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2024/06/25最終更新⽇時
2024/06/25親が亡くなった後、実家に住むための手続きと注意点を解説
- 不動産の知識

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あなたは親が亡くなった後の手続きについて調べたことはありますか。葬儀や公的な手続きが完了した後も、相続についての調査・手続き・話し合いが必要となり、想像以上に大変かもしれません。
この記事では親が亡くなった後に実家を相続して住む場合の手続きを解説します。親の死後に悩まなくてすむように今のうちにメリット・デメリットを把握しておきましょう。
親が亡くなった後に実家を相続する前に知っておくべき手続き
親が亡くなった後、すぐに実家を相続できるわけではありません。遺産相続の手続きを経て、実家を含めた親の遺産を確認する必要があります。多くの確認項目があるため、手続きの順序を解説します。
相続人調査の方法と必要書類
親が亡くなったら遺産相続の対象となる相続人を洗い出します。被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までのすべての戸籍謄本類を集めて法定相続人を調べましょう。本籍地の役所に申請すれば発行可能です。本籍地が遠方で戸籍謄本を郵送で取り寄せる場合、手元に届くまで2週間程度かかるので注意してください。
被相続人の本籍地が不明の場合は、住民票を取得したり、運転免許証の情報を警察署や免許センターで照会したりすれば確認できます。
相続財産調査のポイント
次に被相続人の相続財産調査を行い、遺産を洗い出しましょう。調査方法の具体例を記載します。
- 自宅で通帳を探す
- 金融機関で残高証明書を発行してもらう
- 取引のあった証券会社に問い合わせる
- 不動産の固定資産評価証明書を取得する
- 車や貴金属などをリストアップする
- 負債を調べるため信用情報機関に信用情報の開示請求を行う
すべて確認を終えてから相続するか放棄するか検討していきます。負債が大きい場合は実家も含めてすべて相続放棄した方が良いかもしれません。
遺言書の捜索と確認方法
親が遺言書を遺していたら遺産分割がスムーズに進むので、家の中をくまなく探しましょう。机、棚、タンス、引き出しに保管する人が多いです。
遺言書が残っていれば実家やその他の遺産の相続で兄弟や親戚と揉めなくてすみます。銀行の貸金庫や法務局に保管しているケースもあるので、親が亡くなったら早めに預け先を確認しましょう。
親が手書きで作成した自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言の場合は公証役場に行けば遺言書を検索してもらえます。
遺言書検認手続きの重要性
亡くなった親の遺言書が自筆証書遺言なら、すぐに家庭裁判所に検認を申請しましょう。検認とは、裁判官が相続人立ち会いのもと遺言書を開封し内容を確認する手続きのことです。検認終了後、遺言書の検認済証明書を発行すれば遺言を執行できます。親の預貯金の金融機関から払い戻しや不動産や株式の名義変更が可能です。
もし検認せずに勝手に遺言書を開封すると、罰として5万円以下の過料を科せられるので気を付けましょう。
相続放棄・限定承認の選択肢
亡くなった親が借金や負債を抱えていた場合、相続放棄または限定承認の検討が必要です。
相続放棄は遺産を一切引き継がない選択です。特に、被相続人に多くのマイナス財産がある場合におすすめします。
限定承認はプラスの財産とマイナスの財産を清算して引き継ぐ方法です。マイナスの財産の方が多い場合は特別に相続財産0円となり、相続人にとって有利な制度となります。ただし、限定承認は相続人全員の手続きが必要です。
相続放棄または限定承認を選択する場合、3カ月以内に家庭裁判所に申請しましょう。何もせずに過ぎてしまうと単純承認となり、負債も含めすべての遺産の相続が決定するので注意してください。
遺産分割協議の進め方
遺言書がない場合、相続人が全員集まって遺産分割協議を行い、遺産の分け方を相談します。遺言書が残っている場合でも相続人全員の同意があれば遺産分割協議を実施できます。もし遺言書で遺言執行者が指名されていたらその人の執行内容に従いましょう。
遺産分割協議が終わった後は遺産分割協議書を作成します。親が亡くなった後の実家を相続する際に遺産分割協議書が必要となるので大切に保管しましょう。
話し合いで解決できないなら、家庭裁判所で遺産分割調停して遺産の分け方を決めなければなりません。揉め事に発展する前に弁護士に相談することをオススメします。
所得税の準確定申告の必要性
納税者が死亡したときの確定申告のことを準確定申告と言います。亡くなった親が個人事業主だった場合、相続人が代わりに準確定申告を行います。死亡から4カ月以内に手続きしましょう。
相続税の申告・納付と計算方法
遺産の分け方が決まったら相続税を計算し税務署に納付します。相続税が課される財産には土地・建物・預貯金などがあり、総額が相続税の基礎控除額を上回ったら申告および納付が必要です。基礎控除額の計算式は以下となります。
相続税の基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
相続税は10カ月以内に納税しましょう。延滞すると加算税および延滞税がかかります。
なお、配偶者控除、小規模宅地等の特例など、相続税の軽減措置を受ける場合は、納税不要であっても相続税の申告が必要です。
親の家を相続するための手続きと必要書類
遺産分割と相続税の申告および納付が完了して初めて実家相続の手続きに着手できます。手続きに必要な書類や注意点を解説します。
相続登記による名義変更方法
相続登記を行うことで、不動産など遺産の名義変更が可能となります。親が亡くなった後は、実家の名義変更を行いましょう。
相続登記の際は登録免許税を支払います。
登録免許税=固定資産税評価額×0.4%
2024年4月から相続登記が義務化されます。3年以内に実家の所在地を管轄する法務局に相続登記しないと、罰として10万円以下の過料が科せられるのでご注意ください。
不動産などの各種名義変更手続きは司法書士に代行を依頼しても良いです。お金はかかりますが精神的な負担を軽減したい人にはオススメです。
相続登記に必要な書類とは?
