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投稿⽇時

2023/10/02

最終更新⽇時

2025/06/12

【年収別】不動産投資の節税シミュレーション|節税効果を高めるポイント

  • 不動産投資

不動産投資は、家賃収入による利益だけでなく、節税効果が得られることでも注目されています。特に高所得者層にとっては、所得税や住民税の負担を軽減できる魅力的な手段です。しかし、節税効果の大きさは年収によって異なるため、自分の収入で節税になるか疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、年収400万円、1,000万円、2,000万円の3パターンに分けて、不動産投資による節税シミュレーションをします。節税効果をより高めるポイントや注意点も紹介するため、不動産投資を検討中の方は参考にしてみてください。

不動産投資が節税になる仕組み

「〇」「×」「?」「節税」と書かれた丸い紙と電卓

不動産投資が節税につながる主な理由は、損益通算です。不動産経営では、建物の減価償却費やローンの利息、管理費、修繕費を経費として計上します。実際のキャッシュフローがプラスでも帳簿上は赤字となるケースがあり、その赤字を給与所得のような他の所得と合算して課税所得を減らすことが可能です。

例えば、不動産所得が30万円の赤字であれば、課税所得が30万円減り、所得税と住民税の額も減ります。特に高所得者ほど税率が高いため、節税効果が大きくなるでしょう。税負担を抑えつつ資産形成を進める手段として、不動産投資はおすすめです。

関連記事:不動産投資の税金対策:節税テクニックと注意点を徹底解説
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【年収別】不動産投資の節税シミュレーション

住宅の模型を置いた机に向かい、右手にペンを持ち、左手で電卓を操作する手元

不動産投資による節税効果は、年収によって大きく異なります。所得税と住民税の税率は、課税所得に応じて段階的に上昇する「累進課税制度」を採用しているためです。

ここでは、「不動産投資で年間30万円の赤字が出たケース」を前提に、年収別の節税効果をシミュレーションします。なお、2037年までは復興特別所得税(2.1%)が課されますが、本項では計算に含めていません。

年収400万円

不動産投資をしなかった場合の所得税と住民税を算出します。

【1.給与所得の計算】
年収400万円から給与所得控除を差し引きます。

  • 給与所得控除額:400万円×20%+44万円=124万円
  • 給与所得:400万円-124万円=276万円

【2.所得税の計算】
所得税の課税所得を計算します。給与所得から各種控除を引きます。

  • 基礎控除:88万円
  • 社会保険料控除(仮定):60万円
  • 課税所得:276万円-88万円-60万円 = 128万円

課税所得に税率(5%)をかけて所得税を算出します。

  • 所得税:128万円×5%=6万4,000円

【3.住民税の計算】
住民税の課税所得を計算します。給与所得から各種控除を引きます。

  • 基礎控除:43万円
  • 社会保険料控除(仮定):60万円
  • 課税所得:276万円-43万円-60万円=173万円

住民税は一律10%(所得割)+均等割5,000円です。

  • 所得割:173万円×10%=17万3,000円
  • 合計:17万3,000円+5,000円=17万8,000円

続いて、不動産投資で30万円の赤字が出た場合の所得税と住民税を算出します。

【所得税の再計算】

  • 課税所得:128万円-30万円=98万円
  • 所得税:98万円×5% = 4万9,000円

【住民税の再計算】

  • 課税所得:173万円-30万円=143万円
  • 所得割:143万円×10%=14万3,000円
  • 合計:14万3,000円+5,000円=14万8,000円

