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投稿⽇時

2023/09/29

最終更新⽇時

2025/06/12

抵当権がある物件でもリースバックで現金化!成功するための条件とは?

  • リースバック

家を買う際には、多くの場合住宅ローンを借りることになります。国土交通省の「住宅市場動向調査」によれば、令和2年には注文住宅を取得した世帯の76.1%が住宅ローンを利用しているとのことです。住宅ローンの負担は大きいので、資金が足りなくなることがあるかもしれません。そこで「リースバック」という仕組みを利用すれば、まとまった資金を調達することが可能です。しかし、抵当権がある物件でもリースバックはできるのでしょうか。リースバックをしたら抵当権はどうなるのでしょうか。
今回はリースバックと抵当権について説明していきます。

抵当権とは?基本を理解しよう

そもそも抵当権とは何でしょうか。抵当権とは、住宅ローンを借りる際に金融機関が持つ権利です。住宅ローンの返済が滞った場合、金融機関は抵当権のついた住宅を売却する権利を持ちます。これは、住宅ローンの返済が滞納されても金融機関が損しないように補償するための仕組みとなっています。つまり、これは購入する家を担保にするということです。抵当権が設定されるローンを「有担保住宅ローン」、設定されないローンを「無担保住宅ローン」と呼びます。
抵当権は、住宅ローンを貸してもらった日に銀行が登記して、住宅ローンが返済されたら外されます。その際、自然には外れないため、手続きを自分で行う必要があります。その必要書類を集めれば、自分で手続きを行うこともできますが、司法書士に依頼することも可能です。手続きを行わなければ、返済が完了していても、書面上では抵当権が外れたことにはなりません。注意してください。

住宅ローンを滞納するとどうなるのか

抵当権が設定された物件の住宅ローンを滞納すると、物件が差し押さえられることになります。そして家から強制退去することになり、差し押さえられた物件は競売にかけられてしまいまうのです。金融機関は家を売却することによって住宅ローン分を回収しようとするのです。ローンの返済を滞納してから3ヶ月を過ぎると強制退去をしなければならなくなります。

まず、家賃を滞納すると、その数日後から電話や督促状で催促されます。それでも1ヶ月から2ヶ月の間家賃が支払われなかった場合は、銀行から連帯保証人に対しても督促状が送られます。さらに家賃の滞納が続いた場合に強制退去が決まります。強制退去の手続きには時間がかかるため、実際に退去するまでには約1年の猶予があります。

抵当権がついている物件は売却できない理由

抵当権が設定されている場合、物件を売却することができません。それは、抵当権がついている物件は売却しても買い手がつかないからです。
抵当権が設定されたままの物件を購入した場合、そこで、もしその物件の債務者がローンを支払わなかった場合、家は競売にかけられ、金融機関によって売却されてしまいます。つまり、購入した物件が債務者の影響で売却されることになります。それでは損でしかありません。そのため、抵当権つきの物件は売却することも購入することも事実上は可能なのですが、損になってしまうので誰も購入する人はいないのです。購入する人がいないため、売却もしたところで意味がなくなってしまいます。

抵当権がついている物件はリースバックできるのか?

抵当権が設定された物件を売却することができないことがわかりました。それでは、リースバックすることはできるのでしょうか。 結論として、住宅ローンが「アンダーローン」の状態であれば、リースバックを行うことが可能です。一方、「オーバーローン」の状態だとリースバックをすることはできません。
それではこの「アンダーローン」と「オーバーローン」とは一体どのような状態なのでしょうか。

住宅ローンの種類:アンダーローンとオーバーローン

抵当権がある状態には「アンダーローン」と「オーバーローン」という2パターンがあります。「アンダーローン」とは、不動産の資産価値よりもローン残高が低い状態を指します。「オーバーローン」とは、不動産の資産価値よりも多い状態のことをいいます。
しかし、アンダーローンかオーバーローンかを判断するには、ただ売却価格と比較するだけではできません。売却時には印紙税、登記変更費用、仲介手数料などさまざまな費用が発生します。その額があるために売却価格は実質的に下がることになります。そのため、住宅ローンの現状がアンダーローンなのかオーバーローンなのかを判断する際には、家の売却価格から諸費用を引いた金額と、住宅ローンを比較する必要があるのです。

アンダーローンの場合のリースバックの可否

アンダーローンの状態であれば、リースバックを行うことが可能です。リースバックをするには、業者の選定、査定依頼、契約締結、賃貸借という手続きを踏むことになります。リースバックをして家を売却して、資金をもらったら、ローンを返して、抵当権を外します。その流れを説明していきます。

