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最終更新⽇時

2025/10/09

事業用定期借地権は中途解約可能?中途解約できるケースと注意点を解説!

  • 底地・借地
記事執筆・監修
エキスパート職 山口智暉
  • -資格-

    宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士

  • -経歴-

    株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
    東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
    株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
    リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける

土地に建てられた倉庫

土地に事業用定期借地権を設定して貸そうかどうか迷っている地主の方もいるのではないでしょうか。原則として地主からの中途解約はできませんが、借地人が契約違反をした場合などには、解除請求が認められることがあります。

そこで今回は、事業用定期借地権の中途解約が認められるケースと中途解約条項設定時の注意点、中途解約する流れについて解説します。事業用定期借地権で土地を貸すメリット・デメリットも紹介するため、ぜひ参考にしてください。

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事業用定期借地権の概要

ソファに並んで座り、首をかしげるシニア夫婦

事業用定期借地権とは、土地の利用目的が事業用建物の建築に限定された借地権です。事業用建物の例として、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、飲食店、工場、倉庫が該当します。他の借地権とは異なり、アパートやマンション、老人ホームのような居住を目的とした建物は建築できません。

また、事業用定期借地権は契約期間を10年以上50年未満で設定でき、契約更新がない点も特徴です。契約期間が満了したら更地の状態で返還してもらえるため、短期間だけ土地を活用して収益を上げたいと考えている方に向いた借地権の形態といえます。

関連記事:定期借地権の全知識!種類別メリットと活用方法

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事業用定期借地権の中途解約が認められるケース

中途解約と書かれたノートとマジック

土地に事業用定期借地権を設定して貸した場合、原則として中途解約は認められません。ただし、以下のケースに該当する場合は中途解約が認められることがあります。どのような場合に中途解約が可能か、事前に把握しておきましょう。

借地上の建物が自然災害などで滅失した

借地上の建物が地震などで倒壊したり、経年劣化による老朽化が進んだりして使用できなくなった場合、借地人は地主に対して契約の解除を申し入れられます。ただし、契約期間が残っていれば、借地人は建物を建て直して再び土地を活用することも可能です。

事業用定期借地権設定契約書で中途解約条項を定めている

事業用定期借地権設定契約書に中途解約に関する条項が定められている場合、借地人は地主に対して中途解約を申し入れられます。

ただし、中途解約の特約は借地人にのみ与えられた権利です。地主からは中途解約条項を理由に中途解約を申し入れることはできない点に注意しましょう。

地主と借地人が中途解約に合意する

地主の一方的な都合で事業用定期借地権の中途解約を申し入れることはできませんが、借地人との間に合意があれば可能です。借地人に土地を使用する必要性がなくなったなどの理由があれば、中途解約に応じてくれる可能性はあるでしょう。

借地人が契約違反行為をした

借地人に契約違反行為があった場合、地主から事業用定期借地権の中途解約を請求できます。例えば、「借地人が地代を滞納しており、何度督促しても応じてくれない」「地主の承諾を得ずに勝手に建て替えや増改築を行った」といったケースです。

また、地主の承諾なしに事業用定期借地権を第三者に譲渡した場合、契約違反と見なされる可能性があります。ただし、特別な事情がある場合は裁判所の許可を得て譲渡できることもあります。

関連記事:事業用定期借地権のトラブル事例と解決策を実践的に解説

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事業用定期借地権の中途解約条項設定時の注意点

赤字で「Point」と書かれたノートとペンを持つ手元

土地に事業用定期借地権を設定して貸し出す際、借地人から中途解約条項を設定してほしいといわれることがあります。借地人との間でトラブルが起こらないようにするには、必要な内容を過不足なく中途解約条項に含めることが大切です。ここでは、事業用定期借地権の中途解約条項設定時の注意点について解説します。

中途解約できる条件を明確にする

事業用定期借地権設定契約書に中途解約条項を設けるときは、どのような条件で中途解約が認められるか明確にすることが大切です。例えば、「地震などの自然災害で建物が失われた場合、借地人は中途解約を申し入れることができる」といった条件です。

借地人が経営不振に陥ったなど、やむを得ない事情で事業の継続が困難になった場合も、中途解約を認める条件に含めてもよいでしょう。

解約予告期間を決める

中途解約条項を設定するときは、解約予告期間を決めることも重要です。解約予告期間とは、事業用定期借地権を中途解約する旨を地主へ事前に通知しなければならない期間を指します。例えば、「契約終了希望日の1か月前までに書面で通知する」といった形です。

その際、解約予告をした日から契約終了日までの地代の支払いを日割り精算にするなど細かく決めておくと、金銭面のトラブルを未然に防げます。

違約金の有無を決めておく

借地人に契約期間の途中で解約されると、地主に損害が発生する恐れがあります。経済的損失を防ぐには「中途解約に違約金が発生するかどうか」「金額はいくらにするか」など、事前に決めることも大切です。

特約を設けないと違約金の請求は困難になります。実損害に基づく損害賠償請求も可能ですが、立証が難しいため、あらかじめ違約金の金額や条件を定めることが望ましいでしょう。

