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2025/10/09リースバックの家賃が払えないときは?早めの相談で退去を避ける方法と予防策
- リースバック
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける

リースバックとは、自宅を売却後も賃貸で住み続けられる仕組みです。住み慣れた我が家にそのまま住めるのがメリットですが、思わぬ収入減少や病気で家賃が払えなくなるリスクは常に存在します。リースバックを選択したのに、「自分の家から退去させられる」という不安を抱える方も少なくありません。
家賃を払えないという事態を避けるには、どのような対処法や予防策があるでしょうか。この記事では、リースバック後に家賃が払えない場合の対処法と予防法、法的権利について解説します。
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Contents
リースバック後に家賃が払えない主な原因

リースバック契約で家賃が払えない状況は、さまざまな要因から発生します。契約当初は問題なく払えていても、予期せぬ事態により家計が圧迫され、滞納リスクが高まることもあるでしょう。ここでは、リースバック後に家賃が払えない主な原因を3つ紹介します。
家賃が高いため
リースバック契約では、一般的な賃貸契約と比較して家賃が高めに設定される傾向があります。これは、家賃の決定方法に大きな違いがあるためです。
通常の賃貸物件は周辺相場や間取り、築年数で家賃が決まりますが、リースバックは「売却価格×期待利回り÷12か月」という積算法で算出されます。例えば、1,080万円で売却した場合、期待利回りが10%なら月額家賃は1,080万円×10%÷12か月=9万円です。
また、固定資産税や管理費といった維持費も家賃に上乗せされるため、さらに負担が増します。高めの家賃設定は、将来的に支払いが困難になるリスクをはらんでいます。
収入が減少したため
リースバックの家賃が払えなくなる要因として、定年退職やリストラによる急激な収入減少が挙げられます。60代以降は年金だけの生活となるケースが多く、現役時代と比べて収入が半分以下になることも珍しくありません。また、病気や怪我で働けなくなった場合も収入が突然途絶えるリスクがあります。
こうした状況では、リースバック契約時には問題なく支払えていた家賃が急に大きな負担となるでしょう。特に高めに設定されがちなリースバックの家賃は、収入減少時に真っ先に支払いが厳しくなります。万が一の収入減少に備えて、事前に貯蓄を増やしておくことが重要です。
出費が増えるため
高齢になるほど医療費や介護費の負担が増加することも、リースバック後の家賃が払えない要因のひとつです。収入が減少する一方で、通院や服薬、介護サービスといった支出は年々増加するため、家計を圧迫します。
特に介護が必要になると、在宅サービスや施設利用で月々数万円から十数万円の出費が発生することも珍しくありません。このような医療・介護関連の出費増加が、リースバックの比較的高めに設定された家賃と重なると、支払いが滞る事態に陥りやすくなります。
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家賃滞納から退去までの法的プロセスと流れ

