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2025/12/26旧法借地権マンションの更新はどうなる?新法との違いも解説
- 底地・借地

所有権付きマンションよりも価格が安い、あるいは条件が良かったといった理由で借地権付きのマンションを購入し、更新が近付いたことで改めて不安を感じている方もいるでしょう。
マンション敷地の借地権が旧法借地権の場合には、基本的に問題なく契約更新されるケースが大半ですが、これを機に旧法借地権付きマンションについて理解を深めておくと、安心して更新を迎えられます。
そこで本記事では、旧法借地権付きマンションの概要についておさえつつ、更新に焦点を当てて解説します。
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- 旧法借地権付きマンションは借地人の権利が強く、更新しやすい
- 更新時は更新料の支払いが発生し、区分所有者全員で按分される
- 将来の売却や建替えには制約があるため、仕組みの理解が不可欠だ
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
Contents
旧法借地権付きマンションとは?

旧法借地権付きマンションは、「借地権付きマンション」であって、さらに「借地権が旧法に基づく」ものです。更新について知る前に、まずはそれぞれについて理解しておきましょう。
最初に、「旧法借地権」と「借地権付きマンション」に分けて、それぞれどういうものかについて簡単に解説します。
旧法借地権は「旧借地法」に基づいて設定された借地権
「旧法借地権」とは、現在適用される借地借家法より前に存在した「(旧)借地法」に基づいて設定された借地権です。借地借家法に基づく借地権と区別するため、一般的にこの呼び方が用いられます。
旧法借地権は1992年7月以前に締結された借地契約によって設定されているため、短くても30年以上が経過している比較的古い借地権です。ただし、借地契約では「締結時」に適用された法律が、契約更新後も継続して適用されます。このため、現在でも旧法借地権は多く残っています。
借地権付きマンションでは土地を「借りて」使用する
所有権付きマンションが土地と建物の両方に所有権を持つのに対し、借地権付きマンションでは建物の所有権と土地の借地権を取得します。正確には、マンションの住民全員で敷地全体の借地権を「準共有」する形です。所有権とは異なり、「土地を利用する権利」である借地権は、持ち分を物理的に区分できないためです。
また、借地権付きマンションでは土地の所有権は地主にあるため、土地部分の使用料として地代の支払いが必要になります。
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旧法借地権付きマンションの更新の仕組み

マンションの耐用年数は数十年以上に及ぶため、多くの借地人は途中で更新を迎えることになります。旧法に基づく借地権では借地人の権利が強く保護されているため、基本的には更新できると考えて差し支えありませんが、概要を押さえておくと安心です。
そこで次に、旧法借地権付きマンションの更新について、「年数」「方法」「費用」を中心に説明します。
土地契約期間は30年以上が原則
旧法借地権マンションの存続期間(契約期間)は、建物の構造が「堅固建物」か「非堅固建物」かによって異なる点が特徴です。マンションは堅固建物に分類されるため、法律で期間は30年以上と定められています。これより短い期間で契約した場合には、期間の定めがないものとして扱われ、60年(※更新は30年)になります。
なお、法律で定められているのはあくまで最低期間のため、地主との合意があれば30年以上で設定することも可能です。
借地権の更新方法は3種類
旧法も新法も、借地権の更新方法には以下の3種類があります。
- 更新請求による更新
- 合意更新
- 法定更新
「更新請求」は、借地人が地主に対して更新を求める方法です。地主は正当事由がない限り拒否できず、原則として従前と同じ条件で更新されます。また、通常は双方が合意し、従前と同様の内容で契約書を取り交わす「合意更新」が行われます。
一方、更新手続きが行われなかったからといって、契約が直ちに終了するわけではありません。この場合に適用されるのが「法定更新」です。契約期間が満了した時点で土地上に建物が存在し、かつ地代を支払っていれば、地主が正当事由をもって異議を述べない限り、自動的に更新されます。
ただし、借地権は「建物の所有」を目的とする権利であるため、地上に建物が存在しない場合には、地主が契約終了の意思を示せば契約は終了します。
更新料が必要なケースが多い
法律で支払いが義務付けられているわけではありませんが、借地契約の更新時には更新料の授受があるのが一般的です。また、契約書に更新料の支払いが定められている場合には、その内容に従う必要があります。
更新料の目安は借地権価格の5%程度とされます。借地権価格とは借地権の評価額を指し、自分で利用する場合の土地の評価額(更地価格)に借地権割合を掛けて算出します。宅地の借地権割合は60~70%が多いため、概ね更地価格の3%程度と考えておくとよいでしょう。
マンションの場合には、この更新料の総額を住民全員で按分して支払う形になるのが一般的です。
不動産ビギナーさん更地価格の3%前後が目安なら、戸建てよりは一軒あたりの負担は軽く済みそうですね。
山口智暉はい、住民全員で分割するため個人の負担は抑えられます。ただし、修繕積立金とは別にまとまった出費になるので、管理組合での積み立て状況を確認しておくと安心です。
更新しない場合は原則更地で土地を返還
例外がある借地権の種類もありますが、基本的に借地契約には契約終了後に原状回復を行い、借りたときの状態に戻して返還する義務があります。従って、更新をしない場合には、借地人が建てた建物を解体し、更地にして返すのが原則です。
また、借地権には地主に建物の買い取りを請求できる「建物買取請求権」もありますが、旧法借地権では地主側の都合で更新を拒絶し契約を終了させる場合に限って認められます。
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借地権付きマンションにおける旧法と新法の違い