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地主から事業用定期借地権を中途解約する流れ

借地人に契約違反に該当する行為が見られた場合、地主から事業用定期借地権の中途解約が可能です。地主が事業用定期借地権契約を解除する流れは以下の通りです。

  1. 債務不履行状態を解消するよう催告する
  2. 事業用定期借地権を解除する意思を伝える
  3. 土地の明け渡しを求める

まずは、借地人に対して「滞納地代の支払いを督促する」など、契約違反行為を是正するように要求しましょう。1週間~2週間程度の期間が経過しても改善が見られない場合、借地人に対して契約解除の申し入れを行います。これによって借地契約の効力が失われるため、借地人に建物の解体と土地の返還を求めることが可能になります。

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事業用定期借地権で土地を貸すメリット

「MERIT」書かれた木のブロックとクエスチョンマーク

事業用定期借地権契約を地主から解除するのは困難です。しかし、そのデメリットを補って余りあるメリットがあります。ここで紹介するメリットに魅力を感じるなら、土地に事業用定期借地権を設定して貸し出すことを検討してもよいでしょう。

借地期間を柔軟に設定できる

事業用定期借地権のメリットとして、契約期間を10年以上50年未満の範囲で自由に設定できる点が挙げられます。通常の定期借地権は契約期間を50年以上に設定しなければならず、50年以上もの間、自分で土地を活用できません。

事業用定期借地権は短期間だけ土地を貸し出せるため、「自分の家を建てて暮らしたい」など将来を踏まえた土地活用が可能になる点がメリットです。

コストをかけずに土地活用できる

コストをかけずに地代収入を得られる点は、事業用定期借地権で土地を貸すメリットのひとつです。

土地にアパートなどを建てて経営を行う場合、数千万円以上の初期費用が必要です。賃料収入は得られるものの、初期費用を回収できるまでに相当な時間がかかる点は覚悟しなければなりません。経年劣化に応じた維持費用も負担する必要があります。

一方、事業用定期借地権を設定した土地に建物を建てるのは借地人の事業者です。維持管理も事業者が行います。地主に経済的負担がかからない点は、事業用定期借地権で土地を活用する大きなメリットといえるでしょう。

節税対策につながる

節税効果が期待できる点も、土地に事業用定期借地権を設定するメリットです。事業用定期借地権が設定された土地は、自用地評価額から契約の残存期間に応じて一定割合(5%〜20%)を控除して評価されるため、相続税評価額が低くなります。

残存期間が5年以下なら5%、5年超10年以下なら10%、10年超15年以下なら15%、15年超なら20%の控除が適用されるのが一般的です。ただし、実際の評価にあたっては税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

関連記事:事業用定期借地権のメリット・デメリットと公正証書の作成方法

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事業用定期借地権で土地を貸すデメリット

「DEMERIT」と書かれた木のブロックとクエスチョンマーク

事業用定期借地権にはメリットしかないわけではありません。ここでは、事業用定期借地権で土地を貸すデメリットを3つ紹介します。事業用定期借地権で土地を貸すか迷ったときは、メリットとデメリットを踏まえた上で慎重に検討することが大切です。

借地人が破綻するリスクがある

事業用定期借地権で土地を貸す場合、事業者が契約期間の途中で破綻するリスクが考えられます。経営破綻しても土地に建つ建物は事業者の所有物で、地主が勝手に処分できません。裁判上の手続きがないと取り壊せないこともあります。

建物を解体できたとしても、経営破綻に陥った事業者から費用を回収するのは難しいため、地主が取り壊し費用を負担する羽目になる点にも注意が必要です。

固定資産税の減税措置を受けられない

事業用定期借地権で土地を貸すと、固定資産税の減税措置が適用されない点もデメリットのひとつです。

通常、居住用家屋の建つ土地には住宅用地の特例が適用され、固定資産税が最大で6分の1、都市計画税が最大で3分の1に軽減されます。しかし、事業用定期借地権が設定された土地には事業目的の建物しか建てられません。住宅用地の特例は適用されないため、地主は通常通りの固定資産税を負担する必要があります。

公正証書で契約書を作成しなければならない

事業用定期借地権の契約は、公正証書またはこれに準ずる公的機関が関与した書面で作成しなければならず、手間がかかる点もデメリットです。

一般的には公正証書での作成が主流です。公正証書とは公証人と呼ばれる公務員が作成する公文書で、公証人が法律や当事者の意思確認に基づいて作成するため、高い証明力と裁判所の確定判決と同様の執行力を有します。

公正証書で契約を交わすには、地主だけでなく事業者や不動産会社といった契約に関わる全員が公証役場に集まらなければならず、スケジュールを調整する必要があります。目的の価額に応じた手数料が必要な点もデメリットです。

公正証書を作成する手間を省きたいなら、司法書士などの専門家と連携した不動産会社に相談することをおすすめします。

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まとめ

営業担当者と打ち合わせをする夫婦

土地に事業用定期借地権を設定して事業者に貸し出した場合、原則として地主から中途解約はできません。ただし、借地権者である事業者に地代を滞納したなどの契約違反行為があれば、地主から中途解約の請求が可能です。

事業用定期借地権を設定して土地を貸すことには、メリットだけでなくデメリットも存在します。後悔を防ぐためにも、事業用定期借地権に適した土地かどうか確認した上で慎重に検討しましょう。

土地に事業用定期借地権を設定して貸すかどうか悩んでいる方は、リアルエステートが運営する「おうちの相談室」をご活用ください。事業用定期借地権に向いた土地の条件や事業用定期借地権の設定以外に適した活用方法を不動産の専門家がアドバイスするため、後悔のない土地活用を実現できます。

記事執筆・監修
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