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最終更新⽇時

2025/10/09

借地権割合の計算方法をやさしく解説|路線価・倍率方式の調べ方と具体例

  • 底地・借地
記事執筆・監修
エキスパート職 山口智暉
  • -資格-

    宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士

  • -経歴-

    株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
    東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
    株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
    リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける

家と電卓

土地の相続や売却を考えるときには「借地権割合」の計算が欠かせません。しかし「借地権割合とは何か」「路線価や倍率方式はどう調べるのか」「自分で正しく計算できるのか」と不安を感じる方は多くいます。

この記事では、借地権割合の基本を整理した上で、国税庁の路線価図や倍率方式を使った調べ方を丁寧に解説します。さらに具体的な計算例を紹介し、土地の形や条件によって評価が変わるケースや、貸家がある場合の注意点についても説明します。

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借地権割合とは?計算の前に知っておきたい基礎知識

電卓と住宅の模型、「?」のブロック

土地の価値を評価する際には「借地権割合」という考え方が使われます。これは、土地の価格のうち、借地人が持つ権利がどの程度に相当するかを示す割合です。

例えば借地権割合が70%であれば、その土地の評価額のうち7割が借地人の権利として扱われることになります。

借地権割合は全国一律ではなく、地域や土地の性質によって異なります。取引が活発な都市部の住宅地や商業地では高めに設定される一方で、郊外や取引の少ない地域では低めに設定される傾向があります。この差は、土地の利用価値や需要の違いを反映しています。

国税庁は毎年1月1日を基準日として路線価や倍率を定め、7月に公表します。そのなかで借地権割合も明示されており、相続税や贈与税の計算を行う際に利用されます。相続や売却を検討する人にとって、借地権割合は土地の価値を正しく把握するための出発点となります。

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借地権割合を調べる方法

国税庁

借地権割合を調べる方法は大きく分けて「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。土地の場所によってどちらを使うかが決まっており、いずれも国税庁が公表する資料を利用します。

路線価方式の調べ方

都市部や主要な地域では路線価方式が採用されています。国税庁の「路線価図」にアクセスし、都道府県→市区町村→町名の順に選択して該当する地図を表示します。地図上の道路には数値とアルファベットが記載されており、数値は1㎡あたりの価格(千円単位)、アルファベットは借地権割合を表します。

例えば「215D」と表示されていれば、その土地の路線価は1㎡あたり21万5,000円で、借地権割合は60%になります。このようにして、所在地ごとの価格と割合を読み取ることができます。

関連記事:【わかりやすい】路線価とは?土地の査定と路線価の関連性を解説!

倍率方式の調べ方

一方、路線価が設定されていない地域では倍率方式を使います。国税庁が公表する「評価倍率表」を確認し、対象地域の倍率と借地権割合を調べます。その上で、課税明細書などで確認できる固定資産税評価額に倍率をかけると自用地の評価額が求められ、そこに借地権割合を乗じて借地権の評価額を算定できます。

倍率方式は、主に郊外や取引の少ない地域で利用されます。調べ方自体はシンプルですが、評価額を出すためには固定資産税評価額が必要になる点に注意が必要です。

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借地権割合を使った計算方法と例

計算機を持ち悩む女性

路線価図や評価倍率表で借地権割合を確認できたら、それらの数値を使って実際に借地権の評価額を計算していきます。計算方法は、土地の所在地によって「路線価方式」と「倍率方式」の2つに分かれます。
それぞれの具体的な計算式と、数字を当てはめた計算例を見ていきましょう。

路線価方式の計算例

路線価方式では、まず自用地の評価額を計算し、その後に借地権割合をかけて借地権の評価額を求めます。

  • 自用地評価額=路線価×地積×補正率
  • 借地権評価額=自用地評価額×借地権割合

■具体例
路線価表示が「500C」(1㎡あたり50万円、借地権割合70%)、地積100㎡、奥行補正率0.97の土地を想定します。

  • 自用地評価額=50万円×100㎡×0.97=4,850万円
  • 借地権評価額=4,850万円×0.70=3,395万円

このように、路線価図の数値と借地権割合を組み合わせれば、借地権の評価額を簡単に算出できます。

倍率方式の計算例

倍率方式では、固定資産税評価額に倍率をかけて自用地評価額を求め、さらに借地権割合をかけます。

  • 借地権評価額=固定資産税評価額×倍率×借地権割合

■具体例
固定資産税評価額1,000万円、倍率1.2、借地権割合60%の土地を想定します。

  • 借地権評価額=1,000万円×1.2×0.60=720万円

倍率方式は路線価方式より計算がシンプルで、固定資産税評価額と倍率がわかればすぐに算定できます。

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計算時に気をつけたい土地の条件

土地・不動産イメージ

借地権割合を用いて評価額を計算するときは、単純なかけ算だけで終わらない場合があります。土地の形状や立地によっては補正が必要になるため、注意が必要です。

奥行・形の補正ポイント

土地の形によって利用価値が下がる場合には補正率をかけて評価を下げます。補正の適用は奥行→間口→形状の順で行うのが原則です。例えば奥行が極端に長い土地や間口が狭い土地は利用しにくいため、評価額が減額されます。補正率には下限があり、0.60を下回ることはありません。こうしたルールに従って、土地の形に応じた調整が行われます。

