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2023/10/27最終更新⽇時
2025/06/30底地長期保有の利点と賢い活用法をご紹介
- 底地・借地

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「土地を長年にわたって保有するとどうなるのか?」
「どの借地権でどのくらいの期間土地を保有できるのか?」
この記事は、このようなお悩みがある方にオススメです。
今回は「土地を長年にわたって保有するメリットとデメリット」について、底地人と借地人それぞれの視点から解説します。
ぜひ、参考にしてみてください。
底地を長年にわたって保有するメリット
まずは、底地人の視点に注目して、底地を長年にわたって保有するメリットについて解説します。
長期的に安定した収入が得られる
底地人は、土地(底地)を他の誰かに貸すことで毎月借地人から地代を受け取れます。
借地人は基本的には長期間借りることを前提としているため、地主は地代を長期的に得られ、安定した収入を得られます。
また、地代は契約時に決めた金額をそのまま受け取ることになるため、値上げはしても値下げすることはありません。
地代の他にも、底地人は以下のような収入を得られます。
- 建物の建て替えや増築の承諾料
- 契約更新料
- 譲渡・名義変更承諾料
- 借地条件変更承諾料
これらは、更地価格を元に割り出されます。
不動産を管理しやすい
底地は賃貸住宅などの建物と違い、修繕費・改修費・管理費などのコストがかかりません。
なぜなら、底地上の建物は借地人のものであり、借地人が管理するからです。
つまり、底地人は土地(底地)のみの管理となりますが、借地人が土地の活用を始めてしまえば土地(借地)も借地人の管理下となります。
コストも手間も省けるため、建物などの他の不動産よりも非常に管理しやすいのが底地のメリットです。
リスクが低い
底地は空室や滅失となるリスクが低いこともメリットの1つです。
人に貸し出す不動産が賃貸住宅の場合、空室ができると毎月の家賃を安定して得られません。
一方で底地はというと、空室になるリスクがほとんどありません。
なぜなら、借地契約(底地を貸し出す契約)は短くても10年以上(事業用定期借地権の場合)から契約可能であり、基本的には30年以上の契約となることが多いからです。
定期借地権の場合は契約更新ができないため、存続期間が満了すれば底地は底地人の元へと返ってきます。
しかし、30年という期間安定して地代という収入を得られることは大きなメリットと言えます。
底地を長年にわたって保有するデメリット
次に、底地人の視点に注目して、底地を長年にわたって保有するデメリットについて解説します。
収益性が低い
底地の地代は、賃貸住宅の家賃に比べるとあまり高くありません。
すでに何10年も前から契約している底地ですと、現在の周辺の相場に比べてかなり安く地代が設定されていることも多いのが実際のところです。
地代の値上げも可能ですが、借地人から了承を得なければなりません。
借地人からすると出費が増えるため、簡単には了承を得られないでしょう。
市場への流通性が低く、なかなか売却できない
底地は売却が難しいとされている不動産です。
更地ですと土地の利用目的に制約がないため、さまざまな所からの需要があり、購入を希望する人も多いでしょう。
しかし、底地にはすでに借地人が所有する建物が経っています。
そして土地を利用するための「借地権」も借地人が持っているため、新しく底地を購入する人が現れても事由に土地を活用できません。
そうなると、新しい地主(底地人)にとってはあまり購入のメリットがないでしょう。
よって、市場にあまり流通せず、売却価格が低いのです。
底地を売却するには、借地人と交渉して買い取ってもらったり、買取業者に売却したりといった方法があります。
底地を売却したいのであれば、まずは底地の専門業者に相談してみましょう。
長期的に保有できる借地権の種類
借地人の視点にうつる前に、借地権について解説します。
もとより、借地権は大きく分けて以下の2つに分かれています。
- 普通借地権・・・契約が更新可能
- 定期借地権・・・契約が更新不可
借地人が借地権を得る際には、この借地権の違いについてよく理解しておきましょう。
さらに、定期借地権は全部で3タイプあります。
利用目的によってどの借地権を使うのか変わります。
借地権の種類別特徴
普通借地権 | 定期借地権 | |||
事業用定期借地権 | 一般定期借地権 | 建物譲渡特約付 定期借地権 | ||
存続期間 | 30年以上 | 10〜29年 or 30〜49年 | 50年以上 | 30年以上 |
更新後の期間 | 1回目:20年 2回目から:10年 | 更新なし | 更新なし | 更新なし |
利用目的 | 制限なし | 制限なし | 制限なし | 事業用に限る ※居住用は不可 |
契約書式 | 規定なし | 規定なし | 公正証書などの 書面により契約 | 必ず公正証書で 契約する |
借地関係 の終了 | 正当事由 | 建物譲渡 | 期間満了 | 期間満了 |
建物買取請求権 | あり | あり | 原則なし | 原則なし |
借地権を長期的に保有するメリット
さて、ここからは借地権を長期的に保有する借地人にとってのメリットを紹介します。