リースバック契約で家賃が払えない場合、どのような法的プロセスを経て退去に至るのか、その流れを理解することが重要です。家賃を滞納してから強制退去までには一定の手順があり、各段階で借主ができる対応も変わります。早い段階で適切な対応をすれば、退去を回避できるかもしれません。
ここでは、リースバックの家賃が払えない場合の法的プロセスの流れと、借主として知っておきたい権利や対応策について解説します。
家賃滞納から退去要請まで
家賃滞納が発生すると、リースバック会社は一定の手順で対応を進めます。通常、滞納から約1週間後に電話連絡があり、その後も未払いが続くと文書による督促へと進展するのが一般的です。約1か月経過しても支払いがない場合、連帯保証人への通知が行われ、滞納分の支払いを求められます。
さらに3か月以上の滞納が続けば、内容証明郵便による契約解除通知が送付されます。法的には「信頼関係破壊の法理」に基づくもので、3か月連続の滞納は契約継続が困難と見なされる目安です。この段階では、支払い計画の提案や分割払いの交渉など、任意の解決策を模索することが重要です。早期に誠意をもって交渉することで、強制退去を回避できる可能性が高まるでしょう。
契約解除から強制退去まで
家賃滞納が3か月以上続くと、リースバック会社から内容証明郵便で契約解除通知が送付されますが、通知後も退去しない場合、会社は裁判所に明け渡し訴訟を提起します。訴状提出から1週間〜2週間後に第1回期日が設定され、争いがなければ次回期日で判決が出ることもあります。
退去命令が出ても従わない場合、強制執行の申し立てとなり、裁判所から催告書が送付されます。明け渡し催告から強制執行までは約6週間程度です。この間に自主退去しなければ、執行官立会いのもと家財道具の搬出や鍵の交換が行われます。契約解除から強制退去までの全プロセスは通常4か月〜6か月程度ですが、状況により期間は変動します。
退去に至るまでの猶予期間と借主の法的権利
リースバック契約における借主は、借地借家法による保護を受けられます。家賃滞納があっても、すぐに退去を求められるわけではありません。
一般的に、期間の定めがない契約では3か月の予告で解約可能です。ただし、貸主からの契約解除には、原則として「正当事由」が必要で、解約の予告期間として6か月以上の猶予が求められます。「信頼関係破壊の法理」により裁判所は滞納の期間や事情を総合的に判断し、滞納が短期間で誠意ある対応があれば、契約継続が認められるケースもあります。
また、一定の条件下では家賃減額を求める権利も認められています。万が一裁判に発展しても資力や健康状態に関して特別な事情を主張できれば、退去までより長い猶予期間が与えられることもあるため、早めの相談と誠実な対応が重要です。
関連記事:【リースバックの家賃が払えない】家賃を滞納してしまうとどうなるのか
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リースバック後に家賃が払えないときの対処法

リースバックで家賃の支払いが難しくなった場合でも、適切な対応を取れば退去を避けられる可能性があります。滞納が長期化すると法的措置に発展するリスクが高まるため、初期段階でしっかりと対応しましょう。ここでは、リースバック後に家賃が払えないときの対処法を3つ紹介します。
リースバック会社に早めに相談する
リースバック会社への相談は、家賃が払えないときの最優先事項です。問題が発生したら迅速に会社へ連絡し、状況を正直に説明しましょう。多くのリースバック会社は、滞納が長期化する前に相談があれば柔軟な対応を検討してくれます。例えば、一時的な支払い猶予や家賃の減額交渉、支払いスケジュールの見直しといった選択肢が考えられます。
交渉の際は、収入減少の証明書類や今後の支払い計画を準備すると効果的です。特に高齢者や病気で収入が減少した方は、状況に応じた特別な配慮が得られることもあります。早めの相談は信頼関係の維持にもつながり、退去という最悪の事態を回避する可能性を高めるでしょう。
家賃の支払いに充てる資金を調達する
家賃を払うための資金調達方法としては、まず親族や知人からの一時的な借り入れが考えられます。短期間の資金繰りであれば、返済計画を明確にして相談するとよいでしょう。銀行や消費者金融からの借り入れも選択肢のひとつです。特に緊急性が高い場合、カードローンのような即日融資が可能な商品が役立ちます。ただし、返済能力を超えた借り入れは避けましょう。
保有する資産の売却も検討できます。株式や投資信託、貴金属といった換金性の高い資産であれば、比較的短期間で現金化できます。車や高価な家電・宝飾品も売却対象です。リースバック以外の不動産を所有している場合、そちらの売却や担保にした融資も選択肢となります。いずれの方法でも、短期的な対応と長期的な生活設計を両立させることが重要です。
住居確保給付金など公的支援制度を活用する
住居確保給付金は、離職や収入減少により経済的に困窮し、住居喪失のリスクがある方を支援する公的制度です。申請条件として、離職・廃業から2年以内であることの他、世帯収入が基準額以下、資産が一定額以下といった要件があります。
給付額は世帯人数によって異なり、単身世帯で最大4万円、2人世帯で4万8,000円程度が支給されます。支給期間は原則3か月ですが、条件により最大9か月まで延長可能です。申請には本人確認書類や収入証明書類、賃貸借契約書が必要で、各自治体の生活支援窓口で手続きができます。
リースバックの家賃が払えない場合、早めにこの制度の利用を検討することで、一時的な経済危機を乗り越えられるでしょう。なお、支給額は自治体や家賃額、世帯構成により異なります。最新情報は各自治体にご確認ください。
関連記事:リースバックのトラブルで弁護士に相談?よくある事例を紹介
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リースバック契約前に家賃が払えない事態を予防するには

