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最終更新⽇時

2026/09/05

共有不動産とは?共有名義のリスクやトラブル解消方法を解説

  • その他

相続した不動産が兄弟姉妹などとの共有名義になり、「このまま共有していて問題ないか」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

共有不動産は、売却や活用の際に共有者同士の意見がまとまらず、トラブルにつながることがあります。相続の繰り返しで共有者の数が増えると、意見の一致が難しくなり、より不動産を活用しにくくなる場合がある点にも注意が必要です。

この記事では、共有不動産の概要や共有者に認められる法的な行為、共有名義で起こりやすいトラブル、共有状態を解消する方法を解説します。共有不動産を売却する際のポイントも紹介するため、相続した不動産の扱いに悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

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記事執筆・監修
エキスパート職 山口智暉
  • -資格-

    宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士

  • -経歴-

    株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
    東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
    株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
    リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける

共有不動産に関する基礎知識

「共有名義」と書かれた屋根の付いた積み木

「共有不動産とはどのような状態か」「単独名義とは何が違うのか」といった疑問を抱く方もいるでしょう。相続した不動産が共有名義になっている場合、まずは「共有」の意味を正しく理解することが重要です。ここでは、共有不動産に関して押さえておきたい基本的な知識を紹介します。

共有不動産とは?

共有不動産とは、ひとつの不動産を複数人で共同所有する状態のことで、「共有名義不動産」とも呼ばれます。「親から相続した実家を兄弟姉妹で引き継いだ」「夫婦で住宅ローンを組んで家を購入した」など、不動産が共有名義になるケースは珍しくありません。

これに対して、不動産の所有権を1人だけが持っている状態は単独名義と呼ばれます。

共有持分とは?

共有持分とは、共有不動産について各共有者が持っている所有権の割合を指します。

例えば、兄弟2人で不動産を2分の1ずつ所有する場合、それぞれの共有持分は「2分の1」です。3人の共有者で均等に不動産を所有すれば、それぞれが共有持分を「3分の1」ずつ持つ形となります。

夫婦でお金を出し合ってマイホームを購入する場合、出資割合に応じて共有持分を決めるのが一般的です。マイホームの購入代金のうち、夫が6割、妻が4割を負担するケースでは、それぞれの持分割合は夫が5分の3、妻が5分の2となります。

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共有不動産で共有者ができること・できないこと

青い「○」のブロックと赤い「×」のブロック

共有不動産は単独名義の不動産とは異なり、管理や活用、売却の際に他の共有者との調整が必要になる場合があります。他の共有者とのトラブルを未然に防ぐためにも、共有不動産に対して共有者ができることとできないことを把握しておきましょう。

単独でできる「保存行為」

共有不動産の現状を維持するための「保存行為」は、各共有者が単独で行えます。具体的には以下の行為が該当します。

  • 壊れた設備や屋根、外壁などの修繕
  • 共有不動産を不法占拠している第三者への明け渡し請求
  • 法定相続分に従った共有持分の相続登記

保存行為は、共有不動産の資産価値の低下や滅失を防ぐために必要です。共有者全員の利益につながることから、保存行為を実施するにあたり、他の共有者の同意を得る必要はありません(民法第252条第5項)。

参考:『民法第252条第5項|e-Gov法令検索』

持分価格の過半数で決められる「管理行為」

管理行為とは、共有不動産の利用・収益や、形状・効用を大きく変えない範囲での改良など、共有物を管理するための行為を指します(民法第252条)。管理行為に該当するのは以下のケースです。

  • 第三者との短期間の賃貸借契約の締結(建物は3年以内、土地は5年以内)
  • 賃貸借契約の解除
  • 賃料の変更・増額
  • 共有不動産の形状・用途を大きく変えない軽微なリフォームや修繕

管理行為を実施する際は、共有者の人数ではなく、持分価格の過半数の同意が必要です。複数人で不動産を共有していても、1人が過半数の共有持分を所有している場合、その共有者の判断が管理行為の決定に大きく影響します。

