アパート経営の固定資産税を徹底解説!軽減f措置と試算方法を紹介

土地を活用してアパート経営を始めたいが、毎年かかる固定資産税の負担が気になり、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事ではアパート経営における固定資産税の軽減措置について解説します。本記事では、固定資産税に関するよくある疑問も解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

Contents

アパート経営で固定資産税はどうなる?支払い義務と経費計上のポイント

アパートを経営することは、土地と建物の両方を所有するということです。固定資産税は毎年1月1日時点で土地および建物を所有している人が支払う税金のため、当然アパートを経営する際も、固定資産税を支払わなければなりません。とはいえ過度に心配する必要はありません。アパート経営における固定資産税や都市計画税は、経費として算入できるためです。また一戸建て同様に住宅用地の特例における軽減措置や、新築住宅にかかる軽減措置の適用を受けられます。軽減措置を適用することで、土地は最大で1/6、建物は最大で1/2まで固定資産税を減額できます。このようにアパートを経営するとなると固定資産税はかかってきますが、一戸建て以上にメリットが大きいのです。軽減措置や経費として算入することで賢く賃貸経営できるでしょう。

アパート経営で経費になる支出一覧

アパートを経営する際は、固定資産税や都市計画税が経費になるとお伝えしました。もちろん税金以外にも経費に算入できる支出があります。それらを正しく理解し、正しく申告することでアパート経営の賃貸収入は増えるでしょう。アパート経営で得られる収入の仕組みは次の通りです。

賃貸収入の手取り額の計算式は、家賃収入から経費と税金を差し引いた金額となります。

たとえば1年間の賃貸収入が960万円、経費が400万円だとします。この場合960万円-400万円=560万円に対して税金がかかるのです。そして税金を引いた額が手取りの金額になります。税金は1月1日~12月31日までの分を翌年2月16日~3月15日までに申告して支払う必要がありますが、トータルコストで考えると家賃収入-経費-税金が手取り金額になるのです。つまり手取り額を増やすためには経費計上を適切に行うことが大切といえるでしょう。

固定資産税や都市計画税以外で経費に算入できる支出には次のようなものがあります。

  • 減価償却費
  • 建物の管理費
  • 共用部や水道設備などの修繕費
  • リフォーム費
  • 入居者を募集するために行った広告費
  • 火災保険や地震保険などの保険料
  • インターネット契約代金
  • アパートローンの利息
  • 不動産会社に依頼する際の依頼料や仲介手数料
  • その他アパート経営に関して発生した交際費や交通費など

これらの費用は実際にかかっていたとしても経費計上しなければ経費として認められません。したがって日々の帳簿付けに会計ソフトを使ったり、税理士に依頼したりして、漏れのないようにこまめに帳簿付けしておくことが大切です。

アパート経営の固定資産税を抑える2つの軽減措置

アパート経営における固定資産税の軽減措置には次の2つがあります。

  • 住宅用地の特例における軽減措置
  • 新築住宅にかかる軽減措置

住宅用地の特例を活用して税負担を軽減する方法

住宅用地の特例における軽減措置とは、所有している建物に対してかかる軽減措置のことです。軽減措置の内容は次の通りです。

  • アパート1部屋の面積が200㎡未満の部分は小規模住宅用地に該当し、固定資産税額が1/6になる
  • アパート1部屋の面積が200㎡以上の部分は一般住宅用地に該当し、固定資産税額が1/3になる

一戸建て住宅の場合は、単純に床の平米数だけで計算しますが、アパートの場合は、1部屋ごとに軽減措置が適用されるイメージになります。たとえば部屋数が8戸のアパートであれば、200㎡×8=1,600㎡までが小規模住宅用地として軽減措置の対象になるということです。

住宅用地の特例における軽減措置は現時点(2024年4月末時点)では期限がありません。つまり条件を満たしていれば期間に定めなく軽減措置を受けられるのです。

なお住宅用地の特例における軽減措置は申告が必要です。対象の物件を保有していたとしても申告しなければ適用されませんので、対象の方は忘れずに申告しましょう。

新築住宅に適用される固定資産税の減額制度

新築住宅にかかる軽減措置とは、新築物件を建築してから最大5年間、建物にかかる固定資産税額が半額になる軽減措置のことです。一戸建ての場合は最大3年間ですが、アパートの場合は最大5年間適用されます。なお条件は床面積がアパートの場合で40平米~280平米以下、一戸建ての場合で50平米~280平米となっています。新築物件を建築した際、通常は申請手続きが行われるため申告は不要です。ただし、地域によっては申告が必要な場合があるため、一度地方自治体に確認することをお勧めします。

固定資産税の基本を理解しよう:定義と支払いタイミング

固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している人に対して課せられる税金のことです。厳密には土地や建物だけでなく次のような地目が固定資産税の課税対象となります。

