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2024/06/21最終更新⽇時
2024/06/21固定資産税軽減措置2025年版:適用条件と申請の手順
- 不動産の知識

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土地や建物を所有していると毎年1回支払わなければならない固定資産税。1年に1回とはいえ数万円から十数万円かかることも少なくないため、できれば安く抑えたいと考えている方が多いでしょう。
そこで本記事では、固定資産税の軽減措置における手続き方法や、軽減措置の種類について解説します。
この記事を読むことであなたがどの軽減措置に該当するか、どのような手続きを行えばいいかがわかるでしょう。
固定資産税軽減措置の手続き方法を徹底解説
固定資産税軽減措置の手続き方法は、減税制度により異なりますが、一般的には申告書類を記入し、お住まいの地方自治体に提出することで完了します。
制度ごとの申請方法を解説します。
住宅用地の特例による軽減措置の申請方法
住宅用地の特例による軽減措置を受けるためには、建物を建築した年の翌年1月31日まで、または建物を購入した年の翌年1月31日までに申告書を提出する必要があります。申告期限を過ぎてしまうと軽減措置の適用を受けられないため忘れずに申告しましょう。
申告書に必要な書類は「固定資産税の住宅用地等申告書」となっています。記入する項目は以下の通りです。
- 提出日
- 提出する地方自治体の区
- 申告する理由
- 住所
- 電話番号
- 登記簿上の地番・地積
- 土地の利用状況(図面)
- 家屋の情報
- 床面積 など
事前に調べておくことでスムーズに記入できるでしょう。記入が完了したらお住まいの市役所もしくは地方自治体宛てに郵送することで手続きは完了です。
新築住宅の軽減措置申請の流れと注意点
新築住宅に対する軽減措置は、条件を満たしていれば、建築完了時に申告なしで適用されます。とはいえ適用されない可能性も0ではないため、念のため申告しておきましょう。また新築で建てた家が3階建て以上の耐火または準耐火建築物に該当した場合、減税期間は5年に延長されますが、この場合も申告が必要になります。なぜなら条件を満たしていても申告しなければ最長3年の減税期間になってしまうからです。軽減措置が適用されるか分からない場合は不動産会社やファイナンシャルプランナー、市役所などに相談しましょう。
なお申請は住宅用地に特例による軽減措置と同様「固定資産税の住宅用地等申告書」を提出することで行えます。
耐震建替え・改修における軽減措置の申請方法
耐震建替え・改修に関する軽減措置は、改修工事の3ヶ月以内に提出書類を記入し提出することで申請できます。
提出が必要な書類は以下の通りです。
- 耐震改修工事にともなう固定資産税減額申告書
- 増改築等工事証明書
- 改修工事の内容と金額がわかる証明書
なお3ヶ月経過後に申告書等を提出する場合は、期限が過ぎてしまった理由を記載しなければなりません。
バリアフリー改修に関する軽減措置の申請手続き
バリアフリー改修に関する軽減措置も、耐震建替え・改修に関する軽減措置と同様に、改修工事完了後3ヶ月以内に指定の申告書類を提出することで申請できます。
提出書類は次の通りです。
- バリアフリー改修工事にともなう固定資産税減額申告書
- 住民票の写し
- 居住者要件を満たしていることがわかる書類
- 改修工事の支払日が分かる書類
- 改修工事の完了日がわかる書類
- 改修工事の費用がわかる書類
- 改修工事が行われた箇所の写真
- 改修工事が行われた箇所の平面図
- 改修工事の費用に補助金を活用している場合その証明書
なおバリアフリー改修に関する軽減措置は、ほかの減税措置との併用はできませんが、省エネ改修工事にともなう軽減措置との併用は可能です。
省エネ改修による固定資産税軽減措置の申請手順
省エネ改修に関する軽減措置は、改修工事完了後3ヶ月以内に規定の書類を提出することで申請できます。
軽減措置の申請に必要な書類は次の通りです。
- 省エネ改修工事にともなう固定資産税減額申告書
- 省エネ基準に該当したこと示す証明書
- 工事費用が60万円を超えていることがわかる書類
- 長期優良住宅の認定証明書
- 補助金が支給された場合はその内容がわかる証明書
新築住宅の特例や耐震改修の特例との併用はできませんが、バリアフリー改修における軽減措置との併用は可能です。
固定資産税とは?基本を押さえよう
