【リースバックとリバースモーゲージの違いとは】〜どちらを選ぶべきか解説〜

リースバックリバースモーゲージについて聞いたことがありますか。

名前の響きも似ているし、制度上にも類似点があるため、混同してしまうことがあるかもしれません。

しかし、この2つには大きな違いがあり、利用する際にはよく理解しておかないと損をしてしまうでしょう。

今回は、リースバックとリバースモーゲージの違いについてご紹介していきます。

Contents

リバースモーゲージとは

まず、リバースモーゲージとは何でしょうか。

リバースモーゲージはローンの一種です。主に高齢者が対象となっており、老後の資金が足りなくなったときなどに利用されます。

リバースモーゲージとは、家を担保にすることでお金を借りることができる仕組みとなっています。

その最大の特徴は、融資を受けるにもかかわらず、契約中の支払いにかかる負担が少ないことです。

なんと、契約期間に支払うのは利息のみで済むのです。
そのためリバースモーゲージを利用すれば、収入が減ってしまった老後にでも豊かな生活を送ることができます。

それでは、借りた分はいつ返済すれば良いのでしょうか。

元金を返済するのは、契約者の死後、または契約が終了したときになります。
家を売却することで、一括で返済するという仕組みになっています。

「リバースモーゲージ」の意味

「リバース」は「逆」、「モーゲージ」は「抵当権」という意味です。
この言葉は、リバースモーゲージと一般的な金融ローンとの違いをよく表しています。

一般的な金融ローンでは、一度融資を受けたら返済を進めていきます。そのため、借入残高は減少していくのが普通です。

しかしリバースモーゲージでは、限度額内であればどんどんお金を借りていくことができます。
つまり、リバースモーゲージでは「一般的な融資とは逆に借入残高が増えていく」のです。

この、逆に借入残高が増えていく状況を「リバースモーゲージ」という言葉はよく表しているといえます。

リバースモーゲージのメリット

それではリバースモーゲージにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、3つのメリットを紹介していきます。

1資金を調達できる

1つ目のメリットは、老後のための資金を確保することができることです。

老後には生活費、急な入院費、老人ホームへの入居費用など、何かとお金がかかります。
そのための資金をリバースモーゲージによって工面することができます。

お金の受け取りは一括にすることも、毎月少しずつ受け取ることもできます。

2自宅を手放さずに済む

リバースモーゲージによる資金調達では、自宅の所有権を手放す必要はありません。つまり、引っ越しをしなくて済むのです。

リバースモーゲージは高齢者向けのサービスです。高齢者にとって引っ越すことは簡単ではありません。
引っ越すにはお金も体力も必要となってしまいます。
それだけではなく、長く住んだ場所を離れたくないと考える人も多いでしょう。

ですが、リバースモーゲージであれば、基本的には、自分が死ぬまではこれまで通りの家に住むことができるのです。

3借金を返し切ることができ、遺族に負担が残らない

リバースモーゲージは実際のところは借金であるため、返済の負担が大きいのではないかと不安に思う人もいるかもしれません。

しかし、リバースモーゲージは借金を返す負担が大きくならないような仕組みになっています。
リバースモーゲージでは、家を売却することで借りたお金を返済します。
そのような形で一括で返済するため、自分の死後、家族に金銭的な負担をかけることはありません。
借金の負担を子供に遺してしまうことがないというのは大きなメリットになり得ます。

リバースモーゲージのデメリット

次に、リバースモーゲージのデメリットについてもご説明します。

1借入金額が増えて、融資限度額を超えてしまう

リバースモーゲージの契約期間は、契約者が死亡するまでであることが多いです。そのため、一定の金額を毎月借りていった場合、長生きをすればするほど、借入金額は増えていくことになります。