基本的な更新の仕組みは概ね共通していますが、旧法借地権と新法借地権ではいくつか異なる点があります。特に、旧法借地権は借地人が強く保護される仕組みになっているため、借地人にとって有利に働く部分があるのが特徴です。
ここでは、借地権付きマンションにおける旧法と新法の違いを中心に整理します。
存続期間と更新後の期間
旧法借地権では建物の構造によって存続期間(契約期間)が変わります。マンションの場合、鉄骨や鉄筋コンクリート造のため「堅固建物」に分類され、前述の通り存続期間は30年以上が基本です。
さらに、マンションでは更新後の期間も30年以上と、新法借地権より長く設定されます。新法借地権では更新の回数によって存続期間が変動しますが、旧法借地権では回数にかかわらず一定です。
定期借地権の有無
現在の借地借家法に基づく借地権には、旧法借地権には存在しない「定期借地権」の制度があります。定期借地権は更新がない借地権であり、契約期間が終了すれば必ず更地にして返還しなければなりません。
一方、旧法借地権には更新のない形式はなく、全て更新が可能な借地契約となっています。
地主が更新を拒否できる条件
借地上の建物に住む借地人の権利を守るため、旧法・新法のいずれでも、地主が更新を拒否するには「正当事由」が必要です。
新法では、正当事由が認められやすい上に、立ち退き料の支払いによって地主側が更新を拒絶しやすい仕組みになっています。一方、旧法借地権では正当事由の基準が明確に定められておらず、地主側から契約を終了させるのが難しい点が特徴です。
このため、旧法借地権付きマンションのほうが更新されやすく、長期間安心して利用しやすいといえます。
不動産ビギナーさん旧法なら地主さんの一方的な都合で追い出される心配はほとんどない、ということですね。
山口智暉その通りです!「正当事由」のハードルが非常に高く、借地人が地代を払い続けている限り、地主が更新を拒否して土地を取り戻すのは至難の業と言われています。
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旧法借地権付きマンションを建て替えて更新する際の問題
マンションは堅固建物にあたるため借地期間が30年以上となり、途中で老朽化が進めば更新に合わせて建て替えを検討することがあります。しかし、借地権付きマンションの建て替えには、次のような課題が伴います。
- 借地人が多数いることによる合意形成の難しさ
- 建て替えに地主の承諾が必要になる点
- 建て替え資金の借り入れが難しい可能性
- 建築基準が変更されている場合があること
まず、建て替えを決める段階で、借地人全員の意見を取りまとめる必要があり、さらに地主の承諾を得るための交渉も必要です。
承諾後も問題は残ります。借地権付きマンションは所有権と比べて評価が低いため、建て替えに必要な資金を確保できるとは限りません。加えて、旧法借地権が設定された当時と現在では建築基準が変わっており、同じ規模や構造の建物を建てられない可能性もあります。
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旧法借地権付きマンションを売却する際の注意点

手に入れたときには土地の所有権にこだわらなかったとしても、更新を機に「更新の必要がない所有権の物件に住み替えたい」と気持ちが変化することもあるでしょう。その場合には、マンションを売却するという選択肢が出てきます。
ただし、売却する際には、土地の権利が所有権と借地権で異なる点を理解しておく必要があります。次に、旧法借地権付きマンションを売却するときの注意点を説明します。
売却価格が所有権付きマンションに比べて低くなりやすい
所有権付きマンションに比べて価格が低い点は、借地権付きマンションのメリットでもありますが、売却時にはそのままデメリットにもなり得ます。売却代金をもとに所有権付きの住まいへ買い替える場合、必要な資金が不足する可能性があります。
旧法借地権付きマンションは新法より借地人の権利が強いため価値が高く評価される面もありますが、利用上の制約やローンの組みにくさを踏まえると、大きな差が出るとはいえません。一般的には、所有権付きマンションの70%~80%程度が相場とされています。
地主の承諾が必要になる
旧法借地権、新法借地権ともに、借地権の大半を占める賃借権では、借地に関するさまざまな事項について地主の承諾が必要です。マンションの売却により借地人が変わることは地主にとっても重要な点であるため、当然ながら承諾が求められます。
ただし、戸建てと異なりマンションの場合には、ほかの区分所有者と共同で一つの土地を借りている形となるため、ディベロッパーや管理会社が取りまとめているケースもあります。売却前に借地契約の内容を確認しておくと安心です。
依頼する不動産会社によって売りやすさが異なる
借地権付きマンションは流通量が少なく、取引事例も限られているため、売却のスムーズさは不動産会社の経験や販売力によって大きく変わります。
また、査定や評価も難しく、適正な価格が設定されていない場合には、売れるまでに時間がかかったり、逆に安く売りすぎて損をしたりする可能性があります。このため、借地権の買い取りを専門とする複数の業者に査定を依頼し、そのなかから売却を任せる会社を選ぶとよいでしょう。
不動産ビギナーさん安く買えるメリットがある分、売るときも少し安くなるのは納得ですが、業者選びが重要になりそうですね。
山口智暉借地権に詳しくない業者だと、安く叩かれたり買い手を見つけられなかったりします。実績豊富な「借地権専門」の窓口に相談するのが、高値売却への近道です。
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旧法借地権付きマンションの更新についてのQ&A

