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投稿⽇時

2024/01/15

最終更新⽇時

2024/01/15

借地の持ち家処分をしたい場合はどうすべき?

  • 底地・借地

借地持ち家の処分を検討した際に行うべきことを分かりやすくご紹介します。処分方法は複数あるので、一つずつ説明します。この記事を読むことで、借地に建てた持ち家を処分する際に、事前に知っておくべきポイントがわかります。

 借地とは?

「借地権」とは、土地に建物を建てる権利が適用された土地のことを指します。

借地権は新借地借家法(1992年8月1日施行)に基づくか、もしくは旧借地借家法に基づくかという点を把握することが重要です。

旧借地借家法では、借り手の権利が強く認められてました。しかし、平成4年に改正され、新借地借家法が制定されました。新法と旧法の違いとして、定期借地権が導入されたことが挙げられます。 その結果、借地権には普通借地権・一般定期借地権、そして事業用定期借地権・建物譲渡特約付借地権・一時使用目的借地権の5種類が存在しています。

家を建てたいと思った際に、その土地を別の人が所有している場合があります。いわゆる地主と呼ばれる存在ですが、地主が保有する土地の権利を「底地権」といい、それに対して底地権が適用される土地を借りることができる権利が「借地権」です。そして、借地権が適用されて借りている土地を「借地」と呼びます。

 借地の持ち家を処分したい時

借地持ち家を処分したい場合、いくつかの手段があるので順番に説明していきます。

① 借地権を地主へ売却

まず、借地権は売ることができます。例えば、地主が借地権を自ら買い取りたいと思っていたとしても、旧法借地権や普通借地権の場合、正当な理由がない限り地主は更新を拒否できないこともあり、なかなか借地権を取り戻せません。そのため、機会さえあれば借地権を買い取りたいと思っている地主であった場合、喜んで買い取ってくれるかもしれません。

もし、地主ではなく、第三者に借地権を売却する際には地主の承諾が必要です。その場合、承諾料と呼ばれる料金も発生するのですが、もちろん地主に借地を売却する際には承諾料が発生しない点もポイントです。

買取価格は地主によっても異なりますし、その他の条件も影響するので変動はあるものの、買い手を見つけるための手間や時間などを考慮すると、「地主に買い取ってもらう」という方法は最も効率的と言えるかもしれません。

② 底地と借地の同時売却

底地と借地の同時売却のメリットと注意点について、ご説明します。

メリット

一括処理:両方を同時に売却することで、手続きが一度で済む。

価格交渉:底地と借地を一緒に売ることで、より高い価格での売却が期待できる。

税制面のメリット:特定の条件下で、税金の軽減や優遇が受けられる場合がある。

注意点

 評価額:底地と借地のそれぞれの評価額を正確に把握する必要があります。

契約内容:借地権の有無、期間、更新条件などを明確にしておくことが重要です。

法的手続き:売却には複雑な法的手続きが伴います。不動産専門家のアドバイスを求めることをオススメします。

実際の手続きの流れ

査定:まず専門の不動産業者に、底地と借地の価格を査定してもらいます。

契約書作成:売買契約書を作成します。この際、借地権の有無や条件も明記されます。

公正証書:必要に応じて、公証人による公正証書を作成します。

登記:売却が成立した後、土地の所有権移転登記を行います。

以上のような流れで底地と借地を同時売却可能です。

③ 契約を解除し、更地として返還

立地条件やその他の要因によって、借地権の売却もそうですし、賃貸物件としての利用が困難な場合があります。このような状況下で借地権を放置してしまった場合、借地人は無駄に地代を支払い続けることになり非常に勿体無いです。 更地返還という方法によって、この問題は解決できます。

契約を解除した場合、通常は原状回復義務があるため、更地に戻して返還します。契約期間満了と同時に返還する場合、建物ありで時価で買い戻してもらえる「建物買取請求権」も利用できるものの、期間満了を待たず合意解除した場合には、同請求権を行使できません。 このため、更地返還をする際の建物解体費用は借地人が負担することが一般的となっています。

場合によっては、解体費用だけで借地権を回収できることになるため、解体費用の一部や全額を地主が負担することもあります。通常借地人が負担する更地にするための解体費用相場は、例えば2階建ての木造住宅(40坪)を解体する場合、120万円前後となります。

④ 第三者に借地権付き物件として売却

第三者に借地権付きの建物として売却する方法も、選択肢の一つです。前述した地主への買取依頼が難しかった場合や、底地と同時売却することが困難な場合、借地権だけを第三者に売却することも可能です。

このケースでは、個人・買取業者のどちらでも売却可能です。どちらにしても、地主から借地権譲渡の承諾を得る必要があるので注意してください。また、建物の建て替えを前提とした売却の場合、借地権譲渡の承諾に加えて建て替えの承諾も必要です。このように承諾が必要な際に、地主が承諾してくれないというケースも少なくありません。