そして融資の限度額を超えてしまった場合、担保にしていた自宅だけでは返済しきれない借金が発生してしまうことになります。

その場合は借金となり、自身や自分の子供に返済の負担がかかってしまうことになります。

2担保にしていた物件の価値が下がってしまう

土地の価格は変動することがあり得ます。 また、担保にしていた自宅も長い間使用していけば古くなっていき、価値が下がってしまうことが考えられます。

つまり、契約を締結するときに査定された物件価値よりも、気づくと価値が下がっているということがあるのです。

そうすると、担保にしていた物件では、契約当初に思っていたよりも少ない金額しか借りることができなくなってしまう可能性があります。

3金利が変動し、返済額が増える可能性がある

リバースモーゲージは変動金利制であることが多いです。そのため、金利が上昇することがあります。そうすると、金利上昇の影響を受けて返済総額が高くなってしまいます。

このように、返済の負担が大きくなるというリスクもあるのです。

4完済できなかった場合、相続人に負担がかかってしまう

これまでに見てきたように、返済総額が思っていたよりも増加してしまうケースは多々あります。
そうすると、返済額が家の売却額を上回ってしまうことがあるのです。
それでは家を売却したとしても借入額を完済することはできません。

しかし、返済できなくなってしまった場合でも返済義務がなくなったりすることはもちろんありません。
返済ができない場合は、残債は相続人が支払わなければならなくなります。

このように、相続人に借金の負担がのしかかってしまうこともあり得ます。

リースバックとリバースモーゲージの類似点

次に、リースバックとリバースモーゲージの類似点について見てみましょう。

1引っ越さずにまとまったお金を得ることができる

資金を調達したいと思ったときに家を売却するという手段を取ると、早いうちに家を明け渡さなければならなくなります。しかし、リースバックやリバースモーゲージでは、契約が続いている間は家を出る必要はありません。

資金を調達しているのに、家を開け渡さずにこれまでの生活を維持することができるという点が両者のメリットとなっています。

2利用する人の特徴

リースバックとリバースモーゲージには、利用する人に共通する点があります。

まず、老後の資金に不安がある人が利用するという点が共通しています。
老後に急に資金が必要になった人や、老後の生活を豊かにしたい人などがリースバックやリバースモーゲージを利用しています。

他に、自宅を遺すつもりがない人もそれらの制度を利用しています。
さまざまな理由から自宅を相続する予定がない人は、リースバックやリバースモーゲージによって資金を調達し、さまざまな目的で資金を利用しています。

このように、リースバックやリバースモーゲージは、老後の資金に不安がある人や自宅を遺すつもりがない人によって利用されているという共通点があるということがわかります。

リースバックとリバースモーゲージの相違点

もちろん、リースバックとリバースモーゲージは全く同じではありません。
次に、両者の相違点についても理解しておきましょう。

1売却か借金か

どちらの制度も目的としては資金を調達することです。ですが、その根本が異なっています。
リースバックは売却によって資金を調達します。借金ではありません。

一方、リバースモーゲージでは返済の義務が発生します。つまり借金をすることになるのです。

この2つは、リースバックとリバースモーゲージを選ぶ際には大きな違いとなるでしょう。

2資金の利用用途に制限があるか

リースバックでは、得た資金の利用目的に制限はありません。生活費としても、事業への投資にも使用することができます。
ですが、リバースモーゲージには、お金の使用用途に制限がある場合が多いです。
主に老後の生活資金として使うことが目的でなければならず、投資資金とすることはできません。

3売却できる物件は何か

リースバックでは、戸建て、マンション、オフィス、工場など、さまざまなものが対象となっています。

一方、リバースモーゲージでは、取り扱える物件に制限があります。基本的には戸建てでなくてはならず、マンションも不可能です。
また、対象エリアも限定されており、場所によっては扱ってもらうことができません。

4家の売却のタイミングと所有権

リースバックでは、家を売却して一括で資金を得るため、価格の変動による影響を受けません。そして、売却後は家の所有権を手放した状態で家に住み続ける形になります。

一方、リバースモーゲージでは地価や家の状態、金利の影響を受けます。不動産の価値や金利が変動することがあるため、契約時に思っていたようなプラン通りにはいかないこともあります。不動産の価値が下がり、金利が上昇した場合は、リバースモーゲージをすることで損をしてしまうかもしれません。
また、自分の生前に家の所有権を手放すことは基本的にはありません。家の所有権を手放すのは家を出てからになります。自分の死後に家を売却するという契約を結んだ場合には、家の所有権をずっと持ち続けることになります。

