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2023/10/04最終更新⽇時
2025/06/30築30年のマンション、あと何年住める?寿命と選び方
- 不動産の知識

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マンションの寿命と耐用年数
マンションの寿命は、国税庁が発表しているデータに基づくと、耐用年数は47年とされています。しかし、耐用年数はあくまで法律で定められた減価償却費の計算に使われる数字であり、実際の「マンションに住める年数」を示すものではありません。
実際のマンションの寿命は、使用された建材の質やメンテナンスの状況によって大きく変わります。国土交通省のデータによれば、取り壊されたマンションの平均寿命は47年を超え、平均68年とされています。また、一度取り壊し後に建て替えたマンションの平均寿命は33年です。
注意すべきは、これらのデータが平均値であるという点です。例えば、約60年で建て替えられたマンションや、約30年で取り壊されたマンションもあります。また、古いマンションは耐震工事が不十分な場合があり、高震度の地震で倒壊のリスクがあります。耐震補強に高額な費用をかけるよりも、取り壊して建て替えた方が良いと考える企業もあります。
ただし、100年以上の耐久性を持つマンションも存在します。国土交通省のデータによると、コンクリート建築の寿命は120年とされ、耐震補強工事により最長150年まで住むことが可能です。新しいマンションが望ましいですが、築年数が経過していても基本的に安心して住むことができます。
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年数が経過したマンションのメリットと注意点
年数が経っているマンションの利点は以下のとおりです。それぞれの利点を解説していきます。
- (1)長期間住む際の条件の選びやすさ
- (2)価格が新築よりも安くなる理由
- (3)耐震性の確保と1981年以前の基準
- (4)修繕や改良による住みやすさの向上
(1)長期間住む際の条件の選びやすさ
利点の1つ目は条件の選びやすさです。特に分譲マンションに関しては1970年代以降に建設ラッシュが発生した時期があり、この時期のマンションは特に好立地や好条件のマンションが多く建てられたり、壊された後に建て直しがされています。そのため、年数が経っているマンションのほとんどは非常に条件がよいマンションが多いです。
条件が良いマンションの利点は住みやすかったり暮らしやすいだけではなく、購入した後に売却する可能性が出てきやすかったり、引っ越しなどで部屋を空けるタイミングがあった場合でも、賃貸として部屋を出せるという利点にも繋がります。特に賃貸は、マンション購入とは違い年数を重視されることがほとんどないので、購入した後の資産運用という面での利点も非常に大きいです。
(2)価格が新築よりも安くなる理由
2つ目の利点はもちろん価格の安さです。多くの新築マンションの場合、築10年ほどのタイミングで価格が急激に下落してしまい、さらに年月が経った頃で横ばいか、少し価格が上がるということになりがちです。ある程度の年数が経過しているマンションの場合、新築時と比較すると、ほぼ底値と言えるほどに下がった価格で購入をすることができ、後に価格が急激に下落してしまうという心配も必要ありません。条件などが良い立地での新築マンションの価格が高く、購入できないという人でも、中古マンションであれば、安心して購入することができます。
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(3)耐震性の確保と1981年以前の基準
3つ目の利点は耐震性能です。日本は地震が多いため、マンション選びでは耐震性が重要な要素です。年数が経過した中古マンションは耐震性が心配されることがありますが、実際には1981年の「新耐震基準」に基づいて建造されたマンションは、震度6以上の地震にも耐えられます。新耐震基準以前に建てられたマンションは、震度5強に耐える設計であり、震度6以上の地震には対応していません。1981年以降のマンションは新しい耐震基準が適用されているため、耐震性の面で大きな安心材料となります。