上記の結果から、所得税1万5,000円、住民税3万円、合計4万5,000円の節税効果があることが分かります。

年収1,000万円

不動産投資をしなかった場合の所得税と住民税を算出します。

【1.給与所得の計算】
年収1,000万円から給与所得控除(控除額の上限195万円)を差し引きます。

  • 給与所得:1,000万円-195万円=805万円

【2.所得税の計算】
所得税の課税所得を計算します。給与所得から各種控除を引きます。

  • 基礎控除:58万円
  • 社会保険料控除(仮定):130万円
  • 課税所得:805万円-58万円-130万円=617万円

課税所得に税率(20%)を掛け、控除額42万7,500円を差し引いて所得税を算出します。

  • 所得税:617万円×20%-42万7,500円=80万6,500円

【3.住民税の計算】
住民税の課税所得を計算します。給与所得から各種控除を引きます。

  • 基礎控除:43万円
  • 社会保険料控除(仮定):130万円
  • 課税所得:805万円-43万円-130万円=632万円

住民税は一律10%(所得割)+均等割5,000円です。

  • 住民税:632万円×10%+5,000円=63万7,000円

続いて、不動産投資で30万円の赤字が出た場合の所得税と住民税を算出します。

【所得税の再計算】

  • 課税所得:617万円-30万円=587万円
  • 所得税:587万円×20%-42万7,500円=74万6,500円

【住民税の再計算】

  • 課税所得:632万円-30万円=602万円
  • 住民税:602万円×10%+5,000円=60万7,000円

上記の結果から、所得税6万円、住民税3万円、合計9万円の節税効果があることが分かります。

年収2,000万円

不動産投資をしなかった場合の所得税と住民税を算出します。

【1.給与所得の計算】
年収2,000万円から給与所得控除を差し引きます。

  • 給与所得:2,000万円-195万円=1,805万円

【2.所得税の計算】
給与所得から各種控除を引き、所得税の課税所得を計算します。

  • 基礎控除:58万円
  • 社会保険料控除(仮定):180万円
  • 課税所得:1,805万円-58万円-180万円=1,567万円

課税所得に税率(33%)を掛け、控除額153万6,000円を差し引いて所得税を算出します。

  • 所得税:1,567万円×33%-153万6,000円=363万5,100円

【3.住民税の計算】
住民税の課税所得を計算します。給与所得から各種控除を引きます。

  • 基礎控除:43万円
  • 社会保険料控除(仮定):180万円
  • 課税所得:1,805万円-43万円-180万円=1,582万円

住民税は一律10%(所得割)+均等割5,000円です。

  • 住民税:1,582万円×10%+5,000円=158万7,000円

続いて、不動産投資で30万円の赤字が出た場合の所得税と住民税を算出します。

【所得税の再計算】

  • 課税所得:1,567万円-30万円=1,537万円
  • 所得税:1,537万円×33%-153万6,000円=353万6,100円

【住民税の再計算】

  • 課税所得:1,582万円-30万円=1,552万円
  • 住民税:1,552万円×10%+5,000円=155万7,000円

上記の結果から、所得税9万9,000円、住民税3万円、合計12万9,000円の節税効果があることが分かります。

不動産投資による相続税の節税シミュレーション

現金や預貯金は、そのままの額が相続財産として評価されますが、不動産は実勢価格より低く(7割~8割程度)評価されます。そのため、現金で保有するより不動産に変えて相続することで、課税対象額を抑えることが可能です。

ここでは、現金で相続した場合と、現金を不動産に変えて相続した場合の簡単な計算例を紹介します。

【前提条件】

  • 相続財産の総額:1億円
  • 相続人:子ども2人
  • 相続税の基礎控除額:3,000万円+600万円×2名(相続人数)=4,200万円

【現金1億円で相続した場合】

  • 1億円-4,200万円(基礎控除)=5,800万円
  • 5,800万円×30%(税率)-700万円(控除額)=1,040万円
  • 相続税:1,040万円

【1億円で不動産を購入し相続した場合】
1億円で購入した不動産の相続税評価額を7割と仮定します。

  • 不動産の相続税評価額:1億円×70%=7,000万円
  • 課税遺産総額:7,000万円-4,200万円(基礎控除)=2,800万円
  • 2,800万円×15%(税率)-50万円(控除額)=370万円
  • 相続税:370万円

したがって、現金を不動産に変えて相続したほうが670万円の節税効果があることが分かります。

不動産投資で節税効果を高める方法

「TAX」の文字と左斜め下の矢印が書かれた木のブロック

不動産投資で節税効果を最大限に引き出すには、物件選びや経費の管理、申告方法に工夫が必要です。ここでは、不動産投資における具体的な節税テクニックを4つ紹介します。これから不動産投資を始める方に役立つ実践的な内容であるため、ぜひ参考にしてみてください。

