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2025/08/31定期借地権の地代相場と値上げ交渉の成功ポイント
- 底地・借地
「地主から地代の値上げを要求されたけど、あまりにも急すぎる…」
「地代の値上げを借地人に交渉したいけど、上手くいくポイントは?」
など、近年土地価格の高騰や地主の経済事情によって地代の値上げに関する悩みが増えています。
この記事では、定期借地権について基礎知識を解説するとともに、地代の値上げが要求できる条件や、交渉のポイントなどを解説します。
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
Contents
定期借地権と地代の基礎知識
はじめに、定期借地権の定義と地代の相場について解説します。
定期借地権とは?その特徴と仕組み
定期借地権とは、1992年8月以降に施行された新しい借地権の種類です。
定期借地権は、普通借地権と異なり契約の更新がありません。
そして、期間満了後は土地を更地にして地主に返還しなければならないという点が特徴です。
また、定期借地権には「一般定期借地権」と「事業用定期借地権」、そして「建物譲渡特約付借地権」の3つがあります。
定期借地権の地代の相場は?一般と事業用の違い
定期借地権の地代は、借地借家法における特段の定めはないため、基本的に地主と借地人との合意、そして需要と供給のバランスで決められます。
また、借地上の建物が住宅なのか店舗なのか、または事業用であるかどうかによっても異なります。
一般定期借地権の地代相場とその計算方法
一般定期借地権は主に住宅用として利用されることが多く、例えば借地権付きのマンションなどがあります。
住宅の地代相場は土地価格の2〜3%となっており、一般定期借地権全体としての地代相場も土地価格の2〜3%となっています。
一般的には、事業用定期借地権よりも一般定期借地権の方が地代は低くなります。
事業用定期借地権の地代相場と計算方法
ビジネスでよく利用される事業用定期借地権の場合、「相当地代」という考え方を用いることが多いです。
相当地代とは、「地代の定価」のことを指します。
相当地代は、年額で更地価格の約6%とされています。
更地価格とはつまり「更地の時価」のことですが、実務上では、簡単に土地価格を求めることが出来る「相続税評価額」によって求めた価格を、更地価格とする場合が多々あります。
相続税評価額は、時価相当額である地価公示価格の80%程度とされています。
少しややこしいですが、だいたい土地価格の4~5%となります。
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地代の値上げ条件と基準
つぎに、地主が地代の値上げを要求できる条件について解説します。
地代の値上げが可能なケース
地代の値上げを交渉する際には、借地借家法で以下のような条件に当てはまる必要があります。
- 土地に対する租税・公課が増額した場合
- 地価の上昇など、経済情勢による変動が起こった場合
- 近隣の類似した土地と比較して、地代が安すぎる場合
このような条件に加え、その他の事情も考慮して、不相当であるかどうかが判断されます。
地代の値上げが難しいケース
ここで注意しておかなければならないのは、賃貸借契約などであらかじめ「一定期間は地代の増額をしない」といった旨の特約を交わしているケースがあるということです。
この場合、契約時に「地代の値上げはしない」と合意しているため、原則として地主による地代の値上げ請求は認められません。
ただし、その期間があまりにも長期にわたるような場合には、例外的に値上げ請求が認められる可能性もあります。
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地主から地代の値上げを要求されたときの対応方法
もし、地主から地代の値上げを要求された場合、借地人はどのように対応すればよいのでしょうか。
賃貸借契約書で確認すべきポイントと対策
まずは、「賃貸借契約書」の内容をチェックし、地代の値上げに関して記載されているのであれば、その内容にしたがって地主と交渉しなければなりません。
記載内容によっては、借地人が地代の値上げを拒む余地がない場合もあり、その場合は地主からの値上げ要求に応じなければなりません。
また、契約書に記載がない場合、借地借家法により地主は値上げを交渉する権利があります。
土地価格の調査方法と値上げ交渉の準備
もう一点、地主と交渉する前に確認しておきたいのは、土地の価格についてです。
地主から要求された地代の額が、相場から見て適切といえるのかを判断するためです。
該当の土地の価格がいくらなのかということや、周辺に類似する物件があればその賃料についても事前に把握しておくと良いでしょう。
また、経済状況的に地代が値上がってしまうと支払いが難しくなるというような方は、それを地主に説明できるよう、ご自身の収入がわかる資料を用意しておくことも重要です。
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地代の値上げ交渉のポイントと戦略
地代の値上げについて交渉する際、地主と借地人それぞれが留意すべきポイントをまとめてみました。
地主側の交渉ポイントと成功するためのアプローチ
あなたが地主側である場合の、交渉時のポイントは以下の通りです。
なぜ値上げするのか、納得する根拠を提示
まずは、値上げの理由をわかりやすく述べましょう。
周辺の類似物件に関する賃料相場や、地価が高騰していることがわかるよう、数値データなどを集めておくと良いでしょう。
また、借地借家法にもとづいて値上げを提示しているという、法律上の根拠があることが説明できれば、借地人もそれに応じる可能性が高くなります。
ほかに、不動産鑑定士など専門家による鑑定評価書があるとなお良いでしょう。
段階的な提案
借地人側からすると、いきなり地代が大幅に値上がってしまっては困るという人も多いでしょう。
それを考慮せずに大幅な値上げを要求してしまうと、交渉が上手くいかないだけでなく、最悪の場合は賃料の不払いにもなりかねません。
そうならないようにするためにも、大幅に地代の値上げが必要な場合には、半年や1年といった期間ごとに分けて、段階的に提案することが大切です。
ほかの選択肢を提示
