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2023/11/08最終更新⽇時
2025/06/12地代の値上げを要求されたらどうする?対処の手順を解説!
- 底地・借地

Contents

「地主から地代の値上げを交渉された・・」
「地主からの値上げ交渉にはどう対応すればいい?」
借地付き建物を保有している場合、こうしたトラブルは誰にでも起きえます。
今回は、そのようなときの対処法などを不動産初心者向けにまとめています。
ぜひ最後までご覧ください。
借地についての基礎知識
借地付き建物のメリット
少ない初期投資
借地付き建物の場合、土地は購入せずに建物を建てられるため、土地の購入代がかからず初期投資を低く抑えられます。土地と建物を両方購入する場合よりもコストが低いため、不動産投資を始める敷居が低く、初心者にもオススメの投資方法です。
土地の価格変動の影響を受けにくい
土地の価格は、地域の市場感や社会情勢の変動により左右されます。しかし、借地付き建物の購入であれば、土地は借り物であるため、土地の価格変動の影響を受けにくく、一定の地代を支払うだけで済みます。もちろん価格変動により値上げを交渉される場合もありますが、その対処法について次項以降で詳しく説明するため安心してください。
長期的に借りられる
借地付き建物の契約では貸借契約が交わされますが、その借地契約は通常数十年から数百年にわたる長期的な契約です。法律でも定められています。そのため、建物の所有者は安定して土地を利用でき、長期的な視点で資金計画を回せます。
資産の維持管理が簡単になる
借地付き建物の契約であれば、土地の所有者が固定資産税や不動産取得税、都市計画税の支払いを行う義務があります。そのため、借地付き建物の契約を交わした借主側はそうした土地に関するコストの心配なく建物を利用できます。税金の支払いは積み重なると非常に大きなコストに成り代わるため、資金計画を立てる際には必ず税金面のコストも考慮に入れておきましょう。
借地付き建物で想定されるトラブル3選
契約更新のトラブル
借地付き建物の契約は、一般的なマンションやアパートと同様に契約更新時に更新料を支払うケースがあります。これはあくまでも法律で定められているわけではありませんが、支払いを要求する貸主が多いようです。更新料に関する取り決めを契約時に交わしていなければ、更新料についてのトラブルが発生しやすいため、契約時に細かく調べておきましょう。
立ち退きのトラブル
契約期間内に貸主側から撤去を求められる場合があります。とくに貸主の世代交代のタイミングでこのトラブルが多く発生するようです。ただし、法律上原則として正当事由がない限りこの要求は認められません。正当事由とは簡単に言うと、真っ当な撤去を求める理由のことです。少なくとも、借主がさほど重大な事件を引き起こしていたり、ルールを破った使い方をしていたりしなければ、正当事由には該当せず立ち退きのトラブルにはなりません。
地代のトラブル
借地付き建物の地代は、必ずしも契約時の地代と何十年も同じ価格だとは限りません。購入後に貸主から値上げを求められ、トラブルになるケースもあります。この値上げに関するトラブルについては、次項以降で詳しく解説するため、ここでは割愛します。
地主から地代を値上げ交渉された・・!どうしよう??
地代の値上げを交渉されたとき
賃貸借契約書の内容をすぐに確認する
値上げの交渉をされた場合、真っ先に賃貸借契約書を確認しましょう。賃貸借契約書に記載された地代の値上げについての項目を確認するのです。例えば、地代の値上げについての記載があれば、その内容通りに対応しなければなりません。その内容が妥当かどうかは関係なく、何かしらの記載があれば借地人にとって交渉や相談の余地なく要求に応じる必要があります。賃貸借契約書に値上げ交渉に関する記載が無くても、借地借家法という法律の下では、貸出人側には一定の条件のもとに借地人の同意により値上げする権利があります。また、賃貸借契約の中には、定められた年数を超えると値上げが可能になるというケースが多いため、注意が必要です。
土地の価格や相場帯を把握しておく
値上げ交渉された際には、交渉を始める前に、事前に現在の土地の価格やその地域の相場帯を把握しておきましょう。そうすることで、地主からの要求が妥当であるかどうかが判断できるようになるためです。周辺物件で似た物件の賃料や、その地域の税制について変更はないかなど、細かな部分まで理解しておくことで、スムーズに、かつ不利益が少ない状態で交渉に臨めます。土地の価格や相場帯などを把握することは自分だけの力では難しいかもしれません。そうした時には不動産会社や不動産鑑定士などの専門家に依頼することをオススメします。
実際に交渉する際に気を付けること
感情的になることは避ける
交渉された際には、まずは感情的にならないことに気を付けましょう。値上げ幅によっては、どうしても感情的になってしまい、口論に発展してしまうかもしれません。しかし、それでは建設的な話し合いは生まれません。口論になれば交渉がこじれてしまう原因となり、裁判まで発展してしまう可能性さえあります。値上げの妥当性やお互いの経済状況の説明、いくらまでだったら許容できるのかなど、できるだけ客観的に話し、順序だてて話すことを忘れないようにしましょう。