参考:『民法第252条|e-Gov法令検索』

共有者全員の同意が必要となる「変更・処分行為」

共有不動産の性質や権利関係に大きな影響を与える「変更・処分行為」には、原則として共有者全員の同意が必要です(民法第251条)。代表例として以下の行為が挙げられます。

  • 共有不動産の形状や効用を著しく変更する増改築
  • 共有不動産の建て替え
  • 共有不動産の解体
  • 共有不動産全体の第三者への売却
  • 共有不動産全体への担保権(抵当権など)の設定

ただし、形状や効用を著しく変更しない軽微な改修などは、変更行為ではなく管理行為に該当する場合があります。

注意したいのは、管理行為とは違い、持分価格は関係ないことです。例えば、夫が8割、妻が2割の割合で共有不動産を所有している場合でも、妻が反対すれば共有不動産全体を建て替えたり、売却したりすることはできません。

参考:『民法第251条|e-Gov法令検索』

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共有不動産で起こり得るトラブル事例

向かい合って話し合う若い男性とシニア男性

共有不動産は複数人が所有権を持つため、管理や活用の方針について共有者同士で意見が合わず、トラブルに発展することがあります。特に相続によって共有名義となった場合、それぞれの生活状況や不動産に対する考え方が異なり、話し合いがまとまらないケースは少なくありません。ここでは、共有不動産で起こり得るトラブル事例を紹介します。

維持管理責任を巡ってもめる

共有不動産にかかる固定資産税などの共有物に関する負担は、原則として各共有者が持分割合に応じて負担します(民法第253条)。

しかし、「自分が住んでいない」などの理由で共有者が税金や維持管理費の支払いを拒むケースは珍しくありません。1人が費用を立て替えた際は他の共有者に請求が可能ですが、それでも支払いを拒否する場合、費用や時間をかけて裁判で決着をつけることになります。

参考:『民法第253条|e-Gov法令検索』

不動産の活用・売却が自由にできない

共有不動産は、原則共有者全員の同意がなければ不動産全体を売却できません。1人でも反対する共有者がいれば、売却活動を進められない点に注意が必要です。

売却だけでなく、賃貸やリフォームといった活用も、内容に応じて他の共有者の同意が必要になります。「空き家になった実家を賃貸として活用したい」「建物を改修したい」と考えても、共有者間で意見がまとまらなければ実現が難しい可能性があります。

共有者が増えて権利関係が複雑になる

共有不動産は、共有者が亡くなって相続が発生すると、その人の共有持分が相続人に引き継がれて共有者が増える可能性があります。

例えば、兄弟2人で不動産を共有していたケースで兄が亡くなり、その配偶者や子どもが共有持分を相続すると、共有者は3人、4人と増えていきます。共有者が増えるほど、売却や活用について全員の意見をまとめることが難しくなるでしょう。

第三者が共有者になる

共有不動産全体を売却するには原則として共有者全員の同意が必要ですが、自分が所有する共有持分だけであれば、他の共有者の意向に関係なく、自由に売却できます。

他の共有者が自身の持分を不動産業者や投資家に売却すると、面識のない第三者が新たな共有者になる可能性があります。第三者が共有者になると、不動産の管理や活用について新たに協議する必要が生じ、共有者間の調整がさらに困難になりかねません。新たな共有者から共有物分割請求を受け、共有関係の解消を求められる可能性もあります。

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共有不動産の共有状態を解消する方法

チェックリストとペン、付箋、ノート、電卓

不動産を共有名義のまま所有し続けると、さまざまなトラブルに見舞われるリスクがあります。トラブルを未然に回避したいなら、共有状態の解消を検討するのも選択肢のひとつです。ここでは、共有不動産の共有状態を解消する方法を解説します。

共有者全員で不動産を売却する

共有者全員の同意が得られるなら、共有不動産を売却することで共有状態を解消できます。相続した実家を誰も利用する予定がない場合や、今後の維持管理に負担を感じる場合に検討しやすい方法です。