リースバック契約では将来的に家賃が払えなくなるリスクを事前に想定し、適切な予防策を講じることが重要です。収入減少や予期せぬ出費に備えて、契約前から家賃負担を抑える工夫や交渉の余地を残しておくことで、長期的に安心して住み続けられます。ここでは、リースバック契約前に、家賃支払いが困難になる事態を防ぐための対策について解説します。
収入減少を見据えて家賃を低く抑える
リースバックで家賃が払えなくなるリスクを減らすには、老後の収入減少を見越した契約設計が重要です。年金生活に入ると収入が大幅に減少するため、将来的な支払い能力を考慮した家賃設定が必須です。月々の家賃は、不動産の売却価格と期待利回りに基づいて計算されます。
複数のリースバック会社に査定を依頼し、同じ買取価格でも家賃設定が低い会社を見つけることが賢明です。あえて買取価格を低く提案することで、家賃負担を抑える方法もあります。他にも、定期借家契約を選択するなど、家賃を抑える工夫を検討しましょう。
家賃見直し条項や特約事項を盛り込む
リースバック契約では、将来的な収入変動に備えるため、賃貸借契約書に家賃見直し条項を盛り込むことが重要です。この条項があれば、収入が減少した際に家賃の再交渉が可能になります。具体的には「収入が一定割合以下になった場合の家賃減額」や「5年ごとの家賃見直し」などの特約を設けると効果的です。
交渉時は、自身の将来的な収入予測と支出計画を示しながら、リースバック会社と話し合いましょう。中途解約の際の違約金減額や買い戻し特約など、将来の選択肢を広げる条項も検討し、特約内容は必ず書面化します。口頭の約束だけでは後にトラブルになりかねません。
柔軟な対応ができるリースバック会社を選ぶ
実績が豊富で柔軟な対応ができるリースバック会社は、家賃の支払いが困難になった場合でも、家賃減額や支払いスケジュールの見直しに応じてくれる可能性が高いでしょう。リースバック会社を選ぶ際は最低でも2社〜3社に査定を依頼し、売却価格や家賃条件だけでなく、家賃減額制度の有無や諸費用の透明性を比較します。
また、公式サイトで事例紹介や過去の実績データを提示しているかも重要な判断材料です。買い戻しオプションを検討している場合、条件を明確に確認し、書面化する必要があります。将来的なリスクを最小限に抑えるには、契約前の丁寧な比較検討が不可欠です。
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まとめ

リースバック後の家賃滞納問題は、高額な家賃設定や収入減少、医療費などの支出増加が主な原因です。滞納時には督促から始まり、最終的には強制退去に至る法的プロセスが発生しますが、借地借家法による保護も存在します。困難に直面した際はリースバック会社に早めに相談し、親族からの資金調達や住居確保給付金などの公的支援制度を活用するのが有効です。
リアルエステートの「おうちのリースバック」は、収入減少や予期せぬ出費により家賃負担が厳しくなったときも、柔軟な対応で解決策をご提案します。高額買取で資金を確保しながらも、将来の収入変動を考慮した家賃設定や見直し条項の導入など、長期的な視点でお客さまの住まいを守るサポートをします。
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