5抵当権があっても取引ができるか

普通、住宅ローンが完済されておらず抵当権が残ったままだと家を売買することはできません。それでも家を売却できるというのがリースバックのメリットでした。

ですが、リバースモーゲージでは抵当権がある物件は取り扱うことができません。

6支払うものが違う

リースバックでは、毎月支払っていかなくてはならないものは家賃のみです。
何かの借金の返済をするというようなことはありません。もし家を買い戻す場合はその際に、買い戻しのための資金も必要となります。

一方、リバースモーゲージで支払うのは利息のみです。
借金を抱えているような状況ですが、毎月返済していくわけではありません。契約の終了時に家を手放す形で返済することができます。

7買い戻しの想定

リースバックでは、一度売却した家を買い戻しすることができます。他の資金調達方法では買い戻しはできないため、買い戻しができるということはリースバックの大きな特徴の一つでした。

ですが、リバースモーゲージでは買い戻しをすることはできません。リバースモーゲージでは自身の死後に家を売却することで借金を返済するため、買い戻しは想定されていないのです。

8保証人が必要か、相続人の同意が必要か

リースバックには保証人や、相続人の同意は必要ありません。

一方、リバースモーゲージでは保証人や、相続人の同意が必要となります。そのような手続きの面倒さは、リバースモーゲージがあまり普及しなかったことの一因でもあります。

9利用者の制限の有無

リースバックには利用者に対して年齢や収入による厳しい制限を求めていません。
成人しており、判断能力がある人であれば誰でもリースバックを利用することが可能です。

しかし、リバースモーゲージにはさまざまな制限があります。
まず、年齢が55~65歳以上でなくてはなりません。それは、この制度が高齢者を対象としているためでしょう。

次に、契約者が子供と同居している場合は利用することができません。それは、この制度は子供への相続を目的としていないためです。夫婦2人暮らし、またはひとり暮らしである必要があります。

そして、リバースモーゲージは個人向けの制度であるため、法人はこれを利用することはできません。

さらに、収入がない人は利息を払えない可能性があるため利用できません。

このようにリースバックよりリバースモーゲージの方がさまざまな制限が設けられており、手続きも煩雑そうだということがわかります。

リバースモーゲージよりリースバックを選ぶべき場合

それでは、資金を調達したいと思った場合、リースバックとリバースモーゲージでは結局どちらを選んだ方が良いのでしょうか。

次のような場合はリースバックを選んだ方が良いでしょう。

1制限などをくぐれなかったとき

リバースモーゲージをするためには制限が多いことから、それらの制限をクリアできるかどうかがポイントとなります。
年齢が55歳よりも若い場合や、資金の利用目的が生活費以外である場合、戸建て以外の物件を扱いたいときなどはリースバックの方が適しているでしょう。

2家の所有権を手放すことに抵抗を感じない場合

思い入れのある家に、所有権を持ったままで住み続けたいという人もいるでしょう。
所有権の所在に関心がない場合のみ、リースバックを検討することができます。

3「借金をする」ということに抵抗を感じるとき

「借金」という言葉には抵抗感を覚える人も多いかもしれません。リバースモーゲージは借金となってしまいますが、リースバックは借金ではありません。

「借金」という響きに抵抗を感じる場合はリースバックを選びましょう。

【まとめ】〜リースバックとリバースモーゲージではここが違う〜

ここまで、リースバックとリバースモーゲージの違いについて見てきました。

リースバックは売却、リバースモーゲージは融資という大きな違いの他にも、利用できる条件や、仕組み上にさまざまな違いがあることがわかりました。

リースバックの方が利用者やお金の使い道に制限がないため、自由に、かつ簡単に利用することができそうです。

ですが、どちらにもメリットとデメリットが存在するため、利用を検討する際にはよく検討して選ぶようにすると良いでしょう。