固定資産税とは、1月1日時点で家や土地を所有している人にかかる税金のことです。土地と建物の両方が課税対象となります。支払う金額に関しては固定資産税の評価額によって異なるため、金額を計算する場合は事前に固定資産の評価額を調べなければなりません。支払い開始時期は課税年の4月〜6月です。課税することが確定した年の4月~6月に納税通知書が5枚届きます。内訳は4回に分けた払い込み用紙と、一度でまとめて払う用の支払い用紙です。支払いは基本的に4回に分けて払う方が多いですが、一度にまとめて払う事も可能です。支払い方法は銀行窓口支払いのほか、クレジットカード決済・スマートフォン決済・銀行振り込みとなっています。ただし各地方自治体によって支払い方法が異なる可能性があるため、詳細はホームページか窓口にて確認しましょう。なお、納税された税金は市区町村における公共施設の整備や新設費用にあてられます。
固定資産税の計算方法:税額を知るためのステップ
固定資産税の計算方法は以下の通りです。
固定資産の評価額(課税標準額)×1.4%
たとえば課税標準額1,000万円の土地を保有していたとします。この1,000万円の土地にかかる固定資産税は1,000万円×1.4%=14万円です。
固定資産税の金額を計算するにはまず、所有している家や土地の課税標準額、つまり価値を知る必要があります。そのため固定資産税の金額を計算する場合は、まずあなたの所有している土地や建物の課税標準額を確認しましょう。なお課税標準額は市役所に保管されている固定資産課税台帳もしくは納税通知書に添付されている課税証明書で確認できます。
固定資産税の金額を計算する際には、次の点に注意が必要です。それは所有している家や土地に対して、軽減税率が適用されるかもしれないということです。固定資産税の計算は先程お伝えしたとおり、課税標準額×1.4%で割り出します。しかし軽減税率の適用を受けている場合、次のような計算式になるのです。
課税標準額×軽減税率×1.4%
たとえば課税標準額1,000万円500㎡の建物があったとします。この建物が住宅用地における軽減税率の特例の対象だった場合、200㎡までの部分に1/6、残り300㎡の部分に1/3の軽減税率がかかります。つまり固定資産税が安くなるということです。
この場合の計算式は次の通りです。
1,000万円×1/6+1,000万円×1/3×1.4%=約7万円
このように軽減税率が適用される場合は、計算方法が異なるため注意しましょう。
固定資産税の軽減措置の種類とは?種類ごとのメリットを紹介
固定資産税軽減措置には、次の種類があります。
- 住宅用地の特例による軽減措置
- 新築住宅に対する軽減措置
- 耐震建替え・改修に関する軽減措置
- バリアフリー改修に関する軽減措置
- 省エネ改修に関する軽減措置
住宅用地の特例による軽減措置とは?
住宅用地の特例による軽減措置とは、一戸建てやアパート・マンションなど人が住むために使用されている土地に対して適用される減税制度の一つです。つまり住居のための建物が建っている土地であれば適用条件を満たしていることになります。軽減税率は小規模住宅用地か一般住宅用地かで異なりますが次のような税率になっています。
種類 | 税率 |
小規模住宅用地 | 1/6 |
一般住宅用地 | 1/3 |
小規模住宅用地とは、住居のための建物の200㎡以下の部分を指します。一方、一般住宅用地は住居のための建物のうち、200㎡以上の部分を指します。
たとえば500平米のアパートが土地Aに建っているとしましょう。このアパートAの200㎡は小規模住宅用地となり、300㎡は一般住宅用地となるのです。
もう一つ例を見てみましょう。800㎡のアパートが土地Bに建っている場合は、200㎡の部分が小規模住宅用地となり、残りの600㎡の部分が一般住宅用地になります。
このように住宅用地の特例による軽減措置は住居のための建物が建っている土地であれば基本的に受けられますが、申請しなければ減税されませんので、申請を忘れないようにしましょう。
なお都市計画税に関しても小規模住宅用地と一般住宅用地でそれぞれ減税の特例措置を受けられます。
新築住宅に対する固定資産税軽減措置
床面積が50㎡〜280平米の一戸建てを新築で建築した場合、新築住宅に対する軽減措置が適用されます。この軽減措置が適用されると、固定資産税を初めて支払うタイミングから3年間に渡り、家の床面積120平米までの固定資産税が1/2になります。たとえば2024年の1月1日に課税対象となる新築物件を保有していた場合、2024年、2025年、2026年分の固定資産税が軽減措置の対象になるということです。またこの軽減措置は状況によって減税期間が延長される点にも留意しておかなければなりません。新築で建てた家が3階建て以上の耐火または準耐火建築物に該当した場合、減税期間が5年に延長されるのです。とはいえ最大5年分も固定資産税の一部が半額になるのでかなりお得な減税制度と言えるでしょう。
この軽減措置は、住宅用地の特例による軽減税率とは異なり、申請しなくても適用されますが、減税期間を5年に延長する場合のみ申請が必要です。
耐震建替え・改修に関する固定資産税軽減措置