リースバックの具体的な流れ

リースバックを行う際には、まずリースバック業者を選定します。この際には、買取価格や賃料といった契約内容、対応の速さ、親身さ、過去の実績を考慮して選定します。

リースバックを依頼する業者を決めたら実際に相談に行きます。相談は無料で対応してくれる業者が多いため、複数の業者に相談して見積もりを取得します。それを比較することで、各業者のサービスの良さ、悪さを判断することができます。

リースバック業者が決まったら、資産の査定をしてもらいます。まずは氏名、住所、年齢のような基本情報と物件の情報をもとに資産価値を机上査定します。次に、本査定では現地調査が行われ、家賃や買取価格が決定されます。

査定内容に合意したら、売買契約と賃貸借契約を締結します。売買契約は不動産をリースバック業者に売却するための契約であり、賃貸借契約は一度売却した家を賃貸として使用し続けるための契約です。
このように不動産会社と契約を締結したら、家を売却し、資金をもらうことができます。その資金を使ってローンを返し、抵当権を外すのです。

抵当権の外し方と必要書類

抵当権を外す手続きは債務者自身で行うことになります。必要な書類を用意して自分で法務局に行って手続きをします。または、司法書士に依頼することもできます。
抵当権を外すために必要となる書類には、

  • 借入金が完済されたことを証明する弁済証書
  • 登記済証または登記識別情報
  • 抵当権を設定した時、抵当権者に交付される書類
  • 登記事項証明書
  • 債権者である金融機関からの委任状

といったものがあります。

抵当権抹消にかかる費用

抵当権抹消費用は戸建であれば登録免許税が2,000円〜4,000円ほどかかります。さらに、もし手続きを司法書士に依頼した場合には司法書士への報酬として15,000円〜30,000円ほどがかかります。
この抵当権抹消費用はリースバックで家を売却するときの費用に含まれています。

オーバーローンの場合のリースバックの難しさ

アンダーローンの場合にはリースバックをすることができるということがわかりました。しかし、オーバーローンの場合はリースバックすることができません。それにはおもに二つの理由があります。s

オーバーローンではリースバックできない理由

一つ目の理由は、オーバーローンの状態にある不動産はリースバックをしても住宅ローンを完済することができないからです。ローンの完済ができなければ抵当権を外すことができません。そして、抵当権が残った物件は売却しても買い手がつきません。そのため、オーバーローンではリースバックをさせてもらえないケースがあるのです。
二つ目の理由は、オーバーローンに陥った債務者は賃料を滞納する可能性が高いからです。リースバックをすると賃料の支払い義務が発生します。これは資産を所有していたときには無かったものです。もし賃料を滞納されると金融機関は損をしてしまいます。しかし、一度住宅ローンの支払いで返済を滞らせている相手であれば、家賃も滞納する可能性が高いでしょう。そのため、家賃を滞納されるリスクを背負わないために、オーバーローンの場合にはリースバックを断る不動産業者も多いのです。

任意売却によるリースバックの可能性

オーバーローンの場合でも任意売却をすればリースバックができるようになります。それは、任意売却すれば抵当権を外すことができるからです。しかし、任意売却自体が成立しづらいため、リースバックに至ることができないケースが多いです。また、「任意売却に陥るような人はリースバックの家賃を支払うことができなさそうだ」という判断をされてしまう可能性もあります。そのため、オーバーローンの状態ではリースバックができないと思っておいた方が良いでしょう。
任意売却をしてからリースバックをする方法についてはこちらを参照してください。
⇒ 【住宅ローン】オーバーローンのときにリースバックはできるのか?

まとめ:リースバックと抵当権の関係を再確認しよう

今回は、抵当権があるときにリースバックをすることができるのかについて見てきました。抵当権が残っている場合に不動産を売却することは難しいです。しかし、抵当権がついていてもアンダーローンであればリースバックをすることができます。それによって抵当権を外すことができます。
一方、オーバーローンの場合には売却しても抵当権を外すことができないため、リースバックはできません。

住宅ローンを返済できなくなってしまうと、資産が競売にかけられたり、保証人に支払いの督促が行ったりと、自分にも他人にも迷惑をかけることになってしまいます。住宅ローンに関しては、確実に返していけるような資金繰りを心がけましょう。
【参照】 国土交通省住宅局「令和2年度住宅市場動向調査報告書」
https://www.mlit.go.jp/common/001401319.pdf