  • 田んぼ
  • 宅地
  • 池沼
  • 山林
  • 鉱泉地
  • 牧場
  • 原野及び雑種地

とはいえ固定資産税を支払わなくても良いケースがあります。それは土地の課税標準額が30万円未満の場合と、建物の課税標準額が20万円以下の場合です。つまり不動産の価値が一定額より低い場合は固定資産税を支払わなくても良いよということです。課税標準額については後述します。

また固定資産税は、実際に不動産を利用しているかどうかにかかわらず納税義務が発生します。当然使っていない空き家や空地などにも固定資産税がかかるのです。利用していない土地や建物がある場合は、売却やアパート経営などの活用方法を検討し、コスト削減を図りましょう。

固定資産税が発生するタイミングとその理由

固定資産税を支払うタイミングは毎年4月以降です。固定資産税は毎年1月1日に確定するため、その年の4月以降から約1年かけて税金を支払っていきます。というのも固定資産税は確定分を4期に分けて支払うことが一般的だからです。たとえば2024年の1月1日に確定した固定資産税額は4月〜6月に届く4期分の納付書で支払います。納付書は、1期分は4月〜6月末まで、2期分は7月〜9月末まで、3期分は10月〜12月末まで、4期分は1月〜3月までのように3ヶ月単位で支払期日が設定されています。なお4期分をまとめて支払うことも可能です。                                                                    

固定資産税の計算方法を具体例で解説

固定資産税の計算方法は次の通りです。

固定資産税額=課税標準額×1.4%

課税標準額とは所有している不動産における、課税する際の価値のことです。一般的に不動産の地価×70%になると言われています。とはいえ正確な金額は建物の築年数・立地・間取り・階数・設備などの条件を考慮しなければならないため、あくまでもざっくりとした計算方法と考えておきましょう。

以下例を元に固定資産税を算出します。

課税標準額:1,000万円の土地

固定資産税=1,000万円×1.4%=14万円

よって1,000万円の土地にかかる固定資産税は14万円と言えます、が、多くの場合、土地には住宅用地の特例における軽減措置が適用されます。

軽減措置が適用されている場合は、その点も含めて計算しましょう。

軽減措置を含む計算のシミュレーションは後述します。

固定資産税評価額の調べ方と注意点

固定資産税評価額を調べる際に、一番手っ取り早い方法は、毎年送られてくる納税通知書に添付されている課税明細書を見ることです。

建物の固定資産税評価額は課税明細書の家屋1、課税地積又は課税床面積㎡に該当する箇所に金額が記載されています。

この欄に8980000と記載されていれば、その建物の固定資産税評価額は898万円ということです。

土地に関しては土地1、課税地積又は課税床面積㎡に該当する箇所に金額が記載されています。課税明細書に記載されている金額を確認するのが、固定資産税評価額を調べる最も簡単な方法です。

その他、固定資産課税台帳を申請したり、固定資産評価証明書を取得したりすることでも固定資産税評価額を調べられます。なおこれらの書類を申請する場合には、手数料と本人確認書類が必要になる場合があります。

固定資産税額をシミュレーションで把握しよう

固定資産税額を新築アパートと中古アパートに分けてシミュレーションします。                                                       

新築アパートにおける固定資産税の具体的な試算例

新築アパートを建築した際の固定資産税額を計算してみます。

条件は次の通りです。

  • 場所:東京都
  • 敷地面積:100平米
  • 延べ床面積500平米
  • 間取り1DK(1部屋当たり40平米)
  • 部屋数:10戸
  • 標準課税評価額:2,000万円
  • 土地の課税標準額:1,000万円

この場合、住宅用地の特例における軽減措置と新築住宅にかかる軽減措置の両方が適用されます。したがって次のような計算式になります。

≪土地≫

①小規模住宅用地の部分=2,000万円×1/6×1.4%=47,000円

②一般住宅用地の部分=0円(アパートの場合200平米×部屋数が小規模住宅用地に該当するため。今回の条件では全て小規模住宅用地に該当する。)

③合計金額=①+②=約47,000円

≪建物≫

固定資産税額=1,000万円×1/2×1.4%=70,000円

土地と建物の合計金額=47,000円×70,000円=12万4,000円

よって上記条件の建物および土地の固定資産税額は12万4,000円になります。

中古アパートの場合の税額シミュレーション

中古アパートでの固定資産税額を、次の条件でシミュレーションしてみます。

  • 場所:東京都
  • 敷地面積:50平米
  • 延べ床面積100平米
  • 間取り1ルーム(1部屋当たり20平米)
  • 部屋数:4戸
  • 建物の課税標準額:700万円
  • 土地の課税標準額:500万円

このケースでは、一部屋当たりの平米数が40平米を超えていないため住宅用地の特例における軽減措置は適用されません。また新築物件でもないため、新築住宅にかかる軽減措置も適用されません。