耐震建て替え・改修に関する軽減措置とは、昭和57年1月1日以降に建築した家に対して、令和8年3月31日までに現在の耐震基準を満たすための改修工事を行った場合に、翌年分の固定資産税納付額が減額される制度です。減額される範囲は120平米までの部分で、納付額が1/2になります。たとえばこの減税制度の対象となる、500平米の家を改修した場合、120平米までの部分が1/2となり、残りの380平米に関しては通常通りの課税評価額になるということです。減税される期間は1年間です。またこの減税制度は一つの建物に対して一度しか適用されません。その他条件は次の通りです。
- 改修工事の金額は50万円以上
- 減税対象は土地のみ
- 都市計画税は減税対象とならない
- 申請が必要
- 専用住宅・共同住宅・併用住宅のいずれかに該当する
- 耐震改修の証明が必要
万が一、対象の改修工事を行ったのに申請していなかった場合は、速やかに申請しましょう。
バリアフリー改修による固定資産税軽減措置
バリアフリー改修に関する軽減措置とは、所有している家を次のような高齢者等居住改修工事等を行った場合にその建物に対して適用される減税措置のことです。
- 介護用の椅子で移動しやすいように通路や出入口を広くする工事
- 階段を設置したり改良したりすることで傾斜をゆるやかにする工事
- 浴槽を高齢者が使用しやすいように改良する工事
- トイレを高齢者が使いやすいように改良する工事
- トイレ・お風呂・脱衣所・居住スペース・玄関などに手すりをつける工事
- 床の段差を無くす工事
- 出入口を高齢者が使いやすいように改良する工事
- 床を滑りにくいものに取り替える工事
なお適用を受ける際は、次の条件を全て満たす必要があります。
- 自己所有の家をバリアフリー改修工事して、平成26年4月1日~令和5年12月31日までの間に自分が住んでいること
- バリアフリー改修工事を行った後、6ヵ月以内に住み始めること
- この減税措置を受ける年の合計所得が3,000万円以下であること
- バリアフリー改修工事を行った家の面積が50㎡以上かつ、床面積の半分以上を居住空間として使用していること
- 家を二つ以上所有している場合は、対象の建物がメインで使用していると認められること
- バリアフリー改修工事の費用が50万円を超えること
- バリアフリー改修工事の半分以上が、自分が住む部分の費用であること
これら全ての条件を満たした場合に限り、家の100平米までの部分に対してかかる固定資産税額が2/3になります。
条件が細かく設定されているため、適用されるかどうかの判断が難しい場合もあるでしょう。もし「バリアフリー改修工事をしたけど適用されるかわからない」という方は一度お住まいの市区町村に相談してみてください。
省エネ改修の固定資産税軽減措置のポイント
省エネ改修に関する軽減措置とは、令和4年4月1日~令和8年3月31日の期間に、省エネ改修工事をした建物に適用される減税措置です。
対象となるのは平成26年4月1日以前に建築され、かつ改修後の床面積が50㎡〜280平米の建物に限ります。
対象となる工事は次の通りです。
- 窓の改修工事
- 床の断熱工事
- 天井の断熱工事
- 壁の断熱工事
- 太陽光パネル設置工事
- 高効率エアコン取付工事
- 高効率給湯器取付工事
- 太陽熱システム取付工事
対象の建物にこれらの工事を行ったうえで、工事費用が60万円を超えることが適用条件となっています。お住まいの市区町村によって条件が異なる場合があるため、詳細は市区町村のホームページを確認するか、窓口に問い合わせてください。
まとめ:条件に応じた固定資産税軽減措置の適用方法
固定資産税の軽減措置には、次の制度があります。
- 住宅用地の特例による軽減措置
- 新築住宅に対する軽減措置
- 耐震建替え・改修に関する軽減措置
- バリアフリー改修に関する軽減措置
- 省エネ改修に関する軽減措置
どの制度を活用するかによって減税率や期間は大きく異なります。また併用できる制度もあれば、併用できない制度もあるため、あなたの土地や建物がどの制度の対象となっているか、条件を含め確認しましょう。もしご不明な点がある場合は、不動産会社やファイナンシャルプランナー、市役所・地方自治体の窓口などに相談することをおすすめします。
参考
https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/sumai_nyumon/money/zeiseikaisei_2021
https://www.homes.co.jp/cont/money/money_00333
https://www4.city.kanazawa.lg.jp/soshikikarasagasu/shisanzeika/yokuarushitsumon/2488.html
https://www.city.iwakura.aichi.jp/0000004612.html
https://www.koteishisanzei-papatto.com/koteishisanzei-keigensochi-shinsei-wasureta.html