まずは、共有者全員に売却の意向を確認しましょう。共有者全員の同意が得られたら、不動産業者に売却を依頼し、買い手が見つかったら売買契約を交わします。

不動産の売却代金は、売却にかかった経費を差し引いた上で、共有者それぞれの持分割合に応じて分配します。売却価格や売却時期について意見が分かれる可能性もあるため、事前に共有者同士で十分に話し合いましょう。

関連記事:共有名義の土地売却の流れと注意点!古家付きの場合も解説

自分の共有持分を売却する

共有不動産の共有持分は、各共有者が単独で処分できます(民法第206条、第264条)。そのため、自身の共有持分だけであれば、原則として他の共有者の同意を得ずに売却が可能です。

共有不動産全体の売却が難しく、それでも共有状態を解消したい場合、他の共有者に自分の持分を買い取ってもらえないか交渉するとよいでしょう。

「他の共有者に持分を買い取る意思がない」「関係が悪く交渉する余地がない」といった場合、不動産業者への売却が選択肢のひとつです。特に、共有持分を専門とする不動産買取業者ならスピーディーに買い取ってくれるため、短期間で共有状態を解消できます。

関連記事:共有持分は売却できる?トラブルなく手放す方法と注意点を解説!

他の共有者の共有持分を買い取る

共有不動産を自分で利用したい場合、他の共有者が所有する共有持分を購入しましょう。全ての共有持分を取得して不動産を単独名義にすれば、共有状態を解消できるだけでなく、自分の意思で自由に活用できます。

ただし、他の共有者から持分を買い取るには、相応の資金が必要です。買取価格について他の共有者ともめることも考えられるでしょう。金額や条件について意見がまとまらない場合、不動産会社といった専門家に相談し、客観的な査定をもとに交渉する方法もあります。

他の共有者から持分を買い取った後は、持分に関する所有権移転登記を行い、単独名義に変更します。

土地を分筆して単独所有にする

共有する土地に十分な広さがある場合、持分割合に応じて土地を分筆し、それぞれの単独名義にする方法があります。

分筆とは、登記簿上のひとつの土地を複数の土地に分ける手続きです。兄弟2人で広い土地を2分の1ずつ共有している場合、土地を2つに分け、それぞれが一方の土地を単独で所有する形にすることで共有状態を解消できます。単独名義にすれば、土地の売却や活用がしやすくなる点がメリットです。

ただし、土地の形状や接道状況によっては、持分割合通りの分筆が難しいケースもあります。測量費用や登記費用もかかるため、事前に土地家屋調査士などの専門家に相談した上で実施の可否を検討しましょう。

関連記事:土地分筆の費用はいくら?相場と高くなる理由、分筆前の確認ポイントを解説

共有物分割請求を起こす

共有者同士の話し合いで共有状態を解消できない場合、裁判所に共有物の分割を請求するのもひとつの方法です。共有物分割請求とは、共有不動産の共有状態を解消するよう、他の共有者に分割を求める手続きです。共有不動産の分割方法には、主に以下の方法があります。

  • 現物分割:土地などの共有物を実際に分割し、それぞれを単独所有する方法
  • 価格賠償による分割:1人または一部の共有者が共有物を取得し、その代わりに他の共有者へ持分に応じた金銭を支払う方法
  • 競売による分割:現物分割や価格賠償による分割が難しい場合などに、共有不動産を競売し、その代金を共有者間で分配する方法

まずは共有者同士で分割方法について話し合い、合意できない場合は裁判所での手続きに進みます。ただし、裁判所が提示する分割方法は必ずしも希望通りになるとは限りません。費用や時間がかかる点にも注意が必要です。

共有持分を放棄する

共有不動産を所有し続けたくない場合、自分の共有持分を放棄するのも選択肢のひとつです。共有持分を放棄すると、その持分は他の共有者に帰属するため、共有状態から抜け出せます。共有持分を放棄するにあたり、他の共有者の同意を得る必要もありません。