一般定期借地権の場合
ライフプランが立てやすい
定期借地権には契約更新がなく、一般借地権も例外ではありません。
そのため、前述したように契約満了時には更地で底地人に返還する必要があります。
わざわざ建てた自宅を失うとなるとマイナスのように感じますが、逆に言うと自宅を手放す時期が明確なので、ライフプランを立てやすいとも言えます。
利用目的の制限がない
定期借地権のうちの建物譲渡特約付借地権・事業用定期借地権には借地の利用目的に制限があります。
一方、定期借地権のなかで一般借地権だけが借地の利用目的に制限がありません。
借地の利用目的が居住だろうと、事業だろうと、借地人が自由に借地を活用できます。
事業用定期借地権の場合
存続期間を調節できる
事業用定期借地権は、10年〜50年の間で自由に存続期間を設定可能です。
ですので、借地人の事業計画に合った期間で契約できることがメリットです。
契約更新や建物の買取請求権を行使できる
さらに、事業用定期借地権では存続期間が30年以上ですと、通常契約を更新できない定期借地権でも契約を更新できたり、建物買取請求権の行使が認められたりします。
よって、長期にわたる事業の運用でも安心して借地契約を交わせます。
※建物買取請求権・・・借地上の建物を時価で土地を所有する人物(地主・底地人)に買い取るよう請求できる権利のこと。契約が更新されないときに、第3者が借地人から借地権を譲渡or転貸したものの、地主がこれを認めない場合などに行使される。
※特約で更新や建物買取請求権をなくすことも可能。
建物譲渡特約付借地権の場合
底地人に建物の買い取りを請求できる
定期借地権には建物の買取請求権が用いられるのは、存続期間が30年以上の事業用定期借地権のみです。
しかし、建物譲渡特約付借地権では、契約満了時に建物の所有権が底地人へ移転します。
一般借地権のように、契約が満了しても建物を取り壊して更地にする必要がないのです。
建物の所有権が底地人へと移転すると、お金として借地人に戻ってきます。
よって、建築した建物が無駄になってしまうことを防げます。
契約が満了しても借地人として保護される
先ほどは底地人が建物を買い取ることでお金を得られるということでしたが、建物をそのまま使いたいのであれば、借地人は継続使用を請求できます。
継続する場合は、借地人ではなく賃借人として保護されます。
この場合、継続使用を請求した時点で期間の定めがない賃貸借契約が成立します。
よって、住居や事業用の建物を失う心配がありません。
借地権を長期的に保有するデメリット
最後に、借地権を長期的に保有する際の借地人のデメリットについてお伝えします。
借地権全体におけるデメリット
地価と一緒に、地代も上がる可能性がある
借地権は所有権に比べると、物件価格自体は安いです。
しかし、地価が上がるとそれに伴って地代も上がる可能性があります。
借地人は毎月底地人に地代を支払わなければなりません。
長期的に借地を保有するのであれば、地価の動向に注目しつつ、地代が上がった場合に支払いを継続できる余裕を持っておくと良いでしょう。
通常中途解約できない
通常、借地権の中途解約はできません。
なぜなら、借地人と底地人双方の権利を法律で守らなければならないからです。
底地人からすると、土地を貸すことで毎月地代を長期的に得られるというメリットがあり、中途解約によってその安定した収入がなくなってしまうことは痛手となります。
また、借地人からしても中途解約されてしまうと、借地上の建物を手放さなければならず事業用や住居用に利用していた場合困ってしまいます。
そうしたことをなくすため、通常借地権の中途解約はできないのです。
各借地権のデメリット
一般定期借地権
建物を取り壊して更地にしなければならない
一般借地権では、契約を更新できません。
存続期間が満了すると、借地上の建物を取り壊して更地にして底地人へと返還しなければなりません。
住居や事業用として借地上に建物を建てるのであれば、このことを考慮して契約的に建てる必要があります。
事業用定期借地権
目的が事業用に限られる
事業用定期借地権では、借地の利用目的が事業用に限られています。
そのため、存続期間の途中で事業を終えてしまって、住居用に切り替えて借地を利用できません。
建物譲渡特約付借地権
途中で不要になった場合の処分に困る
建物譲渡特約付借地権の存続期間は最低でも30年です。
存続期間の途中で借地権がいらなくなってしまっても、建物の処分に困ってしまうでしょう。
6.まとめ
今回は「土地を長年にわたって保有するメリットとデメリット」について、底地人と借地人それぞれの視点から解説しました。
借地契約では、通常中途解約が認められていません。
なぜなら、底地人と借地人双方の権利を保護する必要があるからです。
そのため30年を超える長期的な土地の所有は、ライフプランをしっかりと組むことが大切です。
借地権には複数の種類があるため、自身の土地の利用目的やライフプランなどに合った借地契約を交わしましょう。
借地契約を安易に進めてしまうと、のちのち土地の活用や相続に困ってしまいます。
すでに底地・借地を保有していて活用に困っている方は、一度以下のような専門家へ相談してみてください。
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