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最終更新⽇時

2025/11/28

事業用定期借地権でのトラブル例|防止策と契約時に押さえたい注意点を解説

  • 底地・借地

上下両方向から伸びる赤い矢印の中央に二手に分かれて立つ人たちの人形

事業用定期借地権は、地主と借地人双方にとってメリットがある一方で、そのほかの借地権と異なる特徴があるため、制度の正しい理解がないとトラブルによる思わぬ負担や不利益が起こる可能性があります。

そこで本記事では、事業用定期借地権の概要から特徴、地主側に起こりやすいトラブル例、さらにトラブルを防ぐポイントまで詳しく解説します。

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記事執筆・監修
エキスパート職 山口智暉
  • -資格-

    宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士

  • -経歴-

    株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
    東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
    株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
    リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける

事業用定期借地権の概要と特徴

背後に中層の建物が立ち並ぶ造成地

借地権は地主が所有する土地の上に存在するため、地主と借地人のあいだには複雑な権利関係があります。両者の権利のバランスを取り、土地を円滑に活用できるようにするため、事業用定期借地権を含む現在の借地権制度が設けられました。

まずは、借地権の中で事業用定期借地権がどのような特徴を持つのかを見ていきましょう。

事業用定期借地権の特徴と他の借地権との違い

地主の所有する土地を賃借して建物を建て、その土地を利用する権利が「借地権」です。

借地権は締結された時期によって「旧借地権」と、現在のいわゆる「新法借地権」に分かれます。1992年8月以降の借地契約には「借地借家法」が適用され、内容や特徴にいくつか大きな違いがあります。

なかでも最も大きな違いが「定期借地権」制度の創設です。旧借地権では借地人の権利が強く保護されており、借地人に有利な反面、地主が土地を取り戻しにくく、土地の有効活用を妨げる要因となっていました。

定期借地権とは、その名のとおり「定期的な期間」を前提とする借地権で、通常の普通借地権と異なり、更新がなく契約期間の満了とともに必ず終了します。定期借地契約を締結すれば、期間満了後に確実に土地が返還されるため、地主は柔軟な土地活用が可能になりました。

定期借地権には次の3種類があり、それぞれに特徴があります。

  • 一般定期借地権:契約期間が50年以上で利用目的に制限なし
  • 事業用定期借地権:契約期間が10年以上50年未満で事業目的に限定
  • 建物譲渡特約付借地権:契約期間が30年以上で利用目的に制限はなく、期間満了後に地主が建物を買い取る特約付き

関連記事:定期借地権とは?基本から活用メリットまで解説

事業用定期借地権のメリットと活用用途

前述の通り、事業用定期借地権は事業を目的として一定期間土地を賃貸借する形の借地権です。

地主にとっての主なメリットは、次の5つです。

  • 契約期間中、安定した地代収入が得られる
  • 契約期間が終了すれば、確実に土地が更地で戻るため活用しやすい
  • 土地を貸すだけで自ら事業を行うわけではないため資金が不要
  • 事業の発展によって土地の価値が上昇する可能性がある
  • 居住用よりも商業利用に適した土地を活かしやすい

一方、事業者である借地人にとっての主なメリットは、次の3つです。

  • 土地を購入するよりも取得コストを抑えられる
  • 同じ予算でも購入より好条件の土地を確保できる
  • 事業計画に合わせて契約期間を設定できる

このように、事業用定期借地権は地主・借地人の双方に利点があり、主に店舗、倉庫、工場、事務所、ホテルなどで幅広く活用されています。

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事業用定期借地権で地主側に起こり得るトラブル例10選

上方向に並ぶ矢印が描かれた立方体の流れを妨げるぐちゃぐちゃの線が描かれた立方体

事業用定期借地権は、地主側が個人で借地人側が企業となるケースが多いため、トラブルが発生した場合に地主の立場が弱くなることもあります。ここでは、事業用定期借地権で起こりやすい10のトラブル事例について解説します。

将来起こり得るトラブルの種類と、その対応のポイントをあらかじめ把握しておきましょう。

1.契約満了後に立ち退かない

事業用定期借地権は更新のない契約のため、期間満了と同時に借地権は確定的に終了します。しかし、借地人が営業を続けたいなどの理由で明け渡しを拒むケースも少なくありません。

このような場合、地主は借地人との交渉で解決できないときには、明け渡し訴訟を提起して対応する必要があります。また、契約終了後も土地を占有され続けている場合には、その期間に応じた損害金(使用料相当額)を請求することも可能です。

2.契約の延長を要求された

事業用定期借地権は、法律上「更新」の仕組みがないため、契約期間が満了すれば関係は自動的に終了します。したがって、借地人から延長を求められた場合は、原則として再契約として新たに合意を結ぶ必要があります。