≪土地≫

土地の固定資産税=500万円×1.4%=70,000円

≪建物≫

建物の固定資産税=98,000円

土地と建物の合計金額=70,000円+98,000円=16万8,000円

よって上記条件の建物および土地の固定資産税額は16万8,000円になります。                                                       

アパート経営の固定資産税に関するFAQ:よくある疑問を解決

アパートの固定資産税に関するよくある質問は次の通りです。

  • 固定資産税は誰が払うものですか?
  • 固定資産税は土地を所有している限り永遠に支払う必要がありますか?
  • 固定資産税を親の代わりに家族が払うことはできますか?
  • 固定資産税を私の代わりに妻が払うことはできますか?
  • 共同住宅における固定資産税の軽減措置はありますか?
  • アパート暮らしは固定資産税がかからない?
  • 一軒家を賃貸利用した際も固定資産税はかかる?
  • 事業用として自宅を賃貸した場合の固定資産税は?

固定資産税は誰が払うものですか?

固定資産税は、原則1月1日時点で、登記簿に所有者として登記されている人が払います。たとえば2023年の12月に不動産売買契約にて土地と建物を売却したとしても、1月10日に所有権移転登記をした場合、1月1日時点での不動産の所有者はあなたになるため、2024年の納税義務者はあなたになるのです。12月31日までに所有権移転登記をした場合は、翌年の納税義務者はあなたではなくなります。

固定資産税は土地を所有している限り永遠に支払う必要がありますか?

土地は建物と違い、劣化することがないため、所有している限りは永遠に固定資産税を支払っていかなければなりません。ただし土地の評価額が30万円以下になった場合は固定資産税が免税されます。

固定資産税を親の代わりに家族が払うことはできますか?

固定資産税は原則、納税義務者が支払うこととなっています。そのため厳納税義務者が支払わなくてはなりません。

固定資産税を私の代わりに妻が払うことはできますか?

夫名義の固定資産税を妻が支払うことは原則できません。ただし納税管理人申告書を提出することで、夫婦名義の固定資産税を支払うことは可能です。なお地方自治体によって条件の異なる場合がありますので、詳細は地方自治体に確認してみてください。

共同住宅における固定資産税の軽減措置はありますか?

共同住宅における固定資産税の軽減措置には住宅用地の特例における軽減措置と新築住宅にかかる軽減措置の2つがあります。どちらも床面積が40平米以上280平米未満という条件がありますので、お住まいの共同住宅が条件に該当しているか確認しましょう。

アパート暮らしは固定資産税がかからない?

アパートで賃貸借契約を結び借りている場合、固定資産税はかかりません。なぜなら固定資産税は土地や建物の所有者に対してかかる税金だからです。アパートを借りている場合の納税義務者はアパートの大家さんになります。都市計画税も同様に土地や建物の所有者に対して課される税金のため、借主にはかかりません。

一軒家を賃貸利用した際も固定資産税はかかる?

一軒家を賃貸利用した際も、その一軒家の持ち主が大家である場合は、固定資産税を支払う必要はありません。ただし自己所有の一軒家に賃貸入居する場合は固定資産税がかかります。なお都市計画税に関しても同様に借主に納税義務は発生しません。

事業用として自宅を賃貸した場合の固定資産税は?

事業用として自宅を賃貸した場合、固定資産税の軽減措置を受けられない可能性が高まります。なぜなら軽減措置の適用される部分は居住スペースに限られるからです。店舗や事務所部分など、非居住スペースに関しては軽減措置が適用されないため、単純に課税標準額×1.4%で固定資産税額を算出することになります。

まとめ:アパート経営の固定資産税対策で成功する秘訣

アパートも一戸建てと同様に、所有している場合には原則、固定資産税を支払わなければなりません。同時に都市計画税も支払う必要があります。とはいえ一戸建て住宅と違い、納めた税金は不動産所得に対する経費にできる点がアパート経営の大きなメリットです。税金以外にも賃貸収入や広告宣伝費、リフォーム・修繕費なども経費にできるため、正しく経費計上すれば大きな節税になるでしょう。また住宅用地の特例における軽減措置や新築住宅にかかる軽減措置を適用することも節税になります。条件によっては納める固定資産税が半分になる可能性があるため、ぜひ所有しているアパートが対象かどうかを確認して、適用条件を満たしている場合は、申告しましょう。もし軽減措置や節税についてわからないことがある場合は、媒介契約している不動産会社か税理士などの専門家に相談してみてください。土地活用でお困りごとがあった際は土地活用会社に相談すると良いでしょう。

参考

https://land.home4u.jp/guide/apertment-management-57-10017

https://ieul.jp/column/articles/15612

https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/sumai_nyumon/money/koteishisanzei_zeiritsu

https://ieul.jp/column/articles/22426/

https://www.smbc-card.com/hojin/magazine/bizi-dora/tax/

https://www.baikyaku.polusnet.com/column/detail.php?n=189

https://www.homes.co.jp/cont/rent/rent_00932