車場として利用する」など、物を直接使う行為を指します。収益とは「家を貸して家賃収入を得る」「土地を貸して地代を得る」など、物から利益を生み出す行為です。
また、処分とは「家を取り壊す」「家や土地を売却する」など、物の形や所有関係そのものを変更する行為を指します。
相続などで取得した不動産をどう活用するか判断する上でも、3つの行為の意味を正しく理解することが大切です。
土地の所有権が及ぶ範囲
土地の所有権は地表だけでなく、上空や地下にまで及ぶのが原則です(民法第207条)。地下に配管を通したり土地の上に建物を建てたりする行為も、土地所有者の権利の範囲に含まれます。
ただし、この権利は無制限ではなく、あくまでも法令の制限内において適用されるものです。実務上は隣接地の所有者との関係で、土地の利用にはさまざまな制約が生じます。
例えば、建物を建てる際には境界線から一定の距離を保つ必要があります(民法第234条)。また、境界線から1メートル未満の距離において、隣接地を見渡せる窓やベランダなどを設ける際には目隠しを付けなければなりません(民法第235条)。
相続した土地を活用する際は「自分の土地だから何でも自由に使える」と誤解せず、こうした法的な制限があることを踏まえて対応することが重要です。
所有権は時効で消滅しない
所有権には、どれだけ長い期間使用しなくても権利そのものは時効で消滅しないという特徴があります。民法第166条では、債権(相手に金銭の支払いや商品の引き渡しを請求できる権利)などの財産権は一定期間行使しなければ時効により消滅すると定められていますが、所有権は例外です。
そのため、相続した家や土地を長期間利用しなくても、所有権は失われません。ただし、他人がその不動産を長期間占有し続けた場合には「取得時効」によって所有権を取得される恐れがあります。
相続した不動産を放置すると無断占有などのリスクが発生する恐れがあるため、利用予定がない場合は売却や管理方法の見直しを検討することが大切です。
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不動産における所有権の特徴

不動産の所有権を理解する上で、動産との違いを把握することは欠かせません。また、共有や区分所有権、借地権などの権利との違いを押さえておくことも大切です。ここでは、不動産特有の所有権の特徴を他の権利と比較しながら解説します。
動産の所有権との違い
不動産の所有権は、貴金属や家電製品のような動産の所有権とは大きく異なります。動産は原則として「占有する人が所有者である」と見なされるため、実際にその物を持っていることが所有権の根拠です。
これに対して、不動産は占有しているだけでは所有者とは認められません。不動産の所有権を第三者に主張するには、法務局での登記が必要です。売買や相続の場面でも、登記によって初めて所有者が誰であるか明確になり、所有権を法的に保護する仕組みです。
所有権と共有持分との違い
不動産は複数人で所有することもあります。この形態を「共有」といい、共有者それぞれが持つ権利の割合を「共有持分」と呼びます。相続で兄弟・姉妹が不動産を引き継いだ場合など、共有状態になるケースは珍しくありません。
ただし、不動産を共有する際は注意が必要です。例えば、建物の売却や建て替えといった行為は、共有者全員の同意がなければ実行できません。この点が、不動産を自由に活用できる所有権との大きな違いです。不動産を円滑に活用したいなら、共有者同士で活用方針を早めに合意することが大切です。
また、相続前なら、将来的なリスクを避けるためにも初めから単独名義にすることをおすすめします。
関連記事:共有名義不動産は売却可能?手順とトラブル回避法を解説
一戸建ての所有権とマンションの区分所有権との違い
不動産の所有形態は、一戸建てとマンションで大きく異なります。マンションの所有者は、建物の中で構造上独立した区画を所有する「区分所有権」を持ちます。これは、専有部分(各住戸)を自由に使用できる権利です。
ただし、マンションは土地と建物が一体と見なされるため、専有部分の区分所有権と土地を利用するための敷地権を分離して処分することは原則できません。
一方、一戸建ては「土地と建物を完全に所有する権利」を持つため、土地と建物を切り離して売却や活用ができる点がマンションの区分所有権と異なります。
所有権と借地権の違い
不動産の権利関係を理解する上で、所有権と借地権の違いを押さえることも重要です。所有権とは土地と建物の両方を完全に所有し、自由に利用できる強い権利です。土地の利用に関しても、法令の範囲内であれば自らの判断で活用方法を選べます。
借地権は「地主から土地を借りて建物を所有する権利」です。建物は借地権者が所有しますが、土地はあくまでも地主の所有物のため、自由に利用できません。建て替えや増改築、売却の際には地主の承諾が必要です。
相続した不動産が所有権や借地権かによって資産価値や売却手続きが大きく変わるため、それぞれの性質を正しく理解することが重要です。
関連記事:所有権と借地権の違いは?基本からよくある疑問まで徹底解説
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不動産の所有権を主張するために必要な登記手続き