気をつけなければならないのは、新耐震基準が定められた1981年よりも前に建造されたマンションの場合で、新耐震基準では震度6以上でも耐えられますが、1981年以前の建物については、震度5強ほどの揺れでも倒壊しないことが建造の条件となっていたことから、震度6以上の地震が発生した際については考慮がされていません。なので、1981年以降建造のマンションであれば新しい耐震性能が採用されているだけでも安心材料として大きな利点と言えるでしょう。
(4)修繕や改良による住みやすさの向上
4つ目のメリットは修繕や改良に関する点です。国土交通省によって公開されているマンションの長期修繕計画作成ガイドラインでは、マンションが大規模な修繕を行うタイミングは、1回目で12〜15年が目安で、2回目で24年〜30年が目安と明記されています。そのため年数がある程度経過したマンションを買った場合でも、場合によっては1回目が終わった後や、2回目の大規模修繕が控えているもしくはなされた後のマンションに住める可能性が高くなります。一見これだけ見ると、利点をあまり感じない人も多いでしょうが、実はこの大規模修繕はマンションの改良も行ってくれるのが最大の利点です。
この改良を行うことで、耐震性や住みやすさなど、住処としての性能も比例して上がってくれるので、より住みやすいマンションになります。場合によっては新築マンションと大差ないほどの改良が行われる場合もあるので、安くて良い部屋に住めることも、年数が経過しているマンションの利点となっています。
*参考:長期修繕計画作成ガイドライン
年数が経ったマンションの注意するべき点とは
年数が経過したマンションの注意点として、まずは管理状況の確認が重要です。特に修繕積立金が不足しているマンションはリスクが高いため、必ずチェックしてください。修繕積立金が不足すると、管理が疎かになり、マンションの寿命が短くなったり、修繕費用不足で価格が上昇するリスクがあります。修繕積立金の確認には、国土交通省が公開しているガイドラインを参考にしましょう。
さらに、1982年以前に建造されたマンションで、新耐震基準を満たしていない場合、住宅ローン控除が適用されない可能性がありますので、注意が必要です。
*参考:国土交通省による修繕積立金に関するガイドライン
年数が経ったマンションにまつわる税金やローン
マンション購入時には税金が発生しますが、新築と中古で税額に大きな差はありません。詳細には差があるものの、基本的にはマンションの価値に応じて税額が決まります。
住宅ローンも、新築と同様に控除を受けることが可能ですが、大きな差はありません。ただし、いくつかの条件がありますので注意が必要です。具体的には「築年数が25年以内」や「十分な耐震性能を有している」などの条件が設定されています。これらの条件を満たさない場合、控除を受けることはできません。しかし、政府は中古住宅の活用を促進しているため、今後の政策に期待が持たれます。
長期間住めるマンション選びのポイント
長期間住むためのマンション選びには、以下の3つのポイントがあります。
- (1)過去の管理状況を慎重に確認する
- (2)建て替えの予定などを事前に調べておく
- (3)条件が自身の求める条件と合っているか
以上の3点を解説します。
(1)過去の管理や修繕状況を慎重に確認する
マンションの管理状況を確認するのは非常に大切です。修繕が控えているにも関わらず、費用回収が不十分なマンションでは、管理費や修繕費の回収のために価格が値上げされることもあります。
このような問題があるマンションの多くは、高い空室率や取引の少なさから予測しやすいので、管理状況の確認を徹底しましょう。
もう一つ重要なのは、マンションの修繕が適切に行われているかどうかです。大規模修繕はマンション維持において非常に重要です。ほとんどのマンションでは長期修繕計画が策定されていますが、数年ごとの見直しが行われていない場合や管理記録が不完全な場合は危険です。安全にマンションで生活するためには、不動産会社と連携し、購入前に管理状況の確認を必ず行ってください。
(2)条件が自身の求める条件と合っているか
長期間住むことになる場所なので、妥協は一切せずに自身の求める条件に合致するマンションを探すようにしましょう。さらに、リノベーション技術の進化により、中古マンションでも新築同様のクオリティにリノベーションすることが可能です。リノベーションの可能性も視野に入れて、マンション選びを行っていきましょう。
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