ただし、共有持分を放棄しただけで、登記簿上の不動産の名義が自動的に変更されるわけではない点に注意が必要です。名義を変更するには、他の共有者と協力して登記手続きを進めなければなりません。

登記手続きに際して他の共有者の協力を得られない場合でも、登記引取請求訴訟を起こして認められれば、名義変更の登記ができます。

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共有不動産をスムーズに売却するためのコツ

ダイニングテーブルを囲んで話し合う4人家族

共有不動産を売却する際は、共有者全員の意思をまとめる以外にもやることが多岐にわたります。事前準備を徹底することで、共有不動産をスムーズに売却できるでしょう。ここでは、共有不動産の売却時に押さえておきたいポイントを紹介します。

相続登記を済ませておく

相続によって共有不動産を取得した場合、相続登記を済ませましょう。相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった際に、相続によって不動産を取得した相続人へ所有権を移転する登記です。2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されており、原則として、不動産を相続によって取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。

また、相続登記をせずに相続人申告登記をした場合でも、不動産を売却するときは別途、相続登記が必要です。

共有不動産の売却を検討しているなら、登記簿上の名義が現在の所有者と一致しているか確認し、相続登記が済んでいなければ早めに手続きを進めましょう。

関連記事:知らないと損!相続登記費用を安くする方法とタイミング

登記事項証明書で共有者と持分割合を確認する

共有不動産全体を売却する際は原則共有者全員の同意が必要なため、売却活動を始める前に登記事項証明書を取得し、誰が共有者か確認しましょう。

また、売却代金の分配方法にも注意が必要です。原則として、売却代金から売却にかかった費用を差し引いた上で、各共有者の持分割合に応じて分配します。持分割合と異なる金額を共有者間で分配し、その差額について実質的な贈与と判断される場合、贈与税の課税対象となる可能性があります。分配方法については、売却前に共有者間で確認しておきましょう。

共有不動産の最低売却価格を決めておく

共有不動産を売却する際は、事前に他の共有者と話し合い、最低売却価格を決めておくとスムーズです。不動産の売却では、買い手から値下げを交渉されることがあります。そのたびに共有者に確認すると、回答に時間がかかり、売却機会を逃しかねません。

事前に最低売却価格を共有すれば、「この金額以上なら売却する」という基準が明確になり、値下げ交渉にも対応しやすくなります。

売却時にかかる諸費用の負担割合を決めておく

共有不動産を売却しても、売却代金の全てが手元に残るわけではありません。不動産の売却には、仲介手数料や印紙代、測量費用といった諸費用がかかるためです。

不動産売却にかかる諸費用は、各共有者の持分割合に応じて負担する方法が一般的です。ただし、共有者間で別途合意することも考えられるため、売却前に負担割合を確認しましょう。

費用負担を事前に取り決めておかないと、売却後に誰がいくら支払うかを巡ってトラブルになりかねません。売却代金の分配方法と併せて諸費用の負担割合も確認し、共有者全員が納得した上で売却手続きを進めましょう。

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まとめ

家の模型を見ながら笑顔を浮かべる夫婦

複数人でひとつの不動産を所有する共有不動産は、売却や活用の際に共有者同士の意見がまとまらず、トラブルにつながることがあります。相続を重ねて共有者が増えると権利関係が複雑になり、将来的な処分が難しくなる可能性がある点にも注意が必要です。

共有状態を解消するには「不動産全体を売却」「自分の共有持分を売却」「他の共有者の持分を買い取る」「土地を分筆する」といった方法があります。どの方法が適しているかは共有者同士の関係や不動産の状況によって異なるため、早めに今後の方針を検討することが大切です。

リアルエステートの「おうちの相談室」では、共有持分をはじめ、借地・底地や所有者不明物件など、権利関係が複雑な不動産に関する相談に対応します。共有不動産をこのまま所有してよいかと悩んでいる方は、お気軽にご相談ください。

記事執筆・監修
エキスパート職 山口智暉
  • -資格-

    宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士

  • -経歴-

    株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
    東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
    株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
    リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける

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