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2023/09/29最終更新⽇時
2025/06/12リースバック後のオーナーチェンジ、知っておくべきこと
- リースバック

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リースバックとは、家を売却し、その資金を得る仕組みの一つです。リースバックをすると、家の所有権が売り手から買い手に移行します。その所有権が別の人に移ることがあります。そのような状況のことを「オーナーチェンジ」といいます。オーナーチェンジとは、一体どのようなときに起こるのでしょうか。また、オーナーチェンジが起こった場合、これまでの契約はどうなるのでしょうか。今回は、リースバックのオーナーチェンジについて説明していきます。
リースバックの基本概念
リースバックは、金融取引の一つとして位置づけられます。正式には「セール・アンド・リースバック」といいます。現在住んでいる持ち家を一度売却し、再びリースで借りるという仕組みのことです。これにより、売却金額を受け取りながら、従来の家に住み続けることができます。
リースバックとは?その仕組みを解説
リースバックをすれば、以下のような悩みを解決することができます。
- 住宅ローンを早く完済したい
- 急に収入が減少してしまい生活費が足りない
- 子どもたちに財産を遺したいが、家を平等に相続するのは難しい
- お金が必要だが、住み慣れた家から引っ越したくない
- まとまったお金が必要だが、家を売却して近所の人に知られたくない
- 金融ローンを組もうとしたら査定に通らなかった
- 急に入院することになり、短期間でまとまったお金を工面しなくてはならない
つまりリースバックには以下のようなメリットがあるのです。
リースバックのメリット
- まとまった現金を一括で受け取ることができる
- 現金を受け取るまでに比較的時間がかからない
- 家を売却した後も同じ家に住み続けることができる
- 家を売却したことが周囲に知られずに済む
- リースバックするときに厳しい査定はない
- 資金の使い道に制限がない
リースバックのメリットについて詳しくはこちらも参照してください。
⇒ 【セール&リースバックのメリット】不動産をリースバックするとどのような良いことがあるのか
リースバックのリスクと注意点
リースバックには多くのメリットがありますが、同時に以下のリスクも存在します。一方で、リースバックには次のようなリスクもあります。
リースバック業者の倒産リスク
リースバック業者に家を売却した場合、リースバック業者が家の所有権を獲得します。しかし、小規模な業者や経営が不振の業者は倒産のリスクがあります。そうすると、これまで通りに契約を続けていくことは困難です。もしリースバック会社が倒産したら、現在賃貸している住宅は第三者に売却されてしまうことがあります。その場合、おもには競売にかけられてしまうため、家を買戻すことができなくなってしまいます。
賃貸中に物件が売却される場合
物件の所有者は契約を結ぶときに決まりますが、そのままずっと変わらないのかというと、そうではありません。賃貸期間中に物件の所有者が変わることがありえます。家賃収入よりも売却益の方が高いとわかったとき、現在の物件所有者が、別の金融機関や投資家に物件を売却するのです。そうすると、契約期間中でも所有者が変わることになります。
失敗しないためのリースバック活用法
リースバックには、不動産リースバック業者が倒産したり、賃貸中に物件の売買が行われたりすることで、物件の所有者が変わることがあります。このような状況を「オーナーチェンジ」と呼びます。オーナーチェンジとは、入居者がいる状態で、住宅の所有者がその住宅を売却することで家の所有者が再度変わるという状況のことです。もし入居者がいないときには、所有者が変わっても特に「オーナーチェンジ」とは呼ばれません。それはただの住宅の売買取り引きです。一人でも入居者がいる状態で物件の所有者が変わるときのことを「オーナーチェンジ」というのです。
オーナーチェンジの概要
オーナーチェンジとは?その仕組みと影響
それではなぜオーナーチェンジは起こるのでしょうか。
オーナーが家を売却する理由は、現金収入を増やすためです。リースバックをしている間、オーナーは家賃収入を得ることができます。しかし、別の不動産会社や金融機関、投資家に物件を売りに出したとき、その家賃よりも高く買い取ってもらえる場合があるかもしれません。そのときは売却してしまった方が現金を多く手にすることができます。そのため、現在のオーナーが、第三者に物件を売却するのです。契約期間中のオーナーチェンジはこのようにして起こります。
オーナーチェンジが発生する理由
新オーナーが入居中の人がいる物件を購入してオーナーチェンジする理由はおもに投資目的です。実は、オーナーチェンジをした物件は、不動産投資に慣れていない人にとってとても扱いやすいのです。なぜなら、すでに経営の仕組みが完成しているからです。もし一から不動産投資をしようとした場合、立地を選定し、建物を建築するところから、入居者を集めるところまで行わなくてはなりません。しかし、オーナーチェンジした物件を購入すれば、そのような手間は必要ありません。このように、オーナーチェンジは不動産投資を始めてみたいけれどノウハウがないという人には優良物件なのです。また、毎月の家賃収入や入居者の入れ替えのタイミングといった過去の実績を参考にすることで、投資計画を立てることができるようになります。
