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2025/07/14借地でのリフォームに必要な承諾・費用・ローン対策を解説|トラブル回避のポイントも紹介
- 底地・借地

ご自宅の借地権付き建物を、今のライフスタイルに合わせてリフォームしたいと考える方は少なくありません。しかしその計画には、地主の許可や承諾料、住宅ローンの問題など、借地権特有の多くの注意点が存在します。
この記事では、そのような借地リフォームで後悔しないために、知っておきたい知識を解説します。トラブルを未然に防ぎ、安心して計画の第一歩を踏み出すことができるでしょう。
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
Contents
借地リフォームでの「承諾」の境界線

借地でのリフォーム計画を成功させる最初のステップは、借地権ならではのルールを正しく理解することです。工事の内容によって地主への対応は大きく異なり、この基本を知らないと思わぬトラブルに発展しかねません。
「リフォーム」とは
まず理解すべきは、「リフォーム」と「増改築」の明確な違いです。
リフォームとは、建物の基礎や柱といった構造部分には手を加えず、古くなった内装や設備を新しくする「修繕」を指します。
【具体例】
- 内装工事: 壁紙の張り替え、フローリングや畳の交換
- 設備工事: キッチン、トイレ、ユニットバスの交換(※同規模・同位置の場合)
- 外装工事: 外壁の塗装、ひび割れの補修、雨漏りの修理
- その他: 給湯器の交換、建具(ドア・窓)の交換(※壁を壊さない範囲)
原則として、この範囲の修繕に地主の承諾は不要です。建物の資産価値を大きく変動させるものではなく、借主が通常の利用をする上で必要な維持管理行為とみなされるためです。
リフォームの境界線は曖昧
注意点として、例えば「システムキッチンを入れ替える際に壁の位置を少し動かす」など、リフォームの規模が大きくなると、その境界線は曖昧になります。たとえ承諾不要と思われる工事であっても、地主との良好な関係を維持するために「来月から壁紙の張り替え工事をします」などと事前に一報入れておくのが、トラブルを避ける最善の策と言えるでしょう。
「増改築」とは
建物の床面積を増やす「増築」や、構造部を大きく変更する「改築」は増改築にあたります。これらは建物の資産価値や寿命を大きく変えるため、地主の権利に影響を与えます。増改築にあたる工事には、必ず地主の承諾が必要です。
契約書の「増改築禁止特約」は必ず確認
リフォーム計画の前に、必ずお手元の「借地契約書」を確認してください。多くの契約書には「増改築禁止特約」という条項が含まれています。
これは「地主の承諾なく、建物を増改築してはならない」という法的に有効な約束事です。この特約があるにもかかわらず無断で増改築を行うと、重大な契約違反とみなされ、最悪の場合は借地契約を解除されてしまうリスクがあります。
関連記事:借地権付き建物の「建て替え」は可能?5つの注意点を紹介
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借地の大規模リフォーム:承諾料の相場と交渉のコツ

建物の構造に手を入れるような大規模なリフォーム、つまり「増改築」にあたる工事には、地主の承諾と承諾料の支払いが必要になります。
承諾料の相場、目安はいくら?
借地の増改築の承諾料は法律で支払いが義務付けられているわけではありませんが、判例や慣習によって支払うのが一般的とされています。一般的には、更地価格を基準に算出されるケースが多く見られます。土地が更地だった場合の時価を基準とし、その更地価格の3%~5%程度を目安とします。
例えば、更地価格が3,000万円の土地(借地権割合60%)の場合の概算は下記となります。
- 更地価格基準: 3,000万円 × 3% = 90万円
- 借地権価格基準: (3,000万円 × 60%) × 10% = 180万円
このように、どの基準を用いるかで金額は変動します。また、木造から鉄骨造へ変更するなど、建物の耐久性が大幅に向上する「条件変更」を伴う場合は、地主への貢献度が高いとされ、更地価格の10%前後まで承諾料が上がることもあります。
地主との交渉を円滑に進めるための3ステップ
承諾料の支払いに納得できても、実際の交渉には不安が伴うこともあるでしょう。感情的な対立を避け、円滑に合意へと至るためには、段取りが重要です。以下の3ステップで進めましょう。
- ステップ1:徹底した事前準備
リフォームの図面や見積書を準備し、計画内容を具体的に説明できるようにしておきましょう。提示する承諾料の根拠として、固定資産税評価額や路線価などの公的なデータを示すと、交渉に説得力が増します。
- ステップ2:丁寧なコミュニケーションでの打診
いきなり訪問するのではなく、まずは手紙や電話で丁寧にアポイントを取りましょう。面談では、工事による騒音など、地主が懸念しそうな点にもこちらから配慮する姿勢を見せることが、信頼関係の構築につながります。
- ステップ3:合意内容は必ず「書面」で残す
口約束は絶対に避けましょう。承諾料の金額、支払時期、許可する工事の範囲などを明記した「増改築承諾書」を作成し、双方で署名・捺印して保管することが、後のトラブルを防ぎます。
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地主の承諾が得られない場合の代諾許可制度
地主が正当な理由なく承諾を拒否した場合、「借地非訟」といって、裁判所から代諾許可を得られる可能性があります。これは、借地人が工事を必要としている場合に限られます。
【申立ての条件】
- 増改築の内容が契約に反しないか
- 借地権の残存期間
- 地代の滞納の有無
借地非訟にかかる費用の相場は次のとおりです。
- 弁護士費用
着手金は20〜40万円程度、報酬金は経済的利益の10〜20%程度です。
- 裁判所費用
収入印紙代は数千円〜数万円程度、郵券は数千円〜1万円程度でしょう。不動産鑑定費用は原則として裁判所が負担します。
なお、裁判所の許可があっても、地主に承諾料を支払うことが一般的です。
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借地の大規模リフォーム、ローン対策は?