地代の値上げを交渉する際に、最初に提示した案のままでは借地人がなかなか納得してくれないことも多いです。
そこで、何も代替案なく交渉が不成立となる前に、できる限りほかの選択肢を提示できるように準備しておきましょう。
例えば、値上げの幅を縮小するか、もしくは段階的な値上げを提案するなど、地代の金額自体をもう少し話し合うことも案の一つです。
また、更新料を取る形にしたり、値上げの開始時期を調整することで、借地人が資金調達できる時間を確保することも重要です。
必要であれば裁判を行う旨を通知する
地代の値上げに関して、法律上で認められる根拠があるならば、たとえ借地人がそれを拒否したとしても、最終的に裁判によって地主の主張が認められる可能性が高いでしょう。
そこで、事前に「訴訟などの法的手段を投じるつもりがある」という旨を借地人に伝えておくことで、交渉をスムーズに成立させられる可能性が高まります。
借地人側の交渉ポイントと対応策
一方で、あなたが地代の値上げを要求される借地人側である場合に、どのような対応をすればよいのかについて解説していきます。
値上げの根拠を確認する
借地人としては、なぜ地代の値上げが必要なのか納得しなければ、それに応じられませんし、その額が相応しいかも判断したいところです。
そこで、交渉の際には、まず地主に値上げの根拠について確認するようにしましょう。
ほかの選択肢を提示
値上げの幅を縮小してもらえないか、値上げの開始時期を少し先延ばししてもらえないかといったように、あくまでも「納得できる内容であれば支払う意思がある」と地主に伝わるような提案が良いでしょう。
交渉時に提示された地代の値上げ額に納得できない場合でも、お互いの妥協案を見つけるために、他の選択肢を提示することも解決策の一つです。
ほかにも、値上げする代わりに次の契約更新料を免除してもらうといったような提案であれば、「長期的に契約を継続したい」と捉えられるためプラスに働くかもしれないですね。
以上のような点に留意する他、お互いに感情的にならず、落ち着いて冷静な話し合いをすることも非常に大切です。
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交渉期間中の地代の取り扱いと対応策
地代の値上げに納得できず交渉が終わらない期間、地主から転居を命じられた場合や、支払う地代はどうなるのでしょうか。
転居・退去要請時の地代支払いについて
当人同士の交渉だけでは決着がつかない場合に、地主から転居・退居を命じられることがあるかもしれません。
しかし、借地人はこれまで通りの賃料を払い続けていればそれに応じる必要はありません。
そのため、対象の物件に住んでいる間は、たとえ交渉が不成立となっている場合でも従来の賃料を収めるようにしましょう。
交渉が上手くいっていないからといって、賃料を支払っていなければ家賃滞納となり、それを理由に賃貸借契約を解除されるおそれがあるので注意しましょう。
交渉期間中の地代支払いとその対応
借地人が地代の値上げを拒否している場合、基本的には従前の地代額を支払うことになります。
「提示された額ほどは支払えないが、地主が主張する値上げ幅の一部を受け入れる」という場合には、これまで支払っていた地代額にその一部を上乗せすることも可能です。
ただし、裁判によって地代の値上げが適用された場合には、地主がそれを請求した時にさかのぼり、不足分+年1割利息を支払わなければなりません。
裁判の期間が長ければ長いほどその金額が膨らんでくるので、注意が必要ですね。
地代の受取を地主に拒否された場合
交渉が不成立のままで、地主が値上げ後の地代を要求してきた場合、値上げ前の金額を借地人が支払っても、その受け取りを拒否されるケースも考えられます。
そんなときには、法務局の「供託」という制度が利用できます。
供託とは、法務局の法務大臣が指定する出張所である「供託所」に、該当の地代を預けることで、借地人が地代を支払ったこととみなす制度を言います。
和解できた場合には、この供託金の還付を受けることができます。
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地代値上げ交渉が決裂した場合の法的手段
地主が交渉による地代の値上げを要求しても、借地人がなかなか応じない場合には、民事調停や訴訟に発展します。
ここでは、それぞれの内容について簡単に説明します。
民事調停の申立て
地代の値上げを請求するには、最初に調停の申立てが必要です。
調停の申立をせずに訴訟を起こしてしまったとしても、裁判所が調停に変更して受理します。
調停委員会の裁定
民事調停では、調停委員会が専門的な見地から問題解決に当たります。
地主と借地人の意見を聞いたうえで、提出資料などを元に、地代の金額が明記された調停案を示します。
調停委員会は、地主と借地人にその金額で合意するか否かの決断を求めます。
申立てから調停案の受諾まで、おおむね1年程度かかります。
時間はある程度かかるものの、訴訟よりも早く解決でき手続きも容易ですので、できれば調停で和解するのが望ましいといえます。
訴訟
調停においても解決しなければ訴訟を起こして、裁判所に「地代等増減額請求」の成否について争うことになります。
判決、地代の値上げ
裁判所が妥当であると判断した場合は、判決が下り地代の値上げが命じられます。
借地人は、判決書が届いてから2週間以内であれば、高等裁判所に対して不服申し立て(控訴)をすることが認められています。
さらに、高等裁判所での判決に対しても上告が可能です。
不服申立ての手続きが終了するか、申立てが行われなかった場合には、判決が確定し、その時点で値上げが実現することになります。
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まとめ:今後の地代値上げに関するアドバイス
本記事では、定期借地権の地代相場と、地代の値上げ交渉時のポイントなどを解説してきました。
地代の値上げについては、どちらの立場からしても、法律に乗っ取った客観的な対応が求められるので、借地権に関して詳しい弁護士などに相談することをオススメします。
また、借地人で「訴訟を起こされるくらいなら売却したい」というような場合には、借地権付きの土地に詳しい不動産買取業者に相談することも検討してみると良いでしょう。
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