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2025/08/31【借地権の譲渡・転貸】地主が譲渡を拒否した場合、裁判所に許可を申し立てられる!?
- 底地・借地
借地権という権利は、その種類や契約内容によって登記の義務はあるのか、抵当権の設置ができるのか、存続期間は何年か、などの点においてそれぞれ異なります。
また、
「借地権の譲渡を考えているけれど、地主が承諾してくれない場合はどうすればよいの?」
「借地上の建物を第三者に貸したいけど、地主の承諾は必要なの?」
といったような問題が生じる可能性も出てきます。
本記事では、借地権の基礎知識と、譲渡や転貸において地主の承諾が必要なのに応じてもらえない場合の手続きや、承諾が不要なケースについて詳しく解説していきます。
少し難しいところもありますが、不動産の知識がない人にも伝わるようなるべくかみ砕いて説明していますので、ぜひ最後までご覧ください。
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
Contents
借地権の譲渡・転貸について
借地権とは、「土地の所有者から土地を借り、借りた土地に建物を建てる権利」のことをいいます。
そして、借りる側のことは借地権者と呼び、貸す側のことは地主もしくは借地権設定者・底地人などと呼んだりします。また、借地権者は、土地を借りる対価として、地主に地代を毎月支払います。
マイホームを購入するときに、土地ごと購入して(土地の所有権を買って)その上に家を建てることもあれば、第三者から土地を借りて(土地の借地権を買って)その上に家を建てることもできます。
そして、一般的に借地権というのは他人に譲渡や転貸が可能です。そこで、この章では借地権の譲渡や転貸における定義を解説していきましょう。
借地権の譲渡と転貸
借地権の譲渡・・・「借地権者が地主の承諾を得ることで、その権利を第三者に譲り渡すこと」
借地権は通常、借地上に建てられた建物に設定されているので、その建物の所有者が変わるタイミングで一緒に譲渡されます。
建物自体の所有者名義を変更(移転登記)する際は、地主の承諾は不要ですが、地主の承諾を得ずに借地権を譲渡すると、地主に借地契約を解除され、せっかく譲り受けた建物が利用できなくなってしまいます。
借地権の転貸・・・「借地権付きの土地をまた貸しすることで、借地人(転貸人)が地主との土地賃貸借関係を維持したまま、土地を第三者に賃貸すること」
例えば、借地人が地主から土地を借りた状態で、更地のまま第三者(転借人)に貸し、第三者が建物を建てた場合などは転貸にあたります。
転貸の場合も、地主の承諾を得ていないと借地契約を解除され、地主に土地を返還しなければなりません。
以上のように、譲渡・転貸にはそれぞれの定義があります。少し似ていますが、借地権の所有者自体が代わるのかどうかが違いますね。
いずれにしても、地主の承諾を得ないとできないという点は同じです。
2.承諾料について
地主は承諾を与えるときに、その条件として金銭を要求します。この金銭のことを、一般的に「譲渡承諾料」もしくは「名義書換料」、「名義変更料」などと呼びます。
金額の目安としては、借地権価格の10%程度とされています。(借地権価格は一般的に更地土地評価額の60%から70%程度です。)
この金銭は、「今まで契約通りに毎月地代をきちんと支払ってくれ、条項も守ってくれているので、あなたを信頼して大切な土地を貸しています。では、もし借り主があなた以外に代わったとして、その人もあなたと同じように信頼してよいのですか?」といった、地主の不安に対する代償として支払うようなイメージですね。
3.地主が承諾しない場合
地主側が「今の借地権者とは良好な関係が築けており、毎月地代も遅れずに支払ってもらえているけど、別の人に変わってトラブルが起こると面倒なので、譲るくらいなら、自分で利用したい」といったように、譲渡や転貸を快諾してくれない場合があります。
こうしたときには裁判所で借地非訟という手続きが可能です。借地非訟については次章で説明します。
借地の問題については、契約の内容やその状況などによって総合的に判断しなければなりません。基本的な知識については知っておいた方が良いですが、「この場合はどうなるの?」と不安な場合には、借地権に詳しい不動産業者に相談したり、弁護士などの専門家を頼ることをオススメします。
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借地非訟について
つづいて、地主の承諾を得られなかった場合の手続きと、その流れについて解説します。
承諾に代わる許可|借地非訟
借地権の譲渡や転貸において、地主がなかなかそれを承諾してくれない場合はどのような手続きがあるのでしょうか。
そんなときには、借地権者が裁判所に地主の承諾に代わる許可(代諾許可)の申し立てをできる、「借地非訟」という制度があります。(借地借家法19条1項より)
裁判所はこの申し立てがされた場合、第三者が借地権を取得または転借をしても、地主に不利となるおそれがないときには、代諾許可を与えることができます。
申し立ての手続き
つぎに、裁判所に借地権の譲渡・転貸の許可を申し立てる際の、必要書類や手続きについて見ていきましょう。
手続きは、以下の手順をもとに進行します。とくに事情がなければ、おおむね1年以内には終わりますが、それくらいは時間を要するということを理解しておいた方が良いでしょう。
借地権者(申立人)が、申立書を作成し、民事第22部に提出する。
↓
裁判所が、第1回審問期日を定めるとともに、申立書を地主に郵送する。
↓
裁判所にて第1回審問期日が開かれ、当事者(申立人および地主)から陳述を聴く。(必要に応じては第2回、第3回と期日を重ねることもある。)
↓
裁判所が、鑑定委員会に許可の可否や承諾料額・賃料額・建物および借地権価格などについて意見を求める。
↓
鑑定委員会が、当事者立会いの下、現地の状況を調査する。
↓
鑑定委員会が裁判所に意見書を提出し、それにともない裁判所は意見書を当事者に送付する。
↓
裁判所にて最終審問期日を開き、鑑定委員会の意見について当事者から意見を聴いたのちに審理を終了する。
↓
裁判所が決定書を作成し、当事者に送付する。