なお、契約期間は10年以上50年未満の範囲で自由に設定できます。契約当初の期間を変更したい場合は、残存期間を含めた形で新たに契約を締結すれば、実質的に「延長」と同様の効果を得られます。

「延長」は法律上の「更新」とは異なり、既存契約の覚書では法的効力が不十分となるおそれがあるため、再契約として公正証書を作成することが望ましいとされています。

3.契約の途中終了を要求された

事業用定期借地権では、地主からの途中解約は認められていません。さらに、借地人についても中途解約に関する特約を契約書に定めていない限り、契約途中での解約はできません。したがって、契約書にその定めがない場合、借地人から途中終了を求められても応じる必要はありません。

とはいえ、自然災害などのやむを得ない事情により、契約途中での解約を求められることも考えられます。

そのため、実務上は「地代の〇か月分」といった違約金を支払うことで途中解約を認める特約を設け、契約書に明記しておくのが一般的です。

4.地代を滞納された

民法第541条では、「債務者が契約上の義務を履行しない場合、債権者は『相当の期間』を定めて履行を催告し、その期間内に履行されなければ契約を解除できる」と定められています。地代は借地人の債務にあたるため、滞納が続く場合は債務不履行として契約を解除することが可能です。

(参考: 『e-GOV法令検索 民法541条』

ただし、「相当の期間」を設けて催告する必要があるため、一度や二度の遅延では解除できません。一定の期限を定めて支払いを求め、それでも数か月にわたり履行がない場合に初めて解除が認められます。

事業用定期借地権の場合、借地人は事業者であるため、地代の滞納は経営の悪化や破綻の兆しである可能性もあります。滞納が発生した段階で早めに対応することが重要です。

5.地代の値上げを拒否された

地主は、借地人の合意を得ずに一方的に地代を値上げすることはできません。そのため、借地人が値上げに同意しない場合には、最終的に裁判によって解決を図ることになります。

借地借家法第11条では、地主に地代の増額を請求する権利が認められています。ただし、借地人の保護を目的としており、地代の増額が認められるためには次のような正当な理由が必要です。

  • 土地に対する租税公課の増額
  • 物価など経済事情の変動
  • 周辺類似条件の土地と比較して地代が安すぎる

裁判が確定するまでの間、借地人は自ら相当と考える額の地代を支払えば足りるとされています。この期間中、地主は値上げ後の地代を受け取ることはできません。しかし、最終的に裁判で地代の増額が認められた場合には、地主は借地人に対して年1割の利息を付した上で、増額分の地代をさかのぼって請求することが可能です。

関連記事:事業用定期借地権の適正地代とは?地代の種類や決め方について解説!

6.地代の値下げを求められた

10年以上に及ぶ長期契約の間には、事業の収益が低下するなどの理由で、借地人から地代の値下げを求められることがあります。

滞納に発展するよりは、一定の範囲で値下げに応じたほうが結果的に得策となる場合もあります。しかし、話し合いで折り合いがつかないときは、最終的に裁判で地代の妥当性を争うことになります。

注意が必要なのは、地代の増額と異なり、契約書で「地代を減額しない」と特約を定めても、これは借地人に不利な規定となるため無効とされる点です。

7.無断の増改築や転貸を行われた

民法第612条では、借地人が地主の承諾を得ずに借地を転貸した場合、地主は契約を解除できると定められています。したがって、契約解除とともに、借地人に対して建物の解体と更地での返還を求めることが可能です。

さらに、転貸によって地主に損害が生じた場合には、損害賠償を請求することもできます。これは、転貸による直接的な損害だけでなく、本来得られたはずの「転貸承諾料」相当額を損害として請求できる場合も含まれます。

一方、無断での増改築については、その内容や規模によって契約解除が正当と認められるかどうかが異なります。ただし、「無断で増改築を行った場合には契約を解除する」といった特約を契約書に設けておけば、トラブル防止につながります。

8.契約途中で借地人の事業が破綻した

借地人の事業が破綻した場合、本来得られるはずの地代が回収できなくなるおそれがあるほか、問題となるのが借地上に残された建物の処分です。

地代が支払われないまま建物が残っていても、建物は借地人の所有物であるため、地主が勝手に解体することはできません。このような場合、地主は訴訟で契約解除を求め、建物の解体と土地の明け渡しを請求することになります。

借地人に資金がなく解体ができない場合は、地主が裁判所に申し立てて解体費用を立て替え、代わりに解体した上で後日その費用を借地人に請求するのが一般的です。金銭的な負担や損失を避けるためにも、滞納など事業破綻の兆候が見えた段階で、早めに契約解除の手続きに着手することが重要です。