値上げの根拠をはじめに確認する
値上げ交渉を繰り広げられる前に、まずは値上げ交渉の根拠を確認しましょう。根拠や判断基準などについて明確に提示してもらいます。基本的に借地人側からすると、喜んで値上げ交渉に乗ることはないでしょう。そのため、値上げを止めてもらうために動くことがほとんどではないでしょうか。そこで、お互いのメリットやデータなどを明確に提示する必要があります。可能ならば、上記のような相場感の情報などのデータを持参して交渉に応じると尚いいでしょう。そして、お互いが納得できるような地代で落ち着けるように話し合いましょう。
新しい選択肢を提示する
単に値上げ交渉されたからと言って値上げを拒否することや、転居を考えるだけではなく、お互いの妥協案を見つけられるように工夫しましょう。妥協案を見出すために、例えば、値上げ幅を小さくしてもらうことや、値上げ開始のタイミングをずらしてもらうこと、更新料の免除などが考えられます。加えて、できるだけ「ずっとこの土地に居続けたい」という意思をできるだけ提示できるようにしましょう。地主からすると、値上げにより退去となり空き家となってしまえば元も子もありません。
法律で決まっている地代値上げの条件
借地付き建物の地代値上げに関しては、借地借家法に基づいて定められている条件があります。基本的にこの借地借家法に則り賃貸借契約は交わされていますが、賃貸借契約書にその記載がない場合には、下記のような値上げ条件があります。
- 土地の租税公課が上昇した場合
- 地価や物価の上昇など経済的な事情が変動した場合
- 周辺の土地と比較して不適当だと判断された場合
このような場合には地代の値上げ交渉をされても仕方がありません。それでも値上げに応じたくない場合には、従来のままの地代を支払い、地主が受け取りを拒否しても供託することで契約解除の防止になります。
話し合いで地代値上げについてまとまらない場合の対処法
前項では、値上げ交渉された際の対処法についてを中心にまとめました。この項では、実際に値上げ交渉しても上手く話しの折り合いがつかなかった場合の対処法について記載しています。順を追って説明していきます(借地人の立場から説明)。
①民事調停
話し合いで折り合いがつかなくなり膠着していると、突然地主から地代増額請求通知書が送られてくることがあります。この通知書には、値上げの理由や新しい地代の金額などについて記されており、根拠に基づいた値上げであることが記載されています。この内容に対して納得できない場合には、内容証明を用意するなどして互いに法的手段へと移行するようになります。早い解決を希望するのであれば、民事調停がオススメです。民事調停では、「裁定和解」という和解と判決の中間手続きを受けられます。民事調停を起こすには、まずは裁判所へ向かい、民事調停を申し立てましょう。
②裁判
民事調停でも解決しない場合には裁判へと移行します。裁判を起こすとなると、相当な費用が掛かるとともに、日数も同時にかかります。長くて数年単位での裁判になることもあります。納得できない判決結果となれば、裁判後も非常にその土地に住みづらくなるでしょう。
そのため、可能であれば交渉の段階で専門家らに相談に乗ってもらうなどして早期解決に励むことをオススメします。
また、裁判期間中に関しても借地人は地代を支払う必要があります。裁判中だからと言って支払いを停滞させていると、履行遅滞とみなされ、裁判に非常に不利になり、かつ契約の解除を言い渡される可能性すらあります。
最後に
この記事のまとめ
借地付き建物のメリット
- 少ない初期投資
- 土地の価格変動の影響を受けにくい
- 長期的に借りられる
- 資産の維持管理が簡単になる
借地付き建物で想定されるトラブル
- 契約更新のトラブル
- 立ち退きのトラブル
- 地代のトラブル
地代の値上げを交渉されたとき
- 賃貸借契約書の内容をすぐに確認する
- 土地の価格や相場帯を把握しておく
●実際に交渉する際に気を付けること
- 感情的になることは避ける
- 値上げの根拠をはじめに確認する
- 新しい選択肢を提示する
法律で決まっている地代値上げの条件
- 土地の租税公課が上昇した場合
- 地価や物価の上昇など経済的な事情が変動した場合
- 周辺の土地と比較して不適当だと判断された場合
話し合いでまとまらないときの対処法
- 民事調停を検討する
- 裁判を検討する
※裁判は時間とコストを要するためオススメしない
最後に
この記事では、借地付き建物を保有しているときに地代の値上げを要求された場合の対処法を中心に記載しました。交渉を要求された場合には、すぐに感情的になるのではなく、まずは交渉に向けた事前準備やヒアリングから始めましょう。それでも交渉が難航した場合には、民事調停、最悪の場合は裁判を申し立てることを検討しましょう。交渉時には、お互いの妥協点を見つけられるように工夫するように心がけましょう。実際に交渉を余儀なくされた場合には、改めてこの記事を読み返してみてください。それでは、最後までご覧いただきありがとうございました。