借地権物件の大規模リフォームでは、ローンを組むのが難しいという現実があります。その理由と対策を知り、しっかりとした資金計画を立てましょう。
ローン審査が厳しい理由と利用できるローンの種類
金融機関が慎重になる最大の理由は、借地権物件の「担保価値の低さ」にあります。土地の所有権がないため、金融機関が取れる担保は主に「建物のみ」となり、所有権物件に比べて評価が低くなります。また、地主の承諾がないと抵当権を設定できないリスクも、審査を厳しくする一因です。
しかし、利用できるローンが全くないわけではありません。
- 無担保型リフォームローン: 担保が不要なため借地権でも利用しやすいですが、金利は高め、借入額は少なめです。
- 有担保型リフォームローン: 建物を担保に入れるため、低金利で高額な借入も可能ですが、地主の「抵当権設定承諾書」が必要になる場合がほとんどです。
- フラット35: 借地権物件にも比較的柔軟で、金融機関によっては地主の承諾書なしで利用できるケースもあります。
審査通過の可能性を高める3つの準備
厳しい審査を突破するためには、以下の準備が効果的です。
- 自己資金(頭金)を多く用意する
最も有効な対策です。借入額を減らすことで金融機関のリスクが低減し、審査に通りやすくなります。
- 地主との良好な関係を築いておく
有担保ローンなどで地主の承諾書が必要になった際、快く協力してもらえるかどうかが鍵となります。日頃からのコミュニケーションが重要です。
- 複数の金融機関に相談する
金融機関によって審査基準は異なります。一つの金融機関で断られても、諦めずに他の銀行や信用金庫などに相談してみましょう。
関連記事:リフォームにかかる費用はどのくらい?相場や内訳などを徹底解説!
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借地のリフォームで他にも知っておきたい費用・リスク管理

借地でのリフォームや増改築を計画する際、工事そのもの以外にも気をつけるべき費用や手続きがあります。特に、補助金制度の活用や税金の変化は見落とされがちですが、事前に知っておくことで、想定外の出費を抑えることが可能です。
ここでは、そうした「付随費用」と「リスク管理」の基本を簡潔に紹介します。
費用を抑える「補助金制度」の探し方
耐震、省エネ、バリアフリーといったリフォームでは、国や自治体の補助金や助成金が利用できることがあります。代表例として、国土交通省、経済産業省、環境省の3省が連携する「住宅省エネ2025キャンペーン」があります。
補助金を活用するには、お住まいの自治体のWebサイトで「住宅 リフォーム 補助金」などと検索するか、地元のリフォーム会社に相談するのが有効です。特に「住宅省エネ2025キャンペーン」のような国の主要制度では、申請は事前登録済みのリフォーム業者が行うこととされています。そのため、業者を選ぶ際には、対象制度に登録しているかを必ず確認しましょう。
多くの補助金制度では、工事の着手と交付申請を所定の期限内に行う必要があります。予算の上限に達すると、期限前でも受付が終了することがあるため、早めの準備が重要です。
リフォーム後の税金の変化
借地でリフォームや増改築を行うと、建物の価値が上がり、固定資産税が増加することがあります。固定資産税は土地や住宅にかかる税金で、毎年1月1日時点の所有者に課税されます。税額は固定資産の評価額に基づいて算出され、評価額は3年ごとに見直されます。
固定資産税が上がるケース
- スケルトンリフォームなど、壁・床・柱・屋根といった主要構造部を半分以上改修する大規模修繕は、住宅の性能向上につながるため、評価額が上がる傾向があります。
- 床面積を増やす増築では、面積に応じて不動産評価が高まり、税額が増えることがあります。
- 住居を店舗や事務所などに用途変更した場合、住宅用地の特例が適用されなくなり、建物と土地の両方で税額が上がる可能性があります。
固定資産税が下がる(減税される)ケース
- 耐震、バリアフリー、省エネ、長期優良住宅化といった特定のリフォームでは、条件を満たすと翌年度の固定資産税が減額される制度があります。
減税を受けるには、工事完了後3か月以内に申告する必要があります。
関連記事:固定資産税は、いくら?計算方法と安くなるケースを解説
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まとめ

借地権の家でリフォームを検討する際は、工事が原状回復の範囲か、増改築にあたるかを見極めることが重要です。通常のリフォームであれば承諾は不要ですが、増改築には借地権価格の5~10%程度の承諾料が発生するのが一般的です。
契約書の増改築禁止特約の有無を確認し、地主との関係を大切にしながら話を進めれば、工事もスムーズに進行しやすくなります。
判断に迷ったり、承諾や抵当権設定で不明な点がある場合は、借地権に詳しい不動産会社に相談するのが安心です。弊社リアルエステート「おうちの相談室」でも、借地権に関するご相談を承っています。将来的な負担も含め、最適な選択をサポートいたします。
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