角地や高低差、特殊な地形について

2つ以上の道路に接する角地は利便性が高いため、評価額が加算されることがあります。反対に、道路より低い土地やがけ地のように利用に制約がある土地は減額補正がかかります。

また、無道路地のように公道に直接接していない土地は、利用のために通路を開設する費用を控除して評価します。控除額は最大40%に達することもあります。私道負担部分やセットバックが必要な部分についても評価額が減るので、対象となるかを確認することが大切です。

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貸家がある土地の場合:借家権割合との関係

集合住宅の外観

土地の上に貸家が建っている場合、その評価はさらに調整されます。これは「借家権割合」という考え方によるものです。

借家権割合の基礎知識

借家権割合は全国一律で30%と定められています。貸家が建っている土地(貸家建付地)の評価額は、次の計算式で求められます。

  • 自用地評価額×〔1 −(借地権割合×借家権割合×賃貸割合)〕

ここで賃貸割合とは、建物全体の床面積に対して実際に貸している部分がどれくらいあるかを示す数値です。例えば全体の80%を貸していれば、賃貸割合は0.8となります。

貸家建付地の簡単計算例

具体的な例として、自用地評価額5,000万円、借地権割合50%、借家権割合30%、賃貸割合80%のケースを考えます。

  • 計算式:5,000万円×〔1 −(0.5×0.3×0.8)〕
  • =5,000万円×0.88
  • =4,400万円

このように、貸家がある場合には評価額が下がります。空き家が多い場合や、親族への無償貸与など賃料を取っていない場合には賃貸割合が低下またはゼロとなり、評価額は下がらない点に注意が必要です。

定期借地権など特殊契約の場合

借地権には、一般的な「普通借地権」のほかに、契約条件が異なる「定期借地権」が存在します。普通借地権は、契約更新によって長期間にわたり利用されるのが通常であり、評価もこれまで紹介した基本的な計算方法で行います。

一方、定期借地権は契約期間が満了すると土地を地主に返還することが前提になっています。したがって、借地人の権利は普通借地権よりも制約が大きく、評価方法も異なります。国税庁の通達では、定期借地権の評価にあたり、契約期間や権利金の授受状況、契約内容などを踏まえて個別に算定する方法が示されています。場合によっては、複利年金現価率といった金融計算を用いるケースもあります。

特殊な契約形態では、一般的な借地権割合をそのまま当てはめると実態に合わないことがあります。定期借地権などの契約に該当する場合は、国税庁のタックスアンサーや評価通達を確認し、必要に応じて専門家に相談することが重要です。

関連記事:定期借地権の全知識!種類別メリットと活用方法

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相続や売却の際にチェックしたいポイント

不動産の模型とチェックリスト、虫眼鏡

借地権割合を使って計算できるようになっても、相続や売却の場面では追加で確認すべき点があります。ここでは代表的な3つのポイントを紹介します。

どの年度の路線価を使う?

路線価や倍率は毎年1月1日を評価基準日として設定され、7月に公開されます。相続税の計算では「相続が開始した年の路線価」を使うのが原則です。過去のデータは国税庁のサイトに保存されているので、数年前にさかのぼって確認することも可能です。売却価格の参考にする際も、できるだけ最新の年度を参照することが望ましいです。

自分で確認する方法と書類整理のヒント

計算が終わったら、借地権評価額と底地評価額を合計し、それが自用地評価額と一致するかを確認します。これは計算の突き合わせとして役立ちます。また、路線価図や倍率表、補正率の根拠となる資料はPDFなどで保存しておくと安心です。税務署から説明を求められた場合に備えて、計算過程を残しておくことが重要です。

広い土地(地積規模の大きな宅地)の場合はどうする?

大都市圏で500㎡以上、その他の地域で1,000㎡以上の宅地は「地積規模の大きな宅地の評価」という特例の対象になることがあります。条件に当てはまる場合は評価額が低く計算されることもありますが、用途地域や容積率などの細かな要件を確認する必要があります。該当しそうな場合は、通常評価と特例評価の両方を比べて有利な方を採用します。

関連記事:借地権の評価額はどう決まる?相続時にも使える基礎知識と計算方法を解説

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まとめ

笑顔で相談に応じるスーツ姿の男性

借地権割合は、相続税や贈与税の計算だけでなく、売却時の価格を考える上でも重要です。路線価や倍率を確認し、借地権割合をかけて評価額を算定する基本を理解すれば、自分でもおおまかな目安をつけられます。

ただし、土地の形状や規模、貸家の有無、特殊な契約などによっては評価が複雑になり、判断を誤るリスクもあります。私たちリアルエステート「おうちの相談室」では、借地や底地、共有持分の整理など難しいケースに専門家が直接対応し、安心して相続や売却を進められるようお手伝いしています。迷ったときは一人で抱え込まず、ぜひお気軽にご相談ください。

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