オーナーチェンジ通知の仕組み
オーナーが変わったかどうかは、入居人にはどのように知らされるのでしょうか。実は、現在の入居人が、オーナーチェンジが起こることを事前に知ることはありません。また、オーナーが変わったことが通知されない場合もあります。
基本的には、オーナーが変わると入居人にはその旨が事後報告されます。その際、契約内容に何か変更点があれば、それが入居人に伝えられます。契約に関する変更点としては、家主の変更、新たな連絡先、家賃の振込先の変更などがあります。これらの情報が更新されていなければこれまで通りに家賃を支払うことすらできなくなってしまいます。しかし、契約内容に変化がない場合、入居人には通知すらされない場合があります。別にオーナーチェンジしたことを入居人に伝えなくてはならないという義務はないのです。
リースバック契約とオーナーチェンジの関係
建物のオーナーが変わっても、契約内容やリースバックの利用方法に大きな変化はありません。以前のオーナーと家の借り手が締結した賃貸契約はそのまま引き継がれます。賃貸契約を結ぶことで、新オーナーは以下の項目が可能です。
- 入居者から賃貸料を受け取る
- 契約期間満了後に建物を返還してもらえる
- 退去の際に入居者に原状回復をしてもらう
その代わりに、以下の要件が必要になります。
- 自分の所有物である建物を入居者に使わせる
- 建物の修繕や管理
- 退去のとき、入居者に敷金を返還する
オーナーチェンジによるデメリット
オーナーチェンジが起こってもリースバックの契約内容は一般的に変わりませんが、場合によっては損失を被ることがあります。それは、オーナーが変わることで賃貸借の方針が変化してしまうことに起因します。そのせいで契約の更新を拒まれたり、立ち退きを要求されたり、家賃を値上げされたりする可能性があります。
リースバックの契約を結ぶ際には、もしオーナーチェンジが起こったらその後の契約はどうなるのかということまで話し合っておくことができると安心です。
オーナーチェンジによるトラブル例
実際に、過去にはオーナーチェンジに関して次のようなトラブルがありました。
Aさんは、夫婦2人と子供2人の4人家族で持ち家に住んでいました。しかし、あるときリースバックをして自宅を売却しました。賃貸として家を利用し続けて1年ほど経った頃、オーナーから急にオーナーチェンジの連絡がきました。
このように、オーナーが変わる際には特に居住人に相談されることはありません。オーナーが誰かという点に関しては居住人が意見するようなものではないのです。
オーナーが変わってからも契約内容を変更したわけではないため、これまで通りの生活が続いていました。しかし少し経つと、新しいオーナーから前触れなくかなりの家賃の値上げを要求されました。あまりに高い額であったため、支払いが難しいことを伝えると、3ヶ月以内に退去するように言われてしまいました。
この事例のように、急なオーナーチェンジによって経営の方針転換が起き、急な賃上げや退去要求がされることがあるのです。
トラブルを避けるためのポイント
オーナーチェンジによるトラブルに遭わないオーナーチェンジによるトラブルを避けるために、次の点に注意しましょう。
まず、リースバック業者をよく選んで契約することです。現在契約している不動産会社が倒産してしまったら、オーナーチェンジが起こってしまいます。つまり、契約を結ぶ際は、倒産の可能性が少ないリースバック業者を選んでおけば安心です。会社の経営状況を確認し、倒産しなそうな業者を選んで契約するようにしましょう。
また、契約の締結時には、オーナーチェンジが起こった場合には契約はどうなるのかという内容も記載しておけると、予期せぬ事態に陥ることを防ぐことができます。 さらに、オーナーとは密に連絡を取れるようにしておきましょう。急に家を売却され、気づいたらオーナーが変わっているという事態を避けるためです。
このようなことに気をつけて、オーナーチェンジによるトラブルを予防するようにしましょう。
まとめ
ここまで、オーナーチェンジについて説明してきました。
リースバックでは、賃貸中にオーナーが変わることがありえます。しかしそのとき、多くの場合では契約は引き継がれます。オーナーチェンジするときは必ず賃貸契約を引き継ぐということを契約書上で約束しているリースバック業者もあります。その場合はオーナーチェンジをしても変化としては家賃の振込先が変わるくらいで済みます。
一般的にはオーナーが変わっても契約は継続されることになっていますが、オーナーによって賃貸借の方針が変わり、かつてよりも賃貸の条件が悪くなってしまう可能性もあります。契約を更新できなくなったり、急に立ち退きを要求されたり、家賃を大きく値上げされたりする可能性があるのです。
賃貸中にオーナーが変わるとこのようなリスクがあるということを理解し、そうならないために事前に対策を打っておくと安心です。