償却期間の短い物件を選ぶ

不動産投資における節税のポイントのひとつが「減価償却」です。減価償却とは、建物の資産価値を年数に分けて経費として計上できる仕組みです。償却期間が短い物件は早期に多くの金額を経費計上できるため、課税所得を大きく減らせます。

例えば、築22年以上の木造住宅は法定耐用年数が短く、4年で償却が完了するため、購入初年度から大きな節税効果を期待できます。ただし、古い物件は建物価値が下がっている分、融資の審査が厳しくなったり空室リスクが高くなったりする点に注意が必要です。

きちんと経費を計上する

不動産投資で得た家賃収入から経費を差し引いた金額が課税対象となるため、経費を正しく漏れなく計上することが節税の基本です。経費を多く計上すれば、その分課税所得が減り、所得税・住民税の負担を軽減できます。主な経費は以下の通りです。

  • 固定資産税や都市計画税
  • 火災保険や地震保険の保険料
  • 管理会社への委託手数料
  • 修繕費やメンテナンス費用
  • 減価償却費
  • 借入金の利息

上記の経費は、きちんと領収書や明細書を保管することで、税務署の指摘にも対応しやすくなります。

青色申告特別控除を利用する

確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2つの方法があり、青色申告を選ぶメリットは「最大65万円の青色申告特別控除」が受けられることです。

ただし、65万円の控除を受けるには複式簿記での帳簿作成と、電子申告または電子帳簿保存が必要です。手間に感じるかもしれませんが、会計ソフトを使えばスムーズに対応できます。節税効果が大きいため、ある程度収入がある方は導入するとよいでしょう。

法人化する

不動産収入が大きくなると、個人の税負担も増します。以下は、2025年5月時点の所得税の税率です。

  • 330万円〜694万9,000円まで:20%
  • 695万円〜899万9,000円まで:23%
  • 900万円〜1,799万9,000円まで:33%
  • 1,800万円〜3,999万9,000円まで:40%

一方、法人税率は上限が23.2%です。つまり、所得が900万円を超える場合、法人化したほうが税負担は軽くなる可能性があります。ただし、法人にすることで法人住民税や地方法人税、法人事業税といった税金が課される点には注意が必要です。

関連記事:マンション経営でかかる経費と節税のポイント

不動産投資で節税する際に知っておきたい注意点

ベージュのスーツを着た人が人さし指を立てた手元

不動産投資は、うまく活用すれば大きな節税効果をもたらす魅力的な手法です。一方、過度な期待や知識不足による誤算も少なくありません。特に税制には一定のルールや限界があるため、注意点を理解した上で計画的に運用することが大切です。

ここでは、不動産投資による節税を考える上で知っておきたい落とし穴やリスクについて解説します。

2年目以降、経費計上できる項目が減少する

不動産投資においては、1年目は物件取得費や登記費用、仲介手数料など多くの経費を計上できるため、節税効果が高い傾向があります。例えば、司法書士への報酬や不動産会社への仲介手数料は最初しか発生しない一時的な経費です。

しかし、2年目以降はこのような大きな初期費用がなくなり、経費として計上できるのは管理費、修繕費、減価償却費など項目が限られます。そのため、初年度ほどの大幅な節税効果は期待できなくなるのが一般的です。

短期売却は税負担が重くなる

不動産を売却して得られる利益には「譲渡所得税」がかかりますが、所有期間によって税率が大きく異なる点に注意しましょう。所有期間が5年以下は「短期譲渡所得」となり、所得税30.63%+住民税9%=39.63%の税率が適用されます。

一方、所有期間が5年を超えると「長期譲渡所得」となり、所得税15.315%+住民税5%=20.315%の軽減税率に変わります。5年以内に売却すると税率は約2倍で、税負担が急増するリスクがあるため、安易な短期売却は避けたほうがよいでしょう。

タワマン節税が制度改正で厳しくなった

かつては、タワーマンションを利用した相続税対策が富裕層を中心に注目されていました。タワマンの相続税評価額が実勢価格に比べて著しく低く、現金よりも相続税が抑えられるという仕組みがあったためです。