さらに個人への売却の際には、建物への抵当権設定の承諾(ローン承諾)が重要になってきます。ローン承諾が得られないということは、住宅ローンを組めないことを指すので、現金での支払いが必要になってきます。個人への売却の際には、相手の状況や経済的背景を考慮して、手続きを進めることが重要です。もちろん中には現金を用意できない個人もいらっしゃると思いますので、相手の経済状況を確認したうえで売却手続きを進めるようにしましょう。

さらに第三者に売却しようとしても、一般の買手からは敬遠される傾向にあります。毎月の地代の支払いも発生するだけでなく、増改築や契約条件変更のたびに地主の承諾料も発生することや、地主との人間関係を良好に保ち続けることも大変だと感じる方々が多数だからです。その点、買取業者の方が買い取ってくれる可能性は高いとも言えるでしょう。

以上のように、第三者に借地権付き物件を売却することは、かなりハードルがあるのが事実です。

⑤ 借地権を相続放棄する

借地人が亡くなり、借地を相続することになった場合には、相続放棄を行う方も一定数いらっしゃいます。借地権を相続放棄する場合、3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。相続放棄のメリットは、いくつかあるのですが、主に地代や固定資産税、相続税、解体費用の負担が回避できることが最大のメリットです。また、管理や活用・売却の手間がないので、時間と体力の温存ができます。借地上の持ち家を処分することは、基本的には労力がかかることであるため、時間や体力を温存できる点は非常に評価が高いです。

また、地主や他の相続人など、人間関係のトラブルも避けられます。デメリットとしては、他の遺産も相続できなくなることや、売却や活用の利益を将来的に得られなくなることが挙げられます。

注意点として、相続放棄はこのタイミングでしか手続きできない点が挙げられます。一旦相続した後に、やはり放棄したいとなった場合、資産を放棄する方法は他にありません。その場合には、前述した借地権上の建物を処分する方法のいずれかを検討しましょう。

借地権上の建物の相続を放棄することは可能ですが、相続放棄した場合には、被相続人(亡くなった方)から相続可能な他の資産も含めて全て放棄する必要があります。とくに財産が多い場合、損する可能性もあるので慎重に判断することが大切です。せっかく譲り受ける財産があるのにも関わらず、知識不足により誤って相続放棄をしてしまわないように注意が必要です。

以上のように、借地の持ち家を処分する際には複数の方法があります。とくに相続放棄などは家庭環境や状況など、個人の事情が大きく影響しますので、最もご自身にとって都合が良い方法を選んで処分するようにしましょう。

 借地人が負担する物件解体費用について

借地上の家を解体する場合、費用は原則、借地人が負担することになります。

ただし、交渉次第では地主が負担してくれることもあるので、交渉は行ってみるようにしましょう。地主としても、借地上の建物を解体して返還して貰えた場合、所有権として土地を自由に活用できるようになるというメリットがあるからです。

借地上の建物を解体する際には、費用負担など含めて、地主と逐一話し合いながら進めていくことが重要です。

借地上の建物における解体費用相場借地上の建物の解体費用相場ですが、建物の構造ごとにおおよそ以下のような金額になります。

  • 木造:3~4万円
  • 坪鉄骨造:4~6万円
  • 坪RC造:5~8万円/坪

例えば、30坪の木造住宅の場合には90~120万円程度、鉄骨造住宅であれば120~180万円程度となり、RC造住宅であれば150~240万円程度が相場と予想できます。カーポートやブロック塀などの外構も解体する必要がある場合や、アスベストの除去が必要なケース等、物件解体費用以外にも別途費用が必要になることがあります。

 まとめ

今回は、借地持ち家を処分する際に行うべきことをご紹介しました。ご紹介したように複数方法があるので、さまざまな条件と照らし合わせたうえで、最適な手段を取るようにしましょう。

借地上の持ち家を処分するにあたって、地主と締結した契約書の内容を再度確認するようにしましょう。契約内容や残存期間をはじめ、解約条件やペナルティがあるかなども確認しましょう。

処分がうまく遂行できた場合には、残務処理も忘れないようにしてください。水道、ガス、電気などの名義変更や解約を行い、処分にあたって使用した契約書や関連書類はまだ捨てずに保管することも忘れないようにしましょう。

借地上の持ち家を処分する際には、色々と手間がかかり手続きも複雑ですので、やはり早い段階から専門の不動産会社に依頼しておくことが賢明と言えます。借地上の持ち家処分を専門にしている不動産会社もありますので、より実績のある会社を選ぶことをオススメします。

以上、借地契約を締結している持ち家を処分したいと思った際には、今回の記事を参考にしてみてください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。