9.一部の費用の負担を求められた

事業用定期借地権では、契約終了後に「地主の資産扱いになった初期工事の原状回復」をめぐってトラブルになることがあります。

事業用地を整備する際、初期工事の一部を地主が負担した場合、その部分は地主名義の資産として扱われます。その結果、契約期間中の修繕だけでなく、契約終了後には撤去費用の負担義務が生じることがあります。アスファルト舗装のほか、給排水設備や照明など土地に付帯する構造物も同様の問題を引き起こす可能性があります。

こうしたリスクを避けるためには、工事費用をむやみに負担しないこと、または初期工事のうち地主負担・借地人負担の範囲を契約時に明確に取り決めておくことが大切です。

10.預かった保証金が返還できない

事業用定期借地権の契約締結時に受け取る保証金は、借地人が倒産した際の建物取り壊し費用など、リスクを補う目的で地主が預かるものです。

ただし、事業用定期借地権は最長で50年弱と契約期間が長期に及ぶため、地主が個人の場合には契約期間中に相続が発生する可能性もあります。

相続人が保証金をそのまま承継していれば問題ありませんが、状況によっては返還資金が不足するおそれもあります。実務上は、借地人が保証金を受け取れないリスクを避けるために、土地に抵当権を設定するケースも見られます。

また、契約終了時に返還が大きな負担とならないよう、保証金を過大に預からないことも有効な対策の一つです。

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事業用定期借地権でのトラブルを防ぐ3つのポイント

「POINT」の文字と光る電球のイラストが書かれたメモ型付箋とペン

「借地権」という特殊かつ権利関係が複雑な権利のなかでも、事業用定期借地権は通常の借地権と異なる部分が多いため注意すべき点がいくつかあります。

最後に、事業用定期借地権を締結するにあたって、トラブルを防ぐための3つのポイントについて解説します。

制度を深く理解する

事業用定期借地権には地主・借地人双方にメリットがありますが、制度について正しい理解なく目先のメリットだけで契約すると、トラブルや後悔の元になりかねません。

特に、借地人である事業者側は「契約の延長がない」「建物買取請求権がない」「一部でも居住用の建物は認められない」の3点について知った上で契約を締結しないと、思い描いていた事業計画とズレが生じる可能性があります。地主側も、地主側からの途中解約はできないため、契約中の長期間にわたり土地利用が固定されて問題ないかよく検討した上で、契約するかどうか決定しましょう。

また、事業用定期借地権は公正証書の作成が成立要件になっているため、公正証書がない契約は有効ではなく、普通借地契約として扱われ内容が大きく変わってしまいます。トラブルを防ぐためには、制度の内容だけでなく、契約形式についての理解も必要です。

関連記事:事業用借地権とは?契約の流れと注意点を実例を交えて解説

特約を見落とさない

契約内容のチェックは、後々のトラブルを回避するために欠かせません。

まず確認したいのが「必要な記載事項があるか」です。例えば、契約期間が30年以上の事業用借地契約の場合、契約書に「契約期間の延長がないこと」「建物買取請求権がないこと」を記載しておく必要があります。

次に、「契約終了時に土地をどの状態で返還するか」など、取り決めた内容は証跡として特約にするとともに、不利な条件になっていないかを確認しましょう。例えば「賃料の増額はない」と定めてしまうと、数十年の間に事情が変わっても地代を変更できなくなってしまいます。

一方で、前述の通り「賃料の減額はしない」という特約は借地人に不利となるため、契約書に記載しても無効です。

無理をせず専門家に相談する

トラブルを防ぐために重要なのは、「制度の理解」と「契約内容のチェック」です。しかし、専門家でない地主の知識や確認だけでは十分とはいえません。

事業用定期借地契約は10年単位の長期契約であり、一度締結すると地主から途中解約ができない契約です。そのため、契約時の取り決めが適切か、契約書の内容に問題がないかを確認する際には、必要に応じて専門家の助言を受けながら進めることが重要です。

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まとめ

向かい合って立ち握手を交わす2人の男性

事業目的の建物を更新なしで賃貸借する「事業用定期借地権」は、低コストで事業の初期投資を抑えたい借地人と、契約終了後に土地活用をスムーズに進めたい地主の双方にメリットがある制度です。

一方で、通常の借地権とは異なる点が多く、また契約相手が企業となるケースも多いため、制度への正しい理解とトラブルへの的確な対応が求められます。

当社の「おうちの相談室」では、借地権全般に精通した専門家が、アドバイスとサポートを提供しています。定期借地契約の締結や契約終了後の土地活用にお悩みの地主さまは、ぜひ一度ご相談ください。

記事執筆・監修
エキスパート職 山口智暉
  • -資格-

    宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士

  • -経歴-

    株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
    東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
    株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
    リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける

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