現在の新法借地権制度に移行してから少なくとも30年以上が経ち、旧法借地権付きマンションでは、地主・借地人ともに相続や売買を経て、最初の契約者とは異なるケースも多く見られます。そのため、更新に関して不明点が生じることもあるでしょう。
そこで最後に、ここまでの記事で触れきれなかった部分のうち、疑問として挙がりやすい点を簡単にまとめます。
旧法借地権付きマンションを所有するメリットとデメリットは?
元々の「購入価格が安い」「税金が抑えられる」「立地がよい物件が多い」といった特徴に加え、旧法借地権付きマンションには「立ち退きの心配が少なく安定して利用できる」という利点があります。
一方で、旧法借地権付きマンションに限らず共通するデメリットとして、「地代や解体積立金の支払いが必要になる」「流動性が低く売却がしにくい」「さまざまな変更に地主の承諾が必要」といった点が挙げられます。
マンションの更新料は減額できる?
更新料の支払いや金額については法的な取り決めがなく、地主との協議で決まります。従って、更新料が高いと感じる場合には交渉することも可能です。ただし、一方的に減額を求めても説得力を欠くため、目安となる金額を基に話し合うとよいでしょう。
また、更新料が不適当に高いにもかかわらず協議が進まない場合には、最終的に裁判で金額の妥当性を判断してもらうという選択肢もあります。
旧法借地権付きマンションを相続した場合の更新手続きはどうなる?
借地権は、ほかの不動産と同様に相続できます。売買による取得と同じ「借地人の変更」ではありますが、相続は借地人としての地位を「そのまま承継する」ものであるため、法定相続人であれば地主の許可は不要です。
従って、本来の更新時期には通常通り更新が行われ、相続を理由とした特別な更新や更新料の支払いが生じることはありません。ただし、今後のやりとりを円滑に進めるためにも、マンションを相続した時点で更新前に地主へ連絡しておくとよいでしょう。
地主がマンションの建て替えに同意しない場合は?
借地上の建物を建て替える際には地主の承諾が必要ですが、どうしても承諾が得られない場合には、裁判所に代わりに許可を求める「借地非訟」という制度を利用できます。
ただし、マンションの建て替え費用を金融機関から借り入れる場合、実務上はローンの審査でも地主の承諾が求められることが一般的です。そのため、「住民から建て替え費用を徴収する」「住戸数を増やして売却益で補填する」など、ローンに依存しない方法を検討する必要が出てきます。また、地主の承諾なしで融資を行う金融機関を探すという選択肢も考えられます。
土地の権利を借地権から所有権に変えることは可能?
民法では、同じ人が借地権と底地権(借地権が設定されている所有権)を同時に取得した場合、借地権は消滅し「単独の所有権」になります。これは民法第179条「混同」に基づく仕組みです。
(参考: 『e-Gov 民法第百七十九条』)
つまり、地主が持つ底地権を買い取れば、マンションの敷地を所有権に変えることは可能です。もっとも、地主との交渉や購入費用など、乗り越えるべきハードルは小さくありません。しかし実現すれば、永続的で安定した権利を得られるという大きなメリットがあります。
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まとめ

旧法借地権付きマンションは借地権によって土地を利用する形のマンションで、30年以上前に締結した借地契約の場合が当てはまります。新法の借地権付きマンションより借地人の権利が保護されているため、更新されやすく基本的には安心して長期間住み続けられます。
しかし、土地の権利が所有権でないため、住み続けるためには借地契約の更新が必要です。また、建て替えや売却について難しい部分も存在します。特に複雑な権利関係を持つ旧法借地権では、トラブルや疑問が出てくる場面もあるでしょう。旧法借地権物件でお悩みの方は、「おうちの相談室」の専門家に一度ご相談ください。
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
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