この一連の流れを通し、裁判所が「譲渡しても問題ない」と判断した場合には、借地人が地主に承諾料を支払うことを条件として許可を出します。
決定書の送達を受けた日から2週間以内であれば、地主は裁判所の決定に対して抗告状を出すことによって、即時抗告できます。2週間の期限を超えると即時抗告ができなくなり、これを確定と呼び、確定した時点で決定が効力を生じます。
ただし、借地の期限が迫っている場合や、建物が期間内に経済的価値がなくなるほど老朽化すると認められる場合などには、「地主が不利益を被る」と判断されることもあります。
※この手続きの最中、地主側が「介入権」を行使することがあります。介入権については次章をご覧ください。
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地主の介入権について
この章では、「介入権」とはいったいどんな権利なのか、またそれが認められないケースについて解説していきます。
地主の介入権とは
借地権者から裁判所に申し立てがあった際に、地主が借地権を買い取りたいと求める権利が認められています。
借地権の第三者への売買について、借地権設定者に「介入」する権利ということで、これを「介入権」と呼んでいます。
あくまでも、裁判所に借地非訟の申し立てがあった場合にのみ行使できるものです。介入権が期間内に行使された場合には、裁判所側で借地権をいくらで買い取るかを定めて、これを命ずることができます。
ただし、行使が認められた場合でも、その買取価格は裁判所が選任した鑑定委員の意見をもとに決められてしまうため、相場より高くついてしまうこともあります。
そのため、後述のような事情を踏まえて、交渉によって買い取りができないかを探る必要があります。介入権が行使できるかどうかを含めて、その判断は難しいため、まずは弁護士に相談されることをオススメします。
介入権が認められないケース
地主の介入権が認められない例もあります。
例えば、同居している親子間で、親から子に自宅の敷地における借地権の譲渡をするような場合です。明確な目的がある上に、トラブルを避けるために申し立てをしたのに、介入権が認められてしまうということはまずないでしょう。
ほかにも、借地権を設定する際の賃貸借契約の段階で、どのようなケースでも譲渡を認めるような旨の特約がなされている場合があります。借地権者と契約を結んだ時点で譲渡が承諾されていることになるため、こちらも介入権は認められないのが筋でしょう。
また、借地権と隣地にまたがって立っている「またがり建物」の場合に、借地権部分を譲渡したいというケースです。こちらは、仮に介入権を行使しても、隣地上の建物の取得ができないので事態が解決しません。
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地主の承諾が不要なケース
地主の承諾が必要な譲渡・転貸以外に、似たようなケースでも地主の承認が不要なことがあるので、以下にご説明しておきます。
建物の賃貸
借地上の建物を第三者に貸す(賃貸する)場合、賃借人がその土地も使用することになるため、譲渡や転貸と混同しがちです。
しかし、この場合は、建物の登記名義は借地権者のままなので、地主の承諾は不要です。
相続による譲渡
相続による譲渡の場合、借地権は借地人の財産であるため、承諾は原則不要です。
基本的には相続人が相続放棄をしない限り、地代や契約期間などもそのまま引き継がれる形で相続されます。また、地主への承諾料を支払う義務もありません。
ただし、法廷相続人以外の第三者へ借地権を譲渡する「遺贈」の場合には、地主の承諾に加えて承諾料・契約内容の変更が必要になるので注意しておきましょう。
借地権の持分譲渡など
借地上の建物が共有になっており、その敷地の借地権も共有しているような場合があります。この共有持分を、共有者同士で譲渡する場合や、この共有借地を分割するようなときには、承諾をもらわなくても良いことがあります。(第三者に共有持分を譲渡するような場合は、地主の承諾は必要です。)
ほかに、離婚後の財産分与で借地上の建物を譲渡する際、地主の承諾は必要とされていますが、特別な事情がある場合を除いては契約を解除されることはないと考えられます。
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借地非訟は借地権者しか申し立てできない
通常、借地ではなく土地所有権の売買契約においては、買い取り人側が代金を支払えば、裁判で強制的に土地の引渡しおよび所有権移転登記を求めることができます。
ところが借地の場合は、ここでもお伝えしてきたように、建物の譲渡や移転登記をするときには地主の承諾が要り、応じない場合には借地非訟となります。
ここで問題となるのは、「借地訴訟は借地権者しか申し立てができない」という点です。
もしもあなたが借地を譲り受ける買い取り人側で、地主が承諾に応じず、借地権者が申し立てしないという事態に陥ってしまうと大変ですよね。
こうしたトラブルを避けるため、売買契約を交わす際には、借地権者が借地非訟の申し立てに協力しなければ、買い取り人に対して違約金が発生するという旨の約束を加えておいた方が良いでしょう。
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さいごに
本記事では、借地権の譲渡・転貸時を地主側が承諾しない場合の解決策や注意点について解説をしてきました。
もしも、借地権を誰かに譲渡したい場合やまた貸ししたい場合などに、地主からなかなか承諾を得られないようなことがあったら、裁判所が代わって許可を出せるかどうか判断してくれます。
ただし、書類作成や手続きには手間がかかり、もしも不備があるとやり直しになる可能性もあるため、どのように手続きを進めるべきか弁護士に相談するのが賢明です。
借地権の譲渡・転貸においては複雑な問題も多く、今回取り扱ったケースのように裁判所に申し立てが必要になることもあります。
お困りの際には、スムーズに問題が解決できるように、弁護士などの専門家に相談することをオススメします。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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