相続登記に必要な書類は8種類あります。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の住民票
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続関係説明図
- 固定資産評価証明書
- 相続登記申請書
もし手元に以下の書類2点があれば用意しましょう。
- 遺言書
- 遺産分割協議書
相続登記申請の数週間〜2カ月後に、法務局から登記完了証と登記識別情報通知書が交付されます。大切な書類なので無くさないようにしましょう。
実家相続の3つのメリットを徹底解説
あなたが実家を相続すると、金銭的だけでなく精神的にもメリットがあります。
メリット1: 家賃・管理費の負担を減らせる
あなたが今まで賃貸物件に住んでいたなら、実家に引っ越すことで家賃の支払いから解放されます。また、空き家のまま実家を所有する場合は管理会社にメンテナンスを依頼する必要がありますが、あなた自身が実家に住むのなら管理費の支払いは不要です。家賃や管理費を払わなければ生活の質が向上します。
あなたの職場や子どもの学校が実家の近くであれば、相続を前向きに検討しましょう。
メリット2: 実家を手放さずに済む心理的安心
思い入れのある実家を手放したくない人も相続を検討した方が良いです。資産価値が低かったり通勤や通学が不便だったりしても、実家を手放すことに抵抗がある人もいます。親が亡くなった後も実家に住むことで精神的な安定を得られるでしょう。環境の変化に弱い人にオススメです。
メリット3: 小規模宅地等の特例で相続税の軽減
実家など建物が経っている土地を相続する際は、小規模宅地等の特例を利用できます。被相続人が住居として使用していた土地(上限330㎡)等を相続する際、土地の評価額を最大80%減額できるので相続税が軽減されます。実家の土地の資産価値が高い場合は節税対策になるでしょう。
ただし、相続が発生した際にあなたが被相続人と同居していることが条件となるのでご注意ください。
実家相続のデメリットとは?理解しておくべき4つのポイント
実家を相続することには、新たな費用や問題が発生することがあります。
デメリット1: 固定資産税の支払い
実家を相続すると、あなたが固定資産税を支払うことになります。納付額は毎年届く納税通知書で確認でき、実家に住んでいる限り継続的に発生します。事前に資金計画を立てておくことが大切です。
デメリット2: 修繕やリフォームの負担
実家の築年数が経っている場合、定期的に修繕やリフォームが必要です。外壁塗装、水回りの設備交換などリフォーム費用が高額となる可能性があります。長期的な出費が発生するので相続前にしっかりと検討しましょう。
リフォームを行わない場合は、屋根や設備など定期的な点検をオススメします。実家が長持ちするようお手入れを欠かさないようにしましょう。
デメリット3: 相続税や代償分割の費用不足
実家の資産価値が高いと相続税も高額となります。相続税は原則として現金での納付となるので、実家以外の財産を相続しなかった場合、納税資金が不足するかもしれません。納税資金を調達するためにも、早めに相続税の概算を計算しておきましょう。
また、相続人が1人じゃない場合、実家を相続しなかった他の相続人に代償分割として財産を渡す必要があります。代償分の財産を渡さないと親族とトラブルになる可能性が高いので気を付けましょう。
デメリット4: 実家の生活スタイルが合わない可能性
実家の広さや間取りが現在の家族の生活スタイルに合わない場合もあります。リフォームが必要な場合、費用がかかるため、ローンを組む必要が生じるかもしれません。
また、実家に引っ越すことであなたの家族の通勤・通学が遠距離となるなら、相続をあきらめる選択肢も検討しましょう。
親が亡くなった後に実家を相続する際の2つの注意点と対策
親が亡くなる前まで使用していた実家に住むとたくさんの思い出が蘇るため、気持ちに折り合いをつけながら生活していく必要があります。注意すべき点を2点記載します。
注意点1: 実家の整理や片付けの重要性
生前に使用していた家具・家電が残っている場合は、あなたが整理したり処分したりする必要があります。時間がかかると思いますが、生活用品を整理することであなたの気持ちも整理できるはずです。新しい生活に不要なものは手放しましょう。
注意点2: 親が亡くなった部屋の使用を避ける理由
親が息を引き取った部屋をそのまま使うことに抵抗がある場合は、気持ちの整理がつくまで空き部屋にしましょう。
四十九日法要、新盆、一周忌法要などのタイミングで、気持ちを切り替えて部屋を片付けても良いかもしれません。親族や専門業者に遺品整理を依頼するとスムーズに整理できます。
まとめ:実家相続に必要な手続きと注意点をおさらい
親が亡くなった後に実家に住むには多くの手続きが必要となります。遺産相続について親が健在なうちに兄弟や親戚に相談することをオススメします。
実家を相続する場合のメリット・デメリットを知り、親がいなくなった後に後悔しないよう早めに検討できると良いでしょう。