不動産の所有権を第三者に対して主張するには、登記が欠かせません。登記は誰がその不動産を所有しているかを公的に示す仕組みで、売買・相続・贈与など所有者が変わる場面で重要な役割を果たします。ここでは、所有権保存登記と所有権移転登記の概要を解説します。
所有権保存登記
所有権保存登記とは、新築住宅を取得した際に「その建物の所有者が誰か」を明らかにするための最初の手続きです。注文住宅を建てた場合の他、新築の一戸建てやマンションを購入した際にも必要な登記です。
建物は、建てられた段階では法務局の登記簿に所有者情報が存在しません。そのため、所有者を公的に登録するために所有権保存登記を行う必要があります。この登記を済ませることで、将来、売却や相続の場面で「この建物は自分の所有物である」と第三者に主張できます。
所有権移転登記
所有権移転登記とは、不動産の所有者が変わった際に、法務局に登録されている所有者情報を新たな持ち主へと書き換える手続きです。売買はもちろん、相続や贈与など、所有権が移るあらゆる場面で必要となります。
所有権移転登記を行わなければ、新しい所有者は第三者に自分の所有権を主張できません。相続した不動産の名義変更をせずに放置すると、売却できないだけでなく、他人が勝手に権利を主張するといったトラブルにつながる恐れがあります。
所有権移転登記は、不動産の所有者であることを公的に証明する重要な手続きです。相続や売却をスムーズに進めるには、不動産を取得したら速やかに名義変更することが大切です。
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所有権を第三者に侵害された場合に行使できる権利

不動産の所有権は強い権利ですが、第三者の不法占有や迷惑行為によって侵害されることがあります。所有権を侵害されたら、法律上の救済手段を用いて冷静に対応することが大切です。ここでは、所有権を第三者に侵害された場合に行使できる権利を紹介します。
返還請求権
返還請求権とは、他人が所有者の許可なく土地や建物を占有している場合に、占有をやめさせて所有物の返還を求める権利です。例えば、「知らない人が勝手に自分の土地を駐車場として利用している」「隣地所有者が境界を越えて物置を設置している」といったケースで行使できます。
無断占有を放置すると、境界トラブルにつながったり相手に取得時効を主張されたりするリスクも生じるため、早めの対応が重要です。
妨害排除請求権
妨害排除請求権とは、所有する土地や建物の利用が第三者の行為によって妨げられている場合に、その妨害を取り除くように請求する権利です。例えば、隣地所有者が無断で敷地内に自動車を置いて通行できないといった場合に行使できます。
返還請求権が「無断占有そのものの排除」を求めるのに対し、妨害排除請求権は「占有までは至らないが、所有者の利用を妨げる行為」を対象とする点が特徴です。不動産の利用に支障を来している場合、放置すると被害が拡大する恐れがあるため、早めの対応が欠かせません。
妨害予防請求権
妨害予防請求権とは、現時点で実際の侵害行為が起きていなくても、将来的に不動産の所有権の侵害が予測される場合に、あらかじめその危険を防ぐ措置を講じるよう請求する権利です。例えば、隣地所有者が境界ギリギリに建築物を建てようとしており、完成すると越境の恐れがあるケースが該当します。
実害が発生してからでは対応が難しくなるため、将来的な侵害の兆候が見られる場合は事前に予防措置を講じるように求めることが大切です。
損害賠償請求権
損害賠償請求権とは、第三者の故意または過失によって不動産の所有権が侵害され、所有者が損害を被った場合に、その損害の補填を請求する権利です。例えば、「隣地の工事によって建物にひびが入った」「他人の車両が敷地内の物を壊した」といったケースです。
損害賠償の対象となるのは、直接的な損害に対する修理費用に加えて、場合によっては不動産価値の低下や不動産を利用できない期間分の逸失利益が含まれることもあります。解決が難しい場合、弁護士などの専門家への相談も検討しましょう。
不当利得返還請求権
不当利得返還請求権とは、正当な理由なく他人の不動産を利用して利益を得ている者に対して、その利益の返還を求める権利です。特に共有不動産では、共有者の1人が無断で物件を占有し、賃料収入を独占するトラブルが起こりがちです。
例えば、兄弟・姉妹で共有する一戸建てを1人の共有者が勝手に貸し出し、その家賃を全額受け取っている場合、他の共有者は本来受け取るべき利益を得られていません。このような不公平な状態を改善するため、共有者は不当利得返還請求権を行使して、本来受け取るべき利益の分配を求められます。
共有不動産はトラブルが生じやすいため、権利関係を明確にした上で適切な管理と活用方法に関する協議を行うことが重要です。
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不動産の所有権に関する悩みを解決できる相談先