しかし、国税庁は2024年から居住用区分所有財産の評価方法を見直す制度改正を実施しました。高層階のマンションは相続税評価額が引き上げられ、以前のような抜け道的な節税は難しいでしょう。不動産に関する法律や税制は変わることがあるため、常に最新の情報を取り入れることが大切です。

年収が低いと節税効果は薄い

不動産投資における「節税」は、赤字を他の所得から差し引くことによって、全体の所得税・住民税を減らす仕組みです。そのため、課税所得が多い人ほど、節税による恩恵が大きくなります。

例えば、課税所得が900万円未満だと税率が5%~23%程度と低いため、30万円の赤字を作っても節税額は数万円にとどまるケースがほとんどです。さらに、赤字を出すには経費や借入金の利息など実際の出費があるため、実質的な節税効果が小さくなるリスクも否めません。

不動産投資は節税ではなく利益を出すことを目的にしよう

不動産投資は節税効果が見込める方法のひとつですが、節税を目的に投資を始めるのはリスクの高い考え方です。節税はあくまで副次的な効果で、本質は利益を出すことにあります。赤字を出すことで一時的に税負担を減らせても、長期的な赤字経営につながるのであれば本末転倒です。

投資は資産を増やすための手段であり、安定した収入を得たり資産価値の高い物件を保有したりすることが重要です。節税に偏った視点で物件を選ぶと、収益性の低い物件を購入してしまい、結果的に負債を抱えるケースも少なくありません。

特に初めて不動産投資をする場合、節税になるから買うのではなく「その物件で利益を得られるか」という視点で投資判断を下しましょう。節税は利益を出す過程で得られる副産物と捉えるのが賢明です。

関連記事:不動産投資の始め方を5つのSTEPで解説!成功のポイントも紹介
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不動産投資で利益を出すには?

ノートに書かれたチェックリスト、ペン

不動産投資で安定した収益を確保するには、物件を持っているだけでは不十分です。入居者から適正な家賃収入が得られ、支出を適切に管理できてこそ投資の成功が見込めます。ここでは、不動産投資で利益を出すために押さえておきたい基本的なポイントを解説します。

適切に家賃を設定する

家賃は月々の収支に大きく影響します。しかし、空室リスクを減らすために低い家賃を設定するのは危険です。家賃は重要な収入源ですが、全てのコストをカバーできるわけではありません。家賃収入から支払う管理費用といった支出を踏まえて、トータルで見た際に適正な家賃を設定しましょう。

毎月のローン返済額を考慮する

毎月のローン返済額は、借り入れた金額や期間によって異なります。キャッシュフローが滞りなく、かつ良好な状態を維持するには、毎月の返済額を考慮することが大切です。

空室を生じさせない

空室は不動産投資において避けたい問題のひとつです。空室を避けるには、不動産管理会社をしっかりと選択する必要があります。空室リスクを避けるには、自分自身で準備することも大切ですが、会社選びも重要な鍵です。

不動産投資を始めるなら「RIERA」がおすすめ!

RIERAは、物件の購入から管理、売却までワンストップでサポートするサービスです。投資家一人ひとりに専属の担当者がつき、不動産経営をしっかり支えます。

RIERAでは、将来的に資産価値の下がりにくい物件を厳選して仕入れています。東京・大阪など再開発が進む主要エリアを中心に仕入れることで、空室リスクや資産価値の目減りを抑えることが可能です。

不動産投資は入居者対応や修繕、家賃管理といった運営業務に手間がかかりますが、RIERAがその業務を代行します。空室保証や設備トラブルの保証付きプランもあるため、本業が忙しい方でも不安なく不動産運用ができます。

まとめ

ノートパソコンの前で、左手を顎に当てる笑顔の女性

不動産投資には節税という魅力もありますが、本来の目的は収益を得ることです。節税効果を高める工夫や注意点を押さえた上で、長期的に安定した運用を目指しましょう。特に、都心部など資産価値が下がりにくい物件を選び、空室リスクを減らしながら適正な家賃設定と管理を行うことが利益を出すポイントです。

リアルエステートのRIERAでは、物件選びから管理、売却まで一貫してサポートします。空室保証や保証付き管理プランがあるため、本業が忙しい方でも無理なく運用できる体制が整っています。「これから不動産投資を始めたい」「節税と資産形成の両方を叶えたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。