不動産の所有権に関する悩みは、売却や隣地トラブル、相続による名義変更など多岐にわたります。それぞれ必要とされる知識は異なるため、問題に応じて適切な専門家に相談することが大切です。ここでは、悩みの種類ごとに最適な相談先と役割について解説します。
売却に関する相談は不動産会社
不動産の売却に関する悩みは、不動産会社に相談することで解決への道筋が見えてきます。不動産会社は不動産市場の動向や販売戦略に精通しており、物件の状況やエリアに応じた最適な売却方法を提案可能です。共有不動産の売却についても、不動産会社が仲介役となって共有者間の合意形成をサポートします。
特に相続した家を手放す場合、売却価格の相場や必要な手続き、税金など分からない点が多く不安を抱える方は少なくありません。信頼できる不動産会社に相談することで最適な売却方法を選択でき、トラブルを避けながら安心して手続きを進められます。
関連記事:不動産査定で無料相談できる専門家10選!成功のポイントも解説
不動産トラブルの相談は弁護士
隣地との境界争いや無断占有、相続を巡る対立など、法的な判断や交渉が必要なトラブルは、弁護士への相談が最適です。弁護士は法律の専門家として所有権侵害の有無や適切な対応策を具体的に示し、必要に応じて相手方との交渉や訴訟対応まで担います。
不動産トラブルは感情的な対立に発展しやすく、当事者同士で話し合っても解決が難しいケースが少なくありません。早い段階で弁護士に相談し、法的な視点からアドバイスを受けることで、問題を最小限の負担で解決できる可能性が高まります。
関連記事:借地権トラブルは弁護士に相談すべき?依頼すべき5つのケースと費用の目安をご紹介
不動産の登記手続きに関する相談は司法書士
所有権移転登記や所有権保存登記といった不動産の登記手続きは、司法書士に相談することでスムーズに進められます。司法書士は登記の専門家で、必要書類の準備や法務局への申請など、名義変更に関する複雑な手続きを一貫して対応します。
相続による不動産の名義変更では、戸籍や相続関係の確認、遺産分割協議書の作成など多くの書類と法的知識が必要です。相続した不動産は所有権移転登記を済ませないと売却できないため、早めの相談が重要です。
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まとめ

所有権は「特定の物を自由に使用・収益・処分できる」強い権利です。第三者に権利が侵害された際も、所有物の返還請求や損害賠償請求といった救済措置が認められています。
ただし、不動産の所有権を第三者に主張するには登記手続きが必要です。相続などで不動産を取得した際は、司法書士に相談して速やかに手続きを済ませましょう。
相続した不動産の売却について相談したい場合、不動産会社が最適です。リアルエステートが運営する「おうちの相談室」は、不動産の相続から権利関係の整理、売却まで、幅広いお悩みにワンストップで対応可能です。専門のスタッフが状況に合わせて最適な解決策をご提案するため、不動産に関する悩みを抱えている方